2015/08/25 - 21:43~23:55 のログ
ご案内:「常世中央病院・対異能隔離病棟」に平岡ユキヱさんが現れました。<補足:【乱入歓迎】165cm/54kg、金髪ツーサイドアップの毛先から青白い発光(!)、病院服、包帯、サンダル、体に付着している無数の千切れた拘束ベルト>
平岡ユキヱ > 無機質な牢獄のように並ぶ病室。名前のない真白い表札。
ブゥゥゥン、と蛍光灯の無機質な音が響くなか、本来は治療するべき患者がいる病室を分厚い鋼鉄の扉が塞いでいて。
この世すべてから隔離するような、徹底ぶりだった。こんな所に長くいて、果たして健全な回復など見込めるだろうか。
有無を言わさぬ綺麗な残酷ささえただようこの病棟で。
「オアラァッ!!」
ガゴン、という音と同時、扉の変形する音が響く。
病室の内部から破城槌でも使ったような突起は…よく見れば、人の手の形…。
平岡ユキヱ > 「おりゃぁぁあぁぁぁッッ!!!」
ドゴドゴドゴとラッシュ音が響くたびに、扉がひしゃげ、変形していく。
緊急ベルが鳴り響いて職員たちが慌てふためくなか、病室から飛び出す生足、サンダル!
「平岡ユキヱ! 故あって自主退院させていただくぜー!!」
金髪ツーサイドアップの毛先に若干の青白い光体、昨日の異能暴走の残滓を残しつつも、
不敵に笑う少女が堂々と扉を張り倒して出てきた。
平岡ユキヱ > ずんずんと廊下の真ん中を肩で風切るように歩く。
大口を開けて固まる職員を横目に、病院服をひらひらと動かし動きを確認。
「人の下着まで勝手に代えよって…恥ずかしいじゃないの」
受付はどこだ。ちゃんと書類なり同意書にはサインをしてから正々堂々真正面から退院しようと
階段を降り、一般病棟へのロビーを目指す。
「…」
1階の隔離患者と一瞬格子越しに目が合った気がしたが、無視した。
「健全たぁーいえない場所ね。患者も、場所も…」
平岡ユキヱ > 連絡通路を堂々と突き進む。あんまり自然にしているせいか、
一般病棟の職員たちはすれ違いざまに振り返るが、先に自分の仕事をしなければと
すぐに関心を失っていく。
「小銭小銭…」
売店で何か買ってから出るかと思いポケットをまさぐるが、何もない。
そりゃそうか。
「あー、また退院した後できます…」
失敬、と売店のおばちゃんに頭を下げ、受付ロビーの番号札をとってベンチに座り順番を待つ。
テレビをふと見れば、ニュース速報で収容所の事件が報道されていた。
「あの野郎…次見つけたときはギャフンと言わせてやる」
苦々しい思いを反芻すると、眉間にシワがよった。
ご案内:「常世中央病院・対異能隔離病棟」に倉光はたたさんが現れました。<補足:ダンボール>
倉光はたた > ススス……
段ボール箱だ。
『んかみ めひえ』と書いてある。
壁や棚にゴスゴスとぶつかっては方向転換しながら巨大な段ボール箱(人が一人ぐらい入れそう)が
ベンチに座るユキヱへと徐々に近づいてきた。
あまりに不審な物体である。いったいどこから入り込んできたのか。
平岡ユキヱ > 「!」
音に気が付いたのか、警戒度が上がる。ナンダアノシカクイモノ…。
「…って、ただのダンボールか…」
まったく、脅かしやがってとゲノム兵のように静かに目線を離す。
ダンボール相手ならば仕方のないことなのである。
「しかし受付混んでるな…。とはいえ待ち人数に不正を働くわけにも」
うらめしそうに、自分の番号が天井付近の電光掲示板に表示されるのを待つユキヱさん。
倉光はたた > 気のせいか……
と、気のせいにしてはいけない物体を気のせいにしようとするユキヱに肉薄する四角い物体。
ゴス! ゴス! と数度の足への体当たりのあと、ひょこ、とダンボールの端が上へと持ち上がる。
その奥で光る眼光。
「……ユキヱ!」
バシーッと中に潜んでいた何者か――はたたが立ち上がった。
白い髪、赤いまなこ、例のTシャツ。
ひっくり返る段ボール箱。『えひめ みかん』。
なかなか帰ってこない居候先を探しにこんなところまで来てしまった。
「……!!」
普段と違うユキヱの装いに、仁王立ちのまま驚いた表情で指を差す。
「……ぴかぴか!!」
叫びとともにバサーと背中の羽根のようなものが広がった。
いくつも特異な点はあったが、まず気になったのがそれだった。
平岡ユキヱ > 「おわー!? って倉光センパイ!?」
病院きちゃったんですか! とおののくユキヱ、そして病院内では静かに!
と怒る看護師長のおばちゃん! 素早く平謝るユキヱさん!
どうどうと、羽を広げるはたたをベンチに座るようなだめつつ、
指摘されてああ、と思い出す。
「フフ…ちょっと元気ありあまっちゃった、みたいな?」
これで夜道も安心です! と冗談交じりに言うが、ふいに真顔になって。
「…すみません。緊急搬送されていて、寮に戻れませんでした」
倉光はたた > ちなみになぜダンボールを用いた隠密行動をしていたかといえば、
病院から逃げ出してきた身であるために堂々と姿を現すわけにはいけない、
という大変理知的かつ賢明な考えによるものである。
今、かなり目立ったが。
はたたの姿が咎められる気配は今のところはない。
おばちゃんに怒られ、ユキヱに宥められ、
がくがく、と壊れたアームのように頷いてベンチへと座る。
「はたた、おなじ……」
発光する毛先を指さしたまま、ぽわ、と自分の翼状突起を淡く光らせた。
心なしか声が弾んでいるようにも思える。
「はんそう……びょういん……」
ユキヱの装い――病院着。かつてのはたたがまとっていたものと同じ。
単語を繰り返して事態の把握につとめようとする。
そして、
「……ユキヱもしんだ?」
真顔で問いかけた。
Did you die?
平岡ユキヱ > 「いやいや生きてますから」
死んでないです。と手を横にひらひら動かして否定。
「…まあ、でも光るのはおんなじか」
しかしコレ自分の意思で消えないのだろうかと、ふいに不安になる。
こう毎度、発光していては、なんとも悪目立ちする。その証拠に。
「…」
院内の警備員に、何か囁く看護師の姿を横目に見た。視線から推察するに、
残念ながらこちらを見ているようだ。
「倉光センパイ、私がいない間ご飯とかどうしてたんですか?」
割とその辺干渉はしていないつもりだったが、
流石に日を開けるとなると心配ににもなって。
倉光はたた > 「しんでない……!」
ちがった……! はたた≠ユキヱ。
名推理を打ち砕かれ無表情のまま衝撃を受けるはたた。
「ん、ん……ごはん、たべてる! いただきますした!」
フンス! と鼻息荒く主張。
はたたの言語能力ではそれを伝えるのが限界だった。
とりあえず食事はしていたらしい。
どうやら無一文というわけでもないようだ。
ユキヱが周囲を警戒する様子に、はたたも首をきょろきょろと動かす。
キリッとした顔ではいるが、あまりよくわかってはいない模様。
「ユキヱ……だいじょうぶ?」
平岡ユキヱ > 「そっかー。なら良かったです!
いただききますは大事ですよね。食べ物には感謝しなくちゃ」
わははと明るく笑う。きっと食堂のおばちゃん達や
他の生徒が気を利かしてくれたのだろう。寮に戻ったらお礼を言おうと思った。
「だいじょーぶ! ユキヱさんに任せない!」
とうとう自分の番号札が呼ばれた、スッと立ち上がり、受付に行く。
相手は病院服…というかちぎれた拘束ベルト付でまさか患者が来るとは思っていなかったのか、
書類から目を上げて仰天していた。
「平岡ユキヱ、退院させていただきます!
領収書は風紀委員宛で!」
ササッと、自分のサインを書類に書き付けると、ではさらば! と踵を返す。
立ちふさがる警備員、どよめくロビー。
「…どいて貰おうか。
あと、そこの同居人に指一本触れてみろ。この平岡、ただではおかんぞ」
バリッ、と髪が獣のように逆立ち、光が強くなる。それで勝敗は決した。
道を開ける警備員たち。
はたたの傍にもどり、膝立ちになって笑う。
「んじゃ帰りましょうか。何か食べたいのあります?」
金はないけど、私料理できるんすよ! と、アピール。
倉光はたた > 威風堂々としたユキヱの姿に、ぽかん、と口を開ける。
焼き切れたはずの脳にまた新たな感情が芽生えようとしていた。
それを表現する語彙を、はたたはまだ持たない。
ユキヱの言うだいじょーぶほど、確かなものはない。
それは暗がりを強烈に照らす輝きそのものだった。
帰宅を宣言するユキヱに、慌てて立ち上がり、ついていこうとする。
「たべたいもの…………」
ぐるぐると頭を回してNow Loading...
「ようかん!」
口をついて出たのは、なぜかそれだった。
平岡ユキヱ > 「何ィィーッ!?」
そっち方面かぁ、と変化球をくらい思わずドドドと焦るユキヱさん。
「うーん…でも材料は意外と…。案外イケるのかな?
ま、調べて作ってみましょーか、羊羹!」
夏が終わる前に、そんな洒落たものを作って食ってみるのも悪くない。
ではゆきましょう。そういって寮の方角へと足を進め…
「…?」
コホ…とごく小さな、何の気なしに、微かに咳こむ。
音がいつもと違った。
風邪でもひいたかな。そう首をひねりながら、はたたが
着いてくるのをたまに立ち止まって待ちながら病院を去った。
倉光はたた > はたたはユキヱの変調には気づくことはない。
何しろ死んでいるものと死んでいないものの区別すらつかないぐらいなのだから。
「ようかん! ようかん!」
無表情にはしゃぎながらパタパタとユキヱについていく。
しかし今のはたたは、実際のところようかんというものが何なのか知らなかった。
ユキヱとともに、寮の方面へと消えていく……
ご案内:「常世中央病院・対異能隔離病棟」から平岡ユキヱさんが去りました。<補足:【乱入歓迎】165cm/54kg、金髪ツーサイドアップの毛先から青白い発光(!)、病院服、包帯、サンダル、体に付着している無数の千切れた拘束ベルト>
ご案内:「常世中央病院・対異能隔離病棟」から倉光はたたさんが去りました。<補足:白い髪 金の瞳 『瞬間排撃』Tシャツ 翼のようなもの>