2015/08/19 - 23:50~00:48 のログ
ご案内:「落第街大通り」に薬師寺 瀬織さんが現れました。<補足:紺色の髪と緑色の瞳、右腕が巨大な銀色の義手になっている少女。豊満なバスト。制服姿(乱入可)>
薬師寺 瀬織 > 紺色の髪をなびかせ、少女は一人、夜の路地を歩く。
彼女が歩を進めるたびに、制服の上からでも容易に視認しうる豊満なバストが、柔らかさと重みを感じさせるように大きく揺れ動いた。
その左手に握られているのは、『IX』の刻印を持つ旧式のオートマチック拳銃。
つい先程、この落第街の銃火器店で購入した、安価で標準的な性能のものである。
そして左脚の太腿には、革製のホルスターが巻かれていた。
あらかじめ店での試射を行い、基本的な使い方は身についている。
巨大な装甲義手の太い指では引鉄は引けないので、引くのは左手だ。

薬師寺 瀬織 > 少女――薬師寺瀬織は普段、落第街を訪れない。
学園で生活していれば、落第街の危険性については嫌でも耳に入ってくる。
そのため、かつての瀬織はそのような場所を態々訪れる必要はないと考えていた。それは一種の自己防衛でもある。
だが今日この時、瀬織にはこの街を訪れる目的があった。今の瀬織には――『力』が、必要だった。
容易く手に入った、小さな力。いざとなれば、これで自らの身ぐらいは守れるだろう。
客観的に見れば、齢十六の少女が持ちうる力としては十分なものにも思える。
しかしそれは、瀬織が求める、超常の暴力にも対抗しうる『力』には、遠く及ばない。
「……足りないわ。この程度では、まだ……足りない」
まじまじと見つめていた黒い拳銃をホルスターへ仕舞い、抑揚のない声で呟く。

薬師寺 瀬織 > ひとまずの目的は果たし、帰路につかんと来た道を戻るうち、
一人の男子学生が瀬織とすれ違う。二級学生、あるいは違反学生の類か。
染められた金髪に、各所に開けられたピアス。いかにも不良然としたいでたちの彼は、
しかしすれ違った瀬織に対していきなり凶行を働くことはせず、一旦足を止めた後振り返り、背後から声をかける。
「おい、姉ちゃん」
すると瀬織もまた、振り返り。
「……何かしら」
答える。二人の間に、冷たい空気が流れた。

薬師寺 瀬織 > しばしの沈黙ののち、金髪の男子学生の口が開かれた。
「お前……『銀腕』<アガートラーム>だろ。へっへへ……」
金髪男が口にしたその名は、瀬織には聞き覚えのないものである。
「知らないわ。少なくとも、私は人からそんな名前で呼ばれたことは一度もないのだけれど」
大方、自身がその『銀腕』<アガートラーム>とやらであると答えれば碌でもない目に合うことなど容易に想像できる。
この場で嘘を吐く事に瀬織自身へのメリットは皆無。そう考え、素直に否定する。
「あんたの所じゃそうかもな。だが、こっちじゃちょっとした噂になってるぜ。呪われた『XIII』のサインが刻まれた銀色の腕……それを持つ女が学園地区にいるってな。最初は見間違えかと思ったが……髪は紺色、瞳は緑、おまけに頭よりデカい胸ときた。あんたがそうなんだろ」
男が語った特徴は、瀬織が持つ装甲義手――ひいては、瀬織自身と一致していた。
銀色の腕に装着された紺色の装甲には、義手の製造者を示す『XIII』のサイン。紺色の髪と緑色の瞳。そして豊満なバスト。
間違いない。この男は自分を探している。瀬織はそう察していた。――しかし、何故?

薬師寺 瀬織 > 「……妙ね。他人にしては特徴が似すぎているわ。でも何故かしら。私はこの街を歩くの、今日が初めてのはずなのだけれど」
まだ、はっきりと肯定はしない。感じただけの疑問を口にし、揺さぶりをかける。
「なんでもいい。あんたのその"右腕"を貰って来いって言われてんだ」
「言われている?誰にかしら。言っておくけれど、私の右腕はあなたの思っているようなものではないわ。これは『力』じゃない。ただの義手に過ぎないものよ」
明らかに苛立つ様子を見せる金髪男に、瀬織は淡々と事実を伝える。
すると、金髪男は懐から何かを取り出す。
「飽くまでしらばっくれる気か。……なら、こうだ」
男が取り出したもの、それは――注射器!

薬師寺 瀬織 > 内容物の詳細は不明。このような場所で取り出されたからには、危険な代物であろう。
それを見るや否や、瀬織は躊躇なくホルスターから拳銃を引き抜き、安全装置を外すと、
即座に注射器を持ち迫る男の右手へ発砲!慣れない射撃ながらどうにか注射器に命中、内容物が飛び散る!
「てめェ……!」
壊れた注射器を取り捨て、瀬織に殴りかからんとする男の拳を右腕の装甲で防御、その後左手で引鉄を引き、数発の銃弾を男の鳩尾へ撃ち込む!
命を救うことを目的とする保健課生徒としてはあるまじき行動であろう。だが今は非常事態、やむを得ない!

薬師寺 瀬織 > 片手での銃撃を行ったことで、瀬織の左肩には相応のダメージが及んでいる。
加えて、瀬織自身荒事慣れしてはいない。
なぜ男が自身とよく似た特徴の女を、ひいては自身の『右腕』を探しているのか。
それに関する情報も聞きだしたいところだが――ここは一旦、逃走を図るべきだ。そう判断する。
銃弾を受けた鳩尾を抑え、うずくまる金髪男。その生死を確認せぬまま、瀬織は走る。
「(まだ足りない。やはり……これではまだ足りないわ。所詮『人間の力』では)」
瀬織の中で、『力』への妄執は少しずつ、だが確実に大きく膨らんでゆく――

ご案内:「落第街大通り」から薬師寺 瀬織さんが去りました。<補足:紺色の髪と緑色の瞳、右腕が巨大な銀色の義手になっている少女。豊満なバスト。制服姿(乱入可)>