2015/10/21 - 20:59~23:12 のログ
ご案内:「常世祭大展示場」にヨキさんが現れました。<補足:人型。黒髪金目、スクエアフレームの黒縁眼鏡。197cm。鋼の首輪、拘束衣めいた白ローブ、ベルト付の白ロンググローブ、白ストッキング、黒ハイヒールブーツ>
ヨキ > (常世祭が開会し、何事もなく事が運び始めた二日目。
かつての教え子であった女性が、ヨキの元を訪れていた。
当時はまだ稚気の残る顔立ちをしていた少女が、今や手を引かれて歩く年頃の子どもを連れている。
先生、本当にちっともお変わりありませんね、とは、その女性の言だ。
言葉のとおり、ヨキはこの十余年少しも顔が変わっていない。
連れられていた男の子は、ヨキの人目を引く容姿にも何ら不快を示さない。
『大人しい子であるな』とその子を見下ろして、ようやく思い出す。
子の父親もまた、この学園の卒業生――異形の異邦人であったと。
昔話に花が咲く。
絵画から立体作品まで、展示場を見渡すヨキと元教え子の顔は穏やかだ)
ヨキ > (元教え子と一しきり話を終えたところで、和やかに別れる。
開会して間もなくの数日間や週末は、こうして解説や来客の対応に掛かりきりだ。
来月には新美術館での展示も控えていることもあって、なかなか気が抜けない。
展示場を抜け出して、廊下にの隅に置かれたベンチへ腰を下ろす。
知らずと溜め息が零れたところで、今度は現役の教え子が出店のお好み焼きを差し入れにやってくる。
おお、ありがとう、と受け取って、歯で割り箸をぱきりと割った。
声を掛けられぬうちに平らげてしまおう、と、早速腹ごしらえを始める)
ヨキ > (とは言え、ヨキは目立つのである。良くも悪くも。
一口食べては生徒からちょっかいを掛けられ、二口食べてはOBに呼び止められ、
息つく暇もない――まだ新美術館の関係者に見つかっていないのが、せめてもの救いか。
食事がなかなか進まない上に、絵画教室の幼児に二口取られた。
今は隣に金工履修生の、些かギャルめいた風貌の女子が座っている。
センセー忙しいねーと笑われて、うん、とばかり返すのがやっとだった)
ヨキ > (傍目から見れば、社会人とJKのカップルに見えなくもない。
が、ヨキの担当する生徒は毎年決まって少人数で、往々にしてアットホームなだけである。
ヨキをどこぞの教師を真似てヨッキと呼ぶ者あらば、彼がいわゆるネカマとしてMMO界隈を席巻していることを知っている者も居た。
芸術系クラスによくある女子高めいた比率のために、ヨキは隣に女子生徒を抱えていることが多かった)
「……ほれ、終わり終わり。ヨキは歯を漱がねばならんのだ。行った行った。
君は早いところ、彼氏といちゃついてくるがよい」
(女生徒は、センセー歯に青のり付いてるう、と笑いながら嘘を吐いて去っていった。
呻いてペットボトルの茶を煽り、唇を拭う)
ヨキ > (それからややあって展示室に戻る。
知った顔、知らない顔。新しい顔に馴染みの顔、自分を恐れる顔恐れない顔。
室内を見渡して、受付のテーブルへ顔を出す。
今のところ何事もなく、上々です、と聞いて、ほっと一息。
机の奥について、しばし展示室を出入りする往来を眺める)
ヨキ > (そうしているうち、ひとりの老婦人が展示場へ静かに足を踏み入れる。
普段どおりの丁寧な応対をこなす女生徒らの後ろで、ヨキの顔が一瞬ぴくりと強張った。
ショートカットの小ざっぱりとした印象。柔和な笑みがヨキを見る。
お久しぶりね、と笑う顔に、お久しぶりです、と低い声が返る。敬語。
女生徒らは声もなく、先生が敬語使ってる、と顔を見合わせた。
お元気でいらしたの、そう、そう、ええ、それはよかった。
老婦人の淑やかな声に反して、ヨキの頷きと相槌は低く重い。
緊張の表れ……あるいは、まるで遠く離れていた母親と、息子が再会したかのような。
どことなく居心地悪そうな頬の強張りを引き摺ったまま、
ヨキが老婦人を連れて展示室の奥へ進んでゆく。
老婦人の歩調は、ひどくしゃんとしていた。
例えるならば――それは、研究者然とした足取りだった)
ご案内:「常世祭大展示場」からヨキさんが去りました。<補足:人型。黒髪金目、スクエアフレームの黒縁眼鏡。197cm。鋼の首輪、拘束衣めいた白ローブ、ベルト付の白ロンググローブ、白ストッキング、黒ハイヒールブーツ>