2015/09/26 - 22:09~00:53 のログ
ご案内:「常世神社」に蓋盛 椎月さんが現れました。<補足:亜麻色の髪 茶の瞳 白衣 蜥蜴のヘアピン [乱入歓迎]>
蓋盛 椎月 > 石段を登り、鳥居をくぐる。
境内には、蓋盛のほかに人はいない。
「考えにふけるのには向いてそうな場所だなあ……」
なんてことを呟きながら、キョロキョロとあたりを見渡す。
「あった、お手洗い」
目的のものを見つけたらしく、そこへと歩を進める。
屋根の下に水が溜めてあり、柄杓がいくつか置いてある場所。
もちろんお手洗いなどという名称ではなく、手水舎である。
参拝の時には、ここで身を清めなければならない。
そう……蓋盛にとってじつに珍しいことに、神頼みをしに訪れたのである。
蓋盛 椎月 > 「これも一応順番があるんだっけな……
指間、指先……」
柄杓を手に取り、左手と右手に冷水をかける。
そして掌に受けた水で口を濯ぐ。
それを終えて、柄杓を立てる。
「昔は水飲むところだと思ってゴクゴク飲んじゃったな~。
そのあとはうがいとかしちゃったっけ……」
昔の失敗を思い出してひとり苦笑する。
蓋盛に神仏を敬うとか、罰当たりとかそういう思慮は基本的にないが、
これから頼みごとをしにいく相手の機嫌はとっておくべきだろう、
ぐらいのことは蓋盛とて考える。
蓋盛 椎月 > 「さて……」
手水による清めを済ませたところで、
参道のどまんなかを通って(*)、拝殿へと向かう。
鈴を鳴らし、賽銭を投げ入れる(*)。
そこで一旦動作を止め、続いての手順を思い出そうとする。
「え――っと……
一拍二礼三拝だっけ?」
ぜんぜん違う。
* マナー違反。
蓋盛 椎月 > ペシペシ。シャララーン。
そしておじぎ。
果たしてこれで順番は会っているのだろうか?
ともかく蓋盛が正しいと思う参拝はこうだった。
あとは、肝心の神頼みの内容である。
「………………」
合唱し瞑目し、その場に石像のように硬直する。
「どうか………………」
かすかな声が口から漏れる。
ご案内:「常世神社」に千代田さんが現れました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。巨乳。左目から灰色の炎>
千代田 > 橙色に身を包んだブロンドの髪の少女が、鳥居をくぐり境内へと姿を現す。その左目からは、灰色の炎。
硬直し何かを願っている様子である亜麻色の髪の女の姿を見れば、記憶を頼りに。
「蓋盛椎月、先生……でしたわね?」
背後から、声をかけてみる。
どこかお嬢様めいているが年齢相応なその口調から、
女には何やら以前の"彼女"と様子が違うと感じられるかもしれない――が、どうか。
「……お願い事、でして?」
蓋盛 椎月 > 蓋盛は考える。
多分自分が来るべきは神社の拝殿ではなく教会の懺悔室であったろうな、と。
けど別にどうでもよかった。
現世の苦しみに耐え切れず、自分というものを何かに預けてしまう。
宗教も快楽も似たようなものだ。預ける先が違うというだけで。
善い人間になりたいとは思わない。さりとて悪い人間になる必要もない。
ただ、
(どうか私を、――――――)
「!」
背後からの声に、くるりと白衣を翻しながらターンする。
「いやー、最近よく働いてるから神パワーで
給料アップしてもらえないかなーって思ってさ――」
実に底抜けに能天気に笑って頬を掻いてみせた。
「きみは……畝傍ちゃん――で、よかったかな?
少し見ないうちに大人っぽいしゃべり方になったねえ」
千代田 > 「お給金……ですか」
蓋盛が笑いながら語る願いは、少女――"千代田"の想像よりも現実的なものであった。
しかし、教員という立場から考えれば堅実な願いであるともいえる。
千代田は蓋盛に軽く微笑み返した後、自らが"畝傍"であるかと問われ、また少し真剣な表情に変わり。
「いいえ……今は"千代田"ですの。畝傍とは……何と言いましょうか……入れ替わって、しまって」
千代田はさらに言葉を紡ぎ続ける。
畝傍の異能――『炎鬼変化』<ファイアヴァンパイア>には、使用する事で彼女自身が支払う代償があること。
そして千代田自身は、畝傍が異能を行使し『代償』を支払い続けた影響で生じた第二の人格であり、
今までは畝傍の精神の奥深くから彼女と交信し続けていたこと。
先日畝傍が荒事に巻き込まれた際、異能の行使によってこれ以上『代償』を支払う必要がないよう、
千代田の人格が表に出て代わりに異能を行使、襲撃者を撃退したのはよいが、
それ以降畝傍の人格との交信が途絶え、数日が経過した今でもなお戻らずにいること。
それらの経緯を事細かに、彼女に説明せんとした。
蓋盛 椎月 > 「そそ。お金があればなんでもできるからね~。
お洋服も買えるし、おいしいものも食べられるし……」
クルクル、とその場で一回転。
「ほう……多重人格、というやつかね」
千代田と名乗る少女の語る言葉に、興味深そうに耳を傾ける。
「異能が原因ともなると、解決手段を探すのは難しそうだな……
きみが神社に訪れたのは、主人格の復帰の祈願かなにかかな?」
千代田 > 「そう……ですわね」
俯きがちに答える。畝傍の心中にいた頃はやや辛辣な言葉も発していた千代田であったが、
いざこうして主人格たる畝傍が姿をくらませてしまえば、その行方を案じずにはいられなかったのだ。
「それに……この常世神社は、畝傍が一番の親友と出会った場所でもあるんですの。ですから……何か、つかめるかと思いまして」
正確には、常世神社内にある鎮守の森。
かつて畝傍はそこで、後に一番の親友かつ同居人となる、狂った人斬りの少女――石蒜<シーシュアン>と出会った。
常世島を訪れてからの畝傍の運命が大きく動き始めた起点たるこの場所を訪れれば、
途絶えていた畝傍の人格との交信も復活するかもしれない――千代田はそう考えていたのだった。
蓋盛 椎月 > 「なるほどね。
親友か。畝傍ちゃんからともだちの話は度々聞いていたよ」
納得したようにうんうんとうなずいてみせる。
「どうやら、一般的に言われる解離性同一性障害とはだいぶ勝手が違うみたいだな……
あたしの《イクイリブリウム》で解決できるようなものでもなさそうだ」
拝殿を離れ、参道のあたりをぶらぶらと歩く。
「きみは随分と畝傍ちゃんのことを案じているみたいだね。
この機に成り代わったりとか――そういうことは考えないの?」
千代田 > 「…………それは」
俯いたまま思案を続けた後、歩きながら話を続ける蓋盛に視線を合わせつつ、
「それは、千代田の望むところではありませんわ、先生」
また口を開き、そう返す。
畝傍の心中にて生を受けたばかりの千代田ならば、
そのような事も考えたかもしれない。しかし、今は。
「千代田は……畝傍を。愚かで哀れな、たったひとりの"姉君"を……守らなくては、ならない……そんな気がしていますの。……ですけれど」
今の千代田に、畝傍の人格は『守るべき対象』として映っていた。
それが時の流れの中で変化した千代田自身の意思であるのか、
あるいは別の何かであるのかは、今の千代田自身にも判断がつかない。
蓋盛 椎月 > 「そう」
どこか嬉しそうに目を細めた。
「なんだかきみたちはお得だな。
ひとりの身体なのにふたり分ある。賑やかでいい――
――なんて、不謹慎かな?」
立ち止まり、ひひひ、と子供っぽい笑みを向けた。
「大切な親友と、案じてくれる“妹”がいる――
そんな幸せな場所なら、いつかちゃんと畝傍ちゃんも戻ってくるだろうよ。たぶんね。」
安心させ、励ますような口調。
千代田 > ふたり分の視点、ふたり分の感情、ふたり分の感覚。
そして、ふたりでひとつの記憶。
「……いいえ。不謹慎だなんて、そんな」
向けられた笑みに、千代田はどこかかつての畝傍を思わせながらも、異なる微笑みを見せ。
「ありがとうございます、蓋盛先生。あの子が貴女を頼りにしていた理由が……少し、わかる気がしますわ」
再び口を開くと、感謝の言葉を告げる。その右目には、小さな涙の粒がきらりと光っていた。
蓋盛 椎月 > 「感謝されることなど!
涙はもっと大事なときにとっておくべきだよ、レディ」
芝居がかった台詞。スキップで参道を歩く。
「それじゃ、あたしはこの辺で。
今は特に手伝えそうなことはないが――
もし何かあたしの力が必要になったときは、よろしくね」
機嫌よさそうに手を振って、そうして鳥居をくぐり、神社を後にする。
(――願をかける相手が間違っていたな)
(――あたしに大人を演じさせてくれるのは、いつだって子供たちなんだから)
(けれど、大人を演じるだけでは)
(届かない心もある――――)
……小さくため息を付いて。
ご案内:「常世神社」から蓋盛 椎月さんが去りました。<補足:亜麻色の髪 茶の瞳 白衣 蜥蜴のヘアピン [乱入歓迎]>
千代田 > 「はい、先生」
そうして蓋盛が去った後、千代田は拝殿へと向き直る。
今は交信できない畝傍ともども、参拝の正しい手順に関する知識がないため、
しばしの間手を合わせ、目を閉じて祈るにとどめ。
再び目を開けば、千代田もまた来た道を戻るようにして歩き出し、鳥居をくぐって神社を後にする。
ご案内:「常世神社」から千代田さんが去りました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。巨乳。左目から灰色の炎>