2015/08/14 - 20:18~23:15 のログ
ご案内:「大時計塔」に倉光はたたさんが現れました。<補足:[乱入可] ブカブカのダサいTシャツ 切りそろえられた白い髪 黄金の瞳>
倉光はたた > カツ、カツ、カツ、カツカツカツカツ。
裸足に直履きしたローファーを鳴らして、大時計塔の階段を上がっていく。
覚束ない足取り、不必要に前屈み気味の姿勢。
白い髪。黄金の瞳。『瞬間排撃』と筆文字で書かれたTシャツ。
どれぐらいの時間をかけて昇っただろうか。
外への扉を、両腕で力いっぱい押して、開く。
風が吹き抜ける。曇り空。雲の合間から見える、淡青の空。
最上部。人の足でたどり着ける空に近い場所の、そのひとつ。
しかし、空までの距離は果てしなく遠く、手を伸ばしても届きはしない。
それをはたたは、ただ惚けるように見上げていた。
倉光はたた > ふらふらと、何かに誘われるようにして縁から身を乗り出す。
常世島が一望できるここは、高い。
仮に落ちればはたたの肉体は取り返しのつかないほどに損壊するだろう。
そして今度こそ再び歩き出すことはあるまい。
強い風に煽られて、切りそろえられた白い髪がなびく。
天を仰ぐ。
はたたは言葉で思考することに慣れていない。
ただ。
何かに追い立てられている。
そんな漠然とした焦燥がある。
あるいは、逃れなくてはならない。
どこへ?
こんな頼りない身体では、きっとどこにも逃れられない。
そんな確信がある。
「う、う――――」
ふいに、頭を抱え、うずくまる。
「ううう――」
唸り声。
倉光はたた > 倉光はたた。
目が醒めて『以後』、そう呼ばれた。
だからきっとそれが自分の名前なのだろう、とはたたは思っている。
しかし本当にそれは、
「ううう、ううう――!」
唸り声は続き、全身に汗がにじむ。
痛みを堪えるようなものへと声色が変わる。
うずくまる、はたたの着るTシャツ、その背中、肩部分が……
ひとりでに、奇妙に隆起し始めた。
ご案内:「大時計塔」にギルゲイオスさんが現れました。<補足:背中に『魔王』と筆文字でプリントされたTシャツ、Gパン、魔王の剣>
倉光はたた > やがて――Tシャツの布地を突き破って、骨のような何かが出てくる。
両方の肩から、それぞれひとつずつ。
「ハァーッ、ハァーッ……」
肩口から、どろりと赤く粘った液体がシャツに染み出し、肌に貼り付かせる。
屈んだはたたの相貌が、激しい疲労の色ににじむ。
みし、みし、と音を立てながら、骨に似た白い突起が伸びていき――
一メートル程度になったところで、それが止まる。
さらにそのそれぞれの長く伸びた突起から、新たに小さな突起が、
たたまれていたのが広がるようにして、四つ現れる。
櫛状に広がった合計八つの小さい突起。
それは不格好な天使の翼のようにも見えなくはなかった。
ギルゲイオス > くあぁ……ふぅ…ん~む、やっぱり授業の後は疲れるのであるな。
(あくび一つ盛大に漏らしながら、くたくたな様子の魔王様――は空の上。
時計塔頂上部程度の高さで、飛行魔術、身に纏って寮へと帰る途中の事)
おや…?
(人影か、と、うずくまる姿。
横眼に捉えると、小さく喉元で唸り)
余り、具合が良さそうには見えんのであるな。
何でこんな場所に、は置いといて。
病院にでも、連れて行った方がよさげ――
(空を滑るように、誰か、の方向へと近づいて、ゆくの、だが)
……む
(異変、背中から現れる、何か。
翼のようなモノ、という表現が一番近いか。
ややと思考を交えた後、少しとばかり距離をとった、見下ろす位置にて)
大丈夫であるか?
随分と、苦しそうに見えたが。
(様子見、も交えて。
一つ、声を掛ける)
倉光はたた > 「スゥ、スゥ……」
四つん這いになって手をつき、床に爪を立て、呼吸を整える。
それに合わせて、『翼』もゆらゆらと揺れる。
声の方向に、屈んだ姿勢で身体を回転させ、視線を向ける。
「――!」
はたたの目が見開かれる。
空を飛ぶ、これほど大きな生き物を見たのはおそらくはじめてだった。
「ウゥゥゥゥゥ……」
唸り声を上げながら、空を飛ぶ男に相対し、凝視する。
はっきりとした警戒。
言葉には応える様子がない。応える術を持たないのかもしれない。
天を向いた翼が黄金色に発光し、バチバチと帯電する。
ギルゲイオス > 変身?あるいは変態、とでもいうべきか……
手慣れて『そう成った』様には見えぬが
(片目を閉じると思案気に、顎を指で軽くと撫でる。
出血、らしき物はソレなりに見えるが。
今すぐ命に係わる、という様子でもなさそうか)
ん、あぁ。
いやな、たまたま空を散歩しておったら、うずくまってる姿が見えたのでな。
少々と心配して、様子を見に――
(何時も通りに口元へと緩い笑みを浮かべたまま、事の理由を説明し始めた辺り、だった)
ちょ、ちょっと、ストップストップである。
別に取って食ったり、妙な事をしよう気は一切ないのであるよ。
(両手を頭よりも上にしたポーズをとり。
最初は驚きに口調が早くとなったものの、次第と落ち着いた声音へと戻し。
落ち着かせるように、言葉を続ける。
もっとも、コッチの言葉が理解できているのか、どうか。
雷撃と思わしき輝きを、細めた双眸で見やりながら。
万が一に備えて、魔術詠唱の準備だけは整える)
倉光はたた > 「………………」
ギルゲイオスに相対したまま――まばたきを一つ。
すると、バン! という音と共に
翼状突起に蓄えられていた雷撃が一筋の光となって……
彼とはまったく反対の方向に放出され、消散した。
へたり、と翼が萎えたように力を失って柔らかく折れ曲がり、背に貼り付く。
背中を汚していた出血はいつのまにか乾いていた。
「ゥ……」
警戒は収まったらしい。
二足歩行の獣を思わせる前屈みの体勢から、直立姿勢へと。
前後にゆらゆらと揺れて、バランスを取る。
人間的な情緒からは少し外れた、しかし生気の篭もる瞳がギルゲイオスを見据える。
次に向けられたのは不審の感情。お前は何者なのか、という。
ギルゲイオス > うおっふっ
(発射された雷撃に、思わずと妙な声を上げれば、肩がビクンと揺れた。
正直な所、まともにぶつかってこられると、無傷で無力化する事に自信が無い。
射撃の方向、少なくとも此方に向かって撃たれなかった事は、色々な意味で御の字だ)
まぁ、ちょっと待つのである。
我だけこう高い位置では、失礼であるからな。
(一息と付けば、相手にむかって軽くと手を振り。
飛行状態から徐々に高度を落とすと、床へとあしを着ける。
その間にも、視線は相手から離さず、ずっと見ていた)
あーうん、言葉、は通じるのであるかな?
(ひとまずは近づき過ぎない程度。
お互い、逃げようと思えばすぐに逃げられるし。
攻撃しようと思えば、少しとばかり時間が必要な位置。
様子を伺いながら、悩み考えるように視線を泳がせ)
我は、この学園の一年でな。
魔王、ギルゲイオス・ホッドケーテ、である。
親愛と畏怖を込めて、ギルと呼ぶが良い。
(何時も通りな自己紹介、軽くと胸に掌を当てて済ませ。
そちらは?とばかりに視線を投げる)
倉光はたた > 浮遊状態から接地する男の動きに沿って、首を動かす。
ゆらゆらと身体を前後に揺らし、足の位置を微妙に変えながら、
ギルゲイオスを注意深く観察した。
まっすぐに立つだけのことが、彼女にとってひどく難儀な行為であるように見える。
「ギ、ル、ゲ、イオス。ギル」
彼の発したその単語を、彼の口の動きを真似て繰り返す。
それが名前であることに思い至ったらしい。
「く、ら、み、つ、……は、た……た」
もごもごと口を動かして、音の連なりを言葉にする。
名を告げるその様子はどこか自信なさ気に見えた。
頭をがくがくと振る。自分の持つ自分についての情報をどうにか絞りだそうとしていた。
「がくえん……びょういん……さんねん……ゆきえ」
意味のばらばらな単語が吐き出された。
ギルゲイオス > あぁ、立っているのが難儀であれば、座った方が良いぞ。
といっても、座るといざって時に動きにくいかもしれんがの。
(ジェスチャーで示すように、右手を上下に動かして、から。
僅かばかりと間があって、自分自身が床へと腰を降ろす。
襲いかかるにも、すぐには動けない格好だ。
相手の警戒を薄めるのには、まぁ、そう悪くなないとは思うのだが)
そうそう、ギルゲイオス、ギルであるな。
ふむ、全く通じぬ、という訳ではないか。
(座ったままに、様子を眺める。
まぁ、どちらかと言えば、此方の言葉を真似した、という雰囲気が強いが)
くらみつ、はたた、であるか。
ふむ、名前であるかな。
(この国の名前、については詳しくはないが。
流れとしては、恐らくはそう言う事なのだろう。
暫く、相手の言葉を聞いていた)
学園、病院、三年……ゆきえ…ゆきえ……?
(何か、身の覚えるのあるような。
視線を空へと向けると、小さく考え込んで)
あー……平岡ユキヱ、であるかな?
風紀委員の、こんな髪型をした。
(自分の髪、それを両側からつかみ、ツーサイドアップ気味にしてみる。
我ながら全く可愛くないが)
倉光はたた > 右手の動きを視線で追う。
そのまま、促されるままにぺたりと尻餅をついた。
あいかわらずゆらゆらと首を揺らしているが、先ほどよりは激しくはない。
「!!」
ツーサイドアップっぽいそれを指さしてがくがくと首を上下に振った。
ユキヱ、それは『目覚めて以後』初めてコミュニケーションが成立した相手だった。
「ゆきえ、の、へや」
そのまま弾かれるようにゴロゴロと転がってその場で小さく往復し始めた。
ギルゲイオス > ふむ、そうそう。
楽にするのが良い。
(ヒラヒラと手を軽くと振れば、口元に緩くと笑みを描く)
おぅや?
当たりであったかな。
(如何にも肯定っぽいしぐさに、片目が大きくと開く)
ユキヱの部屋、という事はあ奴に保護されておったの、かな――って、めっちゃ転がってる!?
案外結構元気であるな!
っと、そのTシャツ……なるほど、恐らくそれもユキヱに貰ったモノであるかな。
(転がる間、背中に見えた『瞬間排撃』の文字、一部破れて文字も消えていそうだが。
思うに、我が教えた店で買ったものだろう。
他に、あんなTシャツ買うヤツが居るとは思えないし)
なるほど、ならばあ奴に連絡を取れば保護を……
(言いかけて、気づく)
……連絡先、知らんのであるっ!
(連絡の取りようが無かった)
倉光はたた > ギルゲイオスが愕然としているのをよそに、
はたたのローリング速度はどんどん激しくなり――
勢いをつけたまま、だん! と床を足で蹴る。
「よっ」
のんきな顔をギルゲイオスに向けながら、
宙返りして時計塔の屋上、その縁を越え――
ヒュルルーという効果音とともに地表へと落ちて行くだろう。
ギルゲイオス > ――え゛?
(思案に耽る間と、少々視線を外してしまったのが、不味かったのかもしれない。
気が付いた頃には、縁のギリギリ)
って、墜ちたぁぁぁああああ!?
(時計塔の天辺に、魔王様の叫び声が木霊する。
ぁぁああ、の叫びが消える直前、立ち上がると床を一気に蹴り出して。
思いっきり勢いをつけると、後を追うように飛び降りる)
呑気な顔晒してる場合ではないのである!!
レイヴンッ!!
(一瞬と周囲に黒い粒子を纏うと、落下速度が更に上昇。
戦闘用の、飛行呪文。
相手が自由落下のままであれば、少なくとも、地面に衝突するまでには間に合う速さ)
ったく、もうっ
(黒鳥の如くに空を疾走すれば、激突するよりその前に、かっさらって拾い上げにゆく)
倉光はたた > ばたばたと髪を逆立てながら落ちて行く。
力の抜けた表情のまま。
これが本来の、馴染んだ在り方だとでも言わんばかりに。
空を駆ける魔王の青年が、視界の中肉薄してきても、それは変わらない。
彼の動揺した内心など、はたたには知らぬことだった。
地表まであとわずか。
ギルゲイオスがはたたを掴む、そのほぼ同時のタイミングで、
萎えていた翼状突起が、ば、と広がった。
ちり、という音を立てて淡く光る。
「…………」
拾い上げられるなら、しばらくの間はギルゲイオスに身を委ねる。
視線が合う。目を細める。笑ったようにも見えた。
自分が墜落して死ぬことなどないと、知っていたかのように。
ギルゲイオス > (伸ばした右手で服を掴み、引っ張り上げ。
左腕を相手の背面へと回し、ややと抱えるようにして姿勢を安定。
――の後に、上昇方向へと軌跡を取る、心算であった、が)
なるほど……いや、ま、翼っぽいのがあるし、飛べても不思議はないのであるがな。
(拾い上げた両腕に掛かる重さが、相手の身に比べると随分と軽い。
勿論、鳥やらの合理的な翼、とは随分様相が違うが。
『翼』と定義されるような物体を持つのならば、それを媒介にした飛行の魔術なり、何らかの能力なり。
そういうモノを持っているのも、道理といえる。
安心したんだか気が抜けたんだが、ため息と共に肩を落とし)
まったく、心臓に悪いにも程がある、のである。
(笑みの様な表情に、呆れたとばかりにもう一度大きなため息が)
ひとまず、一旦降りるのである。
(相手から両手を離すと、地面を指さし。
近くに見える地表へと、高度を落としていく)
倉光はたた > 両手を離されれば、ふわ、とゆるやかに、舞うように地面へと着地する。
ギルゲイオスの感じた通り、広げた翼状突起からいかなる磁場を発生させたのか、
彼女の身体は羽根のように軽くなっていた。
ギルゲイオスが呆れたような素振りを見せていると、
ぼんやりとした表情のはたたが、ふいに口を開く。
「おりこーさんです!」
誰の何に対して向けられた言葉かも判然としないまま、
ギルゲイオスの傍を通り過ぎるようにして猫のように駆け抜けていく。
穴が空いて血まみれで、しかもサイズの合わない『瞬間排撃』Tシャツの背を見せて。
月面を走るように、軽やかに。すぐにその姿は見えなくなるだろう。
盆の時期、再び歩き出した元死体が、
冗談みたいな気軽さで、学園地区を駆けていった。
ご案内:「大時計塔」から倉光はたたさんが去りました。<補足:[乱入可] ブカブカのダサいTシャツ 切りそろえられた白い髪 黄金の瞳>
ギルゲイオス > (地面に両足をつけると、もう一度と一息ついて。
頭を左右に揺らせば、首の骨が小さくと音を立てた)
あ、ん?
(謎の一言に、疑問符を浮かべる間も無く)
何がお利口なのかって、いや、え、ちょまっ!!!
(疑問に対する返事をもらうより早く、速攻でその姿がとーくまで駆け抜けていってしまう)
……何だったのであるか、いったい。
(うでを組み考えるも、結論は一向に出そうもない)
ぬぅむ、ユキヱの知り合い、なのは間違いなさそうで、あるが。
こんど会ったら、聞いてみるか。
(謎は謎に残したまま、解決法はなく。
なんとも釈然としないまま、緩い足取りで夜の街を進んでいく)
ご案内:「大時計塔」からギルゲイオスさんが去りました。<補足:背中に『魔王』と筆文字でプリントされたTシャツ、Gパン、魔王の剣>