2015/10/01 - 18:58~02:23 のログ
ご案内:「異邦人街大通り」にビアトリクスさんが現れました。<補足:褪せた金髪 青い瞳 カジュアルルック [乱入歓迎]>
ビアトリクス > ある休日の昼下がり。
チェックのシャツにカーディガン、カーゴパンツという
カジュアルな装いでビアトリクスは異邦人街を訪れていた。

目的はスケッチである。
異世界の風景を再現している――と言っても
さまざまな世界の住人の住まう異邦人街の風景は
どこかパッチワークめいた雑多なものだ。

そういった奇妙な風景はモチーフとしてはうってつけなのだが、
ビアトリクスはあまり足を運ぶことはなかった。

広場の、通行人のじゃまにならないような場所に
小さな折りたたみ椅子を置き、スケッチブックと色鉛筆を広げる……

ビアトリクス > 数日前まで、ビアトリクスは
絵を描くたびに異能が暴発するという現象に悩まされていた。
不承不承に母、イーリスへと相談したところ、
割りとあっけなく解決した。
彼女は魔術の教官としては優れていることは、やはり認めざるを得ない。

スケッチをしていると、
建築物といった景観とともに、通りがかる住民も目に入る。
異世界人――異邦人と言えば、例えばリザードマンやフェルパーといった
いわゆるヒューマノイドを想像する者も多いかと思われる。
もちろんそれらはそれなりの数にのぼるが、
この世界の一般人類とほとんど見分けの付かない者も多い。

イーリスが、自らを次元を渡る能力を持つ魔法使いであると
自称したことがある。
それが真であれば、おそらく彼女は《門》の外からの来訪者――
異邦人なのだろう。
すなわち、自分は異邦人の血を引いていることになる。
その事実はビアトリクスにとっては大して重要ではなかったが、
この異邦人街を眺める眼差しはほんの少しだけ変わった。

ビアトリクス > 異邦人街に立ち並ぶ建物も様々だ。
直視すると目眩を起こしそうな奇抜なものから、
ほとんどこの世界の建築様式と区別が付かないが、
よく見ると窓や扉の様式に異世界固有のものが見られたりするようなものまで。

色鉛筆を置いて小休止していると、
見習い絵描きの姿が物珍しく映ったのか、
異邦人の子供たちが何人か集まってくる。
その年頃はいずれも十に満たない。
常世島で結ばれて産まれた子供だろうか。

「逆テアトル広場だな……」

そんなことを呟きながら、子どもたちにせがまれるままに。
著名な漫画やアニメのキャラクターの絵を描いてやった。
もちろん代金をとったりはしない。

『うわー、にてなーい!』
(うるせえ)

子供は遠慮がなかった。

ご案内:「異邦人街大通り」に轍ヒロムさんが現れました。<補足:ジャージ上下>
轍ヒロム > 絵描き?の少年の前に列をなす子どもに混じって、明らかに大きな人影が一つ。
前の子らのリクエストににてるー!だの○○はそんな表情しなーい!だのと野次りながら待ち、自分の順番がくれば嬉しげにぴょんと前に。

「わーい私の番だ!
 あれ描いてあれ、常世学園非公認ゆるキャラの、トッキー!」

島内のイベント会場等でたまに見かける、ゆるキャラをリクエスト。
ちなみにトッキーのモチーフは、蚕の幼虫。

ビアトリクス > 面倒くさそうに子供のリクエストに応じつつ
どのあたりで退散しようかタイミングを測ろうとしていたが、
ついぞうまい機会を見つけられないままにリクエストされたのはトッキー。

「随分と大きい子供が混じってた……」
呆れ顔でそう口から漏らしてしまった。
トッキー。他にもこの島にはトコヨンなどというキャラがいたような気がする。いろいろいるんだな~。
(ビアトリクスのセンスからすれば)イヤなモチーフと、
絶妙なブサイクさを持ちあわせたキャラクターだった。気がする。

(……どんなんだったかな…………)
しかめつらで頑張って思い出そうと色鉛筆を動かした結果――
画用紙にはキュビズム的な見ていて不安を醸し出される絵が完成された。

轍ヒロム > 大きな子どもという言葉には、自分が言い訳するより早く子どもがこのネーチャン精神的には子どもだから!とフォローを入れてくれる。

「ちょ!これピカソのやつじゃん!
 あのほら、ハダカのおねーさんが何人かいるあれ!!」

アヴィニョンの娘たちを意味している台詞。
あらゆる角度からのトッキーを一枚に閉じこめたトッキーの絵を指差し、騒ぎ立てる。

「これもらっていい!?
 すげーねきみ、ピカソのうまれかわりだわ!」

感嘆し、トッキーの絵を金も払わず要求する。

ビアトリクス > 「あーそうなんだ……」
見れば他の子供ともずいぶんと仲のいい様子だった。
異邦人にもいろいろいるので、身体の成長だけが早いような種族もあるのかもしれない。
目の前の彼女は多分そういう事情ではないと思われるが。

「あ、思ったより知ってるな……ただのリスペクトだよ。
 正しいトッキーの絵かどうかはわからないけど、
 持ってっていいよ」

スケッチブックからトッキーの描かれたページを切り取って差し出した。
雑なイラストであるし、相手は(大きい)子供だし、代金を取る気は元からない。

轍ヒロム > 頭脳は子ども、で納得されたが特に気にするでもなく。
思ったより知ってると言われればドヤ顔。

「何年かまえに、美術の授業でならったんだ。
 ピカソ本人についての話がおもしろかったから、
 おぼえてるよ。
 リスペクトってことは、ピカソ大すき?」

差し出されたトッキーを一度受け取るが、また返すように差し出し、

「やった!
 ……あの、ここに、サイン入れてくれる?
 将来きみが有名になったら、
 お宝鑑定してくれるテレビ番組とかに出すんだ!」

失礼な発言。
だが少年の絵の才能を信じ込んでいる。

ビアトリクス > 「偉大な芸術家だし尊敬はしているよ。
 大好き、かと言えば答えづらいところだけど。
 あいつひどいやつだし」
芸術家にありがちなパブロ・ピカソの非人間的なエピソードのことを指して。

「ずいぶんとあけすけだなおい。
 ……じゃあそのときまで、劣化しないようちゃんと保存しとくんだね」

率直にほどがある提案に苦笑する。
ぶっきらぼうなもの言いをするが、
それだけの評価を受けていることはわかるのでそう悪い気はしない。
Beatrix Hienoとおもしろみのない書体で署名をして、改めて差し出す。

「ここには随分馴染んでいるみたいだけど、
 きみも異邦人なのかな」

ふと興味の湧いたので、そう尋ねてみる。
パッと見はこの世界の人間と変わらないように思えた。

轍ヒロム > ひどいやつと聞けばニヤリと口元を歪める。

「愛人いっぱいいたり、
 おじいちゃんになってから下ネタ絵ばっか描きだしたり?
 うけるよね!」

自分で言ってけらけら笑う。

「ありがとー!!
 …………べあとり……えっくす……ひえの?」

綴りがローマ字読みでしか読めない。

「あ、うん。
 ばーちゃんがね、異邦人つか、ウチュー人。
 つっても私は1/4だから、ほとんど人間だね~。
 ひえの君は、純人間かな?」

少年の姿を伺いながら。

トッキーの絵を羨んで手を伸ばしてくる子どもらには、これは私のだからダメー!あげなーい!と大人げなく奪われないよう絵を頭上に高く掲げる。

ビアトリクス > 「絵描きにしろ舞踏家にしろミューズとかなんとか言って呆れるよね。
 当時の芸術家を取り巻く時代背景もあったってのはわかるけど。
 ……あー、ビアトリクス、って読むよ。ヒエノは苗字ね」
どうも知識がアンバランスな少女だ、とビアトリクスは思った。

「へえ、宇宙。つまり異星人?
 わりとレアな出自だな……」
瞬きを数度。

「ぼくは……この世界出身だけど、親が異邦人。
 と言っても、別にこの世界の人間とは変わらないし、
 純人間扱いでいいんじゃないかな」

少し自信なさげな声でそう答える。
少女の周りに群がる子どもたちをおいおいと制止する。

「わかったわかった。
 きみらのぶんも描いてあげるから、喧嘩するな」
ため息を吐いて新しいページをめくり、他の子たちのために
トッキーを描いて、渡す。

轍ヒロム > くくく、と笑いを噛み殺す。

「私は時代背景とかはわかんないけどさ、
 芸術家って、好きほうだい生きてるかんじでいいよね。
 ビアトリクス・ひえの君は、破天荒な芸術家タイプ……ではないのかな」

そんな生き方に呆れるのなら、むしろ逆のタイプなのかなと思う。

「んー。
 たしかに、異邦人の中では少数派かもしれないね。
 けど三世だからばーちゃんのうまれ故郷なんて行ったことないし、
 あんまウチュー人の血ぃひいてる意味ないねえ」

軽い口調。

「へー、親が異邦人なんだね!
 見た目はほんと、純人間ぽい。
 なんか人間ぽくない特徴とかあるの?」

実はしっぽがあるとか、背中にウロコがあるとか!と親しげに質問。

「おお、ひえの画伯やさしいね。
 おーい子どもら、私もやさしいぞ!
 わだち画伯もその横になんか描いてやるから、
 いったんよこしなさい!」

自分も子ども達に優しいと思われたい。
子ども達に配られていくトッキーの横に何か書き足そうとして、子ども達に逃げられるわだち画伯。

ビアトリクス > 「どうかなあ。
 彼の最後の絵を見るとあまり楽しそうな人生とも思えない。
 ……まあ、本人がどう感じていたかなんて、現代を生きる
 ぼくらにゃわかるはずもないことだけど」
最後の絵、孤独と絶望を感じさせる、ピカソの自画像。

「自分で自分を破天荒って認識できる人ってどれぐらいいるのかなぁ。
 どちらにせよ、ぼくは芸術家としてはまだ駆け出しだからね……
 そうなる可能性もあるかもしれない」

破天荒な芸術家、と言われれば思い浮かぶのは
かつて落第街で一度会話をしたあの表現者だった。
芸術に携わるものであれば、ああいった狂気や逸脱からは
目を逸らすことはできない。
……ああなってしまう可能性もないわけではないのだ。

「あいにくとないな……。見えるところにも、見えないところにも。
 親もそんな感じだったし。
 そういうきみこそ何か妙な特徴を受け継いでいたりするの?」

子どもたちが散っていくさまをあーあと笑う。
わだち画伯の評価がわかるというものだった。

轍ヒロム > 笑いを消して、意外そうな顔。

「最後の絵はみたことないけど、そんなにひどいの?」

頷き、

「そうだねー、
 ふつうな人ほど自分のことヘンって言ったり、
 ヘンな人ほど自分をふつうだって言ったりするね。
 けど芸術家が平凡だとガッカリされそうだから、
 インタビューのときは破天荒方向にちょっと盛って
 おいたほうがいいかもよ!
 茶色は自分の血をつかってます、とかさ!」

未来の芸術家に、まさに狂気なインタビュー時のアドバイス。

「そうなんだー。
 ひえの君のおとーさんおかーさん、平行世界からきたとか?」

平行世界出身だから違いがないのだろうかと、小首を傾げる。

「私はー、はっきりわかる見た目の特徴はコレくらいかな」

手のひらを相手に向けて指を開く。
人間より発達した水掻きが、そこにはある。

追いかけても離れていく子ども達に、
「チッ、芸術のなんたるかを理解せん子らめ。
 十年後後悔すんなよー!」
と冗談で毒づく。

「ひえの君は、ほかにはどんな絵かいてるの?」

トッキー以外の真面目な?絵も見たいと、無遠慮にスケッチブックを覗き込もうとする。

ビアトリクス > 「ぼくの説明よりも今度自分で確かめてみるといい……
 とてもわかりやすい絵だからね」

ピカソの最後の自画像に関してはそう答え、

「きみの助言のほうがよっぽど破天荒だっつうの!
 そういう機会になったら記事の執筆者のほうが
 適当に盛ってくれるだろ、多分」

気が早過ぎるアドバイスに顔をひきつらせた。

「母はあまり自分のことについては説明しなかったからなぁ。
 平行世界と言ってもいいぐらいに近しい世界出身なんだろう、とは思ってるけど。

 ……へえ、水かきか、面白いね。
 きみの祖母君の星は水が多かったのかな。
 スケッチしてもいいかい、それ」

しげしげと観察しつつ。
他にどんな絵を? という質問に、スケッチブックの別のページをめくってみせる。
この異邦人街の風景や、学生街などの風景がスケッチされている。
街路樹や彫像のような目に留まる派手なモチーフから、
柵や側溝のような誰も目に留めないモチーフまで。
人間や動物の画は少ない。

轍ヒロム > 「ほんじゃ、今みてみる」

スマホを取り出し、『ピカソ 最後の絵』で検索。

「…………うわ」

その焦点の合っていないような、ぎょろりとした目つき。
緑がかった色。稚拙なようにも見えるざっくりとした線。
こわ!と正直な感想を呟く。

「あーなるほど。インタビュアーさんが勝手に、ね。
 けどさ、ひえの画伯は小鳥の血で絵を描いてます、
 とか勝手に書かれちゃったらやじゃない?
 その記事よんだ人に誤解されちゃうよね……」

すごい困った顔で、もしもの話を続行。ますます気が早い。

「説明しなかった、って……
 ひえの君のおかーさん、しんじゃったの……?」

珍しくおずおずと、聞きにくそうに。
水掻きをスケッチしたいと言われれば、嬉しそうに。

「え!!かいてくれるの!!やったうれしい!!
 あれなんだっけ手が有名な絵……そうモナリザ!!
 これカンペキ私モナリザじゃん!!
 ひえの君がディカプリオ!!」

レオナルド違い。惜しい。
きんちょうする!!だのハンドクリームぬっとけばよかった!!だの言いながら必死に手を動かさないようキープ。

スケッチブックのページを興味深げにしげしげと見る。
「おおお……風景がおおいんだねえ。
 あれ、これは…………えっ、柵?柵だよねこれ?」
さらに側溝の絵を見て固まる。
「こ、こっちは、
 どう見てもそのへんの道のはしっこの、
 ドブ……だよね?
 ……え、え、どういうこと?」
なぜそれを描いたのか理解できず、目を瞬かせる。

ビアトリクス > 「逸脱した画家のイメージってそんなんばっかか!?
 きみと話してるとだんだん疲れてくるな……」
辟易した表情。

「いやアレは殺しても死なないと思う。
 単に必要最低限のことしかしゃべらないだけだよ。
 これまでもそうだしこれからだってそうだ」
目をそらす。
母の話題に関してはあまり気が進まないようだった。

「……ありがとう。
 有名な手の絵といえば、他に『祈りの手』とかもあるね」

いちいちはしゃぐ彼女とは対照的に、
許可を得られれば静かな調子で色鉛筆を動かす。
子どもたちのために描いた手慰みのキャラの落書きとは違う、丁寧な筆致。
画用紙に、水かきを有する手が淡く浮かび上がっていく。

「なんでって、そこにあったから描いただけだよ」
ことも無げに言う。
ドブと同じようにスケッチブックに彼女の手が並べられることに関しては、
特に気を払ってはいない様子だった。

轍ヒロム > 「だってさあ、耳切りおとした人とかいるじゃん実際?」
画家≒狂気なイメージ。
話してると疲れると言われれば、よく言われる、と頷いて素直に同意。

「いきてた!!よかった!!」
少年の母親が生きていたことに、ほっと胸をなで下ろす。
母親に対する普通でない批評と、目をそらされたことにあれ?と違和感を感じつつ、
「つか、生きてんのになんで過去形……?」

周りの子ども達を、イェーイ私だけ描いてもらっちゃったぁ~と品なく煽る。
あっさり煽られ、ズルイを連呼しはじめる子ども達。

「祈りの手?」

空いている片方の手で器用にスマホをいじり、
時折フリックしながらしばらく真顔で画面を見つめ──

「ハーーンス!!!!」

涙。
「なにこの予期せぬいい話……!!
 ハンスめちゃくちゃいいやつじゃない!?」

祈りの手にまつわる逸話を読んだらしく、感動している。


「そこにあったら……かくの?」
芸術家の思考はわからない、と呆然とした表情。
「じゃあ私の手も、
 かっこいい!とかうつくしい!とかじゃなくて、
 ここにあったからか……」
ガックリ。でも律儀に手はそのまま。

ビアトリクス > ローマ字読みしかできないのになんでそういう
エピソードばっかり知ってるんだ……と内心思ったが
ツッコミを入れていたらキリがないことに気づいたので沈黙した。

「なにも期待してないからだよ、母には」
そう言ったビアトリクスの声は、
彼自身が驚くほどに冷たいものだった。


「あんまりぼくの感覚は説明しづらいんだけどさ、
 そこに在る、っていうのはただそれだけで奇跡的なことだと思うんだよね。
 たとえばふと目をやったそこに側溝や死んだ鼠がいたりだとか、
 こうやってきみととりとめもない話をしながらスケッチをしている瞬間だとか」

ヒロムの手が描きあがる。
幻と現のあわいにあるような、淡い水色の単色で描かれた妖しさの漂う絵だった。

「美しさというものは遍在しているんだよ」

轍ヒロム > アホだけどおもしろ話は大好きなので、有名人の自分的おもしろエピソードにはわりと詳しいのだった。
アホだけど(2回目)。


冷たい声にぎょっとする。
「……あー、えーと、…………」
どうやら母親とは上手くいっていないようだ。
慰めになるようなことを言いたかったが、歯切れ悪く唸るのみ。
「…………時間がたったら、いまとはべつの角度からおかーさんをみれるようになったり……しないかな?」
慰めにもならない、曖昧な言葉しか捻り出せない。

一生懸命考えて、自分なりに一生懸命感覚を研ぎ澄ます。
「……生きてる奇跡、ならちょっとわかるけど。
 それとはちがうのかな」

絵が出来上がったらしいと気づき、
「できた?」とドキドキしながらスケッチブックをそろそろと覗く。

「………………かっ…………こいい!!」

幽玄な出来映えに、目を丸くする。
己の手をひらひらと動かしてじっと見る。

「これが、」とまたスケッチブックに視線を戻し、

「こうなんのかー!!
 どうみても私の手なのに、イメージが全然ちがう!!
 すげーね画家って!!魔法みたい!!!!」

子ども達も集まって、スゲーだのかっけーだのと賞賛の言葉を口にする。

ビアトリクス > 「そうなればいい、とは思っているけどね。いつかは。
 まあ、時間はかかるだろうな」
返事はどうにも空々しいものとなった。


「……、ありがとう。
 絵描きの仕事は、見たものを見えたままに描くことさ。
 それを魔法と呼ぶなら――誰だって魔法は使えるんじゃないかな」
寄せられる賞賛の声に、少しの間ポーカーフェイスで硬直して。
手の描かれたスケッチブックを、
宝を仕舞うようにパタリと閉じて、色鉛筆や椅子を片付け始める。

「それじゃあまた。
 この手の絵は、トッキーの対価ということで」
なんかやたら増えている子供たちをかきわけて、
広場を去っていった。

ご案内:「異邦人街大通り」からビアトリクスさんが去りました。<補足:褪せた金髪 青い瞳 カジュアルルック [乱入歓迎]>
轍ヒロム > 「前向きなきもちがあるならきっと、
 わるいようにはならない……んじゃないかな」
人を慰め慣れていないため、掛ける言葉が下手。

「あ、私は学園2年の、轍ヒロムだよー。
 ありがとうねー、ひえの君!」

去っていく少年に貰ったトッキーの絵を掲げ、ブンブンと手を振る。


子ども達と少し談笑し、それから。
いつものように仕事に向かうのだろう。

ご案内:「異邦人街大通り」から轍ヒロムさんが去りました。<補足:ジャージ上下>