2015/09/03 - 23:29~01:59 のログ
ご案内:「図書館」に鏑木 ヤエさんが現れました。<補足:濁ったクリーム色の髪に鮮やかな紫色の瞳。赤いカーディガンに殆ど見えないくらい折られたスカート。萌え袖。>
鏑木 ヤエ > (高いところにある本を取ろうとしてぴょん、とジャンプしながら手を伸ばした。
 生憎のことに身長は高くない。
 引っ掛けてしまった本を数冊バサバサと降らせながら溜息を吐いた)

「………バリアフリー、ってんでしたっけ」

(忌々しげに眉を下げる。
 落ちた数冊の中には取りたかった本がなかったらしく、見るからに不機嫌そうな表情を浮かべた。
 濁ったクリーム色をした髪から紫色の瞳が忌々しげに本棚を見つめた)

ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。<補足:鮮やかなオレンジの髪、メガネと口元の黒子が特徴的な少女(18) 制服・図書委員の腕章>
鏑木 ヤエ > (また溜息。
 溜息一回で幸せが逃げるというならば先刻から軽く一週間分くらいは
 裸足で幸せが逃げていきそうな重苦しく恨めしい溜息。
 ちらちらと刺さる周囲の視線も痛い。
 ───落ちてきた本が直撃した脳天も中々に痛い)

「なーんで図書館ってのは低身長に優しくねーんですかねえ。
 図書館だけじゃなくてもなんか悪いことしたのかってくらいには───」

(ふるふると首を横に振る。
 それに合わせてふわふわと髪が揺れた)

「………高身長のが頭打ったら痛そうですね」

谷蜂 檻葉 > 交代の人手に合わせて、戻り際に書架の整理を請け負ってカウンターを出る

「それじゃあ、こっちの返却本戻したらあがりますね。」

手を振って、本を片手に本棚の間に足を向ける。
と、その視線の先で本の雨を受ける生徒を見かけて早足で向かう。

「―――あ、その。……だ、大丈夫ですか?」

酷く重苦しいため息をつくその姿は大丈夫じゃないのは見て解るんだけど。


「えと、何か、本をお探しで……?」

暗い雰囲気の相手に、おっかなびっくり声をかける。

鏑木 ヤエ > 「やあ、どうも。
 大丈夫に見えるんだったら中々高貴な皮肉屋さんですね」

(ゆらり、首を持ち上げれば鮮やかな橙の髪がちらりと視界の隅で踊った。
 図書委員会の腕章をちらりと見遣れば小さく頭を下げた)

「あ、ああ。騒ぎすぎましたよね。すみません。
 あの一番上の本がちょろっと気になったんですけど上手く取れなくてですね。
 どうにも身長が低いもので」

(ぶかぶかのカーディガンから覗く指先が指し示すのは一冊の本。
 妙に分厚い、ハードカバーの本)

「あれですあれあれ。殺人鬼のメソッドってヤツです。
 タイトルからしてやえアレ絶対面白いと思うんですよね」

谷蜂 檻葉 > 「あはは……。それだけ言えるなら、怪我もなさそうですね」

相手の、歯に衣を着せぬ物言いに苦笑しながら落ちた本を集める。

「いえ、ちょっと目についただけなのでお気にせず。

 あ、それならその辺りにあそこ踏み台が……あれ? ない?
 ……もう、ちゃんと使ったら戻すよう立ち台そのものにも張り紙でもするべきかしら……。」

ヤエのように、背が低い者というのは学園に一般以上にいる。
体に異常があって小さかったり、もしくは年齢《見た目》と中身が釣り合わずに、など理由は様々だが。

そのため、据え置きの少し大きめの足台が置かれているのだが視線を回しても誰かが使ったままどこかに置き去ってしまったのか、それがない。

「ええと、すみませんいつもなら置いてあるんですけど……私が取っちゃいますね。  よ、っと。」

困った表情で頬をかきながら、軽く背伸びをして言われた本を取り出す。
そのまま、チラと表紙と裏面を確認しながら

「と、これであってますよね。 ……なんだろ、ミステリ?」

ヤエに差し出しながら、この本が一体どこのジャンルコーナーか視線を巡らせる。

鏑木 ヤエ > 「どうも、ありがとうございますよトショイインさん」

(落とした本を掻き集める。
 「あ゛ー重い」、と悪態を吐きながらしっかりと落とした分は拾う。
 幸いどの本も折れた様子はなく胸を撫で下ろした)

「そんなもんですよ、立ち台に貼ったところで戻さねー連中は戻さねーですから。
 横着しようとしたやえも悪いといえば悪いですし」

(差し出された本を「どうも」、と小さく呟きながら受け取る。
 ぱらぱらと何ページか捲り、内容をぼんやりと確認していく。
 最後に開いたのは目次のページ)

「ははん。
 哲学書というか殺人鬼になるためには!みたいなそんな感じですかねえ。
 面白そうといえば嘘になりますけどなかなか悪くはなさそうですよ。
 
 4章。殺人鬼が犬を飼いたいといえばそれは殺人鬼に成り得るか」

(溜息を再び落とす。これで一週間と二日は幸せが逃げた)

「前言撤回です、そう面白くはなさそうですね」

谷蜂 檻葉 > 「どういたしまして。」

慇懃無礼というよか、やはり『思うがままに言葉を発する子だな』と評価を下す。
では今彼女は不機嫌なのだろうか?と思うが表情からはイマイチ読み取れない。

「どちらも、気持ちは解りますけどね。 次から気をつけていただければいいですから。」

ヤエが本を開いている間に棚のテーマが判明する。
生き方、思想学系の本をまとめている場所のようだ。―――タイトルだけは面白そうなものが揃っているが、よくまぁこんなタイトルの、それもパッと目につかない本を見つけたものだと内心で嘆息する。 周りにある本もタイトルそのものがミステリめいている。

「……図書館に来たのは、暇つぶしかしら?」

しきりに”面白い”かどうかを重要視している発言から、そう尋ねる。
図書館の利用目的の大体は勉学・資料探し、もう半分くらいは暇つぶしだからという雑な理由でもあるけれど。

鏑木 ヤエ > (檻葉の考察は大の正解である。
 自分の気持ちに嘘がつけない。
 そんな下らない異能を抱えた彼女は何時でも本心をそのまま口にする。
 語る言葉はハイテンション、湛えた表情は無表情。それが鏑木彌重だ)

「ええ、暇つぶしですよ。
 暇というほど暇をしていた訳じゃあないですが考えるのが好きなもので。
 自分でネタが尽きるとこうやって探しにくる訳ですよ」

(捲る。
 徐々に本のペ-ジを捲る速度は速くなる)

「オモシロくないモノもやえは嫌いじゃねーですけどね。
 やえの思考回路じゃそいつは紛れもなく出てこないモンですから。
 こいつだってそうです」

(手に持った本。
 面白くないと言い放ったそれを興味深そうに見つめて)

「やえ、この本から学べること沢山ありそうですもん。
 オモシロくないのはやえから見た視点でほかの人がオモシロいと感じることがありますし。
 本は視界が広がるから好きなんですよね」

(「アンタはどーですか」、と。言葉はつがれた)

谷蜂 檻葉 > 口早にペラペラと喋る少女の表情は変わらず、まるで急くようにする姿はどこか鬼気迫る物を感じる。
かといって、ソレ以上のことはないのだからどうというまでもないのだけれど。


(あぁ、なるほどね。 確かにそれなら色々と納得。)


本とは、知を綴ったものである。
知識であり知恵であり経験"知"を文章としてまとめ、綴られたソレは大なり小なりその人間の「世界」へ誘い、思いにせよ嘘にせよ体験にせよ、それはその人独自のものを読者は沿う事になる。

―――この無表情な口達者そのものも、随分と面白いとは思うけど。

自分はどうか、と聞かれて笑みを見せる。

「私も、そういう考えは好きかな。
 自分とは違う視点から自分の見てきたものを見る、知る、考える……。
 
 人と話すように、自分の世界を広げられる感覚は好き―――だけど」

ただ、この図書館に入り浸るような人間からすれば

「―――世界中の読みきれない本を読んで世界を広げる為に、面白い本から順番に読みたい。かな?」

面白くないものを読むのは、期待を外した時ぐらいで丁度いい。
ちょうど今、ヤエがそうであるように。


「折角だし、おすすめの本でも持ってきましょうか?」

元より最初に持ってきた本を返せば自分も帰る予定で、時間には余裕しかない。

鏑木 ヤエ > (檻葉の言葉に小さく相槌を打つように頷く。
 本というのは誰かの創作であったり誰かの意見だったり、はたまた誰かの人生を綴ったものである。
 故に自分の出来る筈のない/出来ないであろう事象を追体験できる。想像できる。
 そういった意味でも彼女の知識欲と好奇心を満たすには最適だった)

「ゼータクなものですね。
 トショイインさんは美味しいモノから先に食べるタイプでしたか。海老フライとか。
 それも中々に悪くないと思います。───、というよりもアタマがいいんですかね」

(こてん、と小さく首を傾げる。
 視線は檻葉の表情を見遣ってみたり先刻の殺人鬼のメソッドに向けられたりと様々だ。
 ふとした瞬間、その視線はぴたりと檻葉に向けられた)

「例えばですけれど。
 トショイインさんは殺人鬼が人を愛することが出来ると思いますか」

(とんとん、と本を叩く。
 ある一節に人を愛しすぎた殺人鬼、の話が掲載されているのがわかるかもしれない。
 同時に、彼女が意見を求めていることも)

「あ、お勧めとかも知りたいですね。哲学関連がうれしいですよ」

谷蜂 檻葉 > 「生活の知恵、よ。
 ちゃんとしたご飯があるのに、わざわざお皿まで食べないだけ。」

くすくす笑って彼女の言の葉を噛みしめる。
否定はしたが、なるほど中々贅沢なことなのかもしれない。

と、笑いに弾む肩がピタリと止まる。

「え? ……殺人鬼が、ねぇ。」

彼女の手にある本の1テーマだろうか。
真なる答えがないものの類だろうから、つまるところ価値観を聞かれているの、だろうか?


「殺人鬼が、という前提とはズレるかもしれないけれど。
 何を殺そうが、愛せるものは愛せるのではないかしら。思考の区切りをつける、というか。」

人が人を見る一面とは常に一部なのだから、引っ括めずともいいのではないだろうか。という、考え。
ある側面を殺すほど憎み、ある側面を狂おしいほどに愛する。

その結果、どう転ぶかはその人間の価値観次第、と。


「哲学関連、ねぇ。 あ、ちょっと待っててね。先にこの本返してくるわ。」

そう言って、ヤエの元に来る前に持っていた本を見せて奥の書架へ向かう。
やがてそう時間もかけずに戻ってきたその手には別の本が収まっていた。


「はい、これ。お待たせいたしました。」

そう言って差し出された本に書かれていたタイトルは

『犬の人の愛し方』

狗頭の異邦人が綴った、価値観の違う彼がこの世界の人間に恋に落ちた話。
エッセイであり、ちょっとした思想書だ。 数年前、小さな賞を取った本でもある。

鏑木 ヤエ > 「なるほど」

(どこか納得がいったように頷く。ご飯があればお皿も食べない。
 ──、となればご飯がなければお皿を食べるか、と更に疑問は湧くが胸中に収めて)

「そうですねえ。
 この場合は殺人鬼、じゃなくって極端に人間に踏み込まれるのを嫌う人、とか。
 単純に人間嫌い、とかでもよかったかもしれませんがやえはあえて殺人鬼としてみました」

(ぴょこん、と人差し指を立てる。
 まるでニュースキャスターか何かのように朗朗と言葉を紡いでいく)

「やえはですね。この言葉を読んで真っ先に思ったのが───
 殺人鬼は本来何かを、まあニンゲンを殺すモノである彼らが何かを愛すことはできやがらないと思ったんです。

 生かしてしまえばそれは殺人鬼──人を鬼のように殺すものではなくなってしまいますから。
 その時点で殺人鬼になりきれてねーって訳ですね。
 ただ奪うだけの存在。それが殺人鬼。
 そんな殺人鬼が何かを愛そう、というのはとんだ戯言だと思うんですよね。
 オモシロいジョークだって言い張るなら乾いた笑いを浮かべてやらねーこともないですが。

 故にトショイインさんとやえの思考回路は全く別、というのがわかります」

(檻葉の手元の本をちらり、と見遣る。
 ゆっくりと手を伸ばして受け取ればぱらぱらと数頁読み進める)

「恋愛のオハナシですか。やえは中々に好きですよ。
 好きな人とかがいる訳でもねーもので勉強になるんですよねえ、こういうの」

(異界のモノの書いたこのセカイを綴った書。それは随分と興味深くて、)

「読みました?コレ。
 もし読んでたら先に感想教えてもらっていいですかね」

谷蜂 檻葉 > (なるほど、ね。)

『人を』『鬼のように』『殺すモノ』

なるほど確かに。
その形容詞ではこの定義にはそぐわない。 奪い去り、悲劇をもたらす悪人足る鬼に”成り切れない”というのはまた随分と面白い考え方をするものだ、と。やはり人の数だけ考えがあるということだろう。

鬼とは、鬼畜という言葉を代表するように冷酷非道・悪逆無比なイメージが多いが、
解らぬもの・強きもの といったより抽象的かつ無指向性な意味を持つ。

故に、私とは思考回路は全く別、ということが分かった。


「ええ、何度も読み返したわ。
 ……そう、ねぇ。一口で言えばびっくりするぐらい感情移入しづらい本、かな。」

それをオススメする神経は、図太い。

「本当に『異世界って異世界なんだな』……って、大筋はうんうん頷きながら読んでいけるんだけど、
 肝心の要所要所がどうしても首を傾げてしまうの。

 「なんでそんな事を考えるの?」って。

 まぁ、それを考えるのが面白かったからお薦めしたんだけどね。
 ページの最後に著者の住んでいた異世界について書かれた参考文献があるから、読み終えたらそれも合わせて読み直すとなおよし、って感じかな。 繰り返し読む暇つぶし本としては、かなりオススメよ。」

いい仕事をした。といった笑顔で、本を送り出すと鞄を肩にかけて

「それじゃ、私そろそろ帰るわね。 またね、ヤエさん。」

何度か言葉尻に見え隠れしていた一人称を呼んで、手を振る。

「トショイインのオリハって言えば、私しか居ないから、また縁があったらお話しましょうね。」

ヤエさんの感想でも聞かせてくれれば嬉しいかな。
そういって、檻葉はゆっくりと図書館を後にする―――。

ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。<補足:鮮やかなオレンジの髪、メガネと口元の黒子が特徴的な少女(18) 制服・図書委員の腕章>
鏑木 ヤエ > (「ほほう」、と値踏みするように息を洩らす。
 感情移入がしにくい本、と聞けば嬉しそうに口角をほんの少しだけ持ち上げた)

「『何故』、っていうのはニンゲン、その他知的生物にのみ許された特権ですから。
 それを存分に享受して存分に考えられるのであれば喜んで読んでみますよ。
 ニンゲンと異邦人の視界の違い。見ている景色の違い。
 それを美味しくいただけるのであればどんなにクソ面白くなくても最後まで読む自信はありますね」

(明確かつ非常に解りやすい違い。
 人間の視点から見る異邦人の生活。感情。
 異邦人から見た、恋い焦がれた人間の姿。そのどれもが活きのいい感情となって交錯する)

「参考文献もあるならば存分に時間は潰せそうです。
 どうもゴシンセツにありがとうございました、ええと──オリハ。
 是非にオハナシ、出来るの楽しみにしてますね」

(去りゆく背中を見送り、幾らか時間が経つまでずうっと本を読みふけっていることだろう。
 参考文献についてをまた早口で図書委員に問いながら、高貴な暇つぶしの時間を十分に満喫するのだ)

ご案内:「図書館」から鏑木 ヤエさんが去りました。<補足:◎乱入歓迎 濁ったクリーム色の髪に鮮やかな紫色の瞳。赤いカーディガンに殆ど見えないくらい折られたスカート。萌え袖。>