ご案内:「商店街」にコゼットさんが現れました。<補足:オレンジ色のキャミソールにジーパンを履いている。>
コゼット > 「……ふぅ。」

(日も傾き始める頃。

商店街の外れの外れ。
路地を照らす外灯とまばらな人影。
手を翳す私服姿のコゼットと、睨み付けるその先には──黒い液溜り。
魔術師喰いと一戦交えた後だった。
今は絶命し、塵へとその姿を変えている。

買出しをしていたら悲鳴が聞こえたものだから、駆けつけてみたらそれが居たものだから。
幸い相手は一匹で、特に何事もなくそれを処理する事が出来た。
咄嗟に引き出した魔力によって向こうが釣られてくれた事により、被害も出なかったのが幸いだった。
出現の経路は判らないが。)

コゼット > 「後は警察に任せましょう。」

(流石にそのままという訳には行かない。ここはメインストリートから離れているとはいえ人が多過ぎる。
携帯を取り出し、事情を簡潔に説明する。
後で事情聴取があるかもしれないが止むを得ない。

折角久々の休日に悠々と買い物に来たと言うのにこれである。
電話口では淡々と話していたものの、少し不機嫌だった。)

ご案内:「商店街」に日恵野ビアトリクスさんが現れました。<補足:褪せた金髪 青い瞳 シャツ スカート>
日恵野ビアトリクス > スケッチブックをはみ出させたかばんを提げた人影が現れる。
休日だというのに装いは普段の学校で見せる、制服のシャツにスカートだ。

「……おや、コゼット先生でしたか」
知った教師に気づき、軽く会釈をする。
次に黒い残骸、そして残留する魔力へと視線を送る。

「一戦交えたところでしたか」

コゼット > 「──ええ、はい。宜しくお願いします。」
(一通りの報告を終える。とりあえず後はなんとかしてくれるだろう。
学園で注意喚起は行ったものの、外部に関してはまだまだ説明が足りない所もある。
まだまだこの生物に関して、この島の世間には浸透していないかもしけない。後日の聴取は長くなるかもしれない。

話し終えて携帯をしまった所で、見知った生徒の姿を見かける。)

「ああ、日恵野君。こんばんわ。」
(声を掛けられればそちらを向いて手を振る。
気持ちを切り替えるという意味でもいいタイミングだったかもしれない。)

「まさか買い物中に遭遇するとはね。学園にもまた通知を出さないとダメかも。
そっちは買い物かしら?」

日恵野ビアトリクス > 「ええまあ。魔力の反応があったので辿ってみたらこれです」
肩をすくめる。コゼットの言うとおり彼も買い物中であった。
かばんの中にはここで買い求めた文房具類や食料品などが詰まっている。

「人通りのある商店街でまで出るとは。
 気が抜けませんね……お疲れ様です」
《魔術師喰い》を討伐してやろう、などと思っていた時期もあった。
しかし今は他の重要な様々な問題のせいでわりとどうでもよくなっていた……
「最近鍛錬に気合を入れている、なんてウワサを聞きましたけど……
 アレのせいですか」
コールタールのようなものに目を向けて。

コゼット > (確かにアレをおびき寄せる為に強く魔力を発した。その道に通じるものなら探知は容易かっただろう)

「経緯は判らないけど、どちらにしても危険ね。以前も居住区内の森に現れたから、何処にでも出てくるのでしょう。
頻繁ではないけど、気をつけないと。」
(お疲れ様と労いの言葉を掛けられればありがとうと答え。
…しかし近くに居たとは。早めに討伐出来て良かったと思う。)

「そうね、アレのせいもある。
…けれどまぁ、それだけじゃないかな。先生と言っても、能力は使わないと錆びてしまうから。
実技で教師が万一失敗なんてしたら恥ずかしいでしょう?」
(それは以前起動テストとして試験端末の計測を行った際の自分の結果を受けてのものだった。
勿論目の前の怪物に対しても意識はある。理由は何であれ、自分の力に努力は惜しまない。)

日恵野ビアトリクス > 「敵対的な怪異の中では脅威度は低いほうだとは思いますけど。
 戦闘力を持たない一般人にとっては恐ろしいことには変わりませんしね……」
ここらは一応風紀委員会の管理下にあるはずだ。
《魔術師喰い》のその性質上、探査魔術にはひっかかりづらいのかな、とぼんやり考える。

「確かに。……平和な日常ではまず使うことのない魔術ばかりですからね、
 コゼット先生が教えるのは」
コゼットの言葉に頷き。その立ち振舞をぼんやりと観察する。
「前からちょっと疑問に思ってたんですけど。
 攻撃魔術、ってあんまりコゼット先生のキャラじゃないですよね。
 才能があった、とかなんですか?」
率直な疑問をぶつける。
魔術にだっていろいろある。
火を起こす術、二日酔いを治す術、鍵を開ける術、遠くのものを取る術。
コゼットの人となりについて詳しく知っているわけではないが、
どう見繕っても好戦的には見えない。それが少し気にかかった。

コゼット > 「…そうねぇ。」
(基本的に魔力を持たない者にとっても普段は無縁の生物だ。
逆に魔術師に取っては文字通りの脅威。
一歩間違えばどうなるかは身をもって知っている。)

「言われて見ればそうね。それこそ使い方次第では日常にも組み込めると思うわよ?
必須かと言われれば違うけれど……でもまぁ、その辺りに関しては他の先生がちゃんと教えてくれるでしょうし。」
(元素魔術は必須科目ではない。素質のある者と無い者が居るのだから当然なのだが。)

「そ、そうかしら?
うーん、才能があるかと聞かれたら、平凡…かな。
昔から魔力の総量なら誰にも負けなかったけどそれだけだったし。
強いて言うならこれらは身を守る為に覚えていたのよ。
私がまだ学生だった頃は周りは物騒でね、アレみたいなのがわんさかいる場所だったし。」
(顎に手を当て、過去を振り返っている。
…あまり良い思いでは無い。ある意味では、ここより物騒だったかもしれない。)

日恵野ビアトリクス > 「アレみたいなのがわんさか……」
さすがに予想の外の答えだったのか、オウム返しに繰り返す。
コゼットの普段の風貌と、その返答を照らし合わせる。
中世ファンタジーRPG然とした世界像がビアトリクスの脳裏に結ばれた。

「なんというか、シンプルにタフな世界のご出身で……」
半笑いを浮かべ、

「……いや、あんなのばっかりなら、むしろ楽なのかな。
 攻撃魔術を向けることに、何の躊躇もいらないし」
やや剣呑なニュアンスの篭った声を漏らした。

コゼット > 「…だから、被害に遭う人も多くてね。」
(一つ溜息をつき、目を逸らして肩を落とす。
私がこの島で知っている事件に比べたら、その惨状はそれはもう悲惨の一言だったのだから。)

「そりゃあ、躊躇いはイコール死に繋がるものだから。
…まぁ、異形の姿が真っ黒だったから判り易くてそのは助かるのは確かだけども。
ある意味ではココの方が大変ね。なんせここで起こる事件は色んな姿をしているんだから。」
(全ての事件を考えるなら、コゼットの知っている事件はその一部に過ぎない。
それでもここでは色んな事が起こる。
それは勿論、命に関わる事も。)

日恵野ビアトリクス > 興味深そうに相槌を打つ。

コゼットの外見はこの世界の一般的人類と殆ど変わらないため、
普段彼女が異世界人であることは意識できない。
しかしコゼットの口からそんな話を聞いていると、
確かに住んでいた世界が文字通り違うのだな、とわかる。

「コゼット先生は――恐ろしくなったりしませんか」
くる、と背を向ける。

「“間違えて”――邪悪な怪異でも、悪漢でもない、
 罪もない人間に……魔術を向けてしまうかもしれない、
 そう考えたりしたことはありませんか」
足元に視線を落とす。
小石を蹴り飛ばした。
カラコロと数度跳ねて数メートル先に着地する。

コゼット > 「私は怖くない。…と言ったら少しは嘘になるかな。
でもそれは魔術という力に限らない話。
どちらかというと、教師からしたら教わった術を生徒達がどうゆう用途で使うのか…それが心配になるわ。」

(以前獅南にも言われた事を思い出した。
魔術とは何の為にあるか。その力をどう使うか、それは教師である私達がしっかりと教える必要があるのだと。)

「日恵野君は怖い?怖いと思うなら、どうして魔術を学ぶのかしら?」
(先日の試験の記録には彼のものも残っている。
その成績は極めて高い。そんな彼を怖いと思わせるものはなんなのだろうか。)

日恵野ビアトリクス > 背を向けたまま。
「……、
 ぼくは魔術師の子として、多少の資質を持って生まれました。
 だから魔術を学べばきっと、何か為せることが
 見つかるのでは、と思って」

あまり態度には出さないが、
ビアトリクスはコゼットの教える四大元素魔術を強くリスペクトしている。
本来難解である元素魔術を平易な形に落とし込み、
素質に優れない者でも扱えるように導き、教える……
とてもすばらしい学問だ。

「ぼくはきっと、“間違えて”、“罪もない誰か”を
 撃ってしまうでしょう……低くない可能性で」
ざりざり、と靴のつま先で通りのタイルを踏んだ。

「ぼくにはとても憎く思う人間がいるんです」
ぽつりと。

コゼット > (確かに、魔術は出来ない事を出来るようにするものだ。
先天性な能力の異能とは違い、魔術の資質さえあれば、学ぶだけそれはその者の力となる。
そしてその力を使うのもまた、術士次第。
しかしそれに関しては術士だからという訳ではなく、力を持つ者全てに与えられる事。
その力を何に、どのようにして使うか。)

「…嫌いな人を好きになれなんて無茶な事は言わないけれど。
…でも、その人の為に学んだ力を使って、貴方がその手を血で染めるのは…良くない事だと思う。
悩みがあるなら聞いてあげれるけれど…。」
(言いたい事は何となく判る。それ程までに憎いのだろう。
勿論誰かなんて検討は付かない。
ただ、彼が殺人を犯してしまうなんて事は教師としては止めて当然だった。)

日恵野ビアトリクス > ふう、と嘆息。
そして振り返る。
いつもむすりとしている彼らしくもなく、微笑んでいる。
色に例えるなら灰色の笑い。

「なんてね。ぼくは小心者ですから。
 そんなことはしませんよ。
 それに――
 ぼくはそのひとのことが、とてもスキですから」

再び背を向ける。

「すみません、くだらない話に時間をとらせて。
 ぼくはそろそろ行きます。お元気で」
手を振り、建物の陰へと姿を消す。

ご案内:「商店街」から日恵野ビアトリクスさんが去りました。<補足:褪せた金髪 青い瞳 シャツ スカート>
コゼット > 「…。」
(それなら、何故それを態々言うだろうか。
憎いと思うのに、好きだと言う。彼が一体どんな事を考えるのか、私には想像も付かない。
──ただ、少なくとも)

「小心者の子が自ら進んで"ここ"に来るかしら。」
(よもや戦闘が行われているとは思いもしなかったのかもしれないが。
でも万一戦闘があったとするなら彼はどうしただろうか。
以前にも魔術師喰いに付いて場所を聞いてきた事もあった。
実技経験を積みたいなら訓練所でだって行える。)

「んーー……考え過ぎかな…。だと、良いんだけど。」
(どうにも頭の中に引っかかるものを残しながら、商店街のメインストリートへと歩き出した。
予定の買出しは、まだ終わっていない。)

ご案内:「商店街」からコゼットさんが去りました。<補足:オレンジ色のキャミソールにジーパンを履いている。>