2015/07/13 - 22:51~00:49 のログ
ご案内:「屋上」に三枝あかりさんが現れました。<補足:女子学生服に鞄。(乱入歓迎)>
三枝あかり > 少女が屋上に上がり、夕焼け空を眺めている。
正確に言えば、夕焼けと夜の帳の中間。
死んでいく日と生まれてくる夜の狭間。

そっと異能、星空の観測者(スターゲイザー)を発動させる。
彼女の視界一面に星が瞬いた。

三枝あかり > 彼女は孤独な時、辛い時、悲しい時、こうして虚空に星を視る。
あの星たちがどこにあり、なんて名前で、どういう風に輝いているのか。それは知らない。
それでも夜の輝きに彼女は満たされる。

彼女の異能はただ目が良いだけの異能だ。
役に立たない、と言う人もいるし、自分でもそう思う。

それでも、こうして空を眺める時だけは。

三枝あかり > 「っと……」
図書室で借りてきた星空の本を開く。
たまには、星の名前を確認しながら天体観測というのも悪くない。

あれが蠍座。綺麗なカーブがサソリの尻尾。
…本当は地球からそう見えるだけで、全然違う場所にある星々なんだろうけど。
それでもとても綺麗。

ご案内:「屋上」に日恵野ビアトリクスさんが現れました。<補足:褪せた金髪 青い瞳 シャツ スカート スケッチブック>
日恵野ビアトリクス > ギィ、と軋み声を上げる屋上入口の扉。
現れたのは、シャツにスカートの金髪碧眼、性別の判然としないルックスの人物。
絵でも描きに来たのか、スケッチブックを小脇に抱えている。

「……なんだ、お迎えでも待っているのかい」
黄昏の空、そこに何か映っているかのように――
じっと見つめている少女に、怪訝そうに声をかけた。

三枝あかり > 振り返ると、綺麗な人がいた。
スカートを履いた、金髪碧眼の人。
ぱっと見た感じ、女性だと思っていたけれど。

「……そうだよ、星空から迎えが来るのを待っているの」
薄く笑って答えた。星の本をパタンと閉じる。
「あなたは? 不躾で、失礼だけど。男性かな? 女性かな?」

日恵野ビアトリクス > 皮肉げな笑みを浮かべる。
「その年頃で、ずいぶんとロマンチックだな。
 だが、星が訪れる時間にはちょっと早いぜ。
 待ちぼうけの趣味でもあるんならいいけど」

「日恵野ビアトリクス。男性だ。
 きみは女性でいいのかい?」
指先で前髪を整えて、少女の手元の本へ視線を落とす。

三枝あかり > 「あはは……そうかもね」
「私には見えているよ、たくさんの星が」
「……私の異能、星空の観測者はこれくらいの時間なら星空が眩しいくらいに見える」

相手の言葉にくすくすと笑って。
「冗談が上手いね、それとも意趣返しかな?」
「私は三枝あかり、見ての通りの女性です」
手元の本、その表紙を相手に見せて。
「星座の本。星を視るのは好きだけど、星に詳しいわけじゃなくて」

日恵野ビアトリクス > 「この島、性別が紛らわしい人物が多くて安心できないんだ」
悪びれる様子もなくそう言う。


「……へえ、それだけ? 視力強化か。
 だとしたらずいぶんと地味な異能だ。
 逆に珍しいな」
《星空の観測者》への、率直な感想。

「……でも冒険の旅には向いた能力だね。
 遭難しても、方角に迷うことはなさそうだ」
数秒置いて、そう付け足す。

三枝あかり > 「……それ、自分のことを含めて言っているよね…?」
面白い人。クスリと笑って『彼』を見る。

「そうだね、視力強化の異能」
「レモンシード・メソッドでDランク、ステージ説でファーストステージ」
「今時、珍しいくらい単純な異能」
星空を見上げる。だんだん、夜の色が濃くなってきている。
「……私は冒険になんて出れないよ」
「運命に繋がれているからね」
明るい声、どことなく暗い話題。
「そういうビアトリクス君はどうなの? 旅に憧れとか、ないの?」

日恵野ビアトリクス > 「“繋がれて”? 冥府の罰でも受けたような言い様だな。
 ハデスの恨みでも買ったか」
明るい声に合わせ、冗談めかした言葉。

「ぼくも旅には向いてないな。
 小心で臆病だし、どこに行きたいかもわからない。
 狭いアトリエで猫の落書きでもするぐらいが関の山だ」

手にしたスケッチブックから、ぺりと画用紙を一枚切り取る。
それを指に挟んで掲げると――見えない鉛筆が動くかのように
ひとりでに、ファンシーにデフォルメされた猫の絵が描かれる。

「こんなふうにね」

三枝あかり > 「あはは……そうかもね。きっとそうなんだよ」
虚空に視界を戻しながら、彼女は言う。
「ハデスとか、ミラとか、そういう怖い人の恨みを買っちゃったんだろうな…知らないうちに」

「へえ、意外。物怖じしない、って喋り方に感じたのに」
「まだまだビアトリクス君のことを知らないからだね、きっと」

視線を画用紙に向けると、すぐに目が離せなくなる。
「……可愛い…」
猫の絵が描き出され、それから視線を外せない。
「これ、ビアトリクス君の異能なの?」
「凄いけど……地味だね」
耳にかかる髪をかきあげて笑う。
「私たち、地味異能仲間だ」

日恵野ビアトリクス > 「ならオルフェウスを探さないとな」
真似るように空に視線を。何も見えやしない。

「きみは“オーラ”に欠けるからね。
 そういうのとは結構普通に喋れるんだよ。
 この学園は只者じゃないのが多すぎて肩身が狭い……」
平然と非礼に値しそうなことを言う。

「ああ。《踊るひとがた》。今紙面に踊ったのは猫だが。
 筆が無くても絵が描ける――見ての通りのイラストレーション能力だ。
 他にも隠し芸はなくもないが……まあ、地味だね。
 レモンシードとやらは詳しくないが、どうせ同じDランクだろう」
口元に手をあてがい、くつくつと笑う。
「気に入ったならあげようか。
 地味異能仲間にプレゼントだ」
猫の絵の画用紙を、あかりへ向けて差し出す。

三枝あかり > 「琴座なんて、見えないよ」
オルフェウスは死後、星座になった。
その星は、きっと今は見えない。

「オ、オーラ……?」
「オーラに欠けるってなんだろう…どうやればオーラが出せるんだろう…」
「は、初めて言われた! 結構ショック!」
笑いながら顔を左右に振った。

「へえ……それじゃ筆がなくて困っている時に便利だね?」
そんな場面があれば、だけれど。
「Dランクより下は、役に立たない上に自滅するEランクしかないからね…」
「なんかさ、私たち仲良くできるって思わない?」
猫の絵を受け取ると、嬉しそうに笑った。
「あ……ありがとう、ビアトリクス君!」
「大事にするね、額に飾るね! ちょうど引っ越したばかりで部屋に何もないし!」
犬が尻尾を振るイメージ映像が見えるかも知れない。

日恵野ビアトリクス > 「ぼくのほうが教えてほしいぐらいだよ、オーラ出す方法」
卑屈さの混じる、しゃがれた声の笑い。
「仲良く、か……まあ、そうかもしれないな」
学園生活にも慣れ、知り合いならそれなりにいる。
しかし、『仲良く』とか『友達』とか……
そういう言葉を意識して付き合うのは、少し苦手だ。

『額に飾る』とまで言われると、笑みがひきつったものに変わる。
「えっ、いや……額はちょっと」
手を『やめて!』のポーズにする。
ちょっとだけ纏っていたかもしれない美形オーラもかき消えた。
「ありがたいけど勘弁してくれ……
 額縁に入れたいっていうなら、もっとちゃんとした絵を描くからさ」
所詮さっきのは手慰みに描いた落書きにすぎない。
それを飾られるのはひどく恥ずかしいことだった。

三枝あかり > 「オーラが出せたら得するのかなぁ? オーラが出せなかったら損するのかなぁ?」
星座の本を鞄の中に仕舞う。
「歯切れが悪いね、友達は間に合ってるって感じ?」
「ビアトリクス君、綺麗だもんね。髪とか、眼とか」
「私が男だったら放っておかないね!」
と、冗談を言って。

「えー、わかったよー」
不満げに口を尖らせる。
「それじゃ大事にしまっておくね……」
空はすっかり夜の色、満天の星空が広がっている。
「それじゃ、そろそろ帰るよ」
「またどこかで会ったら話そうね、ビアトリクス君」
笑顔で手を振って屋上から去っていった。

ご案内:「屋上」から三枝あかりさんが去りました。<補足:女子学生服に鞄。(乱入歓迎)>
日恵野ビアトリクス > 「間に合っている、ってわけじゃないけどね……」
苦笑を浮かべるほかない。

「ああ、じゃあまたね、あかりさん」
手を振って、去る背を見送る。
友達かどうかはわからないが、また話してやってもいいか、ぐらいには思う。

たまには気取った振る舞いもいいか、と思ったが
わりと簡単に地金が出てしまった。そんなものだ。
自分の前髪を撫でる。
褪せた安っぽい色――それが自己評価である。

気がついたら空は黒々としている。
スケッチをしていくには少し暗すぎるかもしれない。

「まあ、たまには星々を描いてみるのも悪くはないか」

星座の名前は言えないけれど。

ご案内:「屋上」から日恵野ビアトリクスさんが去りました。<補足:褪せた金髪 青い瞳 シャツ スカート スケッチブック>