2015/07/18 - 20:38~22:56 のログ
ご案内:「常世神社」に三枝あかりさんが現れました。<補足:女子学生服に鞄。(乱入歓迎)>
三枝あかり > 夕暮れ。
常世神社の境内にある休憩所。
ここに座って三枝あかりは一息ついた。

夏季休講中であっても生活委員会の仕事はがむしゃらに来るのである。
食事を取る時間すらない。
ので、今日はここで弁当を食べて次の現場に向かうことにした。

三枝あかり > 麦茶と幕の内弁当をベンチの上に載せる。
焦って麦茶をこぼしてはならない。
ドジって弁当を倒してはならない。

座りながらの弁当となれば、精妙なる指使いが要求される。

まず幕の内弁当の全容を確認した。
塩が振ってあるであろう鮭の切り身、煮豆、高野豆腐に揚げ物。
壮麗たる顔ぶれ。よくもここまで詰まったものだ。

だがまず第一の懸案。ご飯が少ない。
白いご飯がなければ、この具沢山もどこか空しい。
ぱっぱと具を片付けて、揚げ物でご飯を食べる。これだ。

三枝あかり > まずは先手。
煮豆を片付けようと積極的に箸を滑らせ、猛攻をかける。
煮豆の塩気、これは塩鮭の影響だろうか。
麦茶を消費しながらこれを仕留める。

バランの隙間に何と、伏兵。
それは具と具の主張に隠されたデザートのオレンジだった。
これには運が絡む。
デザートのオレンジから出た汁がご飯や具を汚染していれば敗戦は免れない。

そっとオレンジが乗った容器を持ち上げる。
焦るな、クールに。落ち着け、クレバーに。
……オレンジの汁は、こぼれていない。

心の中でガッツポーズを取る。
とりあえずこのオレンジは、弁当箱の蓋に乗せて後回し。デザートというヤツだ。

ご案内:「常世神社」に朽木 次善さんが現れました。<補足:生活委員会。バインダーを片手に。>
朽木 次善 > バインダーを片手に、反対の手でペンを持ち、頭の裏を掻きながら境内に入ってくる。
もう既に三枝とは違い食事は軽く済ませ、
公共事業としての次の現場の資料を当たりながらなんとなく座れる場所を探していたのだが。
丁度弁当の事業仕分けを行っている三枝明かりの姿を見つけて、
驚くと同時に苦笑いを浮かべた。
……何故か、見てはいけないものを見たような気がして。

「あ、すいま、せん……。
 先客がいらっしゃったとは……。
 お邪魔、でしたかね……」

食事中、邪魔以外の何者でもないよなぁ、と自分で感想を抱きながらも相手に尋ねた。

三枝あかり > 塩鮭の攻略に取り掛かる。
先ほどの煮豆の脅威が、この塩鮭の手の者でなければいいのだけれど。

一口、塩鮭を口にして顔を顰めた。
なんて塩辛い。これではご飯の消耗は免れない。
先ほどの煮豆は、こいつの息のかかった猛者だったのだ。
ご飯を消費しながらこの塩鮭を食べる。
……まずい、いや弁当はまずくない。
とにかくまずい事態だ、ご飯が消費されてしまう。

最終目標は揚げ物にソースをかけて白いご飯で勝つ、この道のみ。

その時、声をかけられて慌てる。
「あ、朽木先輩。その、生活委員会の……私…」
むぐむぐ、ごくん。とりあえず口の中のものを飲み込まなければ。
「ゴホン。生活委員会の夏季会議の時に一方的に顔を覚えました、三枝あかりです。よろしくお願いします」
挨拶を済ませて、隣へ手を振る。
「あ、どうぞ。弁当の蓋と麦茶が置いてあって狭い…ですけど……」

今までの戦いを見られていただろうか。恥ずかしい。

朽木 次善 > 「ああ、大丈夫、ですよ。
 取りませんので、それに、食事中に邪魔をしたのは俺ですから。
 すいません。取り込み中に」

咀嚼し、慌てて食べ物を飲み込む三枝に苦笑を漏らして肩をすくめた。どうぞお食事を続けてくださいと付け加える。
座ることを促されるが、食事をとっているのを邪魔するのも憚られたので無言で手だけを翳してそれを辞して、

「三枝サンですか、ああ、成る程。近くで作業をしていましたね。
 こちらも業務中だったので声を掛けることはできませんでしたが……。
 お仕事、ご苦労さまです。委員会の仕事は順調ですか?」

これは、お互い様ですが、と付け加える。

「……今日はこの時間でも少し暑いですね。
 外での作業、特に日中は、仕事熱心な方から倒れていくので、気をつけてください。
 俺も去年、所属していた班の一番最後に熱中症になりましたよ」

冗談めかしてそんなことを言いながら苦く笑った。ちなみに、ただの事実だった。

三枝あかり > 「取りませんて………」
思わず苦笑した。でも、今弁当を食べなければ死に繋がる。
塩気は辛い(つらい/からい)が、塩分を取ればそれだけ頑張れる。
「いえ、食事中失礼します」

裂帛の気合を持って箸を動かすも鮭の塩味にどんどんご飯を削られていく。
とりあえず鮭を半分ほど食べたところでそれを置く。
こいつとの戦いはあまりにも危険だ。

「はい、とりあえず場数を踏んで仕事の内容を覚えている最中です」
「朽木先輩も仕事、お疲れ様です!」
にっこり笑って答えた。

ただ、ただ弁当への勝利を求める。
視線が向かう先は割り箸と一緒に渡された指先ほどのプラ容器に入ったソース。
弁当の蓋にはオレンジがあり、ソースを溢す愚を避ける意味でも弁当箱を斜めに傾けた。
四辺の隅に配した揚げ物へソースをかける。

「そうですね、かなり暑いです……」
「あはは、そのジョークはかなり面白いです」
「朽木先輩、仕事熱心そうに見えますけどね!」
そう言いながら視線を下げる。
フライの衣はソースと馴染み、白いご飯との組み合わせで天上の佳味を約束する色に染まっていく。

朽木 次善 > その激烈な食べっぷりは他の男子が見れば驚くかもしれなかったが、
同じ生活委員会として体力が基板になっていることは十分承知していたので、
頼もしさ以外を感じなかった。それもまた失礼な話ではあるが。

塩鮭も、海より川へ登って来た時の気概は既にない。
勝敗がすでに決している勝負の先を見据えながら、昼間に続いての同胞への興味が胸に湧くのを感じた。

「いやいや、俺は適当な方ですよ。
 もっと仕事熱心な先輩に当たった時は、まず箸を置くことをオススメしておきます。
 嗚呼、先輩らしいことを初めて言った気がするなあ」

資料を捲りながら頬をかき、三枝へと言葉を投げる。
胸に沸いた興味を、直接本人に当たらない程度の強さでゆるりと投げた。

「……こんな時に伺うのは何ですが。
 何故、三枝さんは生活委員会に……?
 きっと、もう少し華々しい委員会や、他の活動団体はあったと思うのですが。
 ……自分が言うのもなんですけれど」

三枝あかり > ソースの味を確かめた上で勝利を確信する。
これなら揚げ物を食べながら塩鮭に挑める。
この魔物を必ずしや討伐せしめる。その気概が沸いてきた。
麦茶のストックは十分、高野豆腐も良い感じに残っている。

「あ、あははは……ごめんなさい、今お弁当を食べないとすぐ次の仕事で…」
「食べながら話をすることを許してください」
でも、仕事熱心な先輩と会ったら気をつけますと頭を下げた。

そう、頭を下げた。
その瞬間、精妙なる手先の動きとボディ・バランスで傾斜をキープしていたのが一瞬ブレた。
塩鮭が弁当を予想外に横滑り、隅に溜めていたソースにべしゃりと浸った。

ソースが染み込み、暗澹のヴェールを纏った塩鮭は視覚からも凶悪なまでの塩辛さを見せ付けている。

「……私、ですか?」
「あの……二年の川添孝一って知っていますか?」
「兄なんです、実兄。それで、兄の勧めで入ったんですよ」
「………兄の言うことを聞いたの、久しぶりでしたね…」
かけたソースが多すぎたことを悔やむ隙もなく。
悲壮なまでの覚悟、それをねじ伏せるための克己と共におかずへ最後の攻勢をかけた。

朽木 次善 > ペース配分を考えて食べている事が分かり、
そこで三枝あかりから発せられる謎の圧力の正体がわかった気がした。
この子は今誰よりも真摯に、自分の弁当に向き合っているのだろう。
邪魔をしてはならない。自分の本能がそう告げていた。

だが、川添の名前が出てくると、意外な名前を聞いた、と、
自分の興味を抑えきれずに言葉が表出した。

「嗚呼。川添君の。
 ええ、知っています。直接の面識はありませんが、何分目立つ生徒だと聞いていますので。
 人づてに良く名前を聞きますし、鳴り物入りで入ってきたとき色々と噂も立ちましたから……」

へえ、そう、ですか。と一人納得したような言葉を続けた。
噂の川添君は、そこまで……他人に勧める程度には、生活委員会というものに意義を感じてくれているのか。
だとしたら……それは、聞いている噂よりもずっとイメージがズレる。
心のなかで謝罪を述べながら話を続ける。

「実際、どうですかね。
 その兄の言葉は正しかった、ですか……?
 先の作業を見る限り、やはり地味な作業続きですよね、この委員会」

あくまで自分以外の。
外側の意見を集めるような口調で、三枝あかり自身が仕事に従事する理由を尋ねた。

三枝あかり > 高野豆腐。塩鮭。麦茶。塩鮭。ご飯。塩鮭。
コンボで鮭を片付けにかかる。
そして、ああ、そしてようやく。
白いご飯と揚げ物という至尊に辿り着いた。

このソースが適度にかかったトンカツで白いご飯を食べれたら、私、次の仕事頑張れる。

「そう……ですね。有体にいって兄は不良だと思います」
「今は本人は元・不良だと言って回っているようですが」
「どうでしょうね……私にはよくわかりません」

そして食べた揚げ物。
それは魚介の練り物を揚げたものだった。
『それはトンカツじゃない。騙して悪かったが幕の内でな』
どこかの誰かの悪意の声が響いた。
何と空しい幕切れだろう。もそもそと残った弁当を食べ終えた。

「そうですね、地味な仕事だと思います」
「私は戦闘向きじゃないので、転移荒野で異邦人を探すこともしませんしね」
「でも……人がいつも当然のように持っている『便利』を守るというのは」
「……悪い気持ちは、しませんね」
そう言って満面の笑みで残ったオレンジを食べた。
これだけが救い。これだけが癒し。
最後に麦茶を飲み終えてごちそうさま。

朽木 次善 > あの兄にして、この妹、とは自分には思えなかった。
そういえば苗字も違う、本人も久しぶり、という単語が使われたくらいだ。
きっと複雑な家庭の事情があるのだろう。

「そうか、川添君は実働部隊でしたね。
 あちらにも俺も知り合いがいるので、苛烈さは話だけ伺ってます。
 常に仕事があるわけではないですが、有事にはこうやって話も出来ない程度だとか。
 そんな中で働いていてなお、妹にその支える仕事を薦められるというのは、
 とても強いことだと、俺は個人的には思いますかね」

全てを食べ終えた三枝あかりを見ながら、弁当に黙祷を捧げる。
こればかりは、相手が悪かった。
次に生まれ変わるなら、もっと緩慢なコダワリのない者の弁当に生まれてくるといいと思う。

「一つだけ、伺っていいですかね。
 これは……そう、ですね。意地悪な想定で……。
 もしかしたら、気分を害されるかもしれませんが……先輩として、きちんと嫌われてでも。
 少しだけ、伺っておきたい言葉なので」

食事を終えたことだけを確認して、一つだけ、尋ねたいことがあった。

「もし、俺達生活委員会が……その誰かの『便利』を守るために。
 他の『便利』を害さないといけないことが分かったとき。
 ……三枝サン、貴方はどうしますか。
 どう思うか、だけでも結構です。これは、俺自身も常に悩んでいることですので」

三枝あかり > 「はい、兄は掃除をするだけでなく、転移荒野で敵対的怪異と戦ったり…色々です」
「怪異対策室、という生活委員会の下部組織があることを知ったのはかなり後になってからです」
複雑な表情を浮かべる。強いこと。
強さとは一体なんだろう。強かったことが一度もない私にはわからない。
「………兄は…強いのなら、その強さを最初から正しく使うべきでした」

弁当の空き箱をテキパキと回収して食事終了。
次からこの店の幕の内弁当は避けよう。そう思いながら。

「ん………」
困った表情を浮かべた。
自分はただ掃除をしているだけで、誰かの『便利』を害するなんて。
一度も考えたことがなかった。
それでも相手が真剣だとわかると、少し迷って答えた。

「鉄道が網の目みたいに張り巡らされたら、きっと騒音で眠れない人も出ると思うんです」
「いえ、鉄道委員会が悪いという話ではなく」
「誰かの『便利』と、誰かの『不便』はきっと表裏一体で」
相手の顔を見ながら、はっきりと言った。
「……それでも、生活委員会は誰かを不幸にするために動いてはいけないんだと思います」
首を傾げて言う。
「あっ……でも侵略的怪異災害と戦うのも生活委員会の仕事で? その怪異にも事情があって?」
自分でも上手く飲み込めていないのか、疑問符が続いた。

朽木 次善 > 「元々、対策室自体が生活委員会の中ではかなり特別な立ち位置ですからね。
 最初はどの対策室も、一時的な異常への対応として作られた部隊だと俺も聞いています。
 恒常的にその異変が認められる物に限り今も怪異対策室のように存在しているんだとか」

だからこそ、現在も残っている対策室は全て、かなり特殊に厄介な物を相手にしている。
怪異対策室に志願して入る、とそれだけで整備課などの部署では変わり者の烙印は避けられない程度には。
だが、それを生業として生きていける程に強いのであれば、彼女の言う通り川添という男は、
正しく使うべき程度には強いということなのだろう。

三枝あかりの言葉を、沈思して受け取る。
はっきりとした言葉遣いから敏い子であると見ていたが、
どうやらそう大きくは外れていなかったらしい。

「そう、ですね。その『不便』が『便利』である立ち位置の人は、必ずいます。
 鉄道委員会のその例えは、とても素晴らしい物だと思います。
 漠然とした問いに対して、とてもわかり易かった」

もちろん、鉄道委員本人に告げるのでないならば、という前提はありますが、と付け加える。

「きっと、同じように、俺達の活動も『不便』と感じる者に出会うと思います。
 もちろん、そんなものに出会わないことが最良ですが、そんな追い風の環境ばかりではない。
 風紀には風紀の、公安には公安の、逆風というものはそれぞれにありますからね。
 そんな中、きっと活動を続けていくには『組織』としてやるべきことと以上に、
 組織に所属する『個人』として信じる物が必要なんじゃないかと、俺は思っています」

少し、難しい話を、そして説法のようなうさん臭い話をしてしまったか、と首筋を掻く。
彼女の真っ直ぐさが、どこかで折れてしまわぬようにと先回りしたつもりだったが、
……少し、自分の悪い癖が出たようにも思えた。

「誰かを不幸にしているために働いていないというキミの言葉が、
 きっとその逆風が吹いたときにキミの背中を押してくれるんじゃないかなと思います。
 なんか……少しばかり先に吹いてきた先輩風の方が、今は厄介でしょうけど」

いつの間にか饒舌になっていた自分を顧みて苦笑いを零した。

三枝あかり > 「そう……なんですか………」
怪異対策室の成り立ちを聞けば聞くほど。
兄が室長をしている怪異対策室三課が遠く感じた。
なんでそんなことをしているのだろう。
ただ……私は、兄に兄をしていて欲しかっただけなのに。

「そ、そうですね……鉄道委員会の方には、申し訳のない例え話でした」
頬を掻いて先輩の話を聞く。
「生活委員会にとっての逆風が吹く時がある、と…?」
視線を下げた。それは大分難しい話だ。

『便利』の中の『不便』、『便利』と切り離せない『不便』、あるいは『便利』の対価の『不便』。

それらがあってもおかしくはない。当然の話だ。
そこで話された個人の話は、とても興味深く、少しだけ怖い話に感じた。

「いえ……私にとって、とっても大事な話だったと思います」
「私にとって迷う時はきっと必ず来て」
「その時に、先輩の言葉を必ず思い出します」
頭を下げた。今度は弁当なんか注視していない。
「ありがとうございました、朽木先輩」
「自分が何をしたいのか、何のために生活委員会の仕事をするのか」
「もう少し、考えておこうと思います」

それだけ言って立ち上がる。
「次の作業が、今日最後の掃除があるので先に行きます」
「それではまた会いましょう朽木先輩。その時までに答えを探しておきます」
そう告げてあかりはその場を立ち去っていった。

ご案内:「常世神社」から三枝あかりさんが去りました。<補足:女子学生服に鞄。(乱入歓迎)>
朽木 次善 > 「ええ、楽しみにしておきます。
 すみません。今度は食事中以外のときに声を掛けることにします」

謝辞を述べて、三枝の姿を見送る。
急に現れた先輩がする話では、なかったかもしれない。
本人の真面目さや熱心さで、耳を傾けてくれてはいた物の、負担をかけたことには変わりがなかった。

だが、この付近で仕事をすることを考えると、
それは学園の中心で仕事をしていることよりは、ずっとそういった危機に近いとも言える。
これは幸か不幸でいえばただの不幸であり、
だからこそ、彼女がそんな逆風に一瞬でも迷い、戸惑うことなきようにと思って告げた助言だった。

「杞憂であれば。
 ただ、口うるさい先輩がいたというだけのことになるんだが。
 そうあることを、俺も願ってる、かな」

神社の境内で神社の方を眺めながら呟いた。

朽木 次善 > そして、噂には聞いていたが川添孝一という青年、あるいは少年の像が、少しずつ固まってきてはいた。
レイチェルという風紀委員の少女が告げていた彼の像よりは、もっと具体的な形で。
そして、怪異対策室という特別な教室に所属していることから、
彼自身にもより興味は強いものとなってしまった。
自分の中にもたげた欲の大きさに、苦笑を深くした。
話がしてみたいと、純粋にそう思ってしまう。

ギルバート少年に対して抱いたような、
自分とは違う立ち位置で己の正義を思う者たちの正義が、
三枝あかりの進む先で逆風にもなりかねないという事実が。
……あるいは自分が本当に整備したいインフラの形であるのかもしれないとも思う。

『空歩き』たる少女が空を飛ぶ理由を確かめようとした理由もそれだ。
単純に、空をとぶ少女が空という形で逸脱をする前に、
空を飛ばなくていい環境か、あるいは空を自由に飛べてなお何一つ不自由しないインフラを、
どうしても整えてみたいと思ってしまったから。

口元を抑えて、誰にも見えないようにする。
これは、悟られてはならない。

自分が相手をしている物の正体は、誰にも知られてはならない。
誰にも気付かれないことこそが、生活委員のあり方だと、個人的には思っているのだから。

朽木 次善 > 「『組織』の有り様と。
 『個人』、ですか」

溜息を吐く。

「それは一体。誰への問いかけなんでしょうね」

鬱屈した物を吐き出すように、深く深く続いた溜息を再び吸い込み。
境内を後にした。

ご案内:「常世神社」から朽木 次善さんが去りました。<補足:生活委員会。バインダーを片手に。>