2015/07/12 - 20:26~22:02 のログ
ご案内:「常世保険病院・サヤの病室」にサヤさんが現れました。<補足:黒髪の少女。薄緑色の病衣に、何本ものチューブが体から伸びている。>
サヤ > Pi Pi Pi 心電図の立てる規則的な音が響く病室。
出入口を塞ぐ堅牢な扉に、鉄格子のハマった窓、幾つもの監視カメラが天井から伸びている。
病室というより監獄に近い印象をあたえる。
その部屋の真ん中に置かれたベッドに、少女が眠っている。
少女の名はサヤ。かつて石蒜と名乗って暴虐の限りを尽くした少女。
しかし戦いの末に自らを取り戻し、今はまたサヤに戻っている。

サヤ > 「ん……ううん……。」目を覚ます。
目に入るのは無機質な天井と、天井からこちらを見つめている何かの機械。
「ええと、私……。」まだぼーっとする頭で、記憶を辿る。
あの決戦のあと、搬送される途中で意識を失って……。
そうだ、私の体はボロボロで、入院することになったんだ。
生きているのが不思議なほどだと、医者に言われたのを覚えている。

サヤ > それも当然だ、石蒜が主導権を握っていた頃の体は人間のものではなかった。飲食も、睡眠すら不要だったのだ。四肢を欠損するほどの怪我をしても、すぐに治った。
恐らくそれらのツケが回ってきたのだろう。特に左腕は損傷が酷く、後遺症が残るかもしれないと言われた。
別にそれぐらい構わなかった、それも罰の1つだろう。だが畝傍さんに撃たれたのも左腕だ、自分のせいだと気にするかもしれない。
それは、悲しかった。

サヤ > でもそうなったらどうしようもない。今から心配することじゃない、と思考を切り替えようとする。
少し体を動かしてみる。左腕は、何か白く固いものに包まれていて動かせない、感触はあるので問題なさそうだ。
右腕は、包帯でぐるぐる巻きだ、動かしづらいがなんとか動かせる。
右足は足首が固定されている。左足は、何事もない、大丈夫。

サヤ > 寝たまま視線を巡らせる、首を起こす元気はまだ無かった。
いくつもの透明な袋に入った液体から伸びる管、それを目で追うと、左腕に刺さった針に通じていた。
そういえば栄養失調にもかかっていたので、"てんてき"で補給すると言われた。私の天敵といえば、複雑な道だ、それを注入するという意味がわからなかったが。これが"てんてき"というものらしい。

サヤ > こんな液体ばかり注入されたらおしっこが近くなりそうだな、と思う。
あれ、そういえば搬送されてからずっとトイレに行ってない、もう夜なのに。
不思議に思っていると、視界の端のチューブに液体が通った。
「えっ……。」あれ今私の体から……。
恐る恐る、右手を布団の下、病衣の下に潜り込ませ、チューブの出処を探る。
両足の付け根、両方のものに、太めのチューブが挿さっていた。じゃあ今通ったのって……。
「え、うわぁ……」恥ずかしい、とてつもない辱めを受けている気分だ。確かに病院側としては便利でろうけど、だけれども!

サヤ > 悶そうになるが、そんな元気はない。
もう考えないことにする、立ち上がるのすら出来ないのだ、仕方ない。仕方ない。

しかし、もう部屋の中には特に興味を引くものはなかった。
つまり退屈なのだ、部屋には他に何もない、床に固定された椅子が一脚だけ、それも装飾は全くない。見ていても数分で飽きるだろう。
「……はぁ。」諦めて、また天井を見る。

サヤ > 「千早振る 神を鎮めて 一つ鞘 夕凪思う 有り難し也(荒れ狂う神を鎮め、私は元のサヤ/鞘へ戻れました。夕凪の中、私が助かったのはかけがえの無いもののおかげだと、感謝しています。)」少し掠れた声で、歌を呟く。師匠から教わったんだ、思い出に残したいことがあったら、歌にしなさい、と。

一連の事件は私の心が弱かったせいだ、誰にも頼らず、一人で抱え込んだせいだ。もう二の舞いはすまい、人に頼る勇気を私は持たなくてはいけないのだ。

サヤ > 「ふあぁ……あぁ」動かないで居たら眠くなってきた。どうせすることもない、寝ているのが一番だろう。
目を閉じて、じっとまぶたの裏に意識を集中させる。

やがて、規則正しい寝息を立て始めた。

ご案内:「常世保険病院・サヤの病室」からサヤさんが去りました。<補足:黒髪の少女。薄緑色の病衣に、何本ものチューブが体から伸びている。【乱入歓迎】>