2015/10/10 - 21:08~04:36 のログ
ご案内:「ヨキのアトリエ」にヨキさんが現れました。<補足:人型、197cm。黒髪金目。スクエアフレームの黒縁眼鏡。黒ドルマンスリーブワンピース、黒タンクトップ、ボルドー色サルエルパンツ、黒ハイヒールブーツ>
ヨキ > (休日の午後、まだ日も高い時間帯。

 私室の狭い流し台に備え付けたコンロの上で、沸かした湯がくつくつと小さな音を立てている。
 ガラストップのローテーブルを前にしたヨキが、黒い合皮の三人掛けソファに深く腰掛けてスマートフォンを弄っていた。

 工房の玄関先にヨキの住居であることを示す表札がない代わり、扉の傍には鉄のランプがぶら下がっている。
 ハロウィンのカボチャを模した中に、電球が煌々と光っているデザイン。
 整備された研究区の中ではそれほど入り組んだ道でもなく、生徒ひとりでも迷わず辿り着けるだろう。

 そういう訳で、人待ち顔である)

ご案内:「ヨキのアトリエ」に加賀背 雄さんが現れました。<補足:黒髪の三つ編み&眼鏡&女子制服>
加賀背 雄 > そういえば、ハロウィン……
(建物の前には、古風な鉄のランプ。 ヨキ先生はやっぱりちょっとアーティスティックだ。
 そんなことを考え、笑顔のかぼちゃをそっと撫でる。
 軽く深呼吸をしてから、遠慮がちに扉をノック。)

あの、ヨキ先生いらっしゃいますか? ええと……加賀背、です。
(いつもの、否、気合をいれてめかしこんできてしまったのが災いした。
 自分の名前を名乗ろうにも、周りに聞こえたらと思うと名乗れない。
 とはいえいつまでも黙っているわけにも行かないし、小声で名乗る。
 先生なら気づいてくれないということもないだろうし。)

ヨキ > (ノックの音に振り返る。
 私室から離れた出入り口のゆえに、扉の向こうの躊躇いがちな声をすべて聞き取ることは出来なかったが、迷わず玄関を開ける。
 学内より随分とチャラい私服より、さらにラフラフしい様相のヨキが、笑って雄を出迎える)

「やあ――こんにちは、加賀背君。いらっしゃい」

(足を踏み入れる前からして、床や壁の一面がグレーのコンクリートで覆われていることが判る。
 どうぞ、と雄を招き入れてすぐのアトリエは、佳境に入ったらしい制作のためにさまざまな工具や資材が置かれている。
 鉄の裸婦像や裏返しに立て掛けられたキャンバス、大量のスケッチブック)

「ごてごてと散らかっていて済まないな。
 これだけの大物ばかりだと、仕舞うに仕舞えなくて」

(それはヨキ基準の散らかりようらしく、話しぶりにしては整然としているのだったが。
 アトリエから土足のまま通じている私室へ案内しながら、笑って小首を傾げる)

「今日は一段と、可愛らしい格好をしているではないか。
 デートの帰りかね?」

加賀背 雄 > 先生、家だと結構リラックスしてるんですね。 …気合入れすぎたかも。
(すごくあっさりした格好のヨキ先生は、学校にいるときでも、お店に来てくれた時でもない、
 ものすごくサラッとした格好だった。 でもかっこよく見えてしまうのは、雰囲気とかなのだろう。)

おじゃまします。 わあ、すっごい…! こう、いいですね、美術ー!って感じがします。
僕のところも、いつもこんな感じですよ。 大型の装置があるので、どうしても。
(打ちっぱなしのコンクリートの壁や床、そして油絵の具の匂いと、様々なツールやキャンバス。
 クロッキー帳やらスケッチブックやらも積まれている様子は、
 自分が管理するSNS<ドリームランド>のサーバルームのような、雑然とした、
 けれど機能に満ち溢れた場所であることを示していた。)

かわ、っ…。 ありがとうございます。 先生のところに来るから、気合入れて来ちゃいました。
(女の子を模して可愛くなろうとしている自分にとっては、すごく強い褒め言葉だ。
 思わず視線を反らし、頬を染めながらごにょごにょと言葉を返す。
 そそくさと部屋の中へ移動。今日は鑑賞してもらうために来たわけではないのだ。)

ヨキ > 「はは。勿論、ヨキの家だからな。
 出迎える側が肩肘張っていては、君も緊張してしまうだろうから。
 できる相談もできなくなってしまうのは、困る」

(室内の様子に共感したらしい雄の様子に、機嫌よく微笑んで)

「君のところなどは、よほど機械に囲まれているのではないのかね?
 何しろドリームランドと来たら、大した規模であるだろうから」

(SNSをひとりで管理する少年の姿を、改めて見遣る。
 その頬が自分の言葉で上気したことに、ふっと目を細めた。
 リラックスした格好とは言え、目尻に小さく差した紅は欠かさないものらしい)

「ほう?ヨキのためだったのか。ならば歓迎も手厚くしなくてはな。

 …………。
 気合を入れてその格好ということは、つまり……
 君のことは、女の子として接するのが良いのかね?」

(少し考えてから、尋ねる。
 その返答如何によってがらりと態度を変えそうな雰囲気が、このヨキという教師にはあった)

加賀背 雄 > そうですよね… 相談する時間を設けてくださって、ありがとうございます。
(なんとなくごきげんな感じに笑顔を浮かべるヨキ先生をみて、自分も微笑む。
 この人の、飄々としててガードが低いところはすごく素敵だ。
 だけど、自分の芯を崩したりはしないわけで。)

サーバ室と居住スペースを別にしてるんです。
ほら、衣装スペースとか、撮影用の場所も準備してますから。
(素直に頷く。 ドリームランド用のサーバは、完全に一室を独占している。
 狭い部屋に空調やら電源設備やらケーブルやらを回しているので、
 文字通り混沌といったところなのだが…利用者にはそれを知る必要もない。)

ええと…えっと、それはですね。 そのあの……
(ヨキ先生の問いかけにしどろもどろ。 アテもなく手を動かしたり、
 視線を彷徨わせたり。 しばらくおろおろ時間を過ごしてから、
 恐る恐るといった態度でヨキ先生を見る。)

先生としても、この格好だと…男子として扱いにくいでしょうし、
その…女の子として、接していただきたい…です。
(大丈夫、お店でもいつもそうしている。 別に今日が特別なわけじゃない。
 けれど、自分から宣言するのは…それはそれで、すごく恥ずかしい。
 頬を染め、視線を伏せながら相手にお願いする。)

ヨキ > 「気にするでない。ヨキの時間は、可愛い生徒のためにあるからな。
 君の方こそ、ヨキを相談相手に選んでくれて有難う。こちらが感謝しているくらいだ」

(私室へ入ると、冷ややかな内装のわりに秋の日差しが差し込んで、室内は程よく暖かい。
 頑丈な造りのためでもあるのだろう。
 ウォルナット色を基調にした木のデスクや大きな本棚、黒いオフィスチェアに黒いパソコン……

 そのパソコンはと言えば、ヨキの見た目どおりの年代が使うにしても随分とハイスペックに見えた。
 ハイビジョンのディスプレイ、机の陰に隠れた本体。
 詳しい者が見れば、どこからどう見てもハイエンド系のゲーミングPCだ)

「サーバ室か。コンピュータを使う者には羨ましい……いや、一ユーザーには過ぎた環境か。
 管理するのも大変そうだ」

(気楽に話していたのを、雄が返答に詰まると自分も言葉を切る。
 その表情の変化をじっと見つめて――女の子、という答えが変えるや否や、
 どことなくほっとしたように)

「――判った。
 恥ずかしながら……ヨキは見ての通り、人の機微に疎いでな。
 見た目と心がそぐわぬということに、いまいち鈍感なのだ。
 そう答えてくれると、ヨキとしても有難い」

(続けて微笑んだ眼差しに、それまでと異なる柔らかさが滲んだように見える。
 雄をソファへ座るように促しながら、飲み物の支度を始める)

「コーヒーか紅茶。あとはお茶と……オレンジジュースも少し残っていたかな。何にするね?」

加賀背 雄 > ヨキ先生の実直さは、友達からも聞いています。 それに…女の人には相談しづらくて。
(ヨキ先生の私室は、すごく綺麗だった。 デスクや本棚はもちろん業務のためだろうけれど、
 でんとそびえるコンピュータは大型のモノだ。 興味深げに覗き込む。
 装置の側面に書いてあるロゴを見て、目を丸くする。)

これ、ブリザード社…RCX-3000だ。 ってことは中もガッチリしてますよね。
電源もいいやつを使ってる… 先生、デジタルでも絵を描かれるんですか?
あるいは3D関連とか?
(目を輝かせる様は、メカ好き男子の面目躍如といったところだ。
 有名なゲーミングPCのメーカーの名を上げ、ヨキ先生に確認する。
 普通ではあまり必要のない、重装備のグラフィックカードや装備品の類を見て、
 美術教師である彼が3D関連に使用するのだろうか、と問いかける。)

管理は大変ですけど、一人なのは気が楽です。 僕がちゃんとしていれば、
利用者の皆さんに迷惑はかからないわけですし。
(ね、と明るく笑う。 先生が<ドリームランド>を使用してくれてるのが、
 とてもうれしいのだ。 目の前に利用者がいる、というのは、管理者としては喜びである。)

はい。 今日だけは女の子扱いでよろしくお願いします。 失礼しますね。
(ヨキ先生の笑顔に、こちらも破顔する。 機微が云々と言っていたけれど、
 彼の眼力は本質を見てしまうから、機微が把握しきれないとか、
 そういうことなのだろうか。 一瞬考えこむも、座るように促されると頷く。
 スカートを軽く押さえてソファに腰掛けた。)

ありがとうございます。それでしたらオレンジジュースをいただけますか?
(座ったまま先生を見てお願い。 この辺りの気の回し方も、すごく優しい。
 やっぱり先生なんだなあ、と憧れの視線を向けて。)

ヨキ > 「怖いな、生徒らから他に何と評されているのやら?
 ……なるほど、それでヨキのところへ。それは是非力になってやりたいものだな。

 ………………」

(止まる。パソコンの機種をずばり言い当てられて、振り返る。
 先ほどまで雄を女性として、と穏やかに笑っていた顔が、突如としてニヤァ、と緩む。
 『自分の好きな話題』に『最良のかたち』で踏み込まれた、オタクの顔だ。
 口を覆い、唇を拭う。息を吐き、気を取り直す。ちょっと嬉しそうだ)

「彫刻の勉強に、少しCGを。あとは自分の作品をまとめるのに、画像の編集もするよ。
 ……だが使えるものには、何にでも使う。使えるようにしておきたくてな。
 映画も観るし音楽も聴くしゲームもやる。……頑張りを理解してもらえると、嬉しいものだ。

 ふふ、管理者が真摯だと安心できるよ。
 SNSにアカウントを作る以上、そこへ間借りしているのと同義だからな」

(ソファへ腰を下ろす雄に背を向けて、手際よく支度を整える。
 雄の分のグラスにジュースを注ぎ、自分のカップへはストレートの紅茶を。
 学生街のパティスリーで売られているサブレを小皿に載せて、銀のトレイでまとめて運ぶ)

「お茶請け程度だが、君の口に合えばいい。……それでは、君の話を聞こうか?」

(飲み物や菓子をローテーブルの上に並べながら、雄の顔を見る)

加賀背 雄 > はい、ぜひよろしくお願いします。ヨキ先生は素敵だって、皆話してますよ。
(両手は膝の上。きちんと頭を下げ、頭を上げると、ヨキ先生がすごくいい顔をしていた。
 そう、マニアならわかるというやつだ。 ”仲間”であることがわかったのか、
 どこか嬉しそうにする先生の言葉に、なるほど、と頷いた。)

わかります。 CGはやりやすいですからね。 編集も…
ヨキ先生、色々趣味を持ってらっしゃるんですね。
そうか、美術って幅が広いから、一辺倒ってわけにはいかないんだ。
(ただの趣味もあるのだろうけど、色々なことに手を伸ばすその熱量自体が、
 彼の推進力の高さを示しているのだ。感嘆のため息が漏れる。)

ありがとうございます。 その…そう言っていただけると、とっても嬉しいです。
(胸の前で手を合わせ、満足気な顔。 どもヨキ先生とは、ある程度波長が合うようだ。
 ジュースとお菓子を頂いて、相手の視線に自分の視線を合わせる。
 小さく息を吐いてから、ゆっくりと口を開いた。)

その…まあ、先生はわたしが、<ドリームランド>の管理人だってことをご存知だと思います。
女装して、<ホシノカミ>として自撮り配信をしていたのは…目立つからと
、なにより…反応が欲しかったからです。 けれど…
(ジュースを一口。 一度深呼吸。)
その…わたしの正体を、”ある人”に知られてしまったんです。
この前の…えっちな配信は、その人に迫られて。

だけれど、その人と何度か会っているうちに、わからなくなって来たんです。
もしかして、わたしはこの状況を喜んでいるんじゃないか。
あの人は、わたしを喜ばせるためにそういうことを…つまり、あの配信をさせたんじゃないか。
実は自分が望んだことなんじゃないか、ああいうことを、したがっているんじゃないかって。
(うつむいてとうとうと語る。 それだけしゃべると、無言でサブレをぺきりと小さく割って、
 口の中へ。 甘さが口の中に広がって、少しだけリラックスする。)

ヨキ > (誰かに素敵と言われることは元より、自分の趣味――
 ひいては、人間としての在りようを認められたことが嬉しかったのだ。
 朗らかにはにかむ様に、雄と同じほどの生徒めいた無邪気が交じる)

「……美術をやるに、それだけではいけない、と言われた。
 世を広く見、頭を使い、アンテナの感度を良くせよ、と。
 コンピュータもそうだし……出来ることなら、何でもやってみたいからな」

(三人掛けのソファに座る雄の向かい、一人用のソファに腰掛ける。
 紅茶を啜って唇を潤し、相手に向き直る。
 口を引き結ぶと、あとはもうひとりの教師、大人の顔だった)

「………………、」

(話を聞きながら、ソファの肘掛けに肘を突く。指先で、額を掻く。
 目を伏せて眼鏡のフレームを押し上げる――その瞼の裏に、観たものを思い出していることが判る)

「ヨキには、そういう……不特定多数に見せたい、という気持ちが、よく判らなくてな。
 動画というと……カメラを前にする訳だろう?誰が観ているかも、判らないままに。
 今の君のように、『女性のようにお洒落をしたい』『女性になりたい』という気持ちとも、また勝手が違うだろう?

 ……動画の『あれ』は、ここや件の店で華やかな格好をすることにも増して、楽しいのか?」

加賀背 雄 > なるほど…そうですよね。 アンテナはすごく大事ですし。
ヨキ先生の情熱なら、何でも始められそうな気がしますね。
(嬉しそうな、男の子みたいな無邪気な笑顔を浮かべる先生に、
 思わず自分も表情がほころぶ。 ひとまず自分の状況を
 話し終えてから、ヨキ先生の言葉に耳を傾けた。)

ええ、カメラを目にします。 それで、誰かが見てくれます。
コメントが表示できるパソコンを近くにおいておくんです。
そうすれば、反応がすぐにわかって…画面の向こうの人が、
何を望んでいるかが、ある程度はわかるようになっています。

動画の”あれ”は……楽しいかと言われたら、そうでもない、と思います。
たしかに、その……その、ヨキ先生だから言うんですけど!
その、気持ちいいことは気持ちいいじゃないですか。
でも、楽しいのとは別で…恥ずかしかったりするけれど、それがその…
余計、刺激になって…その、ええと…そういうこと、なのかな…
気持ちいいことと、楽しいことは違うっていうか…
(必死に考え、問いかけに答える。 こうして言葉にすると、
 こんがらがっていた思考の糸が徐々にほぐれていく。)

ヨキ > (加賀背君の好きなことも教えてくれ、と、友人のように笑う。
 そうして紅茶のカップを手に、雄が語る『状況』を想像しているような顔。
 視線は雄の顔を真っ直ぐに見ていて、けれどその目は雄を透かした遠くの壁を見ているかのようだった)

「うむ……そうか。
 君にはそれが――気持ちいいのか、…………」

(窓の外は未だ明るい。しかし語るヨキの顔には憚りというものが一切なく、
 生徒を前に性的な話題を語ることの躊躇というよりは、あくまで自分にとって理解の及ばぬもの――
 そうした物事に思いを巡らせるときの困惑が、強く表れているようだった)

「君の気を害するつもりはないんだが……
 ヨキには、独りですることの心地よさが、判らなくて。
 それを人に見せたい、と思ってしまうことも」

(カップを置く。顎に指先を添えて、言葉を選びながら発する)

「それは……自らを辱めることによって誰かの痴情を煽ることが、刺激になるのか。
 それとも、見も知らぬ誰かが自分の相手になってくれるやも知れない、という想像によるものか?

 その……相手の居ない悦び、というものが、ヨキにはどうも縁遠いのだ。
 例えば、そうして女性のようにめかし込み――ヨキに褒められることもまた、君を煽るのか?」

加賀背 雄 > その…きもちいい、というか、嬉しいです。
ええと、言葉が足りなくてすみません。 …その、正体を知ってる人との行為は、
気持ちいい…というか…。 ええとええと… 別に、こう、その…それがその、
無上の気持ちよさではないというか…
(ヨキ先生の質問は、とても切れ味鋭い。 こちらの回答が胡乱なものになりつつあるのは、
 それだけ中心に切り込んできているということだ。
 ぎゅっと膝の上の手を握り、相手の質問の意図を考えようとして。)

今のご質問で言えば、前者です。 別に…その、したいわけじゃなくて。
ただ、喜んでもらえたら、嬉しいなって思っているんです。
だから、ヨキ先生に面と向かって褒められたのは、すごく嬉しくて…
もちろん、配信を見ている人に対して、ちょっと意地悪なきもちもあります。
女の子と間違えてるんだぞ、って。
(自分の中身を吐露するのは、難しくて恥ずかしい。発情しているわけじゃないけど、
 ただ嬉しくて、ドキドキするのだ。 自分の言葉が通じるかはわからないけれど、
 必死にヨキ先生に訴えかける。) 

ヨキ > 「……そうすると君、ああいうの、好きなのではないか。ほら、動画とかでよくある……
 壁に穴だけが空いていて、そこに……突っ込むようなやつ?ヨキにはあれもなかなか……難しくてな。
 カメラの向こうにしか人が居ない、文字の上でしか反応が判らない、というものに、似ていると思った」

(相手の気を楽にせんと微笑んで話しながら、握られた手を一瞥する。
 無遠慮なまでの好奇心と、知識欲。知らぬ土地へ分け入るように、真っ直ぐに雄の目を見る)

「それじゃあ……君の悦びは、あくまで君の中で、君個人によって膨らまされるものなのだな。
 『女性として』着飾ることも、自ら恥を煽って、煽られることも。
 たぶん……君と、ヨキや君の動画を観ていたものたちの感じている悦びは、大きく異なるものだろう。

 このヨキは、『見た目に美しいこと』が好きさ。
 それでいて、君が『ヨキのことを考えて美しく在ろうとしてくれたこと』が、最も嬉しかった。

 ……君の視聴者たちも、きっとそうだ。
 『可愛い女の子』である君を、『可愛い女の子である君が痴態を晒すこと』に悦んでる。

 直截に言わせてもらえば――
 煽られた男はみな、君と寝たいと、君を襲いたいと、犯したいと思うはずだ。
 だがそれでいて、君はどうだ。
 画面の向こうで、煽るだけ煽って、独り悦に入ってる……

 自分がどうしたいか判らないと、何故こんなことをしているのか判らない、と言ったな。
 ヨキにも判らない。

 今の君は、真実自分がそうと望んだ状況に居るようにしか見えないんだ。

 ……『本当に辞めたいのか、それを』?」

加賀背 雄 > あっ、ちょっとわからないですけど…でも、なんとなく言いたいことはわかります。
ちょっと好きです。 こう…使ってもらってる感じが。
(自分の視点が、穴側だということには気づかずに相手の言葉に答える。
 張り詰めていた全身が、相手の微笑みで少しほぐれる。 大きく息を吐いて、
 ぶるぶると頭を振ってから、相手ともう一度視線を合わせる。)

その…あの、僕には、相手っていうか、そういう人がいませんから。
だから、なのかな…自分の中で、考えて…。
(ヨキ先生の言葉に、ぴたりと言葉を止めて聞き入る。)

皆、そんなふうに思ってる…。
(相手に言葉を突きつけられ、怯えたように身をすくめる。
 自分も男だからこそわかる。 カワイイ女の子と、
 あわよくば仲良くなって、深い仲になりたい。
 だけれど、彼らからすれば画面の向こう…
 自分は、ただ人を煽っているだけなのだ。
 非対称な関係であったことを暴露され、視線を床に落とす。)

…僕は、その…辞めたいっていうか…
ただ、わからなかったんです。 あの人との関係が、よいものなのか、そうでないのか…。
その人と関係し続けることが、恥ずかしいところを誰かに晒すことが望みなのかって。
結局のところ、ヨキ先生の言うとおりなのかもしれないです。 僕は…
その、辞めたいって思えてない時点で、きっと許容してるんだろうなって。
(ヨキ先生の問いかけはとっても鋭利だ。 どこか脱力したような笑顔を向ける。
 冷たいジュースを一口。)

ヨキ > (なるほど、という顔をした。
 よく理解できないシチュエーションの、更に向こう側に雄が居ることを。

 自分の言葉に何かしら思うところのあったらしい、相手の表情に気付く。
 弱々しい笑顔を真っ直ぐに見ながら、一連の言葉を聞き終えたのち――

 残っていた紅茶を煽り、二杯目を注がずにソファから立つ。
 無言でローテーブルを回り込み、三人用のソファ、雄のすぐ隣に深く腰を下ろす。
 見た目よりも重たげに、ソファが沈む感触。

 雄が座る側の背凭れに、伸ばした腕を置く。
 近くなった相手の目を覗き込むように、ただ見据える)

「…………。なあ、加賀背君。君、気付いていないのか?
 君は……『そういう姿を晒せ』と君に命じた者とは、『何も繋がっていない』んだぞ。

 君とその人物とは、実際のところ――『一切何も関係していない』ではないか。

 君の痴態を愉しんでいるその人は、本当に『君』に命じたのか?
 『君のような人間』が相手であれば、誰でも楽しめる人種ではないのか?

 加賀背君が……『画面の向こうの誰からにでも』痴情を煽られてしまうのと、同じように。

 ヨキは、誰でもない『君』のことが大切だから、こうして話している。
 誰あろう君に、褒めるべき価値があると思ったから褒めたんだ。

 ……それでも。
 それでも君は……『君自身を空費すること』を、まだ続けようと思うのか?」

(眉を下げる。雄の目を真っ直ぐに見据える。口を噤んで、答えを待つ)

加賀背 雄 > ヨキ、先生……?
(ゆっくりと立ち上がる先生をじっと見つめる。
 ぐるりとテーブルを回りこみ、自分の隣へ。 静かに隣に座るその人は、
 体温があって、実感がある。 画面の向こうとは違って、質感があり、そこにいる。)

気づいてないって、何を…… な、っ…
(核心を突く一言。顔をそむけようとするけれど、
 しっかりと自分を見据える視線からは逃れられない。
 そう、自分はあの人とは”関係していない”のだ。
 次々に投げかけられる問いかけに、自然にぽろりと涙が溢れる。
 もちろん怒られているわけではないのがわかっているのだけれど、
 それを止めることができずに、手で涙を何度も拭って。)

そう、だったんだ…そう、ですよね…。
(唇をぐっと噛み、自分に言い聞かせるように呟く。
 大切だという言葉に、どこか縋るような視線を向けた。)

ヨキ先生は…僕のことを大切だって、思ってくれるんですか?
その、今まで僕は…あんまり、そういうことがなかったんです。
この島に来たのだって、本土で事件を起こしてしまって…
それで厄介払いみたいな形で、ここに来たんです。
だけど…もし、もし、ヨキ先生が、生徒を…僕を大事にしてくれるっていうなら、
空費すること……やめられるかも、しれない、です。
(震える手を伸ばし、彼の服の裾をつかもうとする。
 自分になにかあると思っていたけれど、そんなことはなかった。
 それを教えてくれた相手に、願うように問いかける。) 

ヨキ > (すぐ近くで見つめる顔。その目元から、涙が落ちる。
 相手の中に堆積していた何かがかたちを取って零れ落ちるかのような様子に、眉を下げたままふっと笑う。
 くしゃりとした笑顔。目尻に薄らと浮かぶ皺は、普段から笑い慣れた者の顔に刻み込まれたものだ)

「思ってくれるか、などとは、このヨキの前では愚問だとも。
 生徒としてヨキの前に立ち、ヨキを先生、と呼んでくれるなら、みなヨキにとっては大事な生徒だ。
 それでいてヨキを、『ひとりの人間』として見てくれるのならば。
 加賀背君、という君を、ヨキはとびきり大事にしてやるさ。

 ……掃き捨てられたでもなく、追いやられたでもなく。
 ヨキにとっては、この島がいちばん大事な場所なのだ。
 そこに暮らす君を、どうして粗末に出来るね?」

(雄に裾を掴まれるままにして、腕を伸ばす。
 背凭れに置いていた右腕で、相手を絡め取るように。
 そうしてもう片方の左腕でも、しかとその背を包み込む。
 相手を包んでくぐもった声で、低く囁く)

「自信を持ってくれよ。
 君は『ホシノカミ』である以前に、ひとりの『加賀背雄』なんだ。
 君の本質を見ようとしない『誰か』に煽られ、浮かされたものでなく――

 君が本当にしたいと、見たいと思う物事を、大切にしてくれないか。

 このヨキがずっと、そうしてきたのと同じように」

加賀背 雄 > ヨキせんせい、ヨキせんせいっ…!
(ヨキさん、と呼ぶのはちょっと恥ずかしい。 大事にしてくれるという言葉、
 そしてなにより、島にあるものを大事にしたいとするその言葉。
 涙で声を震わせながら必死に相手を呼ぶ。
 相手の長い腕が、自分の背を包み込む。 大きな体躯にすっぽりと収まると、
 少しだけ油絵の具の匂いが、そして男の人の匂いがした。
 ぎゅっと抱きつき、胸板に顔を押し付けて、涙が流れるにまかせる。)

はい、ヨキ先生…すみません…。 したいと、みたいと思うこと…大事にします…!
(なにより、自分に気づかせてくれたこと。 そしてその相手を、教師を大事にしたい。
 自信を持てとの言葉に、何度も何度も頷いた。)

ヨキ > (雄の薄い背を撫で、柔らかく叩きながら、溜まっていたものが流れ落ちるに任せる。
 急くように頷く雄にゆったりと笑い掛けて、頷き返す)

「ああ。そうしてくれ。
 ……君が本当に望んだことについて、何も反対はせんよ。
 君がしたいと思うことを、ヨキは応援するから」

(左腕で相手の背を抱いたまま、右手の指先が雄の濡れた頬を撫でる。
 涙を拭い取り、払って、くつくつと小さく笑う)

「ほれ、めかし込んだというのに台無しだ。
 ……それとも、こんな風に素直になってくれたことを善しとすべきかな。

 今日は、女の子として扱われたいと言ったのは君だろう?
 ヨキは泣いた娘の涙を止めるのが下手糞でな。
 その代わり……求められれば、どうとでも応えるだけのことはしたい。

 このヨキはまだ、君のことを何も知らないに等しいのだから」

(両腕がするりと落ちて、雄の後ろ腰をリラックスした体勢で緩く抱く。
 まるで子どもをあやすように、柔く身を寄せる)

加賀背 雄 > うん…んんっ…っふ……っ…
(先生の優しい言葉に、胸に顔を埋めたまま頷く。 
 そっと頬に振れる相手の指先に、くすぐったいとばかりに小さく震えて。
 涙が収まるまでの少しの時間の後、ゆっくりと顔を上げると、小さく鼻をすすった。)

すみません、色々と… もう、大丈夫です。 今度…その人に聞いてみます。
僕はあなたにとってなんなんですか、って。 大事なものじゃないって言われたら…
その時は、すっぱりです。
(ぐっと小さく拳を握ってみせて、吹っ切れた事をアピールしてみせる。
 女の子として、と言われると、頬を染めた。)

その…ヨキ先生にかわいいって言ってもらえるし、こういう風に優しくしてもらえるなら…
もっとかわいくなるのも、ありかもしれないですね。 僕も、ヨキ先生のこと全然知らないです。
先生に優しくしてもらえるように、僕も生徒として、人としてちゃんとしたいな…
(優しく身体が振れる。軽く抱いてもらいながら、泣きはらした顔で笑って。)

ヨキ > (恋人へ睦言を囁くような近さで、雄の泣き笑いの顔を見つめる。
 拳を握ってのアピールには、可笑しげに笑って首を振る)

「馬鹿だな。
 そんなものは、君がいちばん大事だと囁くに決まっているではないか。
 そのような手合いは、どのようにでも優しく甘やかして君を捕まえておこうとするものだ。
 君がすっぱりと、切れてしまえなくなるように」

(尤もらしい顔を作って諭したのち、ふっと噴き出して)

「可愛くなった方が良いかどうかは…さて、ヨキからはどうとも言えんよ。
 何しろ君が男でも女でも、ヨキは平等に大事にするからな」

(自分もまた隣り合った人の熱に解かされるように、心地良さそうに目を伏せる)

「もしも君が『その人』と向き合って……また甘い言葉を囁かれたら、思い出せ。このヨキを。
 君を粗末に愛し、手懐けようとする輩よりもずっと、君を尊重してやるから」

加賀背 雄 > う、ううっ…そう、ですか…。 そうですよね。
お風呂だって入る気無いけど、「もうすぐ入るから!」って言ったりしますもんね。
(まだ島に来る前の事を思い出す。 そんな感じの話をしたこともあった。
 ヨキ先生に笑われると、ふにゃっと自分も気の抜けた笑みを浮かべる。)

ヨキ先生、本当に凄い人ですね。 でも…僕はヨキ先生に嬉しくなってもらいたいです。
(だから、もっと可愛くなりたい。 もちろん相手が喜んでくれたのは、
 ”自分のために身だしなみを整えてくれた”ことなのはわかっているのだけれど、
 どうせならより良い方がいいはずだし。 きらきらと輝く瞳でヨキ先生を見ながら、
 ちから強く宣言。)

…はい、ちゃんと覚えておきます。 今日のこと、忘れたりなんてしません。
ありがとうございます…
(ほんの少しだけ身体を動かして、くっつく面積をちょっとだけ増やす。
 ヨキ先生に嫌がられない程度に身体をくっつけながら、しっかりと頷いた。)

ヨキ > (風呂の喩えに、嘘はいかんぞ嘘は、と明るく笑う。
 再び元気の含まれた声と眼差しに、満足げに頷いた)

「よく覚えておくがいい。ヨキほどの人間は、島中探してもそうそう居らん。
 それでいて、ヨキを喜ばすのは誰よりも簡単ぞ」

(雄が身を寄せたことに気付くと、ふっと声を零す。
 右手で雄の左手を掬い取り、その手の甲に口付ける。
 悪戯めいて軽い、一瞬のこと)

「少し休もう。温かい飲み物でも入れるよ。
 ……もう少ししたら、夕飯でもこさえてやろうか。
 あまり大手を振って外を歩くのも、君は憚るだろうから。
 気の済むまで、ゆっくりして行ってくれ」

(雄からするりと離れて、湯を沸かし直す。
 それから茶を淹れて、菓子を食べて、話をして。
 日が落ちれば、早めの夕飯を共にすることもあるだろう。
 雄が辞去するその時間まで、ゆっくりと穏やかな時間を過ごす)

ご案内:「ヨキのアトリエ」からヨキさんが去りました。<補足:【待ち合わせにつき乱入はご容赦ください】人型、197cm。黒髪金目。スクエアフレームの黒縁眼鏡。黒ドルマンスリーブワンピース、黒タンクトップ、ボルドー色サルエルパンツ、黒ハイヒールブーツ>
加賀背 雄 > はい、ありがとうございます、ヨキ、せん……せ……
(元気よくお返事をしたところで、そっと相手の手が動く。
 自分の手を取り、何をするのかと思ってじっと見ていると…
 唇が触れた。 あまりの出来事に毒気を抜かれ、ぽかんとした表情を浮かべる。)

は、はいっ、ありがとう、ございます……
(キスしてもらった手を、もう片方の手で大事そうに包見ながら、
 立ち上がるヨキ先生をじっと見つめる。
 自分の中の何かが強く揺さぶられているけれど、その正体が掴めない。
 結局、ヨキ先生のおうちでご飯を頂いて帰るまで、その謎が解明されることはなかった。)

ご案内:「ヨキのアトリエ」から加賀背 雄さんが去りました。<補足:黒髪の三つ編み&眼鏡&女子制服。ダッフルコートもあるよ。>