2015/08/17 - 16:56~20:22 のログ
ご案内:「住宅街の通り」にサヤさんが現れました。<補足:カーゴパンツ、Tシャツ、足袋と草履。>
サヤ > 降りしきる雨の中、俯きながら歩く人影。その手には閉じられたままの傘。
ずぶ濡れの少女の名はサヤ。
先日、友人からプロポーズを受けたと思っていたのが、自分の勘違いだったとわかり、自分の馬鹿さ加減にあきれている。
そして、その友人が危険な状態にあるというのに、自分のことしか考えられないことに嫌悪すら感じていた。

サヤ > 歩みが止まる、どこかに向かっていたわけでもない、ただ足を動かしていただけだ。
雨は嫌いではない、出歩く人が減るし、涙も誤魔化してくれる。
私は無力だ、苦しんでいた焔誼さんに何もすることが出来ず、近寄るなと言われて従うしかなかった。
あの後火柱が上がったのが見えた、焔誼さんは死んでしまったのかもしれない。私は、居合わせたのに何もすることが出来なかった。

サヤ > 石蒜が羨ましい、畝傍さんという相手が居る。自分の全てを曝け出して、それを受け止めてくれる相手が居る。
私には居ない、親代わりだった師匠にすら、遠慮して、良い人間であろうと見せかけていた。
この世界に来て、私を好きに……友達としてではなく、もっと深い意味で好きだと言ってくれる人が出来たと思ったのに、そうではなかった。からかわれていただけだった。
なんて馬鹿なんだろう、一人で勝手に勘違いして、舞い上がって、挙句に、そんな相手が苦しんでいたのに助けることも出来ない。
違う、私のことじゃない、焔誼さんのことだ。私はなんて嫌な人間だろう。違う、私じゃない。私はどうでもいい。

サヤ > ぐるぐると頭の中で回り続ける思考の奔流に、膝を突く。あの時と一緒だ、刀に魂を奪われたあの時と。
私は何も成長していない、違う。今は私のことじゃない。
何度やっても同じ所に戻る思考に苛立つ。自分の考えなのに、思い通りに行かない。
握りしめた拳で、自分の頬を打った。

サヤ > 頬、こめかみ、後頭部、首の後、喉、鎖骨、胸骨、腹、みぞおち。
サヤ > 雨音に混じって、破裂音に似た肉のぶつかる音が響く。
「……うぅ……ひっく。」あまりにも惨めで、嗚咽が漏れる。
どうすればいいんだろう、私に何が出来るんだろう。せっかく救ってくれた命なのに、何も出来ない。

ご案内:「住宅街の通り」に嶋野陽子さんが現れました。<補足:制服姿で散歩中の筋肉娘。>
嶋野陽子 > 雨の住宅街を歩いていると、
自分で自分を殴っている人影を認める陽子。近付く
と、サヤさんらしいので、慌てて駆け寄る。

「何しているんですか、サヤさん?!!?」

サヤ > 「ぐす……うぅ。」拳で涙を拭う。血が出るほどは自分でも殴れない、無意識な手加減が、自分の身が可愛いようで、情けなかった。

名前を呼ばれ、膝をついたまま振り向く。涙に滲んだ視界だが、その頼もしいほどのサイズで誰だか分かった。
「嶋野、さん……。」その名前をつぶやく。
「何を、してるんでしょう……私……何も出来なくて…私。」まとまらない思考で、答える。その声に力はない、うわ言のようだ。

嶋野陽子 > サヤさんのただならぬ様子に、
「サヤさん、一緒に寮に帰りませんか?」
と、屈んでサヤさんの手を取る陽子。

サヤ > 長い間雨に打たれていたのだろう、その手は白く、震えていた。
「………。」俯いたまま、微かに頷いた。雨と涙が混ざった雫が、顎から垂れる。

ご案内:「住宅街の通り」に嶋野陽子さんが現れました。<補足:制服姿で散歩中の筋肉娘。>
嶋野陽子 > 弱っているサヤさんの様子に、
「以前のように、背負ってもよろしいですか?」と尋
ねる陽子。サヤさんなら、傘を差しながらでも、何
とか片手で背負って帰れるだろう。
「あと、寮では畝傍さんのお部屋にお連れしますか?
それとも私の部屋でお話ししますか?」と尋ねる。

サヤ > 「すみません……。」背負われながら、弱々しく、消え入るような声で呟く。
部屋、ずぶ濡れのまま畝傍さんに会ったら心配されるだろう、でも、嶋野さんの部屋では迷惑がかかる。
「ロビーで……大丈夫です……一人で、なんとかします……。」迷惑はかけられない、その思いで、どちらも選べなかった。

嶋野陽子 > 「ロビーで…大丈夫です…」
というサヤさんだが、服はずぶ濡れだし、着替えも
無い。むしろ大浴場に入ってもらっている間に、服を
乾燥機で乾かしてあげた方が良いのでは?
そう思った陽子は、
「ならばせめて大浴場で温まって下さい。その間にその
服を乾かしますから。あと、他ならぬサヤさんです
から、迷惑なんかじゃありませんよ。何が有ったか
は知りませんが、私の筋肉を触って忘れられる事な
らば、いつでも歓迎しますよ」と提案する陽子。
貴重なファン1号だから、サヤさんに対するサービス
を惜しむ気は毛頭も無い陽子だった。

サヤ > 「すみません……すみません……。」提案には答えず、それだけを繰り返す。いつもなら喜んで触る鍛えぬかれた肉体も、今はただ背負われるままに腕を乗せているだけだった。

「私なんかのために……私なんか……私なんか、何も出来ないのに……。」助けられるのが、優しくされるのが辛い。何も出来ず、何も返せない自分が恨めしい。結局また自分のことを考えていることに気付いて、唇を噛む。
「私じゃないんです、助けられるべきは……私じゃなくて……焔誼さんなんです…でも、私には何も出来なくて……。」

嶋野陽子 > 焔誼さん…伽具楽さんの事…?
寮への歩みは止めないまま、
「伽具楽さんに…何か有ったのですか?」と、激辛カレー
で酷い目に遭わせてしまった知人の事を尋ねる陽子。

自分の筋肉を撫でようともしないサヤさんの様子に、
ただならぬ事態があったのかと遅蒔きながら気付く
陽子。

サヤ > 「苦しんでたんです……落第街の、路地裏で……。」嶋野の背で、ポツリポツリと、説明する。それは聞かせるというよりも、自分の記憶を整理するような調子だ。

「苦しんで……自分を見失いかけて……私、一緒に、すぐそばに居たのに……何も出来なかった……助けてあげたかったのに……何もできないで……逃げ出したんです……。」あの時の無力感が鮮明に蘇り、歯噛みする。

嶋野陽子 > サヤさんの発言を繋ぎ合わせると、

『落第街の路地裏で、伽具楽さんが苦しんでいたが、
何らかの理由でサヤさんは、助ける事が出来ずに、
逃げ出した』という事らしい。

話を整理すると、陽子は、
「その時の伽具楽さんは、何かと闘っていたのですか?
どのように苦しんでいたのですか?」と、サヤさんに
更なる説明を促す。こうして話してもらう事で、サヤ
さん自身の心も整理できるかと期待して。

サヤ > 「たたかって……違います……。」自分も最初はそうかと思ったが、違った。
サヤ自身、伽具楽の身に何が起こっていたのかはまだ良くわかっていない。彼女の言葉の断片的な情報をいくつか知っているのみだ。

「伽具楽さん…多分、飢えていて……食べるのを我慢していたんだと……思います、きっと…人を食べるのを……。私を食べさせてあげればよかった……でも、私死にたくなくて……。」生き延びたことを、自分に出来ることがあったのに、逃げ出したことを悔やむ。
「私なんか……死んでしまえば……。」後悔の念から、そう小さくつぶやいた。

嶋野陽子 > 伽具楽さんは、人を食べるのか!?
という新事実を知らされた陽子だが、激辛カレーの件
で激怒していた伽具楽さんの表情は、確かに人間なら
ざる者の凄みがあった…じゃなくて、
その時伽具楽さんは、サヤさんに何と言ったのか?

「サヤさん。その時、伽具楽さんは、サヤさんに何を
して欲しいと言われましたか?サヤさんを食べたいと
仰ったのですか?」と確認する陽子。

サヤ > はっきりと思い出せる、感情を押し殺した無表情な顔で言われた言葉。「……殺して、と……出来ないなら、逃げろと言われて……。出来なかった、殺すなんて……出来なくて……。だから……逃げました、伽具楽さんを放って……。」
何が出来たのがわからない、自分の手に負えない事態だったのかもしれないが、逃げるのは間違いだったとしか思えない。でも、それしか選べなかった。

「そのあと、空に火柱が上がって……。伽具楽さんが死んじゃってたら、どうしよう……私、見殺しにしてしまった……。」

嶋野陽子 > そうか…伽具楽さんは、最後の理性を
振り絞って、サヤさんが知る伽具楽さんのままで最期
を迎える事を選んだのね…と納得する陽子。

「サヤさん」ゆっくりと、落ち着かせるような口調で
口を開く陽子。
「伽具楽さんが、仮に冗談でも首輪を贈った相手を食
べたら、幸せに感じると思いますか?『食べてしま
いたいほど大好きだ』という表現はありますが、本当
に食べてしまったら、その恋はおしまいです。伽具楽
さんは、最後の力を振り絞って、大事な人の命を救っ
たのですから、救ってもらった命を粗末にしては、
伽具楽さんを蔑ろにする事になりますよ」とサヤさん
を諭す。

サヤ > 「でも、私……首輪が……からかっただけって言われて……その時…私、きっと伽具楽さんのこと嫌いになったんです……だから、逃げたんです……。」自分があの時どう考えてあの場を離れたのか、もう覚えていないが、多分見殺しにするためだったのだろう、とサヤは思い込んでいた、からかわれた腹いせだったのだろう、と。

「私……嫌な女です、伽具楽さんを助ける手段を探さないといけないのに……まだ生きてるかもしれないのに……自己嫌悪ばかり、自分のことばかり考えてる……。何をしても、ぐるぐる同じ所を回ってるんです……そんなことしてる場合じゃないのに……。前を向かなきゃいけないのに……。」堂々巡りの思考に苛立ち、自己嫌悪に陥る、そしてその思考を、自分を憎む。螺旋状に同じことを繰り返しながら、どこまでも自分への負の感情が積み重なっていくのだった。

嶋野陽子 > 雨が止んでいるのに気付き、傘を
畳むと、サヤさんを両腕で優しく、しっかりと抱き締
める陽子。
「サヤさん。伽具楽さんは、サヤさんに生き延びて欲
しかったのですよ。今日生き延びれば、また明日探
しに戻れるじゃないですか。サヤさんが死んでしまっ
たら、誰が伽具楽さんを探しに行けるのですか?」
サヤさんと目が合えば、目を見て、そうでなければ
サヤさんの顔を見て話す陽子。

サヤ > 抱き締められれば、一瞬怯えたように身を震わせるが、次第に力が抜けていく。
顔を上げれば、泣き腫らした赤い目が覗いた。
「すみません、本当に……何とか、手段を探さないといけませんね……。」少し落ち着いてきたのか、思考の堂々巡りからは脱せたが、その声はまだ暗い。
そして、また目を伏せる。
「寮、もうすぐだから……歩けます。一人で…一人で、なんとか、しますから……。」弱々しく、抱きしめる腕から逃れようとする。

嶋野陽子 > まだ一人で背負い込もうとしている
サヤさん。このまま一人にしては危ないと警告する
声と、だからと言って自分がこの件を背負い込める
のかと自問する声が陽子の脳内に同時に響く。

「今のサヤさんが引き返しても、何も出来ませんよ。
今夜はしっかりと休んで、探すならば明日にして
くださいね。伽具楽さんの知人や友人は他にいな
いのですか?」と言いながら、サヤさんをそっと地面
に下ろす陽子。落とした傘を拾い上げると、もう片方
の手でサヤさんと手を繋ごうとする。脳内の議論は、
寮に着くまでに結論をだそう。

サヤ > 「………。」何も出来ない、その言葉に、力なく頷く。今の自分は良くない状態にある。それは自覚出来ていた。

だらりと垂れた手は、抵抗なく繋げられる。サヤに今抵抗するほどの気力も、意志もない。引っ張られればどこまでもついていくことだろう。

「友人、東雲…七生さんという方が、伽具楽さんのご友人だったと、思います……他は、あまり…。」石蒜が、二度ほど会った相手の名前が思い浮かんだ。あまり良く知らないが、親しい印象を受けた。

「でも多分……頼れません、普通の人、ですから……。」伽具楽の中で荒れ狂う混沌を鎮められるような技術を持っているようには見えなかった。それに頼ろうにも連絡先も知らない。

そのまま、嶋野が寮まで連れて行くなら、無抵抗に従い、歩いて行くことだろう。

嶋野陽子 > 東雲七生君…聞いたことの無い名前だ。
連絡は取れないだろう。明日探しに行くのであれば、
私が同行するか?それこそ夏野菜カレーを持っていく
事位しか出来ないが。

寮のロビーに着いた所で、サヤさんの手を離すと、
「部屋に戻る前に、大浴場で身体も顔も洗った方が
いいわよ。今の泣き顔を畝傍さんが見たら心配す
るわ。あと、探しに行く時は声をかけてね。伽具楽
さんが気に入ってくれた夏野菜カレーと和風ハンバ
ーグを持っていく事くらいしか出来ないけれど」
とサヤさんに伝える陽子。

サヤ > 「はい……はい。ありがとうございました。」確かにこのまま部屋には戻れない、何度か頷いてから、頭を下げる。

「本当に、ありがとうございました…。」もう一度、そう言ってから。ロビーへと入っていった。

ご案内:「住宅街の通り」からサヤさんが去りました。<補足:カーゴパンツ、Tシャツ、足袋と草履。【乱入歓迎】>
嶋野陽子 > 「サヤさん、いつでも私を頼って
いいのよ。あなたのお陰で自分の身体を鍛え直せたの
ですから」と最後に声を掛けると、
自室の方に向かう陽子。

ご案内:「住宅街の通り」から嶋野陽子さんが去りました。<補足:制服姿で散歩中の筋肉娘。>