2015/09/11 - 06:07~00:56 のログ

ご案内:「路地裏」に鏑木 ヤエさんが現れました。<補足:◎乱入歓迎 濁ったクリーム色の髪に鮮やかな紫色の瞳。七分袖の赤いワンピースに薄いタイツとストラップシューズ。>
鏑木 ヤエ > (ぺ、と。
 忌々しげな表情を浮かべたまま唾液に混じった鉄の味を吐き捨てた。
 頬に入った一筋の傷から垂れるそれもぐっと拭う)

「──…ッてーんですよ……」

(「女の子の顔にキズつけてくれやがりまして」、と夜の帳降りきった路地裏で独り言ちる。
 積み重ねられた瓶ビールのケース。さかさまにする。
 ちょこん、と授業を受ける生徒が椅子に座るように腰を下ろした)

「なるほど」

(何の意味もなく、ただ宙に手を伸ばした。
 薄く輝く月にも、瞬く星々にも届きやしない)

鏑木 ヤエ > (伸ばした右手をびくり、と震わせる。
 ぎぢぎぢと筋肉が軋んだような感覚が脳裏に走った。
 小さく痙攣しているのが自分にも理解できた。細い、白い腕が小刻みに震える。
 けれどもそれはなかなかどうして、嫌いな感覚でもなくて)

「クソ貧弱にもほどがあるってモンですよねえ」

(だらん、と腕を下ろした。
 先刻まで振り回していたモノ。落第街にもきちんと整備されていた標識。
 先刻まで投げていたモノ。どこにでもあるごく普通の自動販売機。
 先刻までしていたコト。落第街ならどこでも起こりうる、よくある喧嘩)

(七分袖の赤いワンピースがところどころ汚れている。
 汚れているどころか、少しばかりの裂けた痕も残っている。
 はあ、と溜息をひとつ吐いた)

「……高かったんですけど」

鏑木 ヤエ > (元来、鏑木彌重は対して喧嘩が強い訳ではない。
 もっと付け足して言うならば、戦術は単純明快。
 それこそ真っ向勝負しかできない馬鹿であり、そういうモノだ。
 異能を用いた頭のいい戦い方も、銃を使った戦い方もできやしない。
 ───しようともしない、が正しい)

(吐いて捨てたのは鉄の匂い混じった唾液と何かを呼ぶ声。
 ただ誰に言うでもなく、虚空に祈るような言葉をひとつ)

「かみさま、かみさま。
 どうしてやえは、こんなに弱っちいんですかねえ」

(またぎぢりと鳴く右手を伸ばした。
 先刻よりももっと高い場所に届くように。その浮かんだ星を掴んで落すように)

(矢張り、届かない)

ご案内:「路地裏」にアーヴィングさんが現れました。<補足:藍色の髪、スカイブルーの瞳、目付きクッソ悪い、黒シャツに真っ赤なサマージャケット+真紅に金糸縫いの腕章>
アーヴィング > よう、大丈夫か?
(パシ、と伸ばされた手をごつごつとした手が掴む
 心得がある者なら、いや、そういう漫画か何かの知識があれば判るような手の平の皮が厚くなった手が
 適当に切りそろえ流したような髪の毛は毛先がつんと尖り、目付きも本人的には普通にしているつもりがやぶ睨みになるような
 そんなこの路地裏の空気に馴染みきったような顔が心配そうに眉を潜め覗き込んで居て)

立てるか?
(軽く、促すように手を引く
 握る手は柔らかく、振り払おうとすれば簡単で
 しかし握り締めるならばしっかりと支えられるように)

鏑木 ヤエ > 「ナンパとは感心しねーですけどね、こんばんは」

(手を掴まれる感覚。
 頭の上から降って落ちたその言葉にじろり、目つきの悪い紫水晶が向いた。
 覗いた瞳のスカイブルー。二つの色合いがぎち、と交差してカチ合った)

「ええ、立てますよ。
 立てますが立ち上がるにもそこまで立ち上がる気力がなくてですね」

(はあ、と溜息交じりに握られたままに立ち上がる。
 「よっこいしょ」、と雰囲気もへったくれもない独り言と共に立ち上がる。
 砂埃のついた赤いワンピースをぱんぱんと叩いた)

アーヴィング > ぶっ倒れてる女に恩売って口説く気はねーよ
おう、いい夜だな?
(思いのほか強い視線が帰って来れば、面白そうにフンと鼻を鳴らすと唇の端が小さく吊りあがる
 視線がぶつかり合えば逸らさず、真っ直ぐにぶつけあい逸らそうとはしない
 まるで獣の意地の張り合いのように)

気力がたりねーくらいで済んでるなら良い
冷てーもんでも飲むか?
あー…ウーロン茶とか
(ちょうど片手にぶら下げていたペットボトルをゆらゆらと揺らし
 あちこちに傷が出来ている事に気付くとポケットを探り……
 ポケットに突っ込みっぱなしで洗濯してしまったらしきクシャクシャのハンカチが出てきて思いきり眉を潜め
 何事も無かったかのようにペットボトルの中身で軽く湿らせると、おらよ、と突き出す)

鏑木 ヤエ > 「ははん。
 てっきりこのまま恩を押し売って取り立てとばかりに持ち帰られるかと」

(意地でも視線は逸らさない。
 外見を含め肉食動物に睨まれた羊のようにしか見えないが本人は何ら気にした素振りも見せない。
 挑戦的に揺らぐ視線とは真逆に口元に浮かんだ三日月がぐう、と歪む。
 それは言外に趣味と性質の悪い冗句だと物語っていて)

「あ、頂きます頂きます。
 貰えるモンは貰っておくのがやえのポリシーであり乞食生活のプロたる所以ですので」

(無遠慮に受け取った。
 「ふぃー」、と至極楽し気に溜息を漏らす。
 そして頭のてっぺんから足元までじろりと視線を這わせれば一点で視線が止まる。
 腕章。常世島を守る片翼である委員会であることを示す、ソレ)

「見回りかなんかでしたかね、オツカレサマです」

アーヴィング > アホ抜かせ
颯爽とピンチに助けに入ったとかなら格好も付くけどよ
遅れてきたような奴がんなことしたら腐肉漁りよりもかっこつかねーよ
(そう言う表情は唇を尖らせ、瞳は不満げに半ば閉じられ
 どこか悪童のような雰囲気を混じらせる
 逸らされない瞳からは何らかの芯のようなものを感じ取れば
 肩をすくめ目元と肩から力が抜ける
 とはいえ視線は逸らさないあたりが負けず嫌いな性根がチラチラと覗いている)

乞食生活っておめー……ガキの時分からまた苦労してんな、おい
(言葉と表情に呆れは混じれど同情の色は薄い 
 ともすれば侮辱になってしまうと理解しているからだが
 体つきからガキと決め打ったのは侮辱に入ってしまうかもしれない)

ん?おう、見回りっつーか…散歩?
星が綺麗だしブラッとな?
したらほれ、なんかか細い声が聞こえっから来たらお前が居たわけよ
あ、そうそう、俺ぁアーヴィング・ヴァン・オルブライト、風紀嘱託委員っつーやつだ
テメェの喧嘩ならクチバシつっこまねーけど、なんかやらかされたなら聞くぜ?話
(自分の騎士紋章を縫いこんだそれは風紀の正規の物ではなく、嘱託委員である事を示す程度のもの
 身分証明程度の役には立つが、何らかの権力を有するそれではない)

鏑木 ヤエ > 「知ってます知ってます。
 やえはそれもまあアリっちゃアリだと思いますけどね。
 実にラクに女の子とにゃんにゃん出来るじゃないですか。
 表の娼館でお金払わずともってヤツですよ」

(ちょいちょい、と路地の先に開いた大通りを指す。
 不満げな彼の雰囲気を面白げに見遣りながらまたひとつふたつ。
 カラコロと軽口を転がせば零れて落ちた)

「いやはや、そういうものですよ。
 正規のガクセーじゃねーんですから当然でしょうて」

(なんでもないことを話すように。
 否、実際問題なんでもないよくある話なのだが特に気にせずに言を継ぐ)

「なるほど。
 風紀嘱託委員、ですか。これはシツレイ。
 やえにはまあだいたい似たようなモン、くらいの認識しかない訳でして。
 フーキだかコーアンだかもね。
 ええ、やえはやえの喧嘩をしてただけですよ。ただ弱っちかっただけでして」

(ぼんやりと夜色の垂れ幕引っ下がった空を見上げて、ぼうとひとつ。
 おもむろに視線を目の前の彼に戻せば、無表情に囁いた)

「やえです。2回生19歳。鏑木彌重です」

アーヴィング > えー……
(それはおちょくるのでも無く、会話の繋ぎなどですらなく
 心底本気のえーだった
 この男騎士物語という物に憧れているだけあって浪漫派である
 女の現実というものは故郷で嫌というほど叩きこまれた(物理)がそれでも夢を見たいタイプだった)

別にそういうの否定はしねーけどよ…でもあえて言うわ
無いわー…
欲望解消してーなら金使えばいいわけで、男と女っつーのは、こう…なあ?
(そこに働いたのはどういう感情なのか
 強い視線を真っ向から受けていた空色の瞳は伏せられ、ゆるゆると首が揺れていた
 目を逸らしたので負けが決定した)

はーん、めんどくねぇ?それ
お得だろ?学生やってた方がよ
(なんでもないように投げられた会話のボールは
 やはりなんでもないように投げ返されて)

ま、なんだ
ドンパチする時に手が足りねぇ時に呼ばれる傭兵みてぇなもんだわな
あ、プライベートじゃお年寄りにも優しくしてっし、その辺もちゃんとしてっからな?
あー……
(弱いと言う彼女に一瞬虚を突かれ、視線の動きに吊られて空を見上げ…)

は?
あ…おう、19な、同い年な?
知ってたぜ?
(完全に不意打ちが入ったリアクションはわざとらしく
 ド失礼なものになってしまった)

鏑木 ヤエ > 「そんなモンですよ、落第街、って呼ばれてるくらいですから。
 大真面目にレンアイしてるような連中はここには来ませんし。
 こんなところでレンアイしてるような馬鹿は中々特殊な事例しかなさそうですし。
 ヤエも別に構わねーですけどね、生理現象ならしょうがないでしょうて」

(その雰囲気に一瞬だけ悪いことをしたな、と胸中で謝罪をひとつ。
 随分と可愛らしいその心底本気のえー、に少しばかり口元を上げた)

「ガクセーやれんならやってますよやえだって。
 フッツーに正面から門を叩いたのにダメだったんですから。
 それでもちゃんとガクセーセイカツはしてますけどね。できねー訳ではねーですし」

(ぽすり、手中に収まったボールをまた投げる。
 矢張りなんでもない話。どこにでもある世間話の一幕。或いは幕間)

「なんともタノシそうなオハナシで。
 傭兵ってなるとフーキも人材不足ってヤツですかねー。
 まあこの島は悪人というか馬鹿に対してそれを捌くニンゲンが足りなさすぎますし」

(肩を竦めた。
 実際問題ラウンジで風紀の人間が愚痴っているのも知っている。
 同時に襲撃やら厄介極まりないことに巻き込まれやすいその風紀の体質についても)

「今絶対やえのこと年下だと思ってましたよね。
 ねえねえねえねえねえ。ゼッタイ年下だと思ってましたよね。
 頭吹っ飛ばされてーですか。やえは十九歳ですよ。
 こないだ誕生日きたばっかりですけど」

(実に早口で、半ば劈くようにして捲し立てた)

アーヴィング > いや、その辺は判ってんだぜ?判ってんだぜ?マジで
人間、綺麗事だけじゃ生きていけねーっつのはよ?
でも構えよその辺はよ…
(なまじっか最初の印象が子供っぽく見えたからだろうか
 普段ならすぐに笑い飛ばして下品な冗談の一つも言えただろうに
 防御の隙間からざっくりと突き刺さるような何とも言えないダメージがあった)

あー、わり、そういうのもあんのな
こっちの事情知りもしねーで口走ったのは失敗だわな
(どこにでもある珍しくもない話
 しかし異世界出身である自分はまだ、この世界の事で見えていない部分が多すぎる
 だからこそ、彼女が気にしていないようでも頭は下げて)

つーか俺の我侭だけどな、組織に忠誠とか誓えねーから
保護だのなんだのそういうのも要らないから好きに使ってくれってな
馬鹿やる馬鹿はどこも耐えねーからなぁ…
まあこんな年頃に暴れやすい玩具手に入れちまったら判らんでもねーが
それで泣き見る奴ぁたまったもんじゃねーわな
(がり…と髪の毛を掻き回し、申し訳無さそうに表情を歪める
 自分が風紀を代表するような物言いはしたくないが、少なくとも一員である自分の力不足という一面はあるだろう
 死ぬ気で頑張ってる同僚相手にトロフィー感覚で被害出して喜ぶ奴らはちっときつめにお灸をすえてやりたい気分だ)

………
おう、ぶっちゃけ未成年…あーこっちの世界じゃ19でもそうか
14くらいだと思ってた
足りねーんだよ肉が
肉食え肉、人間体が資本で体の構成材料は基本肉だぜ?
(胸の前で腕を組み、ふんぞり返り
 完全に開き直る方向性を打ち出していく
 子供相手なら気も使うが同年齢なら要らんわそんなもん、と)

鏑木 ヤエ > 「いえいえ、構いませんよ。
 そんなもんですからね、世の中」

(気にするな、と言わんばかりにひらひらと右手を振った。
 先刻まで伸ばしていた右手。ぎちりと軋むような鈍痛。
 一瞬だけその痛みに眉を下げた)

「まあそうでしょうて。
 玩具を手に入れた子供がそれを使うなと幾ら言ってもだめでしょう。
 そういうものだとして受け入れなければならないようでも中々ムズカシい話です。
 だからこそジコギセーじゃなくて心から島の為にやってるニンゲンは大変でしょうけどね」

(「やえにはよくわかりませんけど」、と付け足して)

「肉ですか。やえはあっまーいスイーツが大好きでしてね。
 どうにも脂っこいモノは嫌いですよ。美味しいパンケーキを食べたいです」

(ぼんやりとした視線で彼を見遣って、これまた曖昧な表情で笑った)

アーヴィング > その構いませんよっての「構えよ」にかかったよな!?
くっそ、イイ性格してんなぁお前……
(はぁ……と、ため息と共に胸のもやもやを吐き出す
 物語は綺麗なところだけを切り取っているから物語なのだ
 現実は様々な物が入り混じったモザイク模様で出来上がっている
 それは判っている
 判ってはいるが多少カスってもいいのではないだろうか)

だからこそきっちりと、馬鹿やるよかカチっとした方が色々得だぜ?って教えてやれりゃいーんだけど
ま、その辺は政治の領分になっちまうわなぁ
俺にも良く判ってねーけど、半分義理で半分ノリだな俺の場合…
ま、節介焼きじゃねーとつとまんねーたぁ思うけどな
おら、手ぇ貸せよ、手ぇ
(と、先ほど動かした時に痛そうにしたのを目ざとく見つけ
 ほれほれと手を伸ばす)

甘ぇもんってのはアレだろ…菓子だろ菓子
体力付けんならやっぱ肉だぜ?特に焼いた奴
(初対面の相手ゆえに判らないだろうがこの男、極度の肉食系男子である
 肉をおかずに肉を食べるくらいは朝飯前である
 ゆえに人類皆肉を食うべきだと半ば本気で思っているのだった)

鏑木 ヤエ > 「ありがとうございます、やえは褒められるの好きですよ」

(綺麗な物語のどこを切り取ってもこんな光景は拝めやしないだろう。
 せいぜい演劇でいえば降りた幕の向こう側で起きているかもしれないくらい。
 鏑木彌重は彼とは対照的に綺麗なだけの物語は好まない。
 人間らしい汚さや甘えの入り混じった、そんな物語が大好きだった。
 そして非情なまでに現実主義者なのである)

「馬鹿をやってもいいんでしょうけれども。
 時間と場所をわきまえなよ、ってコトでしょうて。
 それをわからないからああやって馬鹿するんでしょうけどね。
 モラトリアムだからって甘えてんじゃねーですよ、とは思いますけども。

 ………ノリで人助けとはズイブンといい趣味してますね。
 もしかして誰かを助けてる自分が好きなタイプだったりしますかね」

(ずい、と図々しく手を出した。
 細く、病的なまでに白い肌に所々かすり傷がひとつふたつ。
 それはじわりと血が滲んでいて。夜の光ではそれを見ることが叶うかはわからない)

「やえ肉は嫌いなんですよ。なんだかすごく嫌悪感あるというか。
 どうにもなんだか食べられないんですよね。牛も豚も。
 意思のあったものを食べる、っていうのが余り好きではなくて」

(ゆっくりと首を振った。
 極度の肉食系男子とはこれまた対照的な生き物がもこもことした髪を揺らした)

アーヴィング > 褒めてねーよ…
いや、割りと会話が弾むし貶してるわけでもねーなこれ…
(顎に手をやり、むぅと呻く
 どうにもペースが掴めない相手だが、こう遠慮なくぽんぽんと言葉を投げて来るのは話しやすい部類に入る
 しかし褒めるにしては少々舌鋒が鋭利だ、キーンエッジというやつだ)

馬鹿同士で馬鹿やってんなら関わりあいにならねーで済むから気楽でいーんだがね
なるたけ痛い目にあってもらって授業料にしてもらうけどな

ん?おう、好きだな
誰かを助けられるってよ、かっけーじゃん?
だから俺は、俺が好きで居られるかっけー自分でありてぇわけよ
(ぽっと指先に炎を宙に灯し手元を照らし、差し出された手を掬うように取ると傷を検分して
 ウーロン茶で湿らせたハンカチでとんとんと傷口を叩くようにして汚れを取り
 動かした時に痛んだという事は筋を傷めてる可能性もある
 ピッと濃紺のハンカチを裂くと手の平と手首に輪を通すような縛り方で固定し、テーピング代わりに)

ふぅん…人生の五割五分くらい損してんなぁ
でもま、そういうの嫌いじゃねーな
(ぺしっと手の甲を叩くと薄く笑みを浮かべる
 言い方は皮肉っぽいが、感想は真実のもので)

んで、気力わきそうか?
飯食うか?
なんかその、甘いもん?
(あいにくこの男の脳内マッピングでは肉系は充実しているが甘味の知識というものは欠落している
 せいぜいコースの最後に来る杏仁豆腐が美味い焼肉屋を知ってる程度で
 非常に大雑把な誘いの言葉となった)

鏑木 ヤエ > 「………ははぁん」

(曖昧な溜息。
 ぼうと虚空に灯ったその炎を見遣って。
 誰かを助けられるのがかっけー、という言葉をぼんやりと耳にして。
 不機嫌そうな溜息がふ、と漏れた)

「なるほど、やえはそういう手前がどうにも好きになれなくてですね。
 ジコギセーセイシンの正義の味方も、正義の味方であることを好む連中も。
 どーうにも、好きになれねーんですよ。

 ほら、救済ってのは自己満足の押し付けであることは間違いねーでしょう。
 そんな気紛れで自分より下──二級学生を拾いあげようってフーキイインが先日いまして。
 やえはね、嫌いなんですよ。
 持っているニンゲンが同じニンゲンでも持たない人間を上から救おうとするのが」

(恨みつらみも先刻のテンションと全く変わる様子を見せない。
 されど、何処かジイと見つめる紫水晶は濁ったようで。
 固定された右手を見遣れば「ありがとうございます」、と)

「そうですねえ。
 甘いモノがあるってんなら食べねーこともないですよ。
 あと奢り、ってんなら喜んでついていきましょう」

(やや声色を明るく撥ねさせて。彼のスカイブルーのそれを覗き込んだ)

アーヴィング > (好きではないとはっきりと言われれば目をぱちくりとさせ
 一瞬遅れて理解が追いつくとケタケタと楽しそうに笑う)

ははっ、あーなるほど確かに押し付けられちゃぁたまらねーわな
おう、俺が救ってやるぜ感謝しな、なんてセーギのミカタ様なんざ肋骨三本くらい持って行きたくなるわ
つーか持っていくわ、着払いで

けどまあ、むっずかしーわなぁ
押しつけは良くねーけど、助けてくれって声上げれねぇ奴にゃこっちから手ぇ出してやらねーとだしな
けどまあ、俺の身内がお前を上から見て不愉快にさせたなら、悪かったな
つっても俺の方が下っぱだろうけどな、そいつよか
(けけっと下品な声で笑い飛ばすと、改めて肩をすくめ、それで謝罪の意を示す
 頭を下げるのはなんとなく、わざとらしい気がした)

OKOK、奢ってやるよ
んで勘違いされる前に言うけどよ
俺はおめぇを哀れんで食わせるわけじゃねーからな?
気の合った奴と飯食いてーって思うのは変じゃねーだろ?
(な?と首をかしげ、それから決まりだ、と炎を握り締めて消す
 それからふと、彼女の服のあちこちに傷が付いている事に気付くと、強引にサマージャケットを押しつける)

肉ねーと寒いだろ
(余計な一言を添えて、んじゃ行くか、とゆったりとした歩調で歩き始め)

店知らねーから、行きたいとこ選べよ

鏑木 ヤエ > (想像とは違ったリアクションに少しばかり驚く。
 楽しそうに笑うその様を見て小さく小首を傾げた)

「普通に考えて肋骨じゃあ済まねーですよ。
 やえはホンキでキライですからね、誰が何と言おうが断固キライですね。
 かみさまにでもなった心算ですかと。
 
 …………、」

(少しばかりの逡巡を挟んだ。
 視線はあっちへ行ってみたりこっちへ戻ってきたり。
 瞬く星を最後にもう一度見上げたあと、また口を開いた)

「構いませんよ。
 セーキのガクセーから見たらそんなモノなのでしょうて。
 二級学生ってのはカワイソーなものなんでしょう。そんなモノですよ」

(ある種自分に言い聞かせるように、子どもにやさしく物語を読むように言葉を紡いだ。
 それは随分と穏やかで、静かで、)

「ダイジョーブですよ。
 ナンパに引っ掛かった、ってことにしておきましょう。
 哀れんでるのが一瞬でも滲んだらそれこそ肋骨持っていくので安心してくださいな」

(サマージャケットを受け取った。
 身長の高い彼のモノはそれこそ30cm以上も低い彼女が羽織ればワンピースの裾と変わらないくらいで。
 ぶかぶかのジャケットを少しばかり弄んだ)

「そこそこですよ。
 ていうか可愛い女の子に向かって肉肉言うんじゃねーですよ。
 肋骨折りますよ」

(彼の歩調に合わせてまた一歩と立ち上がる。
 それから小さく、)

「……ああ、歓楽街にクッソ美味いパンケーキの店あるんですよ。
 ドチャウマかつあのホイップクリームの量………!
 ほら、行きましょうアーヴィング・ヴァン・オルブライト」

(何時も通りにフルネームで彼を呼ぶ。
 先刻までの不機嫌は何処へやら、華麗に影を踏んだ)

アーヴィング > 別に嘘たぁ言ってねーよ
いいか?世の中最強の理由ってのは「嫌い」と「気にくわねー」だ
だって仕方ねーじゃん、嫌いならよ
まあ嫌いだからって何してもいいってわけじゃねーけど
(初めて見せた戸惑うような仕草にようやく勝てたとでも言いたそうな嬉しそうな笑みを浮かべ
 すぐにその子供っぽさに気付いて苦笑に変わる
 楽しそうな、という共通する要素を残して)

かもな、持ってる奴が持ってねー奴を哀れむってなぁ一種仕方ねー事だ
でもよ、それを相手に察せさせちまうっつーのは、俺はお前より上だぜっつってるようなもんだしな
思うのは勝手、でも思ってるって見せちまうのはそいつの落ち度だ
んでおんなじ看板背負ってる俺の落ち度でもあるわけだ、世間様から見たらな
(ああ、判っている、そんな事は判っている
 世の中そんなもんだ
 だが、そんなもんだと思った上での立ち回りというのも、どこかにあるはずだと、そう思う)

ふむ……じゃあアレか?隙見て肩を組もうとするとか、そういう破廉恥な振舞いを……
OK、冗談だから俺の肋骨ちゃんにおイタすんじゃねーぞ?
(へい、とおどけた調子で両手を挙げて
 何もしませんのポーズ)

肉ねーのと可愛いのは同居可能だろがよ
ま、見栄えがいいっつーのは認めてやるよ

………それパンケーキっつーかアレだよな?
クリーム乗っける皿が食えるような配分だよな?
やべぇ俺食えるもんあっかな……

っと、へいへい、エスコートさせていただきますよ
ヤエ
(ポケットに手を突っ込み、周囲に視線を巡らせゆったりとした脚運びのチンピラムーブで追いかけ、横に並ぶ
 歩調を合わせて)




(余談ではあるが、彼はパンケーキの上にアイスを乗せて花火を突き刺した物に惹かれ
 メニューより明らかにでかいという逆メニュー詐欺を食らって腹の底から冷却されるハメとなった)

ご案内:「路地裏」から鏑木 ヤエさんが去りました。<補足:◎乱入歓迎 濁ったクリーム色の髪に鮮やかな紫色の瞳。七分袖の赤いワンピースに薄いタイツとストラップシューズ。>
ご案内:「路地裏」からアーヴィングさんが去りました。<補足:藍色の髪、スカイブルーの瞳、目付きクッソ悪い、黒シャツに真っ赤なサマージャケット+真紅に金糸縫いの腕章>