2015/07/27 - 20:52~13:03 のログ
ご案内:「常世公園」に湖城惣一さんが現れました。<補足:どなたでも乱入歓迎。身長181cmの痩せぎすで目つきの悪い男。勘違いしたような和装ベースのファッション。横一文字に傷痕の残る腹を丸出し。>
湖城惣一 >  常世公園。そのベンチに腰掛けながら、なにやら一枚の紙を真剣な表情で眺めていた。
「…………陽炎や 水を追えども 手につかず」
 俳句であった。単に、お茶のラベルについていた川柳大会の一句に感化されて――というか。
気まぐれに挑戦してみただけのこと。
 誰に評価を求めるわけでもなく、その良し悪しを気にもとめずに、ひとまずビニール袋からおにぎりを取り出し始めた。

ご案内:「常世公園」にビアトリクスさんが現れました。<補足:褪せた金髪 青い瞳 上下ジャージ>
ご案内:「常世公園」に惨月白露さんが現れました。<補足:銀髪に黒メッシュ、空色のウルフアイ、赤い鞘の刀を持っている。>
惨月白露 > 「陽炎は春の季語だぜ、惣一。」

少し離れたところから、小さく手を挙げて『よっ』と声をかける。

「……昼飯か?相棒。」

ビアトリクス > 息を切らしながら、公園の入り口にジャージ姿の少年が現れる。
首にはタオル、脚はスポーツシューズ。
ウォーキングかジョギング中か。
「暑い……」
夏の陽気にやられて、見るからにグロッキー寸前といったところ。
小休止できそうな場所を探していると、ベンチに座る顔見知りを見つけた。
そしてそれに声をかける知らない顔も見つけた。
(彼女かな?)
いやまさかな。そういうのに縁のなさそうな人物である。
であればいかなる人物か、少々興味も湧くものである。
それをやや遠巻きに見物する構え。

湖城惣一 >  具材は鮭。珍しく自分で握ったものではなくコンビニのものだ。
この季節、上手く保存せねばすぐに食事が痛むことになる。
 オーソドックスな鮭おにぎりの梱包を開けると、乾いた音を立てながら一口、口に運んだ。
「逃げ水と掛けたつもりだったが……いや、あれも季語とすれば晩春か」
 現れた、少女風――の少年に声をかけられても。
動じることなく、ひとまずベンチの端に座りなおしてスペースを確保する。
「ああ。昼……というほど力の入ったものでもないがな」
 買ったのはおにぎり二個と500mlのお茶が一本。
大飯ぐらいの湖城惣一としては、おやつにも近い量だ。
 遠巻きから眺めるビアトリクスの気配にも気づいてはいたが、
それに気を払うほどであれば苦労もしていまい。

惨月白露 > 遠くにジャージ姿の少年をちらりと見ると、
ワザとらしく彼の隣に座ってベンチに置かれた彼の手に手を重ねる。
おにぎりとお茶を一瞥すると、手にしたお弁当を掲げて笑みを浮かべた。

「へー、丁度良かった、
 それだけじゃおかずが何もないっしょ、一緒に食べようぜ、惣一。」

そう声をかけながら、ビアトリクスのほうへ視線を流す。
『もしこいつの知り合いだとしたら、反応が楽しみだ。』と内心で笑う。

ビアトリクス > (手を重ねる、だと……)
さすがに驚きを隠せないでいると、そいつと目が合う。
無視するわけにも行かない。
なんかやってることが少女漫画のキャラみたいだなあと内心毒づきつつも近づく。
ベンチの近くにある自販機で、スポーツドリンクを購入。

「……湖城先輩もなかなか隅に置けませんねえ」
いろいろな感情の混ざった半目を湖城へ向けた。

湖城惣一 > 「む…………」
 そう。対外的には恋人――ということになっている。
さる問題から隣の彼の素性を守るため、という目的であったが。
 手を重ねられれば、やはり少し目頭を抑えて何かを耐える。
 一度息を吐くと元通りの姿に戻り。
「……ああ。それなら構わないが――」
 白露が視線を移すならば、そのままこちらも視線を向ける。
 その後、ビアトリクスに話しかけられるならば。
「……そうか。いや、こういったことに関しては不慣れなのだが」
 嘘、というものをつくのはあまりしないタチだ。
故に自分からは大きく何かをいうこと無く、ただ真実だけを述べてみる。

惨月白露 > ビアトリクスが惣一に声をかければ、
小さく笑って惣一を見る。

「……ねぇ惣一、この女の子、だぁれ?」

そんなテンプレっぽい台詞を冗談っぽく言いつつ、
ビアトリクスのほうに視線を戻す。

「―――もしかして元カノさんとかかな?
 運動中みたいだけど、ちょっと休憩に一緒にご飯とかどう?」

弁当を指差しながら笑いかける。

「まぁ、ダイエット中なら無駄になっちゃうかもしれないけど。」

ビアトリクス > (ひ、否定しない……!!)
白目である。ガビーンという擬声語を背負っているのが見えたかもしれない。

「不慣れ……ね。不慣れね~」
二度繰り返す。
尊敬しているとはいえ、どう好意的に見ても恋愛弱者である湖城が
そういう関係を築いているとは。
TCB団などという嫉妬に駆られた愚連隊のことは
心底くだらないと考えているビアトリクスではあるが、この現実は敗北感著しい。

「だだっ誰が元カノやねん」
動揺のあまりキャラがブレた。

「……そもそもぼくは男ですけど」
警戒を隠さない様子で、ベンチから距離をとったままスポーツドリンクに口をつける。

惨月白露 > 「はは、驚かせちゃったかな。
 貴女、可愛いから、ついついからか―――って男ッ!?」

まじまじとビアトリクスを見る。
いくら服装がジャージとはいえ、
顔や雰囲気を見る限り女の子にしか見えなかったのだ。

「惣一、もしかしてそういう趣味でもあるの?」

そんな疑問を口に出しつつ、弁当からおかずをひとつつまむと、
『あーん』と声をかけながら惣一の口へと運ぶ。

湖城惣一 > 「――知人の」
 男は。どこからが友人か、という境目がわからない。
「日恵野ビアトリクスだ。……いや、趣味とはどういう意味だ?」
 ましてや、一度窮地を救ったとはいえ、その後はあまり言葉を積極的に交わしたとはいえない。
口が裂けても、自分から友人などとはいえなかった。
 端的に紹介しながら、彼が"男"だという言葉には同意するように一度頷きつつも――。
 白露をちらりと見やる。こちらも男子である。
そこに他意はない。別段男が彼氏だろうと彼女だろうと、
それ自体には気を払わないからだった。
「少なくともビアトリクスとそういった間柄になった記憶はないな」
 言った後。――差し出されたおかず。
「これは……」
 思わず、尋ねた。

惨月白露 > 「この子の反応を見る限り、ただの知人には見えないけど。」

『ビアトリクスちゃ…くんね』と呟くと、
『白露小百合、『シロ』って呼んで。』とビアトリクスに声をかけ、
早く食べろとばかりに箸を揺らして惣一に催促する。

「……何してるの?『いつもやってる』でしょ?」

そう言って、悪戯っぽく笑う。明らかに面白がっている。

ご案内:「常世公園」に嶋野陽子さんが現れました。<補足:スポーツビキニ姿で、ジョギング中。>
ビアトリクス > (あーん、て)
(あーんて)
再びの絶句。ビアトリクスの背景にヒビが入るのが視認できたかもしれない。
その光景が正視に耐えられなくなり、ベンチに背を向けて自販機をガンと殴る。
『ブーン』
自販機はそう返事した。そうか。いいやつだなおまえ。

白昼堂々。人前で“あーん”とか。『いつもやってる』?
あまりに恥知らずすぎる。
えっ何? 何空間に迷い込んでしまったの? ぼくは?

「た、ただの知人ですよ、ぼくは」
ぎちぎちと首だけをベンチに向けて、シロと名乗った何者かにやっとそう返事する。
湖城に向けた視線には明らかに尊敬ポイントが失われているのが見て取れた。

嶋野陽子 > [主観時間で]久しぶりに寮から
常世公園までのジョギング[といってもハーフマラソン
の距離を超えている]に出た陽子は、常世公園のベンチ
の人影の中に見知った顔を見つけて足を緩め、そちら
の方に近づく。よく見るとこのあいだ寮のロビーで
擦れ違った女の子もいる。
「日恵野君、お久し振り。この間は絵をありがとう」
自販機を殴り付けた日恵野君に少し驚きながらも声
をかける陽子。

湖城惣一 >  そうか。表向きは白露小百合というのか、などと。初めて知ったその名前をしっかりと覚えつつ。
「いつも……そうか、いつもか」
 拒否するつもりもなかったが、退路まで塞がれてしまったようだ。
好きに扱ってくれて構わない、といったのは自分である。
口を開けて、それを食べると、ゆっくりと咀嚼する。
 目の前のビアトリクスの視線の温度が下がった気もするが――。
「…………なかなかのお点前、といったところか。シロちゃん」
 勘違いしないでほしいのだけれども。
根が素直な人間ゆえ、最初に『シロちゃんとでも呼んでくれ』と言われた故にそう呼んでいるだけなのだ。
 まあそんなこと、ビアトリクスはしるよしもないだろうが。
 新たに現れた闖入者、やはりこれにも驚くことなく一度頷いて。
「千客万来、といった具合だな」
 あまり人が多いところに居着かない湖城としては、珍しい体験である。

惨月白露 > 「あ、その自販機、ロックが緩くて蹴るとジュースが出るんだよねー。
 でもダメだよ、惣一が見てる所でやったら、惣一、怒るから。」

そう、八つ当たり気味に自販機を蹴るビアトリクスに声をかける。
『ブーン』という音を立てている自販機、
ややあって、ガコンと音を立てて飲み物が出てくる。

「お粗末様。」

くすっと笑って、新たな乱入者のほうに目を向ける。

「―――で、そっちは何?ビアトリクスくんの彼女?
 線が細いビアトリクス君とだとバランスが取れていいね。」

そう冗談を飛ばしつつも、次のおかずを惣一の口へと運ぶ。

嶋野陽子 > 知り合いにだけ挨拶するのも
マナーに反するので、どう見ても付き合っていそうな
二人には、「初めまして。日恵野君の知人で、保健課
一年生の嶋野陽子と言います。あの・・・お邪魔で
しょうか?」と二人に尋ねる陽子。

惨月白露 > 「ああ、いいよいいよ。
 お昼ご飯はみんなで食べた方が楽しいし。」

そう彼女に笑いかけると、未だ距離を取ったままのビアトリクスにも手招きする。

「ほら、ビアトリクスくんも一緒に食べよ?
 ……2:2ならバランスもいいし、ね?」

ビアトリクス > なんだよ今度はおまえかよ何の特異点が発生しているんだよ。
そう内心でつぶやきながら全く余裕のない顔を陽子に向ける。
汗がドクドク流れているのは夏の陽気のせいばかりではない。
(いま)
(それどころじゃ)
(ないから)
口をパクパクさせて陽子にそう伝えた。伝わったと思う。

『シロちゃん』という湖城の呼ぶ声が耳に届けば、
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
自販機のディスプレイを爪でひっかく。そしてその場に屈みこんだ。
信じて送り出した湖城先輩がこんな女にダブルピースなビデオレターを送られた気分だ。
もう立ち上がる気力も逃げ出す元気もなかった。

「彼女じゃね――よ!!!!」
叫ぶ体力はあった。

湖城惣一 > 「湖城惣一だ。……邪魔などではない」
 無表情に、淡々と新たに現れた少女に告げる。いささか隣に座る少女――実際は少年――には押され気味であるが。
白露が手招きするなら、ことさら、ベンチからややはみ出るような形で身体の位置をずらす。
元々、距離を重んじる男であり。あまり人を近づけるような男でもない。
 基本的に隙間をつくろうとする男なのだ。
「…………元気だな、ビアトリクス」
 いや。そうではないのだが。この男は致命的なまでに人の機微が読み取れていない。
尊厳値は最早0なのでは?

惨月白露 > ディスプレイを爪でひっかくと、
何やら故障の原因になったのか、ディスプレイに777の文字が揃う。
『おめでとうございます!!もう1本選択してください!!』
軽快なファンファーレと共に、そんな声が響いた。

「何してるのビアトリクス君、というか、
 ビアトリクスって正直長いしビー君でいい?」

『こいつマジで面白いな』と内心で思いつつ、
腹を抱えて笑いそうになる衝動を必死にこらえながらそう声をかける。

「あ、私は白露小百合、シロちゃんって呼んでくれればいいよ。
 ……ちょっと前に女子寮ですれ違ったね。」

惣一が身体の位置をずらすのを追いかけるように
距離をつめてベンチをあけつつ、自分の隣をとんとんと叩いた。

嶋野陽子 > (このコース、距離もいいし、
中間地点に休憩ポイントもあるからいい感じなんだ
けど、やけに色んな事に巻き込まれるわね)と、今
度から公園に入らないで折り返す事を考える陽子。

ベンチに空きを作っている二人には、
「あ、お構い無く。ランニングの途中ですので、あまり
長居は致しませんから」と謝絶する。
女子寮で擦れ違ったねとの指摘には、
「はい、あの時は遅かったのもあり、挨拶もせずに
済みませんでした」と返す。

日恵野君には、
「顔色が良くないけど、熱中症?
あちらの木陰で休む?」と、暗にこの場を離れる事を
提案する陽子。

惨月白露 > 「―――そ、残念。」

『気にしなくていいよ、私も挨拶も何もしなかったし』と
彼女に答えつつも、詰めた距離は離さない。
ベンチの隅に彼を追い詰めつつ、
彼の頬についた米粒を、唇を寄せてぱくりと食べた。

「……ふふ、ここ、ついてるよ、惣一。」

悪戯っぽく笑いながら、
ビアトリクスのほうに『え、あ、本当だ、顔色悪いね。大丈夫?』と声をかけた。

ビアトリクス > ガタコンガタコンと音を鳴らして自販機が飲み物をふたつほど排出する。
(なんか出てきた……)
幽鬼のような動きでそれをとりあえず手にとって見る。
「あっつ!!!!」
両方ともおしるこだった。ホッカホカ。
(なんでこの季節にホットなおしるこ扱ってんだよいい加減にしろ!!)
今や自販機までもがビアトリクスを弄んでいた。

「ええはいもうビー君でもシー君でも勝手に呼んでくださいよ」
ほとんど完全降伏のていでそう返事する。

「ああそうす……」
空気を読んでるのか読んでないのかわからないオーガ系女子の提案に
賛同しそうになるが、そこでシロのほうにちらりと視線を向ける。
(ここで二人で離れようものなら絶対からかわれるな……)
「いや、いい……自分でなんとかするよ」
地べたに座ったままスポーツドリンクを浴びるように飲む。
意識が水分でつなぎとめられる。
もはやすべての現実が現実感を失い始めていた。
このおしるこどうしよう。

湖城惣一 >  頬に触れる唇。動揺の連続で避ける意識が生まれなかった。
「ぐっ……!」
 ぐらり。いまのはまずい。手が触れただけでもちょっと怪しい男だ。
今のはまずい。男だと分かってはいるが、彼の魅力は十分に認めるところだ。
 唇を寄せられたのはいささか動揺が強かった。
 思わず顔を伏せて、大きく息を吐く。端的にいうと鼻血が出そうだった。
――湖城惣一は、古風な価値観の男だった。
 大きく、もう一度大きく息を吸おうとしたところで、
――トラウマのホットおしるこが目に写って。
「ごふっ!」
 耐え切れず鼻血を吹いた。

ご案内:「常世公園」に神宮司ちはやさんが現れました。<補足:巫女舞の少年。ジャージ姿>
嶋野陽子 > (あれは、お汁粉!)
真夏にはまずお目にかかれない、陽子の冬の好物で
ある。そこで、ウエストポーチから経口補水液を出
すと、日恵野君に
「熱いものは熱中症に良くないから、これと取り替え
てもらえないかしら?」と言ってお汁粉なと補水液を
見比べる。

惨月白露 > 「無理はしないでね、えーっと、じゃあビー君。」

『シー君って何?』と首を傾げつつ、
飲み物を一気飲みする彼を面白そうに眺めていたが、

『あ、やべぇ、調子乗ってやりすぎた。』

隣に座る惣一が鼻血を吹いて倒れるのを見ると、
そんな事を考えて内心で苦笑いする。

「―――そ、惣一!?大丈夫!?」

そう大げさに声をかけつつ、
彼の鼻に取り出したハンカチを当てる。

『堪えろ、まだ笑うんじゃない。まだ、まだだ。』
そう内心で自分に言い聞かせながら、
あくまで彼氏を解放する彼女の顔を作り続けた。

神宮司ちはや > ビアトリクスがジョギングに出たのを男子寮で見かけ、毎日努力を積み重ねている姿には憧れがある。
自分も少しでも近づけるように彼が出かけた後、慣れないジャージを身につけて同じジョギングコースを辿ってみる。

駄目だった。

そうローマは一日にして成らず、急にジョギングとかしてもちはやの体力的には無理である。
へとへとよたよた、途中で休憩しながらやっとビアトリクスの後ろ姿に追い付き公園に入ると……

何故か人だかりができていた。
そして中心人物はいきなり鼻血を吹いていた。
何が起こっているのかさっぱりわからないまま入口付近で立ち尽くす。

嶋野陽子 > 鼻血を出した湖城先輩を見ると、
保健委員の職業意識が浮上し、湖城先輩の前にしゃが
みこむと、先輩の足を伸ばして、足首の裏側を本当に
軽く手刀で叩く。鼻血を止血する民間療法だが、結構
効果がある。

ビアトリクス > ああ太陽が黄色く輝いているなあ。スケッチブックを持ってくればよかったな。
なにやら湖城先輩が鼻血を勢い良く噴き出しているけど、太陽が黄色いから仕方ないな。
腹だけじゃなくて鼻からも血を出せるなんて器用だな~。

陽子の提案に応じ、おしること経口補水液を取り替えてもらう。
「えっこの炎天下にホットおしるこ飲むの? マジで?
 あ、ありがとう……おまえってホント都合いいやつだよな」
なんともいえない感謝の仕方をして、カラになった最初のスポーツドリンクをポイ捨てして
取り替えてもらったそれに口をつける。

胡乱な目つきで周囲を見渡すと、ちはやの姿が見えた。
『助けて』と言うべきか。
『来るな』と言うべきか。
『太陽って黄色いよね』と言うべきか。
とっさには判断できずぐるぐると目を回している。

湖城惣一 > 「あ、ああ。だ、大丈夫だ……」
 鼻血を抑えられつつも。今はちょっとほっとおしるこのほうがダメージがでかかった。
「しるこはな…………危険だ」
 自販機の悪夢がよみがえる。あの時の悲しみは流石に繰り返さないだろうが。
さる商店街の一角で、5人ぐらいを悪夢へと叩き込んだ恐ろしい自販機のことを思い出す。
正直あれ、下手な怪異より怖いから。
 足を叩かれるやら完全にいたれりつくせりの状況は、
湖城惣一という男にとって完全に未体験ゾーンに突入していた。
「……かたじけない。だ、大丈夫だ……」
 そろそろ色々と何かがヤバイ。というかおにぎり食べたい。
 お腹が減ってきたからおにぎり買ったのに、このまま栄養補給がままならないのは危険である。
 恐らく生涯で一・二を争うテンパりかたであったと、誰かは述懐する。
 うむ。まさしく新たに現れたちはやからすれば、謎極まる光景であっただろう。

惨月白露 > 『鼻血の治療をしてるんだろうけど、
 なんかあれだな、こいつがやってると首とか折れて死にそうだな。』

内心で苦笑しつつも、
まがりなりにも保健委員の彼女に任せた方が安全だろうと、
『すみません』と一声かけて彼女に惣一を預けた。

案の定、しばらく待てば大丈夫だ、と惣一は彼女を制する。

「―――大丈夫?」

一応そう声を賭けつつ、
全然手がつけられていないおにぎりを彼に手渡した。

惨月白露 > スン、と鼻を鳴らす。汗のにおい。
視線を動かして、入口で立ち尽くす彼女に気が付くと、
彼女のほうに手を振り、惣一に微笑みかける。

「なんか『今日は』、ジョギングしてる人が多いね。」

いつもこうして一緒に食べているような口ぶりで声をかけつつ、
混沌としつつある現状を眺める。

―――何故だか、ここにいる人間だけではない、
おぞましい視線を感じたような気がして『ぶるり』と体を震わせた。

嶋野陽子 > 『本当にこの炎天下にホットお汁粉飲むの?』
という質問には、
「まさか。冷してあんみつか宇治金時の材料として
使わせてもらうわ」と、このまま飲む積もりは無い
事を伝える陽子。
同時に、お汁粉を反対側のポーチにしまう陽子。

神宮司くんの姿を見つけると、どうしよう?という
目付きで日恵野君に意向を問う。ここは彼の判断を
優先したい。

神宮司ちはや > 鼻血を出した人を獣耳のついた人が看護して、さらに陽子が急に足首裏を叩き出す。
あまりの特異な光景にこの公園は今異世界の門が開かれていると言われたら信じてしまうかもしれない。

ビアトリクスも困ったような顔をしている。というか視線でこの状況に困惑しているものを感じる。
とりあえずよたよたとビアトリクスの横へ駆け寄ると、湖城に心配気な視線を送りながらそっとビアトリクスへ囁く。

「と、トリクシーくん……この人とお友達なの?
 大丈夫?急に倒れちゃったけど、熱中症じゃない?」

おろおろとしつつも、保健課の陽子がいるなら大丈夫かなと思った。

湖城惣一 >  内心。ほっとおしるこをその場で飲まないという選択肢にほっとしていた。
ほんとにトラウマなのである。暫く例の缶を見たくなくなる程度には。
 さて、なんとか意識を浮き上がらせた湖城惣一は、顔を起こして白露からおにぎりを受け取った。
 一応、落ち着いたので改めてベンチに手をおきながらもおにぎりの咀嚼を始める。
「む…………」
 たっぷりと米を噛みながら、新たに現れた人物を観察するが――ビアトリクスの知人もまた男のようだ。
 外見から想起されるイメージは中性とはいえ、こうも色々と続くと女性にも見えるものだが。
 シロちゃん、ビアトリクス、そしてこの少年――。類は友を呼ぶ、とでも言うべきか。
更には、この体格に見合わぬ丁寧な所作の少女。奇妙な取り合わせであるといえただろう。
「奇縁というやつかな」
 ひっくるめて。この場における出会いを総称するとしたら、そういう類のものかもしれない、と。

ビアトリクス > (非常識な奴に常識的に語られてしまった……)
(釈然としねえ……)
(いや非常識なのは体格だけなのかな……?)
陽子の返答になんともいえない表情を浮かべるビアトリクスだった。

「いや、熱中症ではない、と思う……多分」
どちらかというとあのカップルのせいである。
汚された腹切り侍、汚した女、オーガ系保健委員(最後だけはべつに非がない)。
そこに訪れたちはやはビアトリクスにとってオアシスのように映った。

「ぼくの……ぼくの先輩が、穢されてしまった……」
ふらふらとちはやに近づいて、疲れたように笑ってそう告げた。

惨月白露 > 遠目に見れば『彼女』に見えた彼に目を細める。
『ん、こいつも男か。』と内心で考えつつ、
ふらふらと近寄ったビアトリクスに声をかける。

「―――えっと、今度こそビー君の彼女かな?
 なんか、ちょっとイケメンな感じで、可愛いビー君にはお似合いだね。」

そう、にっこりと笑みを浮かべると、惣一のほうに視線を流す。

「ねぇ惣一、ビー君、『ぼくの』って言ってるんだけど。」

『本当にそういう趣味ってわけじゃないの?』と苦笑いしつつ、
取り出したコップに注いだお茶を手渡す。

嶋野陽子 > 日恵野君の釈然としない表情
を見て、ようやく陽子は合点が行く。
(日恵野君は、非常識な外見は非常識な内面の投影
なのではないかという目で私を見てるのね。芸術家
らしい発想だけど、ちょっと困るわ)

「内面と外見は、必ずしも一致するとは限らないわよ」
とだけ日恵野君に告げる陽子。

ベンチの二人には当面不干渉を決め込む事にした
陽子は、日恵野君と神宮司君に、
「所で二人とも男子寮から走ってきたの?この炎天下
に10キロ以上走るなんて、二人ともタフね」と話題
を変えようとする陽子。

神宮司ちはや > 陽子に、こんにちはと軽く会釈してから

「い、いえぼくはちょっとトリク……ううんと
 気が向いて走ってみたかったから来たというか、ええっとでもちょっと無謀だったかも……」

すでに疲労困憊の表情でそう返す。
ぐったりとした様子のビアトリクスへそっとその身体を支えるように手を添える。

「トリクシーくんも大丈夫?疲れちゃった……?
 ぼくの先輩?けがされちゃった……?は、鼻血に?」

穢されたというより汚された、じゃないだろうか。
しかも体調不良のせいであって、誰かに何かされたという言い方は不自然に聞こえる。
意味がわからず困ったように首をひねる。

獣耳の女子に何故か彼女と言われると、真っ赤になった後慌てて首を横にぶんぶんと振った。

「ち、違います!ぼく、トリクシーくんの友達で……
 トリクシーくんはもっと素敵な女の子のほうがお似合いです!」

というかこの鼻血を出した人の彼女さんなのだろうか?
よくわからないが、とても大変な場所へ来たことはさらに分かった。

湖城惣一 > 「…………む」
 ぼくの先輩、という言葉に。
他意を感じるほどの機微は持ち合わせていない。
「好ましい部類の人間ではあるとは思うが」
 もちろん、人間的な意味合いである。
彼からすれば概ね多くの人間は"好ましい"性質を大なり小なり持っている。
「もちろん君もな」
 この発言は、状況的にやや誤解を生むような気はする。
しかし"そういう趣味"も"ぼくの"の一般的な意味合いもとりあえず意識していない男であった。
 なにやら、いたれりつくせり、といった状況にいささか困惑しつつも。
助かっているのは事実であり、ゆっくりと順当に食事を済ませていっていた。
 しかしながら。
「ビアトリクス。安心しろ。幸い服は汚れていない」
 違う、そうじゃない。基本的に心情の機微やその辺りの用語に関しては鈍感極まるといっても過言ではない。
 ひとまず、慌てるちはやに対しても、気分を落ち着けてから改めて目礼を送った。

嶋野陽子 > 日恵野君を挑発し続けるシロ君
を見て、そろそろ止めた方が良いのではと思って湖城
先輩の方を見ても、先輩はまだそれどころではない
様子。
ここは獣耳をもふもふしてみようかな?という不穏な
目付きで白露さんを見る陽子。

ビアトリクス > 「す、少なくとも彼女……では……ないかな……
 あと『ぼくの』というのは『ぼくの尊敬する』という意味であって
 そういうのではないです」
憔悴しながらもそうシロに答える。
どさくさに紛れて普段ならとても口にできない好意的表現を使ってしまった。

陽子の発言はひどくもっともでありビアトリクスもそれぐらいはわかっているが、
もちろんそんな発言をいちいち受け止められるほどの余裕もなかった。
「うるさいッ! 理屈はいいんだよ理屈は!
 暑苦しい外見のくせに涼しい顔しやがって!」
普段冷静な彼からは考えられない見苦しい逆ギレである。
もはや説得は通じない!

ちはやの弁解には。
「そんなことはない! ちはやは充分素敵だよ!!」
その逆切れの勢いでなんかすごいこと叫んだ。

惨月白露 > 陽子の視線に気が付くと、『どうしたの?』と首を傾げる。

「でも、ビー君、惣一は君の事も、
 『彼女』の私と同じくらい大事って思ってるみたいだけど。」

そう言って彼を指差して冗談っぽく笑いながら言いつつ、
慌てるちはやのほうに視線を向ける。

「ふーん、素敵な女の子が居る、ね。
 ―――つまり、自分じゃ相応しくないと思ってるだけで、嫌いではないんだ。」

そう言って、瞳を細めた。

「私は、お似合いだと思うけどなぁ。」

『また面白いやつが増えたな。』と思いつつ、
自分も弁当に入っているタコさんウィンナーを口に運ぶ。

嶋野陽子 > (これはまずいわ)
明らかに冷静さを失っている日恵野君を見て、陽子は
発汗モードを、放熱優先のシトラス系から、安静効果
の強いハーバル系に切り替える。気休めにしかならな
いだろうが。

明らかに疲労している神宮司君には、補水液を渡して、
「帰りは送って行きましょうか?鉄道を使えば30分で
帰れるわよ」と、サヤさんをおぶって帰ったルートを
提案する陽子。

『どうしたの?』という白露さんの問いには、
「いや、獣耳って本当に千差万別ね、と思って」と半分
の真実で返す陽子。

神宮司ちはや > ビアトリクスと湖城のやりとりを見るにつれ、困っていた表情も次第に柔らかいものに変わる。
あのビアトリクスがはっきりと尊敬する相手として言葉に出したというのはそれなりの付き合いだったちはやにしても珍しいことだと思った。
ビアトリクスの眼鏡に叶う相手ならばこの鼻血を出した人というのも本当に尊敬できる人なのだろう。

ふっとビアトリクスと湖城を交互に見ると笑って

「そっか……トリクシーくんそんな人が居たんだね。ふふ、良かった。
 じゃあきっと、何があってもこの人は尊敬できる人なんだね」

そう嬉しそうに言った。

逆切れの勢いと、白露のからかいにますます顔を赤くさせて俯いた。

「と、トリクシーくん……そ、それにお似合いって……そういうのじゃ、
 ぼ、ぼくなんかじゃトリクシーくん困っちゃうと思うし……ううん違くて…えっと」

口ごもりかけるも、嶋野に対して激昂するビアトリクスのことばに一瞬驚くもすぐに口を引き結んでじっとビアトリクスを見つめる。

「トリクシーくん、嶋野さんへ言い過ぎだよ。落ち着こう……。
 ぼく、そんな言い方するトリクシーくんは悲しいよ……」

少し、瞼を伏せる。いろいろ今冷静さを欠いているビアトリクスを落ち着かせようとそっと指先を握ろうとする。
陽子の提案にはちょっと待って下さいね、と視線で応えた。

湖城惣一 >  ようやく、状況――というよりは、渦中から抜けたことで自分が落ち着いてきた。
お茶を啜りながら、一同を見渡す。
会話に興じている風にも見えるシロちゃんはビアトリクスにやたらかまっている印象。
陽子は中立を保ち静観している様子。
ビアトリクスはシロちゃんとの会話やら"ちはや"やらの会話で明らかに動揺が見られる。
 ふむ。と、顎を撫でながらおにぎりを咀嚼した。
こうして大勢の交流する様を見ながら、改めて状況をも噛み砕いていく。
 少なくとも、シロちゃんがビアトリクスを動揺に誘っているようには思えた。
これが果たして不快なものかは――分からないラインだ。
彼も傍観に努めつつ、一応、白露に意識を向けておくようではあったが。
 少なくとも、自己紹介をするタイミングでもなさそうなのでここは押し黙って食事に集中しておく。
2つ目の、梅おにぎりに手を出し始めた。

ビアトリクス > 「ハァァァァァ↑↑↑?」
シロによって『翻訳』された湖城の言葉に、怒りと羞恥で顔が真っ赤になる。
いつものような冷静さが十分の一でもあればこの程度の冗談は受け流せただろうが
もちろん現状のビアトリクスには火に油をぶっかけることとなった。
陽子がなんか努力しているようだがまさに焼け石に水、タンカー火災に放水である。
「湖城先輩の不潔野郎! ゴミ虫! 淫乱侍!」
湖城に指先を突きつける。目尻には涙すら浮かべている。
もう何を言ってるのか自分でも意味がわからない罵倒である。
もはや火災を通り越してマントル大爆発、誰にも止めることはできないかと思われた。
もし彼のワンドであるスケッチブックが手元にあったなら公園は大火に包まれていたであろう。

しかし。

「うっ……」
ちはやに手を握られて、悲しそうな表情を向けられて。
みるみるうちに顔面から興奮と血が引いていく。
ハイスピードで巻き戻し再生を行うかのように、ビアトリクスは冷静さを取り戻していった。
それどころか顔が青い。

「その……ごめん」
申し訳無さそうに頭を下げる。陽子にも。

湖城先輩には謝らない。

惨月白露 > 『こいつ、自分が一番今渦中だって事に気が付いてるのかね。』

梅お握りを手に取った彼を呆れ顔で見る。
―――ビアトリクスが燃え盛るように大声を出せば、
耳がビクンと震えた。大きな音は苦手だった。

『あー、本当可愛いな、こいつ。』

想像通りの反応を見せるビアトリクスを横目に、
ちはやのほうに声をかけた。

「そろそろ私達も帰りますし、
 陽子さんの提案に甘えても大丈夫ですよ。
 見ての通り、ビー君、ちょっと今傷ついてるみたいですから、
 好きなら今がチャンスです。頑張ってください。」

にっこりと笑みを浮かべてぐっと手を握り激励つつ、優しく彼に声をかける。

『なんかこいつら面白そうだから煽っとこ。』

―――なんてことを、
面白半分で内心考えている事を隠しながら。

「陽子さん、ビー君もなんか疲れちゃってるみたいだし、
 まとめて送っていってあげてくれないかな。」

嶋野陽子 > 神宮司君に諌められてたちまち冷静を通り越して蒼白
になる日恵野君を見て、
(神宮司君がいれば、日恵野君は何があっても大丈夫
そうね。これが走ってない日のメロスとセリヌンティ
ウスなのかしら)と思う陽子だが、二人がここまで
走って来た事を思い出して、自らの例えを不適当だと
却下する。

『まとめて送って行ってあげて』と白露さんに言われ、
陽子は凄みのある笑みを白露さんに向けると、
「それも悪くないけど、貴女が一番女子寮まで送って
貰いたそうにしてるわよ。ここから音速で」と言うと、
遠投する振りをする陽子。投げ槍なら12キロは射程
圏内だ。

惨月白露 > 陽子のおどしとも取れる言葉に苦笑いを浮かべつつ、
梅お握りを食べる惣一のあいた腕に腕をからめる。

「えー、私はほら、
 大好きな彼氏に送って貰いながらゆっくり帰るから。
 ………ね、惣一?」

『……まじおっかねぇこの女。』

やり投げの動きを目で追う、
―――12キロくらいは飛びそうだ。

神宮司ちはや > 「と、トリクシーくん!!駄目だよ人にそんなこと言っちゃ!!」

ビアトリクスの怒りが有頂天!いつにもない醜態を晒して湖城を罵るのを見て、慌ててぎゅっと手を引っ張る。
このまま殴りかかったりはしないだろうけれど、もしも万が一があったりしては大変だ。
彼の目に浮かぶ涙に、思わず自分も泣きそうになる。
それぐらい、湖城という人を尊敬していてその人に彼女が居たことがショックだったのだろう。

落ち着いたことを確認するとビアトリクスの頭へ手を伸ばしてよしよしと撫でた。

「うん、トリクシーくんちゃんと謝れたね。すごく偉いよ、ありがとう話を聞いてくれて」

精一杯慰めるも今の青ざめた顔色はそのまま卒倒しそうだなと思って心配になる。
だが、直後白露にかけられた言葉にわずかに顔を曇らせた。
びくびくと怯えるちはやには珍しい、明らかに少し嫌そうな表情。
じっと相手の目を見据える。

「人が傷ついているからところを喜んだり、自分のために利用しようとするの、ぼくは嫌です。
 トリクシーくんのことは大切だし、好きだけど、そういうのでは頑張りたくないです。」

言い終わってから、少し言い過ぎたと慌てて反省して白露へごめんなさいと頭を下げた。

「湖城先輩……の時もそういう風に傷ついたからあなたは頑張ったのですか?」

透明な眼差し。表情は真っ白で、何もかも透明に変えていくような声音と視線。

湖城惣一 > 「――――」
 絶句である。いや、正しくは静止、というべきかもしれない。
握り飯を飲み込んだあと、まくしたてられた言葉の数々に思い切り湖城の動きは止まっている。
 ここまで感情をぶつけられた経験も少ない。
それにここまで罵倒を受けたのも珍しい。
 たっぷりと動きを止めたあと、息を吐き肩の力を抜きながら声を漏らす。
「――そうか」
 実際何が不潔で、何がゴミ虫なのかは理解できていなかったが。
他者が"そう"だと指摘するなら納得してしまうのがこの湖城という男だった。
 やはり、人と会話するのは難しい、と考えこむ。
 自分が渦中の存在だとは思っても居なかったし、この時ばかりは白露の視線にも気づいていなかった。
会うたびに彼を不機嫌にさせてばかりだし、
白露に関しても、なんだかんだと怒らせてしまったことがある。
先日も一番の友人を怒らせては泣かせてしまったほどであるし――。
 難しい。と、目を伏せた。
 いずれこの、見知ったばかりの二人にも何か不快な思いをさせるのだろうか、などと益体もない考えがよぎる。
 淫乱侍、については否定したいところであったが、結局何がどう人の機微に関わっているか分からない。
甘んじて受け入れる他ないか、と湖城惣一は諦める。
 しかしながら、そろそろビアトリクスも不快な様を示しているように判断できた。
「シロちゃん。楽しいのは分かったが、ほどほどにしておけ。俺の後輩たちも……困っているようだしな」
 言葉を選びながら。まあ最早帰る・帰らないの段になっているため。
時既に遅し、といった具合だったが――。
それでも、"ちはや"という少年に変に煽り立てることは減るだろうか。
 遠投に合わせて、視線を流す。視線を感じたカフェテラス二階。
常人ならざる視野で一瞬その姿を捉えてから、自然な所作で視線を戻してから、一度息を吐いた。
「色々と、すまなかったな」
 誰に向けたというよりは、全体に向けた謝罪の言葉を一度だけ投げる。

嶋野陽子 > 神宮司君の言葉に動きを止めて、
まるで神宮司君と日恵野君を庇うかのように立つ陽子。
そこで不意に違和感に囚われる。
【2d6で9以上で違和感の正体が判明】
[2d6→6+6=12]
ビアトリクス > 冷静になってみれば自分の態度には恥じるべき点が多かった。
今にして考えてみればシロの言動はあきらかに自分を挑発するものだったし、
二人の関係が実際にどうであれ自分には全く関係のないものだ。
いささか動揺していたとはいえどうして受け流せなかったのか、と強く反省の念に駆られる。
しかもどさくさに紛れてちはやにかなりとんでもないことを言った気がする。
顔が青くなったり赤くなったり忙しい。まるで人間リトマス試験紙だ。

湖城は相変わらず態度に情動を匂わせないが、どこかその様子は失意が見えた。
「…………その、すみません、言い過ぎました」
いくばくか遅れて、謝罪の意思を表する。
しかし顔は湖城のほうをまっすぐは向いていなくて、株価が落ち込んだままであることが伺えた。

「ちはやぁ……」
情けない声を上げる。
いろいろな感情が軛から逃れ溢れ出そうとしていた。
抱擁して甘えてしまいたくなる自分を、必死に抑え、ちはやの手をぎゅっと握りしめるだけにとどめた。

嶋野陽子 > (女の匂いがしない!)
舐めてDNA鑑定が出来る陽子の異能は、体臭で男女の
かぎ分けもできる。結構長く話しているので、全員の
体臭もかぎ分けられるが、その中に女性の匂いが無い
のだ。
しかし、ここで白露さんが異界人である事に思い至る
陽子。早とちりで性別詐称疑惑を口にする訳には行か
ない。ここは慎重に調べる必要がある。

「私も言い過ぎましたね。ごめんなさい」
と白露さんに謝る陽子。
「でも、人をいじるのも程々にしないと、思わぬ所で
足を掬われますよ」と忠告する。

惨月白露 > 「……はーい。」

不満気に口を尖らせつつ、惣一に謝る。
そして、目の前に立ちふさがる巨躯を見れば、
気が付いたかと一瞬眉をひそめるが、にっこりと笑って。

「あーうん、こっちこそごめんね、ビー君、陽子さん。
 最初にも言ったけど、ビー君可愛いからさ、
 ちょっと意地悪したくなっちゃって。」

そう、彼に謝りつつ、ちはやのほうに視線を向ける。

「ううん、惣一が言ってる通り、
 ちょっとビー君が可愛かったからからかっただけだよ。
 惣一とはただの仕事の同僚で、わけあって彼女のフリしてるだけ。
 だから、皆には内緒にしておいてね。」

そう言って、口に指を当てて、パチンとウィンクをする。

「ちはやさん、本当にいい人だね。
 ビー君が好感持つのもなんとなく分かるよ。」

惨月白露 > 視線を、ビアトリクス一人に向ける。

「でもね、ビー君。」

丁寧にネイルされた手を口元に当てると、小さくほほ笑む。

「付き合ってるのは嘘だけど、
 私が惣一の事嫌いとは一言も言ってないよ?
 仕事の同僚だから一緒に居る事も助けられる事も多いし、
 惣一、かっこいいからさ、そのまま惚れちゃうって事も―――。」

ぺろり、と口元を舐める。

「―――あるんじゃないかなぁ?」

神宮司ちはや > じぃっと、陽子越しに湖城と白露を見つめる。
あまりにもいつもと雰囲気の違う透明すぎる眼差し。
なんの感情も感慨も色すらのせられていないその視線をやがてふっと落として瞑目する。
は、と息を吐いてまた顔を上げた時にはそこに人間らしい複雑そうな表情が宿っていた。

「……いえ、ぼくこそ関係ないのにでしゃばって、言い過ぎました。
 ごめんなさい……ええっと、シロちゃんさん。
 内緒の件はわかりました、今この場にいるみんなの内緒ですね。

 ぼくは、いい人じゃないです。みんなが優しいから優しくしようって頑張ってるだけです。」

正しい名前を知らないのでさっき湖城が呼んでいた名前で言ってみる。
それから湖城へ視線を向ける。謝罪に対しては一言

「いえ、湖城先輩にも失礼しました。
 でも……その、トリクシーくんは繊細で優しい子なんです。
 先輩はきっと人の機微とか難しいって思われる方なのかもしれませんけど……
 あんまりトリクシーくんのこと、傷つけないであげて下さい。
 トリクシーくんが尊敬している方なら尚更……」

鈍すぎるのはやっぱりよくないと思います、といい添えて。
どの口が言うのかそう言った。自分に後々ダメージが返ってくるとかこの時ちはやは考えても居ないのだ。

とにかくさっさとこの場を去ったほうがビアトリクスの精神的にも良さそうだと思うと握られた手を軽く振ってから

「そろそろぼくたち、おいとまします。
 嶋野さんの提案はありがたいですけど、今トリクシーくん少し放っておいてほしいと思いますから
 ぼくたち二人でゆっくり帰ろうと思います。ごめんなさい、嶋野さんお気遣いありがとうございます。」

それでいいかな?と囁くようにビアトリクスへ確認する。

湖城惣一 > 「――――」
 流石にこの状況は湖城でも分かった。
というよりは、ちはやにもちょうど今言われたばかり。
傷つけないであげてください、とはまさに痛感している言葉でもあり。
「いや、いいんだ。ビアトリクス。……また、機会があったら話そう。
そちらの二人も」
 あの時に話したように。いつもどおりに、無表情に淡々と。
なるべくいつもの自分のように居て。
 仕方なく、というわけでもないが――それでも言葉を続ける白露の頭に、叩くように手を置くだろうか。
「ほどほどにしておけと言ったろう」
 彼の発言は不透明だ。いや、湖城にとっては誰の発言でも不透明だったが。
今の白露の言動が今までのそれに連なるものだとは理解していたために。

ビアトリクス > 「な、なんだァ……」
ネタばらしが入ると、モディリアーニが描くジャンヌの肖像画のような魂の失せた表情をする。
そういえば、公安と風紀の嘱託委員と以前に自己紹介を受けていた。
荒事の絡む仕事であれば、そう言った偽装の必要性もあるのかもしれない。
そうわかって見れば、湖城の見せた言動につきまとっていた違和感にも説明がつく。
株価も多少は持ち直した。でもやっぱり完全には回復しきらない。
理屈ではどうしようもないこともあるのだ……。

「……」
舌を見せたシロには、フン、と鼻を鳴らした。
「別にいいんじゃない。
 さっきはいきなりあんなのを見せられただけだからびっくりしただけだ。
 お互いが納得した上でなら……ぼくに口を出す筋合いはないよ」
表情こそどこか割り切れない複雑な感情が見えるが、その言葉に嘘はない。
「それに……、いや、なんでもない」
言葉の途中、横目でちはやを見た。それが何より雄弁に語っていたかもしれない。

ちはやにも言いたいことはないでもない。
結構自分的には普段言えないことを言ったつもりだったのだが、
それにしてはあんまりな反応にも思える。

「ちはやはさ……自分を安く見積もり過ぎだよ。
 ぼくが言える話でもないけどさ。
 もっと……自分を誇ってほしい」

しかし諫言はそれだけに留めた。それしか言えなかった。
ビアトリクスは、ちはやにはどうしようもなく甘かった。

ちはやの提案に頷いて、その手を取り、……俯いて、指を絡める。
そうして公園に背を向けた。

嶋野陽子 > 神宮司君がケアするのならば、
陽子の出る幕ではない。
「そうね。神宮司君だけが側にいてくれるのが、多分
日恵野君にとっても一番落ち着くでしょうし」と神宮司
君に答えると、
「私もそろそろランニングに戻ります。この暑さなので
皆さん熱中症には厳重注意して下さいね」と言うと、
皆に一礼してゆっくりと走り去っていく陽子。

ご案内:「常世公園」から嶋野陽子さんが去りました。<補足:スポーツビキニ姿で、ジョギング中。>
惨月白露 > 「私こそ、気を悪くするような事言っちゃってごめんね。」

二人で帰る、という言葉を聞けば、
ビアトリクスのほうに視線を向ける。

「あ、別に惣一の事が好きってわけじゃないんだ。
 
彼の泳がせた視線の先を見て、笑みを浮かべる。

「―――ふーん。」

それだけ言って、それ以上は何も言わずに、
『気を付けて帰ってね、熱中症もだけど不審者には気を付けて。』
と、3人を見送る言葉を言う。

食べ終わって空になった弁当を仕舞いながら、
3人に笑顔で手を振り、見送った。

神宮司ちはや > ビアトリクスの諫言には微笑のまま軽く小首をかしげた。

「うん、ありがとう……。それじゃあ行こうか。
 ちょっと涼しいところを選んで帰ろう。

 先輩、シロちゃんさん失礼します。」

去っていった陽子を見送り、残った二人に頭を下げると
ビアトリクスの手を引いて公園の入口へ向かっていった。

ご案内:「常世公園」から神宮司ちはやさんが去りました。<補足:巫女舞の少年。ジャージ姿>
惨月白露 > 失礼しますとお辞儀する彼に手を挙げて別れを告げ、
3人が立ち去り、惣一と二人きりになれば、
『ふー』と息をついて、足を組み、ベンチに腕を投げ出す。

「言っとくけど、『ほどほどに』って言われても、今度は謝らないぜ。
 対人関係の練習だ、意味はてめぇで考えろよ、この朴念仁。」

荷物をまとめると、鞄を持って立ち上がる。

「―――俺も帰る、女子寮まで送ってけよ。彼氏。」

ちらり、とカフェテラスの方向に視線を送る。
もう視線は感じないが、なんとなく、今一人きりになるのは不味い予感がする。
自分だけではなく、お互いの為に。

ご案内:「常世公園」からビアトリクスさんが去りました。<補足:褪せた金髪 青い瞳 上下ジャージ>
湖城惣一 >  三人が去っていくのを見送れば、白露の耳元に口を寄せる。
「不審者といえば」
 最初に感じた気配。その姿を確認したことを告げておこうと。
特に、今はまだ二級学生である白露にとって危険な人物であることには違いない。
 小声で、ひっそりと。微かな声で。亜人系の白露ならば、声をギリギリまで落としても完璧に聴きとってくれるだろう。
 白露の頭に手を載せたまま、
『正親町三条楓。式典委員会がこちらを見ていた。少なくとも、お前と俺をな』
 警戒の声色。式典委員会がどう絡んでくるかなど知ったことではないが、重要なのは噂に聞くその異能――。
『接触することがあれば、些細なものでも"約束ごと"に気をつけろ。
委員会の調停者とされる奴の異能は、それに関するものだと聞いている』
 実際、物騒な考えから来る視線ではなかった(※湖城を除く)はずだが。
少なくとも感じた敵意自体、湖城という男にとって警戒させるに十二分な理由だった。
 梅おにぎりを完食して――。
「む」
 忠告したつもりが、忠告された形になって。顎を撫でて考える。
「ああ。ようやく出来た縁だ。良く付き合って行きたいものだからな」
 考えておこう、と頷いてから。ひとつ、深く考えてからこちらも立ち上がる。
さしあたり――彼氏と呼ばれたならば。
 頭に載せていた手を離して、こちらから手を差し出す。
「勿論、送って行こう。生憎と暇なものでな」

惨月白露 > 耳打ちされれば、
『まぁ、こいつなら聞き取ってくれるだろう。』と考えながら、
自分もそのままの姿勢で小さい声を返す。

「気付いてるよ。見てるやつが居たな。
 誰かどうかまでは分らなかったけど、そうか、式典委員会か。」

『約束事な、分かった気を付けておくよ』と返事しながら、
彼は振り返るように、視線の感覚を思い出す。

『いや、あれは『監視』とかそういう類じゃなくて、
 もっとこう、凝り固まって汚れた黒い油みたいな、おぞましい何かのような気がする。』

そう考えて、ぶるっと震える。

「ってか、よく見えたな、ここからカフェテラスって結構距離あるぞ?」

呆れ顔でため息をつくと、
彼の手を取り、笑顔を向ける。

「―――ああ、帰ろうぜ。」

そう言って手を引くと、
『まじでなんだったんだろうな、今日の公園は。』と考えながら、公園を後にした。

ご案内:「常世公園」から惨月白露さんが去りました。<補足:銀髪に黒メッシュ、空色のウルフアイ、赤い鞘の刀を持っている。>
湖城惣一 > 「凝り固まった黒い汚れ――」
 敵意。悪意。"害意"に分類される類には敏感だが、相も変わらずその種別に分け隔てはない。
何とも説明しがたい"意"であったことには間違いないが――。
「目は俺の生命線の一つだからな」
 感覚器から第六感に至るまで。その身一つでくぐり抜ける男にとって、これらの鋭さはまさに尋常ならざるを言っていい。
 そのまま白露の手を取りながら、
 ――人間とはやはり、難しいものだな。
 などと真剣に考えつつも。今は彼を家に送ることに専念した。

ご案内:「常世公園」から湖城惣一さんが去りました。<補足:どなたでも乱入歓迎。身長181cmの痩せぎすで目つきの悪い男。勘違いしたような和装ベースのファッション。横一文字に傷痕の残る腹を丸出し。>