2015/10/25 - 20:02~02:33 のログ
ご案内:「教室棟/特別講義会場」に浅田扁鵲さんが現れました。<補足:赤茶色の作務衣を着た、けだるげな表情の男。>
浅田扁鵲 >
【特別講義用の教室には、学園祭だというのに生徒が集まり始めている。
基本的に講義が休講となる学園祭時期も、こういった特別講義は開かれるのだ】
『資料と本土土産だ。一つずつ持っていってくれ』
【いつも通り最前列の机に置かれているのは、今回使う資料。
そして、その横には『林檎せんべい』の箱が置かれていた】
http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/uploda/src/aca907.zip
ご案内:「教室棟/特別講義会場」にクローデットさんが現れました。<補足:やや暗めの銀髪に青い目、クラシカルな服装で人形のような美貌の女性。手にはやや小振りの羽根扇子>
ご案内:「教室棟/特別講義会場」に観堂 貴緒さんが現れました。<補足:野暮ったい濃紺スーツ、赤いネクタイ。赤淵の伊達メガネ>
ご案内:「教室棟/特別講義会場」から観堂 貴緒さんが去りました。<補足:野暮ったい濃紺スーツ、赤いネクタイ。赤淵の伊達メガネ>
ご案内:「教室棟/特別講義会場」に観堂 貴緒さんが現れました。<補足:野暮ったい濃紺スーツ、赤いネクタイ。赤淵の伊達メガネ>
クローデット > 授業開始前に、教室に姿を見せたクローデット。
最前列の机に置かれた資料と…その横にあるものを見て、首を傾げる。
(………「林檎せんべい」?)
首を傾げるが…取るのは卑しいかと考え、取らずに適当な席についた。
浅田扁鵲 >
【学生が集まった教室。
その扉の向こう、廊下から覚えのある声が聞こえてくる】
「……勘弁してくれ。
祭りには昨日一日付き合っただろう。
行くなら一人で行ってくれよ」
『やだあっ! 扁鵲と一緒に行きたいの!』
「だからこれから講義だって言ってるだろう。
ほら、小遣いはやるから遊んで来い」
『わーい! 行ってきまーすっ』
【男の声と、まだ幼いだろう少女の声。
少女の声が軽快な足音と共に去っていくと、少しして疲れた顔の男が現れた】
「……騒がしくしてすまなかった。
そろそろ始めるから準備してくれ」
【そう言いながらいつものようにノートパソコンとプロジェクターを設定すると、教室を眺めた。
なんとなく学園祭の空気のせいか、そわそわとした様子がある】
「あー、うん。
学園祭で盛り上がってる所にすまなかったな。
都合がどうも合わなかったのと、あまり間を空けるのも悩みどころでこんなタイミングになってしまった。
まあお詫びと言ってはなんだが、本土の友人の病院に手伝いに行ってな、その土産を持ってきたから貰ってくれ。
しっかし北国はやっぱりもう寒いんだな、風邪を引くところだったよ」
【そんな土産話をしつつ、プロジェクターが起動したのを確認すれば、頷いて意識を切り替えた】
「さて、ついに三回目、最後の講義になってしまうが、いよいよお待ちかねの『五行説』についてだ。
五行と言えば、陰陽に並んで知っている者も多いだろう。
五行もまた、それが独立した魔術体系として成立している東洋の思想だ。
私もこの五行を用いた魔術を主に扱っている。
ただ、この講義では申し訳ないが『五行魔術』については教えられない。
それはなぜかと言うと、時間がないからだ。
あああと、その分の講演料も貰ってないな。
……まあそこを学びたい者がいれば、個人的に連絡してくれ。
学園としてでなく、あくまで個人的に教える事なら問題ないだろうから。
というわけで、今回も実践応用でなく、基礎の基礎、五行の理論を教える事になる。
五行は内容が少し多いから、進みが速いかもしれない。
分からない事があったときは、積極的に質問してくれよ」
【そう挨拶を兼ねて前説明をすれば、ホワイトボードに向かう。
そこに大きく『五行学説』と本日のタイトルをやけに達筆な字で記した】
観堂 貴緒 > そろそろと入室する、集まってる生徒をうらめしそうに睨む。見渡とクローデットを見て
(くそがっ…どうしてウチの教室と違うのか、催眠術って響きか?。しかもなんだ?あの美女は)
教師として最後列の後ろに立ち、タバコを吸いたそうに耳をむける
(人気の秘訣をあばいてやるぜ)
クローデット > 廊下から、講師の声と、聞き慣れない幼い少女の声が聞こえてくる。
(………娘………では、なさそうですわね)
幼い娘がいたとして、何でもアリの常世島、その学園祭に1人で送り出すとは考えにくい。そもそも呼び捨てだったし。
(…まあ、心当たりがないでもありませんが)
クローデットが思案を切り上げたのと、教室に講師が入ってきたのはほぼ同時だった。
公安委員会に所属しており、見回りの時間も多いクローデットにとっては、学園祭期間中の開催もさほど問題ではなかった。
…寧ろ、『退屈な』警邏よりは、知識の確認・収集が出来る講義の方が有意義だ。
わざわざ詫びる講師の様子に、くすりと優しげな笑みがこぼれる。
講義が始まれば、改めてノートを開き、筆記用具を手にした。
ご案内:「教室棟/特別講義会場」に光ヶ丘 睦美さんが現れました。<補足:頼られがちなポニーテールの少女。セーラー服の上から紺のカーディガンを着ている。>
浅田扁鵲 >
【教室側へ目をやれば、なぜか後ろのほうに学内で見た覚えのある教員。
なぜか睨まれているような気がするが、見られていてもそう困るものでもなかった】
「よし、それじゃあ『五行学説』についての講義を始めよう。
まず『五行説』と言うのは、広大な大陸の風土を理解するために生まれた考え方だ。
大陸を流れる黄河を中心に据え、四方の地域の土の色や、気候、生産物を、五つの代表的物質に結び付けて考えると分かりやすい、としてな。
そしてこの『五つの代表的物質』というのが、君らが気にしているだろう『五行』、木、火、土、金、水の五つの物質だ。
大陸の古代人が、日常の生活と生産活動から不可欠の基本物質として認識したのがこの五つの物質。
かつてはこれを『五行』ではなく『五材』、五種の材料と呼んでいたそうだ。
『五行説』と言うのは、これを基礎として世界の一切の事象を当てはめ、五材間の関係を法則化したものだ。
その法則の一つに、『似たものは似たように働く』と言う発想法がある。
「五蔵の象は類を以て推すべし」という言葉があってな、『類を以て推す』事で『類』の中で共通した性質を求めることにしたんだ。
その『類』を分ける基準に用いたのが『五材』であり、『五行説』だ」
【そこで、さて、と言葉を繋げ、教室を見渡す。
少なからず西方の出身者がいる中では、引き合いに出しづらいと思い頭をかいた】
「……これと似た考え方に、四大説や、四大元素なんかがあるが、これらとこの『五材説』を一緒にするのは間違いだ。
もちろん数の問題じゃなく、根本的な考え方の違いだ。
『五材説』が元になった『五行説』だが、その考え方の根本には、以前教えた『気の思想』がある。
「形ある者は無形に生ず」と言ってな、気の思想が基本になっている大陸では、この五つの物質を、その中で働いている五種の気が有形化したものだとして捉えたんだ。
『五行』とは『五種の気』であり、つまり四大説や四大元素のように、『五行』を物質を構成する元素として捉えるのは間違いとなる。
例えば、木と言うのは、木に代表される者の気であり、物質そのものを指す訳ではない。
……と、ここまでが前置きだ。
さっきも言ったが、今回は少々内容が多いから駆け足になる。
理解できない部分があれば、すぐに質問してくれよ?」
【そう確認を取れば、いつものように教室の中を見回して様子を伺う。
手が挙がらなければ、話を続けることだろう】
ご案内:「教室棟/特別講義会場」に相楽 満さんが現れました。<補足:ボサボサの髪で制服をキッチリ着込んでいる>
クローデット > 『魔術とは「とある世界観」をもとに、世界を上書きする技術である』
と考えるクローデットにとっては、「四大元素」と「五行」の間に優劣はない。
どちらが扱いやすいか否か、それだけだ。
少なくともクローデットに対しては、「引き合いに出し辛い」という扁鵲の懸念は杞憂だと言えただろう。
(物質は気が有形化したもの、ですか…)
物資と精神を対立させる西洋哲学とは異なった考え方がクローデットにとっては興味深かった。
楽しそうな笑みを口元に浮かべ、さらさらとメモをとる。
光ヶ丘 睦美 > はうはう!と慌ただしく廊下を駆け抜ける少女は、ついさっき常世祭実行委員会から出てきたばかり。
前回の講義も引く手あまたな応援要請、またの名を食べ盛りの感謝に答えてばかりいたせいで欠席と相成ったため、
最終講義だけでもと馳せ参じたところ。
なるべく音を立てないようにドアを開けて、
最前列までそろそろと歩んで資料をひょいと掴み取り、
林檎せんべいに関しては食欲の有る他の誰かに譲ることにした。
ててて、と適当な席に座って、リュックサックからゴソゴソとペンケースとルーズリーフを慌ただしく取り出していく。
今日の講義は五行説。
気を扱うとはいえ、陰陽の区別さえつかない睦美に果たして理解できるかどうか。
扁鵲の言葉を途中からとはいえよく聞き、よく考え、自分の感覚に見合った解釈に落とし込んでいく。
「……く、空即式是?ってこと、なのかな?」
別の概論で学んだ知識が不意に口をついて出た。
無いけどなんか有るっぽい。そういう状況を指す言葉は、睦美の中にはそれっぽっちしか無い。
相楽 満 > 案の定最初から前列に居た少年だが。
(……最初っから難しいな!)
今まではかなりあいまいでよかったのに、今回で結構難し目の単語がたくさん出てきて戸惑った。
さていきなりから難しいぞ、と考え込む。
ノートに『五行は物じゃなくて空気の一部』とか書いた。
わかんなかったら後で聞こう、などと考えている。
観堂 貴緒 > 基本だなっとつぶやく。
しかしどうしてこう、生徒が女学生がくるのだ。
タバコを銜えだす。
(明るく楽しい催眠術講座。……いや、そもそも催眠術つかえねーし)
浅田扁鵲 >
【いつもの顔ぶれに混じって、一回目に見た少女の顔もある。
興味を失われてしまったわけじゃないと分かって、内心少しばかり安堵した】
「まあ小難しい言葉で説明したが、五行や五材なんていうがこれは全部、『気』だよ、ってくらいに考えてくれ。
それじゃあいよいよ、五行について解説していこうか。
五行は五つの気だと説明したが、その気にはそれぞれ特性がある。
『類を以て推す』その類の分け方だな。
手元の図と合わせて聞いてくれ」
【するとプロジェクターが『五行の特性』と題された図を映した。
学生の手元には同じ図が資料として渡されている】
「まずは木から見ていこう。
木の特性は『木は曲直を曰う、酸を作す』と言い、『曲直』とは樹木が成長する形態で、枝が曲がったり、直進したりして外に向かいながら上へと伸びていく様子を表している。
条達も同様の意味を表す言葉だ。
このことから、成長や昇発、のびのびした姿、なんていう作用や性質を持った事象を全て『木』に帰属させたわけだ」
【そう木を説明すると、赤いポインターを隣の火へと移動させる】
「次は火だ。
火の特性は『火は炎上を曰う、苦を作す』と言い、『炎上』は文字通り、火が温熱、上昇の特性を備えていることを指している。
これから、温熱や上昇の作用を持つ事象は全て『火』に帰属された。
ちなみに、『木』と同様に上向きの作用を含んでいるが、広がりながら昇る……上昇し発散する昇発の作用と、まっすぐ上に立ち昇る上昇の作用とでは意味合いが異なる。
混ざりそうになったら、木の成長する様子と、火が燃え上がる様子を思い浮かべると良いだろう」
【そしてまたポインターが次ぎに移り、土を示す】
「そして土だが、これの特性は『土は爰(エン)に稼穡す、甘を作す』と言って、『稼穡』とは土の持つ播種と収穫という農作物への作用を言う。
図に書いた通り、生化、継承、受納などの作用を持つものは全て『土』に帰属する。
『万物は土中に生じ、万物は土中に滅ぶ』『土は万物の母と為す』
そう言われるのもこういった特性からだな」
【土について話すと、金へとポインターが移る】
「次は金の特性だが『金は従革と曰う、辛を作す』と言い、『従革』とは変革を表す言葉だ。
このため、清潔、粛降、収斂などといったものは全て金に帰属する。
選別、余分なものを削るといった意味合いも含まれているため、そういった性質のものも含まれるな」
【そして黒い円、水へとポインターが進んだ】
「最後に水の特性は『水は潤下と曰う、鹹(カン)を作す』と言い、『潤下』は水の持つ滋潤や向下性を指している。
このため寒涼、滋潤、下へと事物を運ぶ作用などは全て『水』に帰属する事になる。
『金』と同様に下向きの性質だが、水は物を運ぶという意味も持つ。
やはり方向性は同じでも意味が違っているため、混同しないように。
……これが五行それぞれの特性だ。
ここまではいいかな?」
【そしてまた一度言葉を区切り、学生らの様子を見る。
やはり手が挙がらなければ次へと進むだろう】
相楽 満 > (木は成長、火は上昇、土は全部の元、金はまとめる、水は落ちる、と)
ものすごく端的に書き込んでいく。
結局簡単に考えていいと言われれば、切り替えは早かった。
木と火の上昇の違いについてはちょっと難しいが、木がそびえたつ様と火の立ち上る様をイメージして納得した。
うむうむと頷き。
(……あのトカゲがいない!)
地味にかわいかったあのトカゲを探し、きょろきょり見渡す。
居ない。落ち込んだ。
最近爬虫類が気になって仕方ない少年である。
光ヶ丘 睦美 > 「え、っと……」
ぐりぐりと色鉛筆を駆使しながら五行の図をルーズリーフいっぱいに書き、
扁鵲の解説を書き加えていく。
木は広がって上へ、火は立ち上り上へ、
土は生み出して帰す。
金は整理整頓しながら下へ、水は……
はし、っと睦美が手を挙げた。
「金が清潔ってことは……水は、あんまり綺麗じゃないんですか?」
ポインターも黒い。
滋潤(じじゅん)や向下性(こーかせー)という言葉から、
何となく自分のことかなと思っていた水気が淀み気味で。
……ますますそれっぽいなと思えて、ちょっとだけ笑ってしまった。
クローデット > (…「昇発」は発散を伴う上昇で…恐らく、広葉樹のイメージですわね。
熱が上昇するイメージの方が発散を伴うイメージが強いですが…五行ではこう考えるものなのだ、と理解しておけば良いでしょうか。
…それにしても、こうも漢字が多いと言葉の咀嚼に苦労致しますわね)
漢字圏の出身ではないクローデットには、特性を表すキーワードが若干理解し辛かったが…電子辞書の助けを借りて、何とかした。
観堂 貴緒 > 「あー……、こほんっ質問いいか。
つまり五行説による五材は特性であり、触媒や行使における事象は別物って事で良いのか?
折鶴を動かすのは一見、土や木っぽいが水の特性を使う的な」
タバコに火を着けようか迷いつつ、声をあげる。
風紀委員教師がいて生徒が萎縮しなきゃ良いがと思い
ニヘラと笑ってみる
ご案内:「教室棟/特別講義会場」に蒼穹さんが現れました。<補足:PCNo:53/気紛れな邪神様。>
蒼穹 > (ガッタン。臆面もなく。また、許容もなく慈悲もなく。
特別講義の会場とされる教室の扉を蹴り開ける。
既に授業が始まって大分と経過してしまっているらしい。
結構な賑わい方で、席もこれまた結構埋まっている。
取り敢えず、最前列に置かれた林檎煎餅、なる奇怪なお菓子と、それから講義の資料を取る。)
ほお。…これはこれは、気が利くねー。
(教師と思しき男性がそこに居るが、別段遅刻しましたとも言わずに颯爽と後ろの方の御席へたったか駆けていく。
立居振舞は完全に不良のソレだった。
五行説が云々。ホワイトボードにやったら良い字体で「五行学説」やら何やら書かれている。
しかしまぁ、分かっていた事だが途中参加ともなれば何を言っているかさっぱり分からない。)
………。
(質問があれば何でも言ってくれ、と言うのであれば。
例えば「今までの授業を三行で説明してくれますか?」という質問は果たして受け入れられるのだろうか。
林檎せんべいの袋を毟りながら後方座席へ割り込んで腰を下ろし、資料を確認。)
…今、どこやってるんだ…っ!
(どの資料見ればいいのだろうか。水、金、土と色々話していたのだから…結局どれなのだろうか。)
えーと…えーと。
(林檎せんべいを咥えれば、資料との格闘が始まった。)
浅田扁鵲 >
「うん? いや、そんな事はないぞ」
【少女の手が挙がれば、少し首をかしげてから答える】
「水には綺麗なものも、濁ったものも、色が着いたものも、いろんなものがある。
そのどれも同じように水だろう?
それに、金の特性に清潔とあるが、これは金が特別綺麗であるという意味でもない。
特性を考える上で大事なのは、その働きの方だ。
水の働きは物を潤し、木を育て、物質を運搬する事。
綺麗であっても汚くあっても、その働きには変わりない。
世界に必要不可欠で尊いものだよ」
【そう少女に答えて、僅かに目じりを下げる笑みを向けた。
そして次に手の挙がった教師のほうへ目を向ける】
「ああ、そうですね。
触媒などに用いるものは、その特性、つまり『気』を多く持った者を用いるのが一般的でしょう。
ただ事象、折鶴を動かすのがどういった特性、五行の内どれに含まれる事象かと言うと難しいですね。
動く、運ぶという点だけを見れば水の特性に含めても良さそうですが、この場合『何で運ぶか』が重要になると思います」
【実際に事象を起す際の話になると、説明しきれない部分が出てきてしまう。
事象を起すといった場合、単一の特性に寄る場合と言うのはむしろ少ないのだ。
五行それぞれがそのバランスを変えつつ、物事を起すのが自然界における法則なのだから】
「……さて次に進む前に少しまとめるか。
五行と言うのは、元素ではなく『気』であり、それぞれが特性を持っており、その特性に合わせて分類される。
特性についてはこの後も頭の片隅に置く必要があるから、必要になれば手元の図を参照してくれ」
【質問に答えれば、途中から現れたなんとも堂々とした少女を眺めて、さして動揺するでもなくさらっとここまでの内容を纏めた】
観堂 貴緒 > 「……すまない、追加でもうひとつ。火だの水だのというから難しく聞こえるが、五行は……【モノ】の働き、動きを現してるよって事でいいのか?。
何で運ぶか…ああ、複合型なのか、5つバランスよく使う的に、ウチと似ているんだな」
そう言いながら、不良生徒のように入室してきた蒼穹に後ろから近づき、蒼穹のもつ講義資料をバシバシと指差して現在解説している所を教える。
光ヶ丘 睦美 > 後方からがったんと大きな音。
ドアかな?もしかするとドアが開いたのかな?と思いながら後方を確認すると、
資料をとりに最前列に向けて歩く水色の少女がみえたわけで。
あれなるはおそらくは私の命の恩人の風紀委員さんなんだけど、
そっかー、そうだったんだー…不良なんだー…と心のなかにメモしておく。
不良さんは感謝が薄いので注意が要るのです。
くるりと命の恩人を見捨てて先生の方に向き直ると、質問の回答をよくよく考えてみる。
「汚い水だけじゃないから、本当に大事なのは役割の方……」
確か、同居人から聞いた話だったんだけど。
みかんジュースやお茶が蛇口から出てくる学校も有るのだとか。
つまり!喉が潤せればその色とか味とかは些末事、ということなのだと思う。
「わかりました、えっと、多分。ありがとうございます」
あんまり綺麗じゃないほうのお水として、まだまだこれからも頑張れる余地はあるのだと思う。
浅田扁鵲 >
【ありがとうと礼を述べる少女には一つ頷き。
しかしその表情の変遷が少し気に掛かり、心の片隅に留めて置く。
そして教師からの噛み砕いた解釈に素直な感心を表情に表す】
「ええ、特性についてはその考え方で問題ないでしょう。
分かりやすい補足をありがとうございます」
【まだ講義になれないという事もあり、どうにも噛み砕いた表現が上手くいかない。
やはり先達はその分のノウハウがあるのだと思わされた】
蒼穹 > ん?ああ、どうもどうも。
(これまた取り敢えずと言った具合、二人の教師のまとめやら解説やらの指摘を受ければ、
大凡今何を遣っているかくらいは分かった。後ろの観堂に言葉に合わせひらーっと手を振って。
資料をパラパラ捲る。そして特性について記述された資料を一番手前へと。)
…お、やっほー。来てたんだ。…ええと。
(何となく目が合ったポニテの可愛い少女。
そう言えばあの時名前聞いていなかったっけ。何だか失望された感があるが気にしない。
ついでにいえば何だか見捨てられた気さえしたが気にしない。…悲しい。
けれど、めげずに授業中でも構わず座ったまま手を振って話しかけてみた。
授業中に臆面もなくこんな事をやってのけるあたり、やっぱり不良だった。)
浅田扁鵲 >
「さて、それじゃあ今度は、実際に特性に合わせて事物を分類してみよう。
これと同じ表を参照してくれ」
【『五行色体表』と題された表をボードに映した】
「五行の特性に合わせて事象を分類していくと、こうなる。
これは五行色体表と言って、名前どおり五行を分類した表だ。
とはいえ、これが全部でなくその一部だけだ。
この色体表は主に東洋医学に置いて用いる表でな、医療系の分類を並べられても困るだろう?
興味があればまた後で調べてみてくれ。
……と、これで終わらせるのも申し訳ないから、五方についてくらいは説明しようか」
【そう言うと、赤いポインターが表の二段目、五方と書かれた段を示した】
「この五方と言うのは、見ての通り方角を五行に分類したものだ。
これがどうしてこの形に分類されたのかと言うと、最初に言ったとおり五行がそもそも大陸の風土を理解するための物だったというのがある。
まず木に分類された東だが、これは大陸の東部が樹木の繁茂している地域だからだ。
そして火の南は、南が温暖な気候であり、熱帯だったことから分類される。
土が中央なのは、黄河を中心に考えたのと、都が主に中央部にあったからとも言われている。
帝が位を継承していくのは、土の特性に沿っているといえるだろう。
金の西は、西は山が連なる環境だ。
その分鉱物が出ることを考えれば、金に分類されるのも自然だな。
水の北はもちろん、寒いからだ。
この説得力は問答無用な感すら受ける……いや、もっとしっかりした説があるんだがこれが個人的に好きでな。
……このように、この分類は当時の大陸の環境や文化を見て分けられたものだ。
とはいえ今とそう変わるものじゃない。
特に人体の分類は変わりようがないから、この分類をそのまま利用できるわけだ。
他の説明は……今は割愛しておこう。
どうしても気になる物があれば質問してくれ」
【方角について説明すれば、また質問を待つように一息置いた】
クローデット > ホワイトボードに投影された『五行色体表』を見ながら、説明を聞く。
方角を例に出しつつ、気の特質と分類を重ね合わせていく解説は、クローデットにとっては概ね納得の出来るものだったが…一カ所だけ、気になる点があった。
「…すみません、よろしいでしょうか?」
女性らしい、綺麗な声と共に手が挙がる。
「『五色』についてなのですが…木が「青」なのは何故でしょうか?
植物の生育から発想される特性であれば、緑の方が近いかと思うのですが」
水の「黒」は冬と照らし合わせることで、金の「白」は「余分なものを削る」という性質から理解出来ないこともなかった。
なので、木の部分にだけ的を絞って質問をする。
光ヶ丘 睦美 > ずらりと並んだ五行色体表に目を通しながら。
……とりわけ、水の欄を熱心に見つめて、
「なんだか、占いみたいですよね」
なんて呟いた。
腎臓の生気の発するところこの髪の毛にあり、というのはなんだかちょっと、面白い。
水の色がこの黒色であることも含めて、なんて。
そんなことを考えながらくるくるとポニーテールの先を指でまいてから、
『東洋医学に用いる』という言葉を聞いてから、あわてて今度は表の全部を眺めた。
多分、五根の"耳"についてはそれほど当てはまってない気がする。
……やっほー、なんて声をかけてくる不良さんは青色だから木気の人なのかな。
ちょっとだけ手をパタパタと振り返して、表をもう一度見る。
感情の所属は……怒。
あ、これは間違いないかな、なんて気がする。
浅田扁鵲 >
「木が青なのは、樹木の葉が茂る様を表現するのに『青々とした』という場合がある。
緑を青と呼ぶ文化は信号機の色にも見られるな。
……まあそんなこじつけは置いておくか。
木々の緑を青と呼ぶ、それもあるが、大陸の中心から見た場合、木の方角、東には海が広がっているだろう?
これが木に青が分類された所以だ。
ちなみに、土が黄なのは黄河に由来したり、大陸中央の土の色だという説がある。
他の色についても、各々の方角にある土の色を基準にしたという説があるな。
とはいえ、実際に大陸に行ったことは少なくないが、納得できるほどはっきり土の色が分かれている、と言う事もなかったから、これについてはなんとも言えないな。
また、この色と言うのは病気による顔色や肌の変調を見るための分類でもある。
これに関してはまた違う講義になってしまうから詳しい説明はしないが、大抵は五臓の変調としっかり相応した色に変化が見れる。
五色の分類は、こういった要素から分類されているんだ」
【すっかり聞きなれてしまった声に答えれば、五色について説明を加える。
納得いく説明が出来ただろうか? 様子を伺うようにそれとなく表情を伺った】
クローデット > 「………」
緑を青と呼ぶ文化の話かと思いきや、方角との重ね合わせだと説明されれば、意表を突かれたようで目を瞬かせる。
「大陸」という場所が東洋思想の根幹にあるとは今までの授業で分かっていたはずなのに…というほのかな悔しさと、自分の想像の上にきた答えに、楽しそうな笑みを深めた。
「…なるほど…ありがとうございます」
そう、礼を言った。
浅田扁鵲 >
【楽しそうな表情を見られれば、内心でほっと一息ついた】
「それじゃあそろそろ、陰陽と同じように関係性の説明に移ろうと思う。
五行の関係は、大きく分けて五つある。
一つ一つはそれほど複雑な内容じゃないから、あまり身構えずに聞いてくれると嬉しい。
……では、まずは『五行相生』についてだ」
【プロジェクターの画像が変わり、『五行相生』と書かれた図が映される】
「相生とは図に書いた通り、五行の一つが特定の相手を生ずる関係の事で、図の矢印の通り循環を繰り返すものだ。
相生には順番があり、『木生火』から始まる。
図に書いたそれぞれの関係性も、日常生活で覚えのあるモノだと思う。
また、この相生の関係を、母子関係と言う事もあり、これは主に東洋医学の治療理論に用いられているな。
……相生については、短いがこんなところだ。
質問がなければ次の『相克関係』に進むぞ」
【そう言うと、また少し質問を待つように教室を見た】
浅田扁鵲 >
「よし、いよいよ『五行相克』についてだ。
これもまた図に描いたとおり……というか、このまんまの内容で付け加える説明もあまりないんだが」
【『五行相克の関係』と書かれた図を表示すれば、ポインターで見るべき部分を示しつつ説明を加える】
「『相克関係』とは、五行の一つが特定の相手を克する関係で、これもまた循環を繰り返すものだ。
つまり、出る杭を打つ関係と思っていい。
ある一行が突出しすぎないように抑えたり、全体のバランスを整えるのを相生のように『加える』のでなく『減らす』働きで行っている関係だな。
実は相克の関係は、歴史的に相生関係より古くに発見されたんだ。
古代の大陸社会ではこの相克関係を用いる事で、人民に見放された王朝に対し、革命を行い交代させる事を合理化したという。
しかしこの相克関係は、相手を滅ぼすためのものじゃない。
古く『金は木に勝つが、一刃で以って林を切り倒せるわけではない』や『土は水に勝つが、一塊の土で川を塞ぐわけではない』と記述がある。
この記述は、相克関係をそのまま機械的に用いる事にたいしての戒めになっている。
『勝つ』や『克す』と言っても、それは不動の法則ではなく、現実に照らして運用すべきだ、という事だ。
ちなみに相克にも順番があり、『木克土』から始まる。
また克される関係そのものにも名前があり、図の下部に記してあるから確認しておいてくれ。
この後の説明でこの言葉を用いるからな」
【そうして相克の話を終えれば、また少し待ちながら、次に話す内容を整理し始めた】
光ヶ丘 睦美 > 木生火。山火事の原因は木気が手入れされずにあふれたから、ということ。
火生土。山火事の跡、植物がきゅうに成長すること。
土生金。……あんまり、土の中以外から金属を取り出すイメージはないよね。電気分解とかしないかぎりは。
水生木。これはもう説明するまでもなくて。
金生水は……結露とかのことなのかな?
ぐるぐると五行の図に矢印を色付きで引いていって。
木生火のところに"始点"とはっきり書いておいて。
……内側に書き入れていたせいで、次の相剋が書き込めなかったので、
次の五行図を急いで準備する。
この辺りの事柄は、さくさくと理解できるように思う。たぶん。きっと。
わからないことにすら気づけ無いようなわからないところは、あの綺麗なお姉さんにお任せしておくとして。
観堂 貴緒 > 蒼穹の取りあえずどうもを受け、不良学生ってこんなものなのかなぁと考える。
自分の生徒なら拳骨の上、レポートでも出させるかなっと
ニヤニヤする
現実には確かに水克火とは上手くいかないよなと
考えつつタバコに火をつけようとしてやめる。
(そういえばウチの教室じゃないもんな)
相楽 満 > 木から大体始まる、とかノートに書き込んだ。
中央らしい土でも、北らしい水でもなく、東らしい木というのはどういうことか。
(あ、前のアレか。えーと、帝の右手側とかなんかそういう)
何か他に理由があるのかもしれないが、どうなんだろうか。
首をちょいとかしげるが、すぐに元の角度に戻す。
多分これも深く考えちゃダメなヤツだ、とか思ってる。
蒼穹 > (絶対の強弱関係じゃないって事らしい。
ゲーム的に言うなら、効果はない、じゃなくて効果は今一つ、の関係なのだろう。多分。
木が土の養分を吸い取って、土が水をせき止めて…。
そう言えば、何処かの剣士が五行全属性使った大防御術を使っていたなと思い出す。
ああいうのって、互いに相殺しないんだろうか。上手い具合に絶妙なバランスでも取っていたのだろうか。
ぼんやりペンを回して、ノートも取らずに講義を聞く。どこ吹く風である。)
クローデット > (東洋というのは、随分と「バランス」に重きを置きますのね…
それにしても、革命まで五行に当てはめて理屈付けをするとは)
「近代」を体現する国で生まれ育ったゆえに、東洋思想とそれらのギャップにおかしみを感じて、口に出さずに笑みを深めた。
とりあえず、気になった点をメモにとった。
浅田扁鵲 >
【教壇の上から各々の反応を見て、こっそり楽しみつつ、講義を続ける】
「さて、ここからは相生、相克の応用的な関係になる。
この図の『相乗』と言う関係は、あまり聞き覚えがないだろう。
これは相克の発展……いや、相克関係の異常と言うのが正しいか」
【『五行相乗の関係1』と書かれた図を示しながら、説明を加える】
「五行は相生と相克を繰り返し、その平衡調和を保っているが、時折平衡を崩す場合がある。
この図のように、『ある一行』が強くなりすぎた結果、『克我』が間に合わずに『我克』が過剰になってしまう。
このような状態を、『五行相乗』と言い、図に描いた状態を『木乗土』と言う」
【そして一枚画像を送り、『五行相乗の関係2』と書かれた画像を出す】
「そしてこれもまた相乗の関係なんだが、さっきとは少し異なるパターンだ。
これは『ある一行』が弱ってしまった故に、『克我』に抵抗する事ができず、さらに弱められてしまう。
この弱っている状態を『虚』と言い、図に描いた状態を『木虚金乗』と呼ぶ。
……相乗関係についてはこんな所か。
質問はあるか?」
【確認をとり、またしばし待つ。
手が挙がらなければ次に進むだろう】
クローデット > 次の説明が始まる。
「相乗」…相生・相克程度には五行を齧っていたクローデットにも、聞き覚えのない言葉だ。
説明を聞くと、相克の行き過ぎであったり、異常な状態を指すようである。
「…あの、よろしいでしょうか」
また、澄んだ声とともに手が挙がる。
「『五行相乗』は『五行相克』が行き過ぎてバランスが崩壊する、あるいは、
どこかでバランスが崩れた場面で『五行相克』がそのバランス崩壊を助長している、
という状態を定義しているものだと理解しましたが…そのような状態をあえて定義したのには、東洋思想としてはどのような意味…あるいは意義があるのでしょうか?
カテゴライズとしては、理解出来ないこともないのですが…」
バランスをどの程度重視するのかについての差異からくる、定義の「意味・意義」についての質問だった。
光ヶ丘 睦美 > 次のルーズリーフを取り出して、五行相乗の関係1の図を描き写していく。
五行図だけで4枚目。あとでしっかりまとめなきゃと思いながら。
五行の相乗については、ひとつひとつに書き加えるよりも何よりも。
同居人の強すぎる火の気を受けて大変なことになった覚えがあるので、
『バランス良い吸精が大事』と書いておく。
そのうえで、バランスよく全ての気が増大する分には問題ない、と思う。
「…あれ?
調和、平衡、はわかるんだけど……
五行全体の発展とか、成長とか、そういう方向性はちょっと乏しい感じがあるような。」
全部土の行のお仕事だとしたら、土用の日には鰻でも食べないと大変でやってられないのかもしれない。
浅田扁鵲 >
「……うん、そうだな。
これは『現実に起こった事象を説明する』ために考えられたんだと、私は理解している」
【上げられた手に、やはり投げられる質問が鋭いと感じさせられた】
「例えば古代大陸で農業は重要だったと以前話しただろう?
農業における障害で、連作障害という物がある。
土中の微生物のバランスが悪くなり、障害を起すというものだ。
これはつまり、良質な土の生成『火生土』が間に合わず、過剰な農作物を育てようとして『木克土』が行きすぎた状態だ。
こういった状況は五行が生まれた頃からあっただろうが、平衡を保っているはずの五行でこれは異常だといえる。
そのため、その異常を説明するために『相乗』という関係を用意する必要があったんだろう。
同様に、伐採などで木を切りすぎてしまえば、林はなくなり、新たな植物が生まれなくなる事すらある。
これもまた異常な事態であり、相克ではなく『相乗』という関係が説明に必要だった。
……とはいえ、これもあくまで私の支持する説に過ぎないけどな。
何度も話しているが、五行は東洋医学に主に運用される理論だ。
体の病、変調は五行や陰陽の異常によって起こるとされている。
五行説だけで病や変調の原因を探り、治療するには、相生、相克の関係だけではやはり不足なんだ。
そういった、『万象の異常を説明するために必要だった』からと言うのが、相乗と、この後説明する『相侮』の生まれた理由なんだろう」
【そこまで説明すると、また様子を見守り、反応を伺う。
視界に入った黒髪の少女が何か呟いていたが――質問ではなさそうか】
クローデット > 「陰陽や五行に基づく東洋医学の実践の場で、「異常」を説明するための定義が特に必要とされた、ということでしょうか。
…丁寧な説明、感謝致します」
そう言って、座席に座ったままだが、綺麗な姿勢で頭を下げた。
…それから、説明された内容を短くまとめてノートに記す。
光ヶ丘 睦美 > 起きている事態の説明、ということなら。
一番身近な学園の話でたとえても、そんなに間違いにはならないのかもしれない。
「例えば、常世学園の委員会を五行に当てはめたとして…
木が公安、火が風紀、土が生活と図書、金が鉄道、水が式典。
……確かに、土がしっかりしてないと成長できなさそうな感じかも」
自分で納得ができたようで、手を上げることは無さそうだ。
浅田扁鵲 >
「ああ、その通りだ。
現実に照らして考えると、こういった『異常』は頻繁に見られるものだからな。
説明する理屈は必要だったわけだ。
納得いただけて何よりだよ」
【まったく用意していなかった質問に酷く冷や汗を掻いたが、納得してもらえたらしい。
まるまる恩師の受け売りだったが、聞いておいて良かったと心底感謝した】
「……さあ、次は今話しにでた『相侮』だ。
字の通り、今度は相克に逆らっていこう。
さっきの『相乗』が相克の進みすぎた関係だとしたら、こっちは相克が逆転した状態だ。
図に書いてある通り、この関係を『五行相侮(そうぶ)』と言う」
【『五行相侮の関係1』と書かれた図を表示して、上部の説明をポインターで示した】
「相侮は図のように『一行』が強すぎたために『克我』されず、それどころか相手を侮る事だ。
『反克』とも呼ばれる関係で、図に描いた状態を『木侮金』と言う」
【そしてまた『五行相侮の関係2』と描かれた図を出す】
「そして相乗と同じように、『虚』の関係も存在する。
これは『一行』が弱まってしまったために、『我克』の相手を抑制できず、反対に侮られるという状態だ。
こっちは図に書いたとおり、『金虚木侮』となる。
相乗も異常だったが、『相侮』もまた異常な状態だ。
しかし、相乗に比べれば、相侮は日常に見られる機会が多いと思う。
例えば悪事に対して抑止力となるはずの警察が、取り締まる力を失ってしまえば、当然侮られるわけで、悪事も増えるだろう。
火を消そうと水を掛けるが、掛けた水が少ないか、火の勢いが強すぎれば消火は出来ない。
こういった身近な事象を説明するのにも、こういった五行の関係と言うのは用いられたわけだ。
この異常を説明する相乗と相侮を合わせて、『五行の乗侮関係』と言う。
……さて、次が最後の関係性だが、その前に相乗相侮について質問があったら聞いてくれ」
【先ほどの質問に答えられたことで自信がでたか、どんな質問でも掛かってこい、というような気分だった】
クローデット > (相克が逆転、ですか…)
相克というのは現象として対立するからそのように作用するのであって、その力関係が異常になれば逆転もまた然り、なのだろう。
異常状態に名前をつける必要性の話は先ほど聞けたし、相侮については説明に頷きながらノートをとっていく。
質問は特になさそうだ。
ご案内:「教室棟/特別講義会場」から蒼穹さんが去りました。<補足:PCNo:53/気紛れな邪神様。>
ご案内:「教室棟/特別講義会場」から光ヶ丘 睦美さんが去りました。<補足:頼られがちなポニーテールの少女。セーラー服の上から紺のカーディガンを着ている。>
浅田扁鵲 >
「……さて、それじゃあ次に行こう。
乗侮関係で異常についてを説明したが、今度はその異常を調整する働きについてだ。
相克関係によって、ある一行が弱められたとき、相生の母子関係を用いて、『克我』を克制し平衡を保とうとする働き。
この関係を『勝覆』と言う」
【『勝覆の関係』と書かれた図を出すと、ポインターで示しながら説明する】
「これはこのまま、図の通りに説明しよう。
まず、金克木の関係から、金が木を弱めた。
そして、弱められた木は自分を護らなくちゃいけない。
だから母子関係の子である火に頼って、金を弱めてもらおうとするわけだ。
すると今度は火克金の関係により、金が弱まり、同時に木を克制する力も減る。
その間に木は、自信の母である水から力を貰い、金と拮抗できる力を得る、というわけだ。
この関係はな、物語性があって面白いんだ。
この図の結果、木は強くなったが今度は金が弱っただろう?
そしてそれがまた子に助けを求め、母が補う。
すると今度は水克火で火が弱まり、また助けを求める、とな。
こうした継続的な微調整を繰り返すことで、五行は平衡を保っているんだ。
乗侮の関係とは、この調整で補いきれないほどに悪化した結果ともいえる。
だから外部から手を入れる必要があり、また人体に当てはめれば医療が生まれたわけだ。
……さて、これで五行の主な関係性は一通り説明させてもらった。
質問がなければ、そろそろまとめに入るが、どうかな?」
【予定していた説明を終え、教室を眺めて訊ねた】
相楽 満 > (崩れてもどこかで直ってくる、と)
さらさらノートに書き込んでいく。
前回の講義なんかも含めて考えると、やはり世界のバランスというのはなかなか大きく崩れないものだ。
資料がわかりやすいからか、特に質問が無い。
難しいという割には、腑に落ちることが多くて楽だった。
クローデット > 異常な状態に、相生や相克の関係が作用することで修正がかかる働きと、それで足りない場合についての説明がなされる。
(「治療」に重きを置いた世界観のように感じられますが…
自然と人体を同じ理屈で説明しよう、というのは、生命魔術とは随分離れたあり方で興味深いですわね)
そんなことを考えながら、説明に真剣に耳を傾け、ノートをとっていた。
観堂 貴緒 > 「魔術的には、……そうだなこの中に魔術師はいるか?
五行が正しく運行している状態が正しい現実だ。
相乗は、この時、五行のうちの一つでも促すことで異常が引き出される、コレを魔術という。促すってのは触媒だな。
そしてその状態への防御が相梅。」
ぐしゃぐしゃと頭をかく
「魔術的に考えれば勝覆の関係ってのは時間かなぁ」
最後の締めにかなって着けちゃうてきとうさに
恥ずかしさで顔をそむける。
浅田扁鵲 >
「その通り、五行の魔術は、『乗侮』の異常を意図的に生み出す事で始めて行使することが出来る。
そして『勝履』を当てはめるのなら、やはりその異常が収まるまでの時間といえるだろう。
……分かりやすいまとめ、ありがとうございます、観堂先生」
【足りなかった魔術への関連付けをしてくれた事に頭をさげ。
そこでようやく、以前話しているところを見かけた事とその名前を思い出した】
クローデット > 教室の最後部に陣取っていたのは教師で…どうも、東洋魔術の使い手であるらしい。
ちらりと、人形めいて大きな青い瞳を後方の男性に向け、彼と講師のやりとりに耳を傾け…それから、改めて向き直り、今の会話の内容をまとめたものをノートの端にメモした。
浅田扁鵲 >
「よし、それじゃあ纏めに入ろう。
五行は五つの物質をさすが、この物質は元素を指すわけでなく、その中で働く『気』が有形化したものである。
その五行はそれぞれ、象徴される特性を持っていて、『類を以って推す』つまり似たもの同士が集まり、万象が分類される。
そして五行には主に五つの関係性があり、一つが互いに助け合い補い合う『相生関係』。
また、互いを抑制しあう『相克関係』と、この二つの関係を中心に、異常を表す『相乗関係』と『相侮関係』。
そして平衡を保つための調整作用としての『勝覆関係』があった。
五行の理論はこの関係性によって成り立ち、人と自然を含めた万象を説明することが出来たわけだ。
……さて、ここまでの講義で、私が何故最初に『気の思想』や『天地人三才思想』、『天人合一思想』を説明したか分かってくれたかと思う。
五行は、木火土金水の気、それら個々の関係では終わらない。
それらがそれぞれ、『統一』されて関係しあっているからこそ、調和が取れ平衡を保つことが出来るんだ。
そして、『天人合一』で表した自然と人体の『大宇宙』と『小宇宙』。
先ほど観堂先生が説明くださったように、魔術は五行の異常を意図的に用いるもの。
しかし、『小宇宙』である人体が起した異常は、さらに大きな『大宇宙』の働きによって、時間により自ずと平衡が取られる。
五行を学び、用いるには、こういった理論を知ってもらう必要があったんだ。
ここまで長くなったが、よく受講し、話を聞いてくれた。
三回と言う限られた中で、詰め込むような内容になってしまったが、本当にありがとう。
……最後に、この三回の講義を通して、質問や、また要望があれば答えさせてもらいたい」
【なにかあるか、と。
纏め終えてもまだ気を抜かない表情で、教室をしっかりと眺める。
こうして講義する機会は、もうそうないのだろうと思い、記憶に刻むように】
観堂 貴緒 > 「いやたびたび進行を邪魔したようですまない。浅田……?扁…鵲で良いのか?これ、へんな名前だな、ああ偽名か。」
上手くいった様でニヨニヨ顔歪ませて
講義要項に書かれている名前を頑張って読み上げる。
ふと大事なことに気がつく、アレ喋りすぎた?
手をうち注目を集める
「一応……脳波系催眠術を教える観堂 貴緒だ。この期に興味があれば授業に受講してね」
クローデット > (浅田先生、名前については気にしていらしたかと思いますが…
脳波系催眠術…帰ったらシラバスでも確認しておきましょう。
………東洋魔術を教えているわけではないようですわね、少々意外ですか。)
やや意地の悪い印象を受ける笑みを浮かべていた観堂の名前と顔を、一応記憶した。
五行と…そして、3回の特別講義のまとめ。
東洋思想が、「切り分けのために」分類する西洋の…近代の思想とは別の方法論で世界観を作り上げているためにこの順序である必要があったのだと、改めて理解出来た。
説明を聞きながら、今までとったノートをぱらぱらと見返してみたりする。
質問は、特にはなさそうだった。
相楽 満 > なるほど、と頷く。
最初は彼女との話を合わせるためにと思ったが、それにとどまらない知識が得られたというもの。
自分の体の成り立ちやバランス、それが世界にも通ずるものだと考え、なんだか随分賢くなった。気がする。
面白い授業だった。
受けてよかったと思いながら、ノートを閉じた。
浅田扁鵲 >
「……扁鵲で合ってますよ、一応、本名です。
いや、偽名じゃないんです、本当に……」
【観堂先生の言葉に、どこか落ち込むように肩を落として右手で顔を覆った。
扁鵲にとっては自分の名前こそ『克我』である。
まったく、心底だれかに相生関係を築いてもらいたい心境だ。
しかし、気を取り直して顔を上げれば、いつもの少しけだるげだが人の好い顔を向ける】
「さあ、これで講義は終わるが、講義を希望し、これまで真剣に受講してくれた君達に感謝の気持ちを用意させてもらった。
なんと、これまでの講義に関する小テストだ。
……いやいやそうざわめかないでくれ、なにも成績に関わる類のものじゃない。
どれだけ理解して貰えたかの簡単な問題だしな。
それはいずれ掲示板に掲示、配布する形で提示しようと思うから、興味があったら挑戦してみてくれ。
……それと、今回の講義でさらに調べてみたい、勉強してみたいと思ったら、今回のプリントにこれまでに用いた参考資料を記載しておいた。
自分で調べる場合の参考にしてくれ。
もちろん、私に個人的に質問してくれても構わない。
今回の講義用に用意した連絡先は、今後も利用できるからな、上手く先生を使ってくれると嬉しいところだ。
まあそれが、東洋医学についての内容だったりすると、もっと喜ぶんだが」
【しかしそうはいかないだろう、と自分で小さく苦笑しつつ、ゆっくりと頭を下げる】
「全三回の講義、つたない内容だったかもしれないが、受講してくれて本当にありがとう。
願わくば、この講義が君達の今後に役立つことを祈っているよ。
それじゃあ、『東洋思想概論』特別講義を終わりにする。
……お疲れ様でした」
【最後の講義は、ちょっとのサプライズと、感謝の挨拶を告げて、締めくくられた】
相楽 満 > 「東洋医学か……」
ぽつりと小さな声で呟いた。
さて、自分の医療研究のために、その知識が必要だろうか。
いや、あって損は無いのだろうが。
もしかしたら、あの病にも今回の知識や東洋医学の知識が役に立つのだろうか。
十年以上後になるかもしれないが、その知識が必要になったら頼る日が来るだろうか。
いや、必要になってから仕入れたのでは遅いかもしれない。
(……必要になってから聞くか)
楽観的である。
小テストはちゃんと受けておこう、と思った。
もしかしたら、今後の自分の生き方のすべてになるかもしれない。
クローデット > 名前を突っ込まれて肩を落とす講師を見て、(あ、やっぱり)と思ったとか思わないとか。
(小テストが義務でないというのは、随分優しい授業ですわね…
まあ、自分の理解のためにも、当然受けますけれど。
…参考資料も…魔法薬学あたりで何か役に立つかしら?
学園祭等が一段落したら、図書館で探してみましょう)
魔術に関わることを筆頭に、勉強には熱心なクローデットだった。
そして、講師の最後の挨拶に合わせて、綺麗なお辞儀を返す。
魔術の幅を広げる意味で非常に有意義な講義だったと、クローデットは感じていた。
観堂 貴緒 > 講義が終わって
「あー悪い、浅田教諭。ほらココって偽名つかって
防衛する奴ばっかだろ?
ほら、アレだ、この後暇なら、飲みにいこう。おごるよ。」
慌ててかけよって、気づかれるかもしれないが精神が上がる効果の接触魔術を使い背中を叩こうとする。
お疲れ様とお詫びもこめて
「風紀委員もしらん店だぜ?」
この人はものすごくチャランポランだ
浅田扁鵲 >
「……はあ」
【これで終わりなのか、と少々名残惜しく感じながら、教卓に用意されていた椅子に腰掛ける。
初めての事だったが、思った以上に熱心に聴いてもらえて、確かな達成感を感じていた】
「ああ、いいですね……でも俺はあまり強くないんですよね。
まあでもたまには、思いっきりの見たい気分か――」
【そこに声を掛けられ背中を叩かれ、僅かに自身の気分が高揚するのには気付いたが、害があるモノじゃないと気にせず。
しかし、その誘いに応じようとしたところで】
『――扁鵲ー!』
【と、飛び込んでくる小さな影が一つ。
黒い髪に、日本のものとは少し趣きの異なる着物。
そして、黒髪の隙間から見える水晶のような二本の小さな角。
その幼い背格好の少女は、扉からまっすぐ扁鵲の下に駆け寄って、抱きつくのだった】
「う、ぉ……なんだシャオ、学園祭に行ってたんじゃなかったのか」
『んーん、やっぱり扁鵲と一緒じゃないとつまんない!』
【そんな少女を倒れないよう受け止めて、頭をなでてやれば嬉しそうに笑顔を見せた。
……一瞬、教室にいるある女性を一瞥したように見えたが、気のせいかもしれない】
「……講義は終わったが、後片付けしてからな。
それまでもう少し大人しくしてろ」
『うんっ、じゃあ外で待ってるから早く来てね?』
【そう答えれば、少女は近くにいた観堂先生に少し頭を下げ、また教室を出て行く。
その途中、やはり銀髪の女性を一瞥していたが、立ち止まらずに出て行った】
「……すみません、観堂先生。どうもアイツに付き合わないとダメみたいで」
【その小さな背中を見送ると、観堂先生に申し訳なさそうな顔を向けた】
クローデット > (…ここに、公安委員はおりますけれど)
講義が終わるや否や駆け寄っていき通俗的な誘いをかけている観堂教諭の様子に、
羽根扇子を広げて口元を隠して、その下で少し意地の悪い笑みを浮かべている。
…が、羽根扇子で隠れていない目元では、何でもない風を装った。
それから、荷物をまとめて立ち上がると、
「浅田先生、特別講義ありがとうございました。
魔術の幅を広げる上で、非常に興味深いお話でしたわ。
また、東洋思想などについて疑問が生じた際にはよろしくお願い致します」
と、優美な所作で、改めて講師に対して深くお辞儀をすると、教室を出て行った。
クローデット > …と、教室を出て行こうとしたところで、飛び込んでくる角付き少女。
(………ああ、やはりそうでしたか)
羽根扇子で口元を隠し…その下で、不敵な笑みを作るクローデット。
(彼の研究について…今やるべきことが落ち着いたら調べることに致しましょう。
…『あたくし達』と明確に敵対するのか否か、見極める必要があるでしょうから)
表に出さないようにしつつも、そんなことを考えながら…ゆったりとした足取りで教室を後にしたのだった。
ご案内:「教室棟/特別講義会場」からクローデットさんが去りました。<補足:やや暗めの銀髪に青い目、クラシカルな服装で人形のような美貌の女性。手にはやや小振りの羽根扇子>
相楽 満 > (……芙蓉に言っといた方がいいかな……)
ちょっと思うところもあるが、まぁ彼女も休養中だ。やめておこう。
と、少女をちらっと見て。
(あ、あの時のトカゲの子だ)
『見て』理解した。
やっぱり可愛いなぁなどと思い、ほのぼのした目線を投げかける。
それも一瞬のこと、目を伏せたらいつものやる気のあるのかないのかわからない顔。
授業の道具を片付け、プリントをファイルにしまった。
「うっし。んじゃー先生、ありがとうございました。
またよろしくお願いします」
『また』と言っておいた。
必要になる知識を持っている気がするから、いずれ頼るだろう。
その時のために。
席を立ち、ぺこりと礼をして退室していった。
ご案内:「教室棟/特別講義会場」から相楽 満さんが去りました。<補足:ボサボサの髪で制服をキッチリ着込んでいる>
観堂 貴緒 > 「おっと……鬼嫁さんにああいわれちゃーしょうがない。
火傷したくはないしな」
おーこわっとつぶやいてから、お店の名刺を握らせ
「機会があればな」
と陽気に去っていった。
ご案内:「教室棟/特別講義会場」から観堂 貴緒さんが去りました。<補足:野暮ったい濃紺スーツ、赤いネクタイ。赤淵の伊達メガネ>
浅田扁鵲 >
「こちらこそ君のおかげで、いい勉強をする事が出来たよ。
質問なり興味なりあれば、いつでも声を掛けてくれ。
……お疲れ様」
【そしてクローデットの背中を見送れば、彼女と話す口実が減ったのは少しもったいないなと感じてしまう。
やはり魅力的な女性と言うのは”ズルい”と思わされる。
また、その後を追うように、いつも懸命に話を聞いてくれる少女が元気良く挨拶をして退室していく。
途中からやって来た不真面目な少女も、それを追うようにふらっと帰って行った】>クローデット
「おう、こちらこそありがとう。
ああ、またな」
【男女の違いか。そう砕けた調子で見送って、その”また”の機会をどこか楽しみにしている自分に笑みが浮かんだ】>相楽
「ええ、すみません。
……是非行きましょう」
【名刺を受け取ると、ニヤ、と笑い、その背中を見送りながら、ゆっくり腰を上げる】
「……あ、思ったよりも余ったな」
【余ったお土産の「林檎せんべい」を持って、いつの間にか誰もいなくなった教室を見て周り】
「……さて、これ以上待たせるのも、面倒か」
【そうして教室を後にして、自分を待ってるだろう少女の下へと向かっていく。
こうして『東洋思想概論』の講義は終わりを向かえ、浅田扁鵲初の講師業は、無事締めくくられたのだった】
ご案内:「教室棟/特別講義会場」から浅田扁鵲さんが去りました。<補足:赤茶色の作務衣を着た、けだるげな表情の男。>