2015/07/14 - 21:53~01:06 のログ
ご案内:「廊下」に三枝あかりさんが現れました。<補足:女子学生服に清掃グッズ。(乱入歓迎)>
三枝あかり > 真昼の廊下。常世学園の廊下は、非常に長い。
さらに換気したところで暑いことに変わりはない。
そんな地獄で廊下を掃除している女生徒が一人。
「…………」
戦場帰りでもここまで荒んだ瞳はすまい。
生活委員会である彼女は夏季休講の間も働くことにした。
した結果がこれである。
三枝あかり > 「そ、そうだ……桜井先輩から渡されたメモ…!」
縋るような気持ちで折りたたんだ一枚のメモ帳を開いた。
そこに書いてある『もしもの時のために』という文章に目を通す。
「ええと……もしも掃除が終わらない時…あった!」
「……掃除に大事なこと、それは三つのK…」
「すなわち、気合、気合、気合だ……」
別に彼女は暑さで壊れたわけではない。本当にそう書いてある。
「………気合……」
さらに荒む彼女の瞳。気合で何が変わるというのだろう。しかし試してみないことにはどうしようもない。
三枝あかり > こうなれば気合だ。
気合を試すしかない。
気合さえあればなんだってできる。そう信じる。
「う、うおおー!」
叫びながら誰もいない廊下をモップ掛けしながら走る。
そうすると、不思議なことに今までより捗った。
桜井雄二先輩は嘘をついていなかったのだ。
気合は世界を救う。
三枝あかり > 「い、いける!」
息を呑んだ。暑いし、汗もかくし、大変だけど。
「気合だー!!」
気合と共に廊下を駆ける一筋の流星となる。
どんな事情があったとしても廊下は走ってはいけません。
三枝あかり > 「そうか、これが掃除の最適解!」
「気合さえあれば廊下掃除は終わるんだ!!」
一つの真理に到達する三枝あかり。
なお、この真理とは大変危険です。
ご覧の皆さんは決して真似をしないでください。
高速のモップ掛けはいよいよ後半戦へ。
ご案内:「廊下」に蒼穹さんが現れました。<補足:PCNo:53/気紛れな邪神様。>
蒼穹 > (お昼ですよ。)
あっづぅー…。
(猛暑の始まった真昼間。時間はちょうど正午。間も悪く廊下を歩き始める。)
(目指すは食堂。こうして、目的地であるその場所へと駆けながら行くのである。)
いくぞーっ、食事だーっ!
(駆けながら、である。)
(さて、良い子が真似をしてはいけないことをこちらもしているわけだが。)
(廊下には流れ星の如く流麗に素早くお掃除中の彼女が居た。)
(廊下に駆ける二人の少女。)
(もし、御互いが御互いの存在に無頓着だった場合―――)
(―――高速が災いして所謂"人間衝突事故"を起こしてしまう…かもしれない。少なくとも、こちらは今食うことで頭が一杯だった。)
三枝あかり > 走る少女が二人。
結果はわかりきっている。
「わ、わ、わー!!」
ぶつかる!! そう思っても遅い。
彼女と衝突して、折り重なるように倒れこんでしまう。
「あいたたたた………」
頭をさすりながら立ち上がる。
「わわっ!? ご、ごめんなさい!!」
「私、廊下を走ってて! 怪我はない!?」
ようやく正気に戻る三枝あかり。
モップを退けてあわあわと慌てる。
蒼穹 > えっ、ちょ。
(今、漸く気付いた。あ、このスピードとこの距離は…。)
…あうふっ。
(クリーンヒット。廊下を走っちゃいけないのは滑って転ぶからって理由もあるが、多分こういうことなんだろうなぁ、と重なりつつ思う。ただ、不幸中の幸いだが彼女が持つモップが互いに変に刺さったりしなかったのが幸運だった。)
あ、あははー、こちらこそ。ごめんね。同じく廊下を走ってました…。
ん、私は大丈夫だよ。そっちこそ、怪我ない?
(自身の髪をなでながら、少し決まりが悪そうに、座った姿勢で申し訳なさそうにして小さく頭を下げる。よ、とワンテンポ遅れて立ち上がった。)
三枝あかり > 「私………私は…」
ぱたぱたと体中を触る。痛いところは…ない。
「大丈夫! 事故だと思ってお互い反省しよう……」
申し訳なさそうに立ち上がって。
「この学園の子? 私は三枝あかり。一年の…」
「転入したばかりでちょっと、掃除を焦ってしまって…」
「せっ 生活委員会が掃除中に人を突き飛ばしたってなったら問題かなぁ!?」
「わー、ごめんね! ごめんね!?」
軽く混乱しながら謝る。
蒼穹 > …ほっ。
(一安心の息。互いが無事であれば良かった良かった。)
そだねー…暫く廊下を走るのはよしとこっかな。
そうそう、学生だね。へーっ!転入生なんだ!
私も一年なんだよーっ。蒼穹《ソラ》っていいます、どうぞよしなに。
(軽く自己紹介。転入したばかりと言う言葉には興味津々だった。)
あ、生活保険委員なんだ。
いやいや大丈夫大丈夫。安心しなよ…。
(少し微笑ましい。くるりと、周りを伺って―――)
誰も見てないから、ヒミツにしとく。
(悪戯な笑顔を浮かべた。)
三枝あかり > 「しばらくと言わずに廊下を走るのはやめたほうがいいねー……」
自分の額を触る。コブなんかできていないといいのだけれど。
「あ、同じ一年なんだ! 蒼穹、ソラ、そら。良い名前だね」
「あ、私…川添孝一の妹なんだけど……お兄ちゃんに絡まれたこととかない?」
「あの不良、こんな子にまで手を出してたら絶交だけど!」
さすがにそれはないよねーと笑って。
ヒミツという言葉に、人差し指を口元に当てて。
「ありがとう、蒼穹。二人の秘密だね」
そう言ってクスリと笑った。
蒼穹 > おうおう…しっかりしてるね。りょーかい、永久にやめよう。…覚えている限りは。
(ずびし、と敬礼して見せる割には頼りない語尾。)
あっはは、お褒めに与り嬉しい限り。ええっと。アカリって呼んで良いかな?
良い名前っていったらキミも良い名前じゃん。
光を感じさせるっていうか、何かを照らすっていうか。
(程々に頷きつつ話を続けようとしたのだが―――)
えっ。
え。川添?…え?ん?…孝一?…妹?アカリが?
(ハテナマークが浮かんだ。いや、確かに髪の毛の色とか似ているけど。笑う彼女を他所に、困惑しているようだ。)
ん、ヒミツヒミツ。
(楽し気に彼女の仕草を真似て、頷く。転入生と聞いたけれど、すぐに仲良くなれそうなのは、何だか幸運な気分。)
三枝あかり > 「それ、忘れたらまた走りそうだね……」
苦笑して彼女を見る。本当に怪我がなさそうで安心した。
「うん、あかりって呼んで。私も呼び捨てにするから」
「……私の名前、平凡だから………」
複雑そうに笑って、首を左右に振る。暗い話はやめよう。
「えっ」
相手の反応に思わず声が上擦る。
「……お兄ちゃんのこと知ってるの…?」
「ひょっとして、お兄ちゃんが迷惑かけてたり……?」
さぁっと顔が青くなる。兄が何をしたかは知らないけれど、きっとロクでもないことだ。
蒼穹 > アカリ。人は、忘れるから生きていけるんだよ。
(ばさりと蒼い髪を薙いで。シリアスに影を落としてキメ顔で言ってみる。)
上は三枝、だったっけ。
ん、了解了解。…何なら仇名とかの方が良い?
(きょとんとした顔で首を傾げてみる。といってもこれは蛇足的な提案だけれど。)
うん、知ってるよ。お友達というか、ただ遊んでくれた人というか。
ま、悪い人じゃないだろうさ。最初会ったときは悪そうだったけど。
あー、大丈夫大丈夫!全然迷惑なんてかかってないしさ。
(不安そうな表情を察すれば、ぶんぶんと横に手を振って否定する。彼が改心しきった所までは知らないが、二度だけの邂逅でも随分前後で印象が違っていたのは気のせいではないだろうから。)
っていうか、暫く川添君とは会ってないなぁ…ああいう人だし、元気なんだろうけどさ。
三枝あかり > 「それ決め台詞なようで反省を忘れてるだけだからっ!」
ビシッとツッコミ。なんともやりやすい相手だ。
「そう、三枝。三枝あかり……」
「い、いやー……あだ名よりは普通に呼ばれたほうが嬉しい、かな…」
困惑しながら胸の前で手を左右に振る。
困惑する。目の前の少女が? 兄と? 接点が…?
「遊んでくれた人……? お兄ちゃんが?」
「そっか、迷惑かけてないならよかった……」
何か腑に落ちないところがあるけれど。本人が迷惑じゃないと言うならきっとそうだ。
「……お兄ちゃん、不良だから…元気にしてたらきっと周りが迷惑だよ」
そう言って視線を逸らした。兄のことは後ろめたい。
蒼穹 > お、おおう…素晴らしい!最高のツッコミだよ…!
(右手を、ぐ、と握りしめながらしみじみとした感傷に体を震わせる。鮮やかだった。)
ん、そう。
じゃあ今後もアカリと…。
(単に名前で弄られた過去でもあるのだろうか、言葉に影のようなものが感じるのは気のせいか。)
(いや、見落としがあった。"川添"孝一の妹が"三枝"あかり?)
あのさ…ひょっとして…。
(そう聞きかけたが、)
何でもないっ。
(これは聞いてはいけない様な気がした。ましてボケツッコミの仲でも初対面なのだから。)
ん、そうそう。ちょっと危ない遊びだったけど。
色んなところでやんちゃしてたみたいだけど、もう随分彼の話は聞いてないんだよね。
アカリが思ってるのとは違って、丸くなっちゃったのかもね。
そういえば、お兄さんとは仲良かったの?
(ああいうタイプは、兄として実は妹は溺愛していたりしそうだと、何の根拠もない気楽な考えだったが…。)
三枝あかり > 「ツッコミが上手くて褒められるんだ……これが常世島…」
常世島は関係あるのだろうか? 何はともあれ、相性はばっちり。
「うん、あかりって呼んでほしいな」
相手が言いよどむと、自分も深く追求はしない。
聞きたいことは色々あるだろうけど、初対面だから。
この出会いを大事にしたいから。
「うん………」
そう言って曖昧に笑った。
「あ、危ない遊び……!?」
頭の中にピンクのモヤがかかる。
首を振ってその妄想を振り切る。いくらなんでもそれはない。
「……丸くなった、としても…罪は罪だよ……」
「うん、昔は仲が良かったよ?」
「お兄ちゃんも真面目な人だったし、私も普通の妹だったと思う」
お兄ちゃん、髪型なんか七三分けだったんだよ?と笑う。
蒼穹 > 私がギャグ好きなだけで常世にはボケツッコミが出来ないヒューモア欠乏症の人もいるんだ。
ともあれツッコミをくれて何よりだよ。
(満足そうに頷く。出来るならこうして気軽に楽しくお話しできればと思って。)
うん。…そういう事で。今後ともよろしく、アカリ。
(互い、そこには不干渉だった。少なくとも、今はそれが互いに好ましいのだろうと。)
(いつか、親睦を深めたら、何か聞けるかもしれないけれど。)
…あ、危ない遊びって言ったってあれだよ?!
どっちかっていうとほら、アクション映画みたいな感じのっ!!
(たぶん何を想像したかは、その素振りで察した。慌てて否定を述べる。彼は、そういう問題は起こしていなかったと聞いたし、己の為にも、彼女の為にも、それから、川添君本人の名誉の為にも、と。)
それは、そうだね。
でもさ、罪は罪だけど、たまには開き直る事も良いんじゃないかなって。…私の見解だけど。
っていっても、そもそもの川添君は開き直る事をしなかった…って聞いてる。
(最後に見たのは、工事現場でバイトをしていた姿。それから、カツアゲした金を返し始めているという話は、風の噂ながら聞いた。)
昔は…か。
そういえば、離れちゃってたのかな。
あはは。常世って辺鄙な島だよね、来た途端普通じゃなくなっちゃうっていうか。
(彼がまじめだったというのは、あのヤンキーファッションが印象的な雰囲気と笑い方からは想像も出来ないが、彼女が言うのだから間違いないのだろう。とりあえず七三分けで真面目な彼を想像してみるが…どんな風かは全く思い浮かばなかった。)
三枝あかり > 「ボケとツッコミができなかったらどうやってコミュニケーション取るのかな……?」
彼女は関西人ではない。繰り返すが、彼女は関西人ではない。
「今後ともよろしく、蒼穹」
これが今の二人の距離感。
これが今の二人の話し方。
「あっ、ああ! そっち! ごめんね!?」
「べ、別にそういうの想像したわけじゃ……あるけど!」
大混乱。っていうか、アクション映画みたいな感じの…?
お兄ちゃんが蒼穹の使うカンフーで成敗されるシーンが浮かんだ。
「……………」
兄の話に不満げに口を尖らせた。
「でも、それは普通のことだよ」
「悪いことをしなければ、謝る必要だってない」
「お兄ちゃんはスタート地点に向かって歩いてるだけ」
「……本当は、私も変われたらよかったんだけどな…」
「もちろん、良い方向にね」
「……人間だからさ、パッと良い方向に切り替わったりはしないみたい」
遠い目をする。モップを片手に持ち、窓の外を視る。
昼間にもある光らない星を眺めた。
心が落ち着く。
蒼穹 > いやー、難しいよね。ヒューモアが足りない人とは本当コミュニケーションが取りにくい。
基本ボケツッコミが出来ないタイプの生命には二種類の分別があるんだ、生真面目型と無愛想型があって―――
(付け加えておくが、蒼穹の方も関西人ではない。というか人ですらない。ただ、ボケツッコミには割とこだわりがあるのか何だか胡散臭い話を語りだす。止めるか止めないかは彼女次第。)
あっはは、本当に新入生歓迎会みたいになっちゃったね。
(単に廊下でぶつかっただけだが、改めて「よろしく」と言いあった。本来初対面の二人が合うなら、この話し方、距離感で普通なのだろう。"今"の状態から動くのはいつか。)
(互いに曖昧にし合うのも頂けないので、明るく表情を変えて、話の方向を転換しようと試みた。)
…あ、あるんだ!?
(ああ、若い。見た目通り彼女も年頃の少女であった。)
あ、安心してね。お兄さんはそっちの方に手は染めてない。
あれで潔白な人間だから。…少なくとも、私から見れば。
(念の為に付け足しておく。)
あはは…。アカリは厳しいね。
実際その通りだけど。私にはそれは尊く映るよ。
スタート地点に切り返して歩ける人、どれくらい居るだろうね。
彼みたいな決断、私には無理だって思う。
もっとも、アカリが言う様にそもそも悪いことをしなければ、なんだけどさ。
(お兄さんについては、やっぱり複雑な関係があるのだろうか。彼女は兄を許していない、とそんな風にも感じられる。)
人はそう簡単には変わりはしないんだって。
でも、確実に、少しずつ変わって行くことはできる。
………。
(沈黙の後、「それは、キミのお兄さんだってそうじゃん。」と言う言葉を続けようと思ったけれど、飲みこんだ。)
何か、悩みでも?
(景色…特に、空を見る時、人はそう言った感情に囚われ、解放されたいと考えるらしい。)
(それが当たっているかどうかは知らない。けれど「変わりたい」と溢した彼女は…)
(何かに悩んでいるように見えた。)
(己も、釣られるように窓ごしの外を見遣る。澄んだ空、数少ない雲。直視できない程に輝く太陽。)
(夏の炎天下を作る要因は、嫌に眩く目に映る。)
三枝あかり > 「あー、私の生活委員会の先輩が生真面目型だよ」
「桜井雄二先輩って言うんだけどね? まぁ天然ボケなんだけど、ツッコミが一切できなくて」
「私に掃除は気合だ!って吹き込んだ張本人なんだよね」
気合を入れて走った結果がこれなので。
「ご、ごめん蒼穹……っ!」
「そ、そっか……お兄ちゃんが女性に力ずくで変なことしてたら絶交だったんだけど…」
ほっと胸を撫で下ろした。
「よかった」
あかりは兄のことに厳しい。
「……お兄ちゃんを恨んでる男の人たちに絡まれたもん」
このことが、後を引いているのだ。
「お兄ちゃんのせいで私まで下を向いて生きなきゃいけないの?」
「そんなの、嫌だよ………」
彼女の沈黙を察して、それでも気付かないフリをした。
「少しずつ、変わっていけたらいいな……」
自分のことだけを話した。ずるい子。
「……私、ダメな子だから…」
「戦闘向きの能力もない、異能も眼が良いだけ」
「こうして生活委員会の仕事を夏季休講中も続けないと、単位も生活費も足りないくらい」
それでも、窓の外から見える青空は美しい。
目の前の少女も、名前を蒼穹と言ったんだよね。
「変わりたいな……前向きになれるような、自分に」
蒼穹 > ほうほう、ふむふむ。
…いるよね、そういう人。私も生真面目型の人を見かけたけども。
その人の影響だったの?!
「気合だ!」ってそれ真顔で言ってるのか…どんな人なんだろう…。
(会ったことは無いので分からない。熱血漢みたいな人が思い浮かぶ。こう、わりと気合で何でもしてしまいそうな筋肉質な人が。)
大丈夫大丈夫。…絶交…か。
(確かに、自分の兄がそんな事を…女性に狼藉を働いたら、口を聞きたくもなくなるだろう。ふと、先程から良く彼女が口にする「絶交」と言う言葉を反芻する。特に意味はない。)
あ…。
(この辺で漸く理解した。成程、彼女が兄にとげとげしい物言いをするわけだと。)
それは…そう、だね。嫌だろうね…とっても。
(ある種、どうしようもない事だが、彼女にとっては本当に迷惑をしているというのが分かる。)
(どうしようもない。兄はもう改心したというのだが、恨みをもつ者が居たとしても何らおかしくはない。)
(だけれど、「どうしようもない」と口にするのは憚られるから、同意する他なかった。)
うん…変わっていきなよ。
どんな風に変わりたいの…?
(のみこんだ言葉は、そのまま棄却する。そして次ぐ言葉を促していく。)
(そして、告げられる、彼女がどういう悩みを持っていて、どういう風に変わりたいかを。)
そう、そっか…。
(彼女は普通の人間で、戦う力も、財力も、まして暇な時間もない。)
(それでも彼女は俯かない。太陽の照る、青空を見上げる。)
(それでも彼女は泣き事を言わず、諦めない。変わりたいと願う。)
(買い被りかもしれないけれど、それは―――)
既に前向き、じゃないかな?
(―――そう思った。第三者的な意見。本人がどう思っているかは兎も角、だが。)
三枝あかり > 「不思議なことにその生真面目型の人に気合だって吹き込まれたんだよねー…」
「見た目は普通なんだけど、彼女がいるらしくて?」
「詳しくないけど、親しくしてくれる。多分、お兄ちゃんの友達だからだろうけど」
何もかも曖昧な言葉。寄る辺のない関係。
「嫌だよ、絶対に嫌」
「こう……私に力があれば、ずばっと全部お断りだーって叫んでさ…」
「……逃げる、のかなぁ…」
力を持ってまでやることが逃げること?
それはよくわからない。力を持ったことがないから。
「もう、私が前向き?」
その言葉を言われると、きょとんとした表情に。
「そっか……そういう考えもあるんだね…」
ふふ、と笑ってモップの柄を抱く。
「ありがとう、蒼穹。良い人だね?」
「初対面の人にこんなこと相談されて…」
「困ってもいいのに、親身になってくれて」
時計を見ると、わっと慌てる。
「ご、ごめん蒼穹! そろそろここの掃除終わらせて次に行かないと!」
「それじゃ、またね!」
慌てて走り去ろうとして、ポケットからメモ帳を取り出して何かを書く。
「これ、私のメールアドレス! Stargazerで覚えてね!」
「それじゃ!!」
そのメモ帳のページを破って彼女に押し付けると、慌しくモップ掛けに戻った。
ご案内:「廊下」から三枝あかりさんが去りました。<補足:女子学生服に清掃グッズ。(乱入歓迎)>
蒼穹 > お、おー…気合…気合かー。
なんだ、みんな若いね。その先輩と言い…皆皆いちゃいちゃしよって…!
(この所こんな話ばっかりが続いている。)
そう…だろうね。
ん、ある程度力を持つっていうのは大事だけど、持ちすぎるのも問題だよ。
けれど、逃げるっていうのは、大事な事。
逃げられるだけの力は、きっと持った方が良い。
(少し、対照的かもしれない。己は、力を持ちすぎた故に苦労することがあるから。けれど、眼前の彼女を見遣れば…贅沢な苦労と言われるのだろう。力があったら、逃げるのかな、と言う彼女の性質から。)
うん、前向き。…じゃない?
あっはは、どういたしまして。
んーん、それ程でも。馴れ馴れしいのは生来さ。
それに御話結構好きなんだよね、それで何か、悩みが解決なんてしてくれたら最高。
(釣られた様に時計を見る。)
あ、昼御飯。
(素っ頓狂に出た言葉はそれ。もう今からでは食堂はコミッコミだろう。購買もシケたパンしか売っていないに違いない。やれやれ、じゃあ午後一番の授業は休むか。と、サボリの思考を展開して。)
あ、うん!またね!
(そう言って別れるので手を振って見送ろう―――と思いきや。)
了解っ、んじゃまた今晩にでもメールさせてもらおっかな。
(少し押しやられる感じで差し出されたメモの切れ端を片手でつかむ。)
走っちゃだめだよーっっ!!
御疲れ様、またねーっ。
(慌ただしいその仕草。何だかまた走りそうな気がする。)
(一方の己は先程とは違って悠長な歩幅に戻る。次の授業は勝手にお休みにして。)
(それから、片手間で今受け取ったメアドを登録しておく。)
(さて、廊下を右に。)
(コンビニか、レストランにでも行こうか。)
ご案内:「廊下」から蒼穹さんが去りました。<補足:PCNo:53/気紛れな邪神様。>