2015/07/20 - 00:10~01:10 のログ
ご案内:「女子寮内・畝傍の自室」に畝傍さんが現れました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳。部屋着姿でレプリカの狙撃銃を抱えている>
畝傍 > 夜。畝傍は自室のベッドの上で眠りについていた。
普段から着用している橙色のボディスーツは脱がれ、ヘッドギアも取り外されており、
その代わりにシンプルな無地の白いシャツと、白と薄橙のボーダーが入ったパジャマのショートパンツを着用している。
畝傍のバストは豊満である。故に仰向けにはならず、弾丸の発射機構を持たないレプリカの狙撃銃をしっかりと両腕で抱えた状態でベッドに横たわっている。
しばし暗闇の中で目を開けていたが、そのうち瞼が閉じられ、すやすやと寝息を立てはじめ。
やがて畝傍の意識は、夢の世界へと旅立つ。
畝傍 > ふと瞼を開くと、視界には透き通るような青空。
ここは夢の中だ。畝傍はどこかに横たわっているらしい。
「…………んー」
体を起こし、大きく伸びをすると、周囲に咲き乱れている橙色の花が見える。そこは一面に広がる橙色の花畑であった。ゆっくりと立ち上がる。
夢の中の畝傍は、普段と同じ橙色のボディスーツにヘッドギアといういでたち。
しかし、その腕には狙撃銃が握られていない。だが普段銃を失ったときに感じるような恐怖は、今の彼女にはなかった。
畝傍の視線の先には、佇む人影があった。だが距離が遠く、姿がよく見えない。
銃を持っていないため若干警戒しつつも歩き出し、人影に近づいてみる。
畝傍 > しばし歩き、少しずつ距離を詰めていく。すると、その人影の正体がはっきりと見えてくる。
それは肌の色、髪の色、瞳の色。そして服装、体型まで、畝傍に瓜二つ――というよりは、まったく同じ外見の少女。
「…………!」
畝傍は驚く。しかし、眼前の少女には唯一、畝傍と異なる点があった。
唯一違っていたのは――眼帯で隠された少女の左目から、絶えず青白い光と共に漏れ出しているモノ。それは『灰色の炎』であり、極寒の冷気である。
少女の頬を伝って涙のごとく溢れる冷気は、足元の花々を瞬く間に凍りつかせていたが、
それが少女と畝傍の体を凍らせることも、近くにいるはずの畝傍が寒さを感じることもなかった。
「(ボクに、そっくり……?このこは、ボク……?どうして?)」
自らの眼前に佇む少女の姿をまじまじと見つめている。
やがて少女がそれに気付くと、少女は畝傍の目を見て語りはじめる。氷河の深淵から誘うような、冷たさを感じさせる高い声で。
「……お待ちしておりましたわ。愚かで哀れな我が姉君」
畝傍 > 「キミはだあれ?キミは、ボクのいもうと、なの?」
少女の言葉に対する困惑を表情に表しつつ、畝傍は問いかける。
畝傍は本国にいた時から兄弟・姉妹はおらず、ずっと一人だった。
では、眼前の少女は何者なのか?しばし考えつつ、少女の答えを待つ。
「あらあら、あらあらあら。何をとぼけてらっしゃるのですか。わたくしはずっと……そう、あの時から……我が父なる『炎』が、あなたに『力』を与えてからずっと。あなたの中で少しずつ。育っていたのですわ」
少女は腕をバストの下で組み、高慢な態度を露わにしながら答える。
畝傍 > 「……わかった。つまり、キミは」
彼女は――『生きている炎』の断片。狂気の産物。
そう認識すると、畝傍の表情が真剣なものに変わる。
「愚かで哀れな姉君にしては、理解が早いですわね。そう。私は『生きている炎』の力の断片がひとつ。畝傍……あの戦いで貴女がその体を、精神を燃やしてくれたから。私はこうして形を持つに至ったのですわ。それにしても驚きましたわね。貴女があの『声』を振り切るなんて」
少女は畝傍を見下すような視線で見つめ、両腕を広げ嗜虐的な笑みを浮かべながら説明しだす。
その左目から溢れ続ける冷気の規模は少女を中心に広がってゆき、花は次々に凍りつく。
転移荒野での決戦時、畝傍は自らの異能『炎鬼変化』<ファイアヴァンパイア>を最大の火力で発動させ、その結果、今までの比ではないほどの『正気』を代償として支払った。
しかし、それに伴ってはっきりと聞こえるようになった、自らを責め苛む『声』を、畝傍は振り払うことができていたのだ。
その事実を、この少女は知っている。
畝傍 > 「あの『声』のこと……しってたんだ。……やっぱり」
言葉は続けず、顎に右手を当てるポーズをとる。その後。
「ねえ、キミのなまえ……なんていうの?なまえ、しらないと……よびにくいから。おしえて」
この少女は自らの狂気の一部であり、これからも精神的な領域において出会うかもしれない存在だ。――あるいは。
ゆえに、名前を聞いておく必要はあると思った。
少女の左目から溢れる冷気は、徐々に畝傍の足元へ近づく。
「そうですわね……わたくしの本来の名は……話しても姉君には理解できないでしょうから。仮に"千代田"とでも名乗らせていただきましょうかね。貴女の『妹』にはこれ以上に相応しい名はないと思いましてよ?」
千代田と名乗った少女は右目を細め、先程の嗜虐的な笑みとはまた異なる不敵な笑みを浮かべ、言葉を付け足す。
「貴女とはこれからも会うでしょうし……そう、何度も……何度も。……ふふ」
畝傍 > 「……チヨダ。おぼえたよ。……ボクも、そうおもう。また、あえるかな」
千代田は『生きている炎』の力がもたらした狂気の産物である。それに、言葉の節々からは、何やらこちらを見下している様子も見受けられる。
できれば、再び出会いたくはない存在だ。それでも、問うてみる。
「ええ、会えるでしょうね。眠っている時でも、目覚めている時でも。何なら――死にかけた時にでも、ですわ」
そう言って、再び、氷のように鋭い嗜虐的な笑み。
「そっか……たのもしいね」
それに対して、畝傍は暖かな微笑みと、若干の皮肉で返す。
やがて周囲の景色はぼやけてゆき、千代田の姿も認識できなくなったところで、畝傍は夢から覚める。
畝傍 > ベッドの上。畝傍は先程とほぼ同じ姿勢で眠りについていた。
狙撃銃のレプリカもしっかり抱えている。その豊満なバストゆえ、寝返りは打てていない。
まだ朝は来ていない。畝傍はしばし考える。
「(なんだったんだろ……あれは……チヨダは……)」
『生きている炎』の断片を自称する少女との出会い。あれはただの夢であったのか、それとも――?
まだ、あの夢の世界で起こった出来事への確証は持てない。一抹の不安を抱きつつも、畝傍は再び眠りにつかんとした――
ご案内:「女子寮内・畝傍の自室」から畝傍さんが去りました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳。部屋着姿でレプリカの狙撃銃を抱えている>