2015/06/19 - 04:04~03:31 のログ
ご案内:「保健室」に蓋盛 椎月さんが現れました。<補足:蜥蜴のヘアピンをした白衣の女性。いわゆる保健医>
蓋盛 椎月 > (パンパン……と、
 手慣れた調子で保健室のベッドのうちの一つのシーツを張り替えている。
 シーツの定期的な洗濯、交換。薬剤の補充、器具の点検……
 保健室の備品の管理も養護教諭の仕事だ。
 保健委員がやることもあるが。)

蓋盛 椎月 > (保健室とは学生にとってもっとも身近な救急施設だ。
 そのためか、学園地区内で発生した事件事故の怪我人はおろか
 地区外の怪我人までもが運び込まれてくることが多い。)

(対処できる範囲なら別に問題ないのだが、
 以前教室棟でちょっとした小競り合いが起こった時は
 数十人単位での負傷者が運び込まれてきてどうしようかと思った。
 ここは野戦病院ではない!)

蓋盛 椎月 > (一番叫びたくなったのは陣痛を訴える女子生徒が担ぎ込まれてきた時だ。
 というか叫んだ。
 お子さんを安全に取り上げる設備などここにはあるはずもない。)

(また、少し前にも蓋盛自身が健康指導で口にしたことだが、
 この学園には多種多様な種族の生徒、教師がいる。
 しかし少なくとも蓋盛が常駐する保健室には
 いわゆるヒューマン用の治療具しかない。)

(保健室を取り巻く現状とその設備には著しいギャップがあるのを感じる。
 設備拡充を図れないものかなとはそれとなく打診しているものの
 芳しい成果は得られていない……)

蓋盛 椎月 > (……まあ、仮に病院並の設備拡充が得られたとしたら
 この保健室は多分医師免許を持っているわけでもない自分のような存在の
 勤務場所ではなくなってしまうだろうし
 このままでいいのだろうとは思う。
 メンドーなのきらーい)

蓋盛 椎月 > (考え事を中断し、
 シーツを張り直したばかりのベッドに身を投げだして横たわる。
 シーツ張りたてのベッドに最初に寝られるのは養護教諭の特権だ)

「あ~~~」

ご案内:「保健室」に神宮司 ちはやさんが現れました。<補足:巫女舞の少年。普通の学生服姿>
神宮司 ちはや > (保健室の扉が控えめにノックされる。
 『しつれいしまーす』という間延びした声とともに
 二人の生徒がドアを開けて入ってきた。
 一人はどこにでも居る女子生徒。面倒見が良さそうな外見。
 もう一人、女子生徒に支えられて入ってきた方は以前教室棟のロビーで見かけた覚えのある男子生徒だ。
 パッと見て顔色が悪く、支えてもらわないとふらふらしそうな足取りだった。

 『すみませーん、この子講義中、急に気分が悪くなったって……』
 そういって女子は蓋盛に声をかけた。)

蓋盛 椎月 > 「おっ、なんだなんだ事件か」
(ベッドを隠す衝立のカーテンを開けて出てくる。
 昨日もこんなことしたな……)

「はい、お疲れ様。ありがとねー。
 ……貧血かな? とりあえず一旦横になろっか」
(女子に軽く礼をして、男子生徒のほうを腕を取って支え、
 さっきまで自分が寝ていたベッドの方へと連れて行こうとする)

神宮司 ちはや > (シャッと開いたカーテンに僅かに動揺するものの
 まぁなんかいつも適当だしこの保健の先生と納得した様子で
 女生徒は蓋盛に男子生徒を預けた。
 引き渡しが終わったところでさっさと部屋から出て行く。
 『しつれいしましたー』

 男子生徒の方は無言で軽く頷くものの青ざめたまま額に汗をかいている。
 よたよたと蓋盛の手を借りてベッドに横になった。
 しゃべるのもつらそうだ。)

蓋盛 椎月 > (とりあえず貧血であると診断して処置を行う。
 枕は使わせず、足の下にクッションを敷く。貧血であるなら
 脳に血流が行き渡ったほうがいい。
 シャツのボタンを外し、軽く服を緩める。
 こうして休んでいれば少しはマシになるはずだ)

(ベッドの側に椅子を置いて座り、男子生徒の手を取って少し様子を見る)

神宮司 ちはや > (見立てと処置が正しかったのか浅かった呼吸が
 先程よりも安定してくる。
 とはいえまだ顔色は悪くぐったりとはしているが
 握られた手に薄くまぶたが開かれ、蓋盛を見る。)

せ、……んせ……ごめんなさい……。

(何に対して謝っているのかはわからないが、
 手を煩わせてしまったことに対してかあるいは謝りグセのようなものか。)

蓋盛 椎月 > (安心させるように満面の笑みを返す)
「んーん、謝ることなんてないよ?
 ちゃんとご飯食べてる? 無理しちゃダメだよ」

(優しく掌をさする。状態がもう少し落ち着くまでは
 側で様子を見てやるつもりだ……)

神宮司 ちはや > (手のひらの感触と労るような優しい声にほっとしたのか
 また軽く目をつぶって頷いた。
 ご飯はきちんと食べているし、睡眠もとっている。
 この調子の悪さは不摂生が祟ったわけではなくて……
 
 ”見てしまった”せいだ。

 思い出し、また寒気を感じたのかぶるりと肩を震わせた。)

ごめんな、さ……い。さむい……

(はぁと苦しそうに喘ぐ息も白くなりそうな細い声で言った。)

蓋盛 椎月 > (喘ぐ様子に一瞬目を逸らす。
 その手の霊的感覚が備わっていない蓋盛でも
 この少年にはどこか危うい魅力を感じられた。)
(軽く首を振ってすぐに元の笑顔を貼り付けて、毛布をかける。
 手は握ったままに)

「大丈夫、大丈夫。あたしがいてあげるから。
 ……何かほしいものとか、してもらいたいこととかあったら言って。
 どーせヒマなんだからさ」

神宮司 ちはや > (かけてもらった毛布を口元まで手繰り寄せ
 震える手で相手の手を握りしめる。
 何かほしいものやしてもらいたいことはあるか、と聞かれると
 ちらりとベッドを覆っているカーテン、そこを通り越して
 保健室の窓を伺うように見たような気がする。か細い声で訴える)

……まど……まどのカーテンを、閉めて、くださ……。

蓋盛 椎月 > 「……」

(その怯えた様子にある程度を察する。
 ケースは希少なものの、“そういう”生徒の相談は受けたことがあった。
 実際の所、そういった問題に対して一介の保健医ができることなど
 そう多くはないのだけれど……
 頼られたからにはできる範囲のことをするしかない)

「わかった。ちょっと待ってて」

(一度離れて、窓を覆うカーテンを締める。
 念の為に扉や窓の戸締まりも済ませて戻る。
 ベッドを覆う衝立もぴしりと閉じておく)
(再び彼の側に戻り、手を取る)

「よし、大丈夫。
 ……ずっと前から“そう”なの?」

(あくまで穏やかに尋ねる)

神宮司 ちはや > (ずっと前から”そう”なの?と尋ねられれば肯定の頷きが返ってくる。)

小さいころ、から……ずっと怖いのとか……”良くないもの”が見えて……
”見られる”と……体が寒くて…………。

(わかってもらえるかどうか調子の狂った頭では考えられないものの
 胸中の恐ろしさを吐き出そうと途切れ途切れ言葉にする。
 手はしっかりと繋いだまま、蓋盛から顔を背けるように身動ぎする。
 肩が震え、泣いているようにも見えた。

 ふと、窓側の光が陰った、気がする。
 カーテンが少しだけ揺れて、ベタ、と何かがひっつくような音がした。)

蓋盛 椎月 > 「……そう」

(一瞬表情を硬くする。
 リボルバーは白衣の内側に吊られている。
 護身のために多少の体術も覚えている。
 しかしそれが有効なのはすべて害意ある“人間”に大してだけだ。
 ――芽生えた不安を、しかし微塵にも表情には出さずに)

「怯えてはいけない」

(野生の熊が逃げる獲物を追う習性を持つように
 おそらく、彼の姿もまた……)

「あたしだけを見なさい」

(椅子から立ち上がり……
 彼の横たわるベッドに自分も潜り込む。
 そうして、震えるその身体を包み込むように抱きすくめた)

神宮司 ちはや > (ベタ、ベタと窓ガラス側から何か押し付けるような音がする。
 それはどんどん増えていく。ベタベタと、泥が叩きつけられるような、いや、手が窓ガラスに無遠慮に押し付けられるようなそんな音だ。
 何かが窓ガラスに張り付いて這いまわっている。そんな音。
 ギシギシと窓ガラスがきしみをあげた。
 陽の光はいつの間にかすっかり遮られてしまった。

 じっと、たくさんの目が蓋盛とちはやを外から覗いているような冷たさを部屋の中へと流し込んでいく。

 自身のベッドに潜り込んできた蓋盛にびくりと体を震わせるが、抱きすくめられると震えが徐々に収まっていく。
 せんせい、と体の向きを変え、相対するようにぎゅっと自分からすがりついた。
 目もとが濡れている。やはり泣いていたようだ。

 蓋盛の体温だけを頼りにぎゅっと目を閉じる。)

蓋盛 椎月 > 「大丈夫だよ」

(何の根拠もない言葉だ。
 しかしこれ以上にできることも思い浮かばない。
 仮に大丈夫ではなかったとしても
 こうしていれば先に牙にかかるのは彼ではなく自分であろうし。
 それで満足してくれるなら何の問題もないだろう)

(抱いたまま、軽く頭の後ろを撫でる)

「随分と不躾なやつらだねぇ、まったく。
 病人でもないし茶飲み話の相手にもなりそうもない。
 さっさとお引取り願いたいもんだが」

(苦笑してみせた)

神宮司 ちはや > (5分だろうか、10分だろうか……。
 時間がゆっくりと進む感覚。

 暫くの間”それ”は窓ガラスを這いまわり、中に踏み込めないかとうろついていたようだが……
 どこにも入り口がないとわかると恨みがましい視線、雰囲気を残したまま、ひとつ、またひとつと、現れた時と同じように
 ベタベタと貼り付くような音を残して気配が遠のいていく。

 陽の光を遮るものは何もない。すっかり室内は明るさを取り戻した。

 同じように”それら”が去って行くとちはやも少しずつ精気を取り戻すようにして震えが収まる。
 青ざめていた顔が少し血の気を取り戻し、止めていた息をはぁと吐き出した……。)

 先生……ありがとう、ございます……。
 ぼく、”あれ”を、……教室で見ちゃって……
 ……窓に、いっぱい、張り付いて、見下ろしてて……

(その光景を思い出したのか、また泣きそうな顔で蓋盛にしがみつく。)

蓋盛 椎月 > 「……ふう」

(緊張が解けて、ため息をひとつ。)

「よく頑張ったな。えらいぞ」

(しがみつく彼の背中をよしよしと擦る。
 少しの間そうした後、身を起こしてベッドから立ち上がる)

「……だいぶ落ち着いてきたね。
 とりあえず温かいものでも飲もうか。何がいい?」

神宮司 ちはや > (背を擦られ、ようやく落ち着いた様子で体から力を抜いた。
 蓋盛が離れようとすると、ようやく状況を把握できたのかどぎまぎし始めるが、
 これ以上いかないでとすがりつくのも恥ずかしいのか伸ばしかけた手を引っ込めた。
 寒気はまだ残っているのか、毛布を体に巻き付ける。)

……あの、お茶、ありますか……?温かいお茶……。

(遠慮がちにベッドの中から尋ねた。)

蓋盛 椎月 > 「はーい」

(ガサガサと棚を漁る。
 差し入れだったり自分で買ったりと、
 この保健室の食料品関係は妙に充実している。
 ほどなくして温かい緑茶が二人分、トレイに乗せられて
 ベッドへと運ばれる。)

「どうぞ」

(自分も湯のみを手に取る。
 恥ずかしそうに縮こまる彼を微笑ましそうに眺めていた)

神宮司 ちはや > (体を起こし、運ばれてきた緑茶を受け取る。)

ありがとう、ございます……。

(両手で大事そうに握り、ふぅふぅと冷ましてから少しずつ飲んでいく。
 体の内側から温まるようだ。寒気は少しずつ溶けていく。

 しかし調子が少し戻ったと言ってもこれからどうやって教室に戻ろう。
 またあれに出くわしたらと思うとこの部屋の外に出て行く勇気はない。
 早退で寮へと戻っても、その道すがら追いかけられないとも限らない。

 手の中の湯のみを見ながら困ったように眉根を寄せた。)

蓋盛 椎月 > (人心地ついて、さてどうしたものかなと
 若干困り顔の彼を見ながら思案)

「……この後どうする?
 しばらくここでゆっくりしててもいいし……
 早退するなら付き添うよ。
 まだ本調子じゃあないみたいだしね」

(湯のみを傾ける)

「事情を知ってるお友達がいるなら、
 そいつに頼るのもいいと思うんだけど」

神宮司 ちはや > ……早退、したほうがいいのかな。
もしかしたら、ぼくが居ることで他の人達も……
なにか悪いこととか、迷惑なのとか、起きたらいやだし……

(”あれ”が狙っているのは自分だとわかりきっているが
 もしかしてなかなか手が出せない自分にしびれを切らして
 他の誰かを襲うかも知れないし、襲うことがなくともあの姿を見て
 怖がる無関係の生徒が現れたりしたら、と思うと申し訳無さに胸が締め付けられる。)

……ぼく、この事をまだ一人ぐらいの友だちにしか話してなくて……
ごめんなさい、先生巻き込んじゃって……

(己の置かれている状況を口外する勇気はまだ無かった。
 信じてもらえないかもしれないし、それで避けられたりしたら悲しい。
 でも果たして先生は突然持ち込まれた厄介事に困っていないだろうか。
 相手の顔色を伺うようにそっと上目遣いで見やる。)

蓋盛 椎月 > 「……ふむ。
 どのみちその調子じゃ授業受けても実にはなるまい。
 神宮司くんだっけ? 先生のほうにはあたしから連絡しとくよ。
 学校ってのは“行ってやってもいいかな”ぐらいの時に行くのがちょうどいい」

(ニヤと悪戯っぽく笑って)

「そうか。
 今すぐ、とは言わないが頼れる味方は作っておきなさい。
 一人じゃどうにもならんことも仲間がいればなんとかなるもんだ。
 ……とりあえずあたしもそのうちの一人ってことで。」

(表情は常のような軽薄な笑みである)

「気を遣う必要なんてない。
 生徒の心身の健康を守るのがあたしのツトメだ。
 この程度の困り事、あくびが出るぐらいには慣れているからな」

神宮司 ちはや > (相手の悪戯っぽい笑みと『あたしもそのうちの一人ってことで。』という言葉に
 ふ、とつられて嬉しそうに微笑んだ。安心感を得られたのだろう。
 すこしだけ体の緊張が解け、残りの緑茶を少しずつ飲み干す。)

 ……ありがとうございます。お茶、ごちそう様でした。
 あの、じゃあ寮まで付き添いをお願いします……。
 寮まで帰ればたぶん、”あれ”は追ってこないし人がいくらかいるから……

 あ、そうだ。荷物、取ってこないと……。

(湯のみをトレイに置き、そっとベッドから降りようとする。
 まだ頭は重いし、気分も絶好とは言えない様子で足を床につけたまま立ち上がれないようだ。)

蓋盛 椎月 > (保健室ノートに“神宮司 ちはや”の名前を記す。
 いつも通りの保健室業務だ)

「よしよし。
 ……またなんかあったら保健室に来なさい。
 一人で仕事するのも退屈だからね。
 ……んじゃ、行こうか」


(彼の腕を取って支え起こす。
 そのまま付き添って、保健室から外へ向かう……)

蓋盛 椎月 > (さすがに病人を
 あれこれかわいがるわけにはいかないからな……
 まあ、いつか機会があれば)
(とか思ったとか、思わなかったとか)

神宮司 ちはや > (蓋盛に支えられ、しっかりと手を握って保健室を出て行く。
 人がいるというだけでこんなにも生きた心地になれる。
 再度、隣を歩く蓋盛にありがとうございますと礼を述べた。

 ふと振り返って保健室の窓を見る。
 窓ガラスの片隅に一つだけ、
 真っ黒な泥のような手形がべったりと残されていた。)

ご案内:「保健室」から神宮司 ちはやさんが去りました。<補足:巫女舞の少年。普通の学生服姿>
ご案内:「保健室」から蓋盛 椎月さんが去りました。<補足:蜥蜴のヘアピンをした白衣の女性。いわゆる保健医 (乱入歓迎)>