2015/08/05 - 21:01~02:25 のログ
ご案内:「商店街」に石蒜さんが現れました。<補足:黒髪に褐色の肌、漆黒の巫女装束の少女。>
石蒜 > 夕暮れの商店街を、石蒜は嬉しそうに、少し駆け足で歩いていた。
久々に外で体を使えた上に、今日は畝傍と一緒なのだ。
家具や布団、調理器具など、サヤの分の買い物はもう済ませたので、交代してもらって服と水着を買いに行く所だ。
実質デートとも言えるだろう、だから石蒜ははしゃいでいる。
少し急ぎすぎたことに気付く、畝傍が居ない。後ろを振り向いて戻り「畝傍ー。」同居人にして恋人、そして命の恩人であり、無二の親友の名を呼びながら、正面から抱きつこうとする、ちょっと離れたことが不安だったらしい。
そして顔をあげ「えへへ」と屈託のない笑顔を向ける、身長差と仲睦まじい様子から、二人まるで姉妹のように見えることだろう。
ご案内:「商店街」に畝傍さんが現れました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。巨乳。銃を持っていない>
畝傍 > 「シーシュアン」
橙色に身を包んだ少女――畝傍が、彼女の名を呼んだ。
いつも携帯している長大な狙撃銃を、今日は持ち歩いていない。
それは夏季休暇中の外出が、銃を持たずにいられる時間を少しでも延ばすための訓練も兼ねているためだ。
こちらに抱きつこうとしてくる石蒜を、その両腕で受け止め、抱きしめんとする。
「……ふふ」
そして笑顔を向けられれば、こちらも暖かい微笑みを返した。
石蒜 > 抱きついたまま、大きく鼻から深呼吸。畝傍の匂い、安らぎの匂い。そしてこちらも腕を回して抱きしめ返すと、マーキングするように顔をこすりつけた。
でもいつまでもこうしていられない、ちゃんと目的があるのだ。一旦離れる。
「服と、水着だよね。石蒜もサヤも、こっちの服とかわからないから、教えてね。どこに行けば買えるかな?」キョロキョロと周囲を見渡す、服を売っているらしい店は何件か見つかるが、そこに水着も売っているかはわからない。
畝傍 > 「うん。ちゃんとおしえるから、しんぱいしなくていいよ」
と、微笑みつつ伝え。
「えーっと……ようふくやさんは、もうすぐ、だね。このへんを、もうすこしまっすぐあるいて……」
そう言いながらしばらく歩いていると、通りの側に掛けられた看板が見えてくる。
「みつけた。ここだよ」
今回目的としていた、そこそこ大きめの服飾店だ。扉の近くで一旦立ち止まり、石蒜にそれを伝える。
彼女の好みにさえ合致すれば、普段着から水着まで、一通り揃うだろう。
石蒜 > 「ありがとー」ふにゃりと笑う。何の心配もなく、安心しきった笑顔である。
畝傍の後をついて、店の前に立つ。
「ええと……」看板は漢字とアルファベットで読めなかったので、そのまま図形として覚えた。きっと一人でも来れるだろう。
「どんなのがいいかなぁ、畝傍みたいなのある?」出来ればお揃いを一着用意して一緒に着たいという思いから、聞いてみた。
そして自動ドアを通って、店内へ。
「うーん、すごい。」というのが第一の感想だった、店中に所狭しと服が並んでいる、こんなに沢山種類があって、他の人は選べるのだろうかとも思った。
畝傍 > 「うーん……どうかな。このスーツ、ボクのいた国の、ちょっととくべつなのだから。ここには、ないかも」
答える。畝傍のボディスーツは祖国で開発された特別製だ。
島内にある一般の服飾店では、恐らく同じものは市販されていないだろう。
石蒜とともに自動ドアを抜け、店内へ足を踏み入れる。
白を基調とした壁や床の雰囲気もお洒落で、そこにさまざまな色や形の服がずらりと並んでいた。
「どっちから、さがす?ふだん着る服と、水着と」
そう、石蒜に尋ねる。まず普段着と水着のどちらから探すか決めたほうが、探しやすいだろうと考えたのだ。
石蒜 > 「そっかぁ、一緒の服着たかったのに。」残念そうに呟く。実際ボディスーツを一緒に着たら体型の差が歴然となって、かなり悲惨なことになるだろう。
「んー、普段着は見つかんなかったらこれ着てればいいから」これ、と袖をぱたぱた振って今の巫女装束を示す、暑苦しい服だが慣れているので真夏でもある程度は平気だ。
「だから先に水着探そうよ。畝傍はもう持ってるんだっけ?」水着水着、とそれらしいものを探す。
サヤの世界で水着といえば、女性でも布地が少ない褌にさらしというのが一般的だったので、こちらの水着を見ても水着とはわからなかった。
「うーん、石蒜が知ってる水着はないなぁ。」
畝傍 > 畝傍が自分の分の水着を持っているのかと石蒜に問われれば、
「うん、もってるよ。クトにえらんでもらったの」
かつてサヤを救出するため畝傍に協力してくれた者の一人、焔誼玖杜の名を挙げる。
先日、畝傍と玖杜は商店街の服飾店で互いの水着を選び、購入するに至ったのだった。
「……あ、シーシュアンはクトのことしらなかったっけ?焔誼玖杜。まえに、サヤのことでいろいろてつだってもらったの」
石蒜が玖杜のことを知らない可能性を考慮し、付け加える。
続けて、石蒜の知る水着がここに無いとわかると。
「そっか。じゃあ……これは、どうかな。あんまり、はだがでてないの」
肌の露出が少ないワンピースタイプの白い水着を指差し、印象を聞いてみる。
石蒜 > 「ほむらぎ?迦具楽さんと同じ名字だね、親戚なのかな?」水着売り場に向かった畝傍のあとをついていく。会ったこともないが、裏で手伝ってくれたと聞くと「じゃあ会ったらお礼しないとねー。」とのんきに応える。あんまり興味はなさそうだ。
「うーん、これ肌にぴったりくっつくのかな。」白いひとつなぎの水着を受け取って、体と重ねるようにして持ってみる。
「ぴったりするとほら、その……アレがさ、そのままカタチ出ちゃうよね。ちょっと恥ずかしいかな。」水着の股間のあたりを見ながら。本来女性にはない器官をそなえる体だ、あんまりそれを強調したくない。
「こっちの布巻いてる奴なら隠れるかな?」薄緑のパレオ付のビキニを手に取る。
「布がちっちゃいなぁ、みんなこんな水着を着てるの?」露出が恥ずかしいわけではないが、どうにも頼りないように見える。脱げたりズレたりしないだろうか?
畝傍 > 「どうなんだろ。そのことは、きいてなかったきがする」
畝傍の記憶では、以前迦具楽に出会った時、二人の関係性までは彼女の口から聞かなかった気がした。
肝心の石蒜があまり興味がなさそうにしているので、一旦この話については置いておき。
「あ……そう、だね。いちおう、いまはシーシュアンみたいな子も、めずらしくないみたいだけど」
体に密着するタイプの水着では石蒜の股間が強調されてしまうのが問題であった。
大変容後の世界では両性具有者は珍しくないということ自体は世話になっている養護教諭から聞かされていたので、一応そうフォローするも、
本人が望まないのなら無理強いはせず、違うものを検討してみる。
「そだね。だいたいみんな、そんなかんじだとおもう。ボクのはもうちょっとあったかな」
こちらに問いかける石蒜の言葉に応える。玖杜に選んでもらった水着の下についているフリルスカートの長さは、
少なくとも今石蒜が手に取っているビキニに付いたパレオよりは長かっただろうか。
「うーん。もうすこしおおきめのなら、かくれるかも」
やや小さめに見えるパレオを見て、しばし考えたのちそう告げた。
石蒜 > 「うーん、珍しくないのかぁ。でもやっぱりくっきり浮かび上がっちゃうとなぁ……。」この世界ではそうかもしれないが、サヤの世界にはめったに居なかったので、やはりそれと分かるようにするのは恥ずかしい。気持ち良いから好きだけど、それとは話が別だ。
「そっかぁ、あんまり肌出したことないから、ちょっと勇気要るなぁ。」今開放中の海岸は見にすらいったこともない、波止場で釣られたことはあったが。
とりあえずもっと腰に巻いた布が大きいのを探すために一旦戻した。
「あ、これならいいかな?」まるでスカートのように足元までパレオが伸びた水着を手に取る。全体的に薄紫の色調だ。
「これなら袴みたいだからちょっと安心かも。」
「どうかな?」と体と重ねてみるがサイズが全然合っていない、石蒜の体はいいとこ小学生ぐらいで、大人向けのそれとはほとんど用をなさないのが見て取れるだろう。
畝傍 > 石蒜が選んだ大人向けの水着は、彼女の小さな体には重ねた時点で合わないことが、畝傍の目にも明らかに見て取れる。
「うーん……ながさはよさそうだけど、ちょっとおっきいかも」
はっきりと伝えてしまってよいものか、としばし言葉に詰まった後。
「シーシュアンのカラダだったら……えと……こども用の水着のほうが、あうんじゃないかな。シーシュアンが今もってるの、おとな用のやつだし」
一応、伝えた。合わない水着を買ってお金を無駄にしてしまうよりはよいだろうという判断であった。
石蒜が拒否しなければ、よりサイズの近い子供用水着を探そうとするだろう。
石蒜 > 「おっきい……。」言われて、見下ろしてみればパレオは地面についているし、トップの位置に合わせればボトムはひざぐらいのところにある。
でも泣かない、石蒜は泣かないもん。
「……うん、そーする……。」ちょっとだけ沈んだ声で、同意する。14歳はまだ子供だ、だから仕方ない。
目の前の恋人なら着こなせそうだが、それは気のせいだ。子供が子供用を使うのは当然だ。
「うぐうぐうぐうぐ。」悔しげなうめき声とともにパレオを少しはたいてから元の位置に戻す。
畝傍 > ごく短い距離を歩いて子供用水着の棚へ移り、股間が十分に隠れるであろう長さのパレオがついた水着を探す。
しばらくすると、先程石蒜が持っていたものに近い配色とデザインの水着を見つけた。パレオの長さは先程のものよりやや短く、膝の上程度。
だが石蒜の股間にあるものを覆い隠すには、十分であろう長さだ。
「これ、どうかな。これなら、おおきさもあってるとおもうけど」
その水着を手に取り、石蒜に見せてみる。
石蒜 > とてとて、と小さい歩幅ですこし早足でついていく。
「うん」と似たような水着を渡され、体に重ねてみる。
ちょうど置いてあった鏡にも映して確認。
これなら隠れるし、大丈夫そうだ。
「これなら大丈夫かなぁ、水着の試着って出来るの?」
先日パジャマを買った時はサヤは下着やパジャマの試着をしていた記憶がある、水着でも出来るだろうか。
畝傍 > 石蒜が水着を体に重ねる様子を畝傍も確認し、どうやら大丈夫なようだと考える。
続いて水着の試着ができるかと問われれば、やや離れたところにある試着室を指差し。
「あっちに試着室があるから、そこでできるとおもうよ。あ、水着を試着するときは下着ははいたままでね」
と、一応説明しておく。
石蒜 > 「服と一緒なんだね、じゃあちょっと行ってくるー。」
水着を持って、少し駆け足。試着だけとはいえあまり離れたくないのだ。
草履を脱いで、試着室に入りカーテンを閉める。
磁石でかちりとカーテンが固定された。
巫女装束を脱ぎ捨てて、スポーツブラとボーイズレッグショーツの下着姿。
「下着より面積少ないなぁ、本当に大丈夫なのかな…?」
水着とハンガーから外して、身に付けるが、ブカブカだ。
「あれ、あ、結び目?」紐の結び目で長さを調整するタイプらしい。
まずトップスから、結び目をほどいて、サイズを合わせ結ぼうとして、左手がうまく動かず、結べない。左腕はまだリハビリ期間中なのだ。
「うぐうぐうぐ……う、畝傍ー、ちょっと来てー。」困り果てて、試着室の中から畝傍を呼ぶ。
「紐が結べなーい。」いつも子供のように甘えているが、こんなことまで頼るのは本当に子供になったようで、少し恥ずかしい。
畝傍 > 呼ばれれば、試着室へ早足で駆け付け。
「そっか。じゃあ、ボクがむすんでみるね」
と言って、石蒜が結べずにいるトップスの紐を両手で持ち、
サイズが合うようにしっかりと結んでみせた後。
「これで、どう?」
問うてみる。
石蒜 > 「ありがとう、左腕まだちょっと利かなくて……。」頼りっきりで少し情けない思いだ。左手をぐっぱー、動きが少しぎこちない。
左腕は、辻斬として暴れていた頃に、二の腕と手首で2回切断している、きちんとした処置をせず適当に繋いだために、後遺症が残ってしまったのだ。完全に回復するかはわからない。
「ちょっと待ってね。」肩紐をたるみを直したり、すこし引っ張ってズレないか確認。「うん、良い感じ。」
そしてやっぱりゆるゆるのボトムスをはいて、腰に押さえつける「あと、下もお願いしていいかな。」
畝傍 > 「うん、いいよ」
ボトムスの紐も結ぶようお願いされれば、優しい声で答える。
今の石蒜は左手をうまく動かすことができないうえ、回復の見込みも不明。
ならば、親友である畝傍が協力しない理由はなかった。
まだゆるいボトムスの両紐を先程のように掴むと、きつく締めすぎて石蒜が痛がらないよう気を付けながらずり落ちない程度に締め、結ぶ。
「あとは……これかな」
石蒜が満足すれば、パレオを巻く作業にとりかかるだろう。
石蒜 > 同じようにボトムスの履き心地も確認。布の面積が頼りないのは相変わらずだが、これなら脱げる心配もなさそうだ。
「うん、大丈夫。」
次はパレオ、これも巻ける自信がないので任せる、両腕をあげてばんざいのポーズ。
巻き終われば、見せつけるようにくるりと回り「どう?どう?可愛い?」と期待を込めて尋ねる。
畝傍 > 前方がきちんと隠れるように、しっかりパレオを巻き終わると、
石蒜はくるりと回ってこちらに問いかけてくる。その問いに。
「うん。かわいいよ、すごく」
暖かい微笑みを見せながら、素直に感じたまま、そう答える。
石蒜 > 可愛い、と言われれば嬉しさがこらえきれないといった様子でぴょんぴょんと小さく跳ねる。
「良かった。畝傍もね、いつも可愛いし綺麗だよ。水着着たらきっともっと可愛いよ、一緒に海行こうね。石蒜は海行ったことないから楽しみなんだ。サヤもあんまり行ったことないみたい。えへへ、楽しみだなぁ。」今から待ちきれないようだ、せわしなく水着を触ったり、試着室の壁の鏡に自分を映して見たりしている
畝傍 > 試着室の中をせわしなく動き回り、喜びを全身で表現する石蒜の姿を、
姉というよりは母親のように微笑みながら見守りつつ。
「ありがと……そっか。じゃあ、こんどいっしょにいこ。シーシュアンも、サヤも、ね」
そう伝える。畝傍自身も母国にいた頃はあまり海に行った経験がなかったので、二人――否、三人にとって新鮮な体験になりそうだ。
石蒜 > 「うん、一緒一緒。サヤも嬉しいって。」石蒜に体を譲っているため、喋ることの出来ないサヤの気持ちも代弁しながら、満面の笑顔になる。
「じゃあ、この水着にするね。脱ぐのは出来るから、外で待っててー。」水着の結び目を解かないように脱ぎながら。
日常的に一緒にお風呂に入っているので、恥ずかしいわけではないが、巫女装束をもう一度着るのにこの試着室に二人では狭い、一旦出てもらう必要があった。
畝傍 > 言われた通り外に出て、やや力を抜いた姿勢で立ちながら、しばしの間石蒜が着替え終わるのを待つ。
水着が子供用に落ち着いたので、私服も探すならやはり子供用を探すのがいいのかな、などと考えていた。
石蒜 > 「お待たせー」ちゃんとハンガーに水着をかけて出てくる。
「じゃ、次は服だね。すごい種類あるみたいだけどどうしよう。」店の壁にかけたるのだけで、柄や形は千差万別だ。選ぶ基準を持たない石蒜にはこの中から選ぶのは至難の業に思えた。とりあえず子供用のものでいいだろうけど。
畝傍 > 「うーん」
畝傍もまた、腕を組んで少しの間思考する。組まれた腕が豊満なバストを強調した。その後。
「シーシュアンは、スカートとズボンならどっちがいい?」
尋ねてみる。女の子でもボトムスの好みは人それぞれ大きく分かれてくるだろう。
まずはそこから聞いてみて、帰ってきた答え次第で考えてみることにする。
石蒜 > 「………。」強調された畝傍の滋養にあふれた丘陵と
「…………。」自分の枯れ果てた荒野を見比べる。
「くっ……。」年はほとんど同じはずなのに、この不平等な世界が恨めしい。
そして、ボトムスの好みを聞かれれば
「ええと、"すかあと"が裾が広がった形ので、"ずぼん"が、袴が窄まったような形でした…よね……?」思い出しながらも、不安で語尾が上がる。
「うーん、"すかあと"は下から見たら丸見えですし、下着が何も守るものなく外気に触れるっていうのはちょっと……。やっぱり"ずぼん"が良いですかねぇ。」
と、他の人を見て抱いていた感想を述べる。スカートは衣服としてあまりにも頼りないように思えた。
畝傍 > 「そっか、ズボンだね。いまなら……みじかいほうが、いいかな」
ズボンが良いと聞くと、しばし歩いて子供服売り場へと向かい、石蒜の体に合いそうなものを探しはじめる。
やがて石蒜が後をついてくるのを確認すれば、一枚の青いショートパンツを手にとって彼女に見せ。
「これは、どう?」
聞いてみる。
石蒜 > また小さい歩幅で、すこし早足で畝傍の後をついていく。まるで鳥の雛が親鳥の後を追うようだ。
「長くても全然大丈夫だけど、夏だからそういう格好したほうがいいよね。」
35度を超える猛暑日でも、平気な顔で巫女装束着て歩きまわっているので、見ていて暑苦しいという苦情を何度かもらった。
見せられた短めの下衣を、腰に当てる。
「ほとんど足が丸見え……石蒜は大丈夫だけど、サヤが恥ずかしいからもうちょっと長いのにしてほしいって。」一年を通じて着物で過ごしてきたサヤにとって足を露出するのはおしりや胸を出すのに次いで羞恥心を生むようだ。
畝傍 > 「うーん。そっか」
先程のショートパンツでは短すぎたらしい。
棚に戻し、数歩動いて別の棚を探すと、膝から下まである長さのズボンが目に入る。
最初に目に入ったのは黒いズボンだが、今の時期に黒はどうかとも思い、赤いズボンを手に取って。
「じゃ、これはどうかな」
また、見せてみた。
石蒜 > 「んー、これどう?サヤ。」と体の中で感覚を共有しているであろうサヤに語りかける。ズボンを腰に当てると、露出するのは足首少し上ぐらい。
「うん……うん?……こっち?」と同じ色と長さで、ポケットが沢山ついたカーゴパンツを取る。
「サヤが沢山ものが入りそうだからこっちがいいって」と畝傍に見せる。
ファッションは複雑怪奇だ、流行りとなれば男でも女物の着物着たり、あるいは今まで男物とされていたのが全く変わったりする。
だからとりあえず「これ石蒜が履いても大丈夫かな?」確認をとった。
畝傍 > 石蒜から見せられたカーゴパンツをしばし見つめる。
履いても大丈夫だろうか、と問われれば。
「うん。いいとおもうよ」
と、微笑みつつ答える。少なくともこちらの世界においては、女性がズボンを履くことに関しては特に問題視されないはずだ。
まだこのカーゴパンツを購入すると決まったわけではないものの、
「上着は、どんなのがいいかな」
と、一応上着についても聞いておく。
石蒜 > 「そっか、じゃあとりあえずこれは暫定ってことで。」赤いズボンは戻して、カーゴパンツを抱える。
なんだかスイスイ決まっていって、自然と顔がほころんだ。
「上着はねぇ、あの丸い止め具がない奴。」ボタンのこと言っているらしい、付け外しのジェスチャーをする。
「だからええと……こういう奴かなぁ。」壁にかけられたTシャツを指差す。
「サヤも腕だったら出しても恥ずかしくないって。」着物でもたすきで袖をまくりあげて腕を露出させるときもある、足ほどの羞恥はないようだ。
畝傍 > 「ふんふん」
頷きながら、石蒜が話す上着の好みを一通り聞くと、またも数歩動いて今度は上着を探しはじめる。
腕は出しても恥ずかしくないとのことであったが、念のためノースリーブではないものを、と考え。
白を基調に、両袖の部分に赤いワンポイントの入った、赤いカーゴパンツに似合いそうな半袖のシャツを取り、
「これかな」
と、また見せてみる。
石蒜 > 「おー」と受け取ったシャツを持って鏡の前へ
「こんな感じかぁ」とカーゴパンツとシャツを重ねてみる。
「赤と白だから道着と似た色合いになってるねー。」
慣れ親しんだ色合いのせいか、馴染みがない服でも少し親しみやすく思える。
「サヤはどう? うん、そっか。」
畝傍に振り向いて「サヤも気に入ったって、これにしようか。色違いを何着か買えばいいかな?」いくら気に入っても、それしか持ってないのはあんまりおしゃれとは言えない、ぐらいはわかるので、ある程度コーディネート出来るようにはしておきたい。
畝傍 > 「そっか。わかった。じゃあ」
同じデザインの色違い。ベースの白は同じで赤色だった部分が紫色と青色になっているもの、大きく色が変わって黄色と黒のもの、合わせて三枚ほど手に取り。
「こんなかんじで、いいかな」
まずは見せ、石蒜の反応を見てみる。よければこの三枚に決めるだろう。
石蒜 > 「ちょっと貸してー」と見せられたシャツを受け取って、また鏡の前でズボンと合わせてみる。
「ふんふん」鼻を鳴らす、あまり服飾に明るい方ではないが、それでもわかるほど変な組み合わせではなさそうだった。
「これでじゃあさっきの赤い"ずぼん"も買えばひと通りそろうね。」と先ほど戻したズボンを取りいって、戻ってくる。
「これでとりあえず普段着は大丈夫かな?また足りなくなったら買いに来ようね。」えへー、と緩んだ笑顔。 あまり一気に買うと場所を取るし、どれを着ればいいかわからなくなりそうだ。それにまた買い足しにくれば畝傍とデート出来る。だから今日はこのぐらいでいいだろう。
畝傍 > 「そだね。またひつようになったら、かいにこよ」
そう伝え、石蒜の緩んだ笑顔にはこちらもほんわかとした笑顔を返すと、
購入を決めた水着と普段着を持ってレジへと並ぶ。
やがて前の客が会計を済ませれば、畝傍もまた品物をレジに置き、
自身が持つ正規の学生証に導入されている電子マネー機能を用いて購入を済ませるだろう。
石蒜 > ほわほわと笑いながら一緒にレジに向かう。
そして懐からがま口を取り出して支払おうとして、畝傍が会計を済ませたことに気付かず、そのままレジの脇へと出てしまった。
「え、あれっ。お金……。」あまりにスムーズに通ってしまったので、支払いが完了しているとは思っていないようだ。
「う、畝傍、石蒜お金払ってない……。」泥棒扱いされないか、不安そうに畝傍のスーツを引っ張って、小声で伝える。
畝傍 > 何やら小声で伝える石蒜のほうを向き。
「だいじょうぶだよ。いまのは……ボクの学生証についてる、電子マネー機能ではらったの」
買った服を袋に詰めながら、不安そうにしている石蒜をなだめるように伝える。
レジの近くにある、電子マネーチャージ用の端末を指差し。
「あれに電子マネー機能がついてる学生証をおいて、お金を入れたらそのぶんのお金が学生証にたまって、ためておいたぶんだけ使えるんだ。正規の学生証なら、申請すれば電子マネー機能がついてるものにできるんだって。べんりだから、つかってる」
と、より詳細な説明も付け加えた。
石蒜 > 「"でんしまねえ"……ええと、先払いでお金を学生証に入れておけるってこと?」小さい学生証のどこにお金が入るのかは疑問だが、見た目は小さな袋だが、中に沢山ものを詰め込める魔法のアイテムなら知っているので、それに似たものだろうか?
「あ、ってことは今畝傍が払ったってこと?もー、私が払うつもりだったのにー!石蒜ちゃんとお金持ってるよ!」頬をふくらませて、ぽかぽかと背中を叩く。
畝傍 > 「そんなかんじかな」
学生証の電子マネー機能に対する認識は、そんなものでだいたい合っているだろう。
きちんとお金は持っていたという石蒜に、不機嫌そうに背中を叩かれれば、
「あはは……ごめん、ごめん」
と、片手を頭の後ろに当て、素直に謝り。
「それじゃ、またこんど買いにきたときは、シーシュアンがはらってくれる?」
そう、お願いしてみる。
石蒜 > 「そっかぁ、財布から小銭とか出さなくていいなら便利だなぁ。」この国の通貨は一円だの五円だの、小銭の種類が多くて大変だった。かといってお札ばかり使っていると財布が重くなって、余計小銭を探しづらくなる。
そういった手間が省けるなら、やってみようかな。
「うん、次は石蒜のおごりだよ。頼ってね。」にぃっと笑う。
そして店から出ようとしたところで、あるものを見つけて立ち止まる。
「あ、そうだ畝傍。石蒜とサヤって、犬っぽい?」
唐突に、そんなことを問いかける。
「焔誼さん……迦具楽さんがね、サヤが犬っぽいって言ってた。だから石蒜も犬っぽいのかな?畝傍は石蒜が犬になったら可愛がってくれる?」
畝傍 > 「うーん……どうだろ。まだわかんないや。どうして、カグラはサヤのこと、いぬっぽいっておもったのかな」
疑問を口にする。迦具楽の言葉によれば、どうやらサヤは犬っぽいらしい。
畝傍自身も、混沌の影響が抜け邪悪な性質が弱まった現在の石蒜には人懐こさを感じていたが、犬っぽいか、と明確に問われると判断しかねる。しかし。
「でも、シーシュアンはいぬになっても、ねこになっても。ほかのなにかでも……なにになっても、ボクのいちばんだよ」
それだけは、畝傍が石蒜に対して確かに言えることだ。
満面の笑みで、そう伝えた。
石蒜 > 「石蒜もわかんない、でも迦具楽さんから首輪渡されてた、家でずっと眺めてた奴。」ここ数日、サヤは家では食事と風呂、睡眠以外ずっとその首輪を眺めていたので、畝傍も知っているだろう。
「えへへ、そっか。石蒜は畝傍の一番、約束したもんね。ちょっとまってて!」と店の中に引き返して、何か買い物をする。
レジを通過して、急いで戻ってくると
「おまたせっ」その頭に、買ったばかりで値札のついた犬耳がピョコピョコと動いていた。
「えへー、わんわんっ!だよ。」犬のように手を丸めて、畝傍に頬をすりつける。
畝傍 > 「首輪……そういえば、サヤ、ずっとみてたよね。もしかして、サヤがいたせかいで首輪って、だいじなものなのかな」
サヤの故郷、ファーイースト・レルムにおいて、人から贈られる首輪は特別な意味を持っている。
しかし畝傍はまだそれについてサヤの口から直接聞いてはいないので、石蒜に尋ねてみることにした。
やがて、犬耳を付けた石蒜がこちらに頬ずりをすると。
「わあ、シーシュアン、ほんとにいぬになってる。かわいいね」
そう言って、石蒜の小さな体を優しく抱きかかえてみる。
石蒜 > 「えーとね、首輪を送られた女の人は、送った人のものになっちゃうんだって、結婚とかするつもりの恋人が贈るみたい。だからサヤは受けるか断るかずっと悩んでたんだって。」犬耳が嬉しそうにパタパタと動く。腰の後ろにもしっかり尻尾がついていて、それも嬉しそうに振られている。
「わんわん♪」抱きかかえられれば、尻尾が激しく振られる。
「えへー、幸せー。」大好きな人の腕の中で、一緒に笑っていられる。それが途方もなく幸せだった。
でも、言わないといけない。畝傍の前に、石蒜の一番だった人のことを。
「あのね畝傍、ちょっと聞いてくれる?多分畝傍に説明しないといけないんだ。出会った時に石蒜の一番だった、鳴鳴様のこと。あの夜。鳴鳴様が死んじゃったあの夜ね。石蒜はすごく悲しくて、一緒に死のうと思ったんだ。」尻尾も耳もしんなりと垂れる。今でも気持ちに整理がついたわけではない、でも畝傍には話しておかないといけないように思えた。
「でもあの後、鳴鳴様が本当に欠片も残さず消滅したのがわかって、その時にね。『幸せになれ』って言われたんだ。ずっと悩んでたけど、やっとわかった気がするんだ。鳴鳴様のことは、もう居ない人だから一番にしてちゃいけないんだと思う。絶対に忘れない思い出だけど、一番じゃ駄目なんだ。」ぎゅっと、抱き返す、畝傍がここに確かにいることを確かめるように。
「だから、畝傍。畝傍が今石蒜の一番だよ。約束するよ、ずっと畝傍が生きてる限り石蒜は一緒に居るし、畝傍は石蒜の一番だって。」尻尾がゆっくりと揺れる、愛情をねだるように。
畝傍 > 「だから、サヤはずっとあの首輪をみてたんだね」
石蒜の話に対して、素直に耳を傾ける。
サヤの故郷では、首輪にそのような意味があったらしい。
尻尾を激しく振り、幸せそうにする石蒜を見ている畝傍もまた、暖かい笑みを浮かべていたが、
やがて彼女の口から鳴鳴の名前と、あの夜に石蒜が鳴鳴と運命を共にしようとしていたことを聞けば、それまで明るかった畝傍の表情は若干暗くなり、俯く。
しかし、鳴鳴が消滅の間際、石蒜に対してかけた言葉を知ると。
「……そう、なんだ。……やっぱり」
表情が少しずつ戻りだし、その顔は再び石蒜の方に向く。瞳にはかすかに涙が浮かんでいた。
彼女――鳴鳴もまた、石蒜の幸福を望んでいたことに変わりはなかったのだ。故に。嗚呼、それ故に。現実は互いに命を奪い合う結果となってしまったのだが。
その言葉を聞いて、畝傍も決心がついた。過去の罪は消えない。しかしそれから決して逃げようとはせず。向き合いつつも、未来へ歩んでいくことはできる。
今は石蒜との幸せな時間を噛み締めながら生きようと、そう誓った。だから。
「うん……やくそく、だよ。ボクのやくそくも……ずっと、かわらないから。だから……そばにいてね」
もう一度石蒜を抱きしめんとし、耳元でそう囁く。
石蒜 > 「うん、約束だよ。ずっと一緒に居ようね。」パタパタと尻尾が揺れる。
「この尻尾、便利だなぁ。うれしい時すぐわかるね。」自分の揺れる尻尾を見て、笑う。そう、嬉しいのだ、今こうして居られることが。
入っていた箱に脳波を探知してなんやかんやと説明があったが、読めないので見なかった。
「さ、帰ろ。お風呂また一緒に入って、一緒に寝よ。ずっと一緒。」と手を握ろうとする。
畝傍 > 「うん、かえろっか」
買った服を詰めている袋を片手に持ち、もう片方の手で、
尻尾を揺らしながらこちらに手を差し出している石蒜の手を握ると、石蒜の歩幅に合わせてゆっくりと歩き出す。
そうして、二人は女子寮への帰路につくだろう。
ご案内:「商店街」から畝傍さんが去りました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。巨乳。銃を持っていない>