2015/07/30 - 22:35~02:42 のログ
ご案内:「屋上」にヨキさんが現れました。<補足:人型。黒髪金目。197cm、拘束衣めいた袖なしの長衣、ロンググローブ、ハイヒールサンダル>
ヨキ > (夏休み初日、午後。
 デッサンの講習会を終えて、屋上のベンチにひとり横たわっている。
 西日が建物に遮られ、日陰を風が通り過ぎてゆく。
 ベンチの端から足を床に投げ出して、頭の傍には飲みかけの緑茶のペットボトル)

「………………、」

(すう、と静かな寝息。
 腹の上にはタイマーをセットした、シャンパンゴールドのスマートフォン。
 眠っているらしい)

ヨキ > (不意に、ぱちりと目を開く。アラームはまだ鳴っていない。
 スマートフォンを持ち上げ、時刻を確認して、)

「…………なんだ……」

(設定した時刻まで、あと3分ほど。
 目覚まし時計の通りに眠っていられないのはいつものことだ。
 それでも何となしにがっかりした様子で、目元に腕を載せる)

ご案内:「屋上」に美東暦さんが現れました。<補足:白黒2色の男女。白いノースリーブパーカーと黒いメンズのスキニーパンツ>
ヨキ > (階下に蝉の声を聴きながら、ゆっくりとした呼吸を繰り返す。
 講習会か、あるいは来学期のことか、はたまた――とにかく、じっと考え事に耽っているらしい)

(――ぴ、)

(アラームが鳴り掛けたその一瞬のうちに、手早くタイマーを切る。
 んん、と小さく唸って、むくりと身を起こす。
 くしゃくしゃの黒髪が、いくらか乱れている)

美東暦 > 鳴らず止んだアラームがほぼ同時か、段に足音を鳴らし屋上へ出る。
西日を目の当たりにして目元に手をかざした。
フードを上げた白いパーカーが光で妙に照る。

口ずさんでいた洋楽を止めて、「おおおぉお……」と意味のない声を漏らした。
翳さない指先は銀色の缶を下げている

ヨキ > (ベンチに座り直し、髪を掻き上げる。
 眼鏡の下に指を差し入れて目元を擦り、ペットボトルを取る。
 中身をぐいと煽ったところで、やってきた人影と、その声に目を向ける。
 小さく笑って、)

「…………、やあ。散歩かね」

美東暦 > 夏期の休みも始まって、わざわざ日の近い此処に誰が来ていると思っていなかったのだろう。
ヨキの声に、パーカーの丸い頭が一瞬震えて振り返った。
「おぉう……っ!? あ、ヨキ先生こんちわーっす」

細長い缶を振るのは、一昨年度に年金工の講義をとっていた数少ない生徒の一人だ。
授業態度はともあれあまり手先の器用な人間ではなかった。

散歩かとの問いに曖昧な笑み。
暑さを避けようと日陰へと歩み寄る。
「いやぁー、ちょっと美術部にまた顔出してみようかなー……とか思って」

ヨキ > (それが知った顔であることを認めて、軽く手を掲げる。
 振り返る様子に、可笑しげにくすくすと小さく笑った)

「久しいな、美東君。元気にしていたかね?」

(日陰へ向かって歩む姿に声を投げながら、ベンチの隣を空ける。
 美術部へ、と聞けば、ほう、と感心したような声を上げて)

「そうか。それは嬉しいことだな。
 部の方は他の先生に任せてあるから……ヨキもすべてを見ている訳ではないが。
 ともあれ、美術に触れてくれることは嬉しいよ。

 君は、興味の幅が広かったからな。真面目で話も巧くて、印象に残ってる。
 何か部でやりたいことでも思いついたか?」

美東暦 > 「はー元気元気ー、いや、あっちーですけどねーもー」
表情を崩して首元でフードをぱたぱたと振る。
汗が一筋首を流れていった。

空けて貰った場所へ腰を下ろしながら横目で問う。
「あー、もしかして午睡邪魔しちゃったとか? やーちょっと居るとか思わねーからびっくり」
といって、内容ほど気が引けている風はない。

足を組んで並んで座る。
視線は西日を隠す向こうの棟。
「先生みたいに出来りゃ楽しーんだろなーとは思うんだけどなー。
いやちょっとこないだ行ったら、後輩が絵描いてて。 あ、魔術の練習とか言ってたか。
しばらく休みも長いし、また見てみたいなーっていう…、多分向こうは見られたくねーでしょーケドね」

ふふ、と笑う。

ヨキ > 「それだけ元気ならばよい。
 バテて夏休みを楽しめないとあっては、つまらんだろうから。

 今は、少し休んでいただけさ。
 掲示板を見たかね?夏休みの間、デッサンの補講をやっているのでな。
 それが終わって……少し、休憩していた」

(腰を下ろす美東の隣で、緑茶をもう一口。
 むしろヨキの方が夏に弱そうな土気色の肌をして、しかしその肌に汗はほとんど滲んでいなかった)

「はは。ヨキの腕は……好きで続けてきたら、自然と重なっていったものに過ぎんよ。
 ……後輩?絵を描いて……魔術を使う、美術部員……」

(視線だけを上にやって、また美東を見る)

「日恵野、ビアトリクス?」

(首を傾げる)

美東暦 > プルタブが薄い音をたてて開かれた。
「えっ、マジでー。 最近見てなかったなーネットの方にものせてあるんすかねー」

一口唇を湿らせると、灰色の瞳が横にヨキを見る。
表情は楽しげ。
「ヨキ先生って、こー、変なもん好きじゃん。 それでけっこー講義も楽しかったから。
秋期は他にもなんか講義してくれるとオレ的にはうれしーんですけどねー。 アレ単位もらえたし」

デッサンかぁーと息を吐いた。
美術部員と言って、金属加工と同じく筆を持つのもそう得手なわけではない。
続けたら、というのに苦笑した。さきほどの「興味が広い」という言葉。
「まあ、そこがねー、オレもほんと何にも散漫で…
え? ああ、そうそう。 ビアトリクス」

首を傾げるヨキに軽い調子で頷いた。
比較的部活に熱心な生徒なら、ヨキは当然知っているだろうと…
「ほんとふらっと見に行ったら、放課後までずっとやってたみたいで。
 なんか逃げられちまったケドねー」
口元は仕方なかったかな、という風に歪む。

ヨキ > 「ポータルにも通知は載せてあるでな。見ておくとよい。
 参加は自由ゆえ、気が向いたら覗いてみるといい」

(美東の言葉に、にいと笑って)

「ありがとう。退屈な講義で生徒を飽きさせては、教師の名が廃るからな。
 それに……新しいものを知って取り入れてゆくことは、ヨキ自身の勉強にもなる。
 ……そうだな、君の気が向くようなカリキュラムを、何か考えておくか」

(ビアトリクスについての話に、ふうん、と小さく漏らして)

「逃げられた、か。……ヨキもそうだった。
 だが実際に話すと、真摯で、よい子だ。
 彼は……今日の講習にも参加してくれてな。やはり手馴れたもので、見所があった。

 ……散漫でも構わぬと思うぞ、ヨキは。
 一度覚えたことは、どこへ行ってもいつか役立つときが来る。
 描くでも作るでも、気になることは触れてみればよい。
 肌に合わなかった、というのも、またひとつの発見だからな」

美東暦 > 空いた手がポケットから出した端末を軽く弄った。
忘れないようにポータルサイトだけ開いたのだ。
ヨキが来期のカリキュラムに触れると、軽く口をとがらせて目を輝かせる。

「お お お? オレも四年だし、期待しちゃおっかなー」
実際のところは、そういったカリキュラムもすぐ決められるものでもないだろうし、
学園側とのすり合わせもあるだろう。
そこは了解しているから、軽い調子で合わせるだけだ。
ビアトリクスの話になって、そのままその話題は切る。

「まー別にオレだってそんな悪いよーには考えてねーですけどね。
ほら、可愛い後輩なわけだし? ま、そーいうのも見てて面白いっていうかね。
って言うタイプは苦手そーかなー、んくく、にひひ」
忍び笑い。
ひとしきりで止めて、視線を向こうの建物へ飛ばした。

「今言ったけどオレも四年だし、一応区切りってもんが控えてるわけじゃねーですか。
自分の思うことやってみて、自分が気になることあれこれ触ってみて、
そんで結局どうすんのよー、って。
…ヨキ先生はたとえばこのガッコ離れることになったらどうするとか、何したいとか、考えてたり?」

ヨキ > (学習計画を思い起こしながら、つらつらと考えを巡らせているらしい。
 楽しげな顔で、隣の美東を見遣って頷く。

 ビアトリクスに対する、軽いながらも先輩らしい語り口には、頼もしさを感じ取って笑う)

「あんまりからかうと、また逃げられてしまうぞ。
 ……だが君は君で、目の付け所は良いし、むやみに無神経なタイプでもないからな。
 きっとそのうち、打ち解けることも出来るだろう」

(続く言葉と質問には、そうだな、と少し考えて)

「学び舎を離れるときが決まっている学生には、不安になる話であるよな。
 いちばんやりたいことが、見つからなかったときには、と。

 ……ヨキは、例えこの学校を辞めたとしても、島には残るつもりで居るからな。
 自分の作品づくりに集中してもいいし……それだけではとても食えんから、また人に教えてゆくのもいい。
 人とのネットワークだけは、手広く広げてきたつもりだ。

 ものを作ること、あるいは人と付き合うこと。
 それらヨキの好きな物事から、そう遠くないところで――やっていく心積もりは、ある」

美東暦 > 「ちょっとやってみたいなってこともあるんで、ま、美術部は、会えればなって感じで。
あっこも人あんまいねーもんなー、ははは。
ああいう部屋って、結構嫌いじゃねーんですけどね」
言って缶ジュースを一気に呷った。
細い首に、喉仏がわずかに出ている。
そうする間も、ヨキの言葉が続いた。

「…っふはー、なるほど。 腹決まってるってのは、やっぱいーなーって。
色々やっときたいこととか、心残りとかはあるけど、どーも…
それでも答えみたいなものが一つでも出れば、気持ちは違うのかな、てーのはね。
やっぱり作品とかも、一個完成させるっての、あんでしょ。
ヨキ先生なんかはもうそれが出来てるから、そうやって自分がやることハッキリできてるのかな」

視線は外したまま。
飲み干した跡を軽く拭うように手を添えて、まっすぐ前の、どこも見ていない。

ヨキ > 「美術部は、静かだからな。制作するには持ってこいだ。
 真面目なのが揃っているのもあるだろうし……。
 美東君のように朗らかな者の出入りがあれば、明るくもなるだろう」

(美東の顔に顔を向けていたために、その喉仏も自然と目に付く。
 が、特に気にした風はない。実際のところ、このヨキにとって相手の性別は、瑣末な要素に過ぎないらしい)

「作品は、完成しなければ意味がないからな。『未完の大作』に、正当な評価はつかん。
 だからヨキは、完成させる。完成出来ないなら、手を止めて次へ行く。
 ……もしかすると、ヨキが亜人であることも、気質に影響している向きがあるやも知れんな。
 人間のように悩みも迷いもするが、頓挫はしない。

 学生と向き合うときに、自分の性質が煩わしくなることも……ある。
 先生は、自分のことを何も判ってくれない、と言われたことを、よく覚えている。

 君ら生徒に向けて、本当にヨキから言えることは少ない。
 『やりたいと思ったことは、やる手順が思いついたそのときに、すぐ着手するべきだ』――と」

美東暦 > 「あんまり騒ぎ立てないように気をつけまぁーす」
巫山戯気味にそう笑う。
そのまま立ち上がってヨキの方を見た。
日差しに照る屋上を背に、見下ろす形。

「いやぁー…きっついなー。 でもやっぱり、それが必要なんだろなー。
途中でほっぽり出しちゃダメだよな~~~。
でも、いやぁそれこそ【ヒト】の話なんじゃないかなーとオレは思うかな。
そういうタチの【ヒト】だ……っていうような」
顔を陰にして、困ったように苦笑いした。

「んー、オレが思うのはさ。
そんな、先生ってのは、コッチのこと何もかも理解してくれて一から十まで言葉をくれるって必要はねーんじゃねーかな、と。
ヨキ先生は一つのカタチを見せてくれるから。
それって結構、でかいよね」

「今もそうだし」と付け足して、踏み出した。
数歩歩いたところで、ゴミ箱に向かって缶を投げた。

「手順かー、講義でも言われたもんなー。
何をやるにも、しっかりと完成させるには手順を考えろって。
一段一段、やっていくしかないって…
あ、いやーなんか長々とすいーませんねー」
随分と話してしまったな、と。
缶の吸い込まれていったゴミ箱から振り返る。

「じゃ、今はそうだな。さっそくちょっと部室寄ってみるんでぇー」

ヨキ > (腰掛けたまま、美東を見上げる。まるでまばゆいものを仰ぐように、薄らと目を細める)

「本当に棄てさえしなければ、いつ何どきほっぽり出したって構わないのさ。
 君が何気なく『また美術部へ顔を出してみようかな』と思い付くのと同じで……甲斐は、ある。

 ……先生は何も判ってくれない、と泣かれるのも、誰より人間らしい、と褒められることも。
 どちらもヨキの姿だ。

 少なくとも、自分で誤っていると思うことは、口にしないことにしている。
 君がヨキの言葉を拾い上げて、手掛かりのひとつにしてもらえるのならば――ヨキは幸せだ」

(幸福さを、臆面もなく口にして笑う)

「手順は頭で考えることも大事だが、その実取り組むうちに整理されてゆくものだよ。
 確かに、セオリーはある。だがそこに自分らしく手を加えてゆくのは、君だとも。

 ……ふふ。ヨキにとっては、生徒と会話を交わすこのひとときが楽しみだからな。
 また話そう、美東君」

(美術室へ向かうと言う美東を、笑って見送る。
 自分はベンチに腰掛けたまま、目を伏せる――微笑んで、しばし穏やかに黙考する)

ご案内:「屋上」からヨキさんが去りました。<補足:人型。黒髪金目。197cm、拘束衣めいた袖なしの長衣、ロンググローブ、ハイヒールサンダル>
ご案内:「屋上」から美東暦さんが去りました。<補足:白黒2色の男女。白いノースリーブパーカーと黒いメンズのスキニーパンツ>