2015/11/25 - 22:22~01:32 のログ
ご案内:「常世公園」にヨキさんが現れました。<補足:人型。黒髪金目、スクエアフレームの黒縁眼鏡。197cm。鋼の首輪、拘束衣めいた白ローブ、ベルト付の白ロンググローブ、白ストッキング、黒ハイヒールブーツ>
ヨキ > (開けた広場の真ん中に、しゃがみ込むヨキと子どもたち。
 子どもたちが輪になって、中心のヨキを囲んでいる。
 ヨキの足元の砂には、複雑な図形を組み合わせた絵――魔法陣が描かれていた。
 当人の器用さならではの、精緻な幾何学図形だ。

 異能で創り出した金色の枝を杖代わりにしたヨキが、周囲の子どもたちに目配せする)

「近付くでないぞ……見ておれ」

(そうしていかにも神妙な面持ちで、ムニャムニャと呪文を唱え出す。
 地球上のいかなる魔術体系ともつかない言語。
 その地面を這うような低い響きは、さながら声明のごとき詠唱であった。

 子どもたち――幼稚園から小学校低学年ほどの十数人が、各々はらはらとして魔法使いめいたヨキを見守っている。
 期待に目を輝かせる者、こわごわと耳を塞ぐ者、年少の子どもを抱いてかばう者、早熟な異能で結界を張る者……。

 目をくわっと開いたヨキが、陣の中心を枝の先でひと突きする)

「……――【 Euy ! 】」

ヨキ > (『えい』とも聞こえたその一声。
 杖もどきの先端が魔法陣を突いた瞬間――

 ばちん!

 とけたたましい破裂音がして、紫電がヨキの鼻っ柱を強打した)

「げあッ!!」

(頭が後方に弾かれて、その勢いのまま尻餅を突いて引っ繰り返る。
 ぴゃあーッと悲鳴を上げた子どもたちは、やがてヨキの尻餅にけたけたと笑い出す)

「お主ら笑うでなァい!けっこう難しいのだぞ!」

(背中から尻まで盛大に砂まみれのヨキが、重たげに身を起こす。
 魔法陣に封された属性は――『火』。
 紫電など、およそ関わりもしない魔法のはずだった)

ご案内:「常世公園」に観堂 貴緒さんが現れました。<補足:赤いジャージ。赤い下駄。赤淵メガネ。さぼり教師>
ヨキ > (失敗に不服そうにしながら、魔法陣を突いた枝の先でぽりぽりと頭を掻――こうとして、)

「あッつ」

(金属はおそろしく熱せられて、思わずぱっと引き離した。
 感電した鼻先を掻きながら、魔法陣を見下ろす。
 子どもたちがそろそろとヨキのもとに近寄ってきて、せんせーこれ、とレジュメを差し出す。
 今日はこの実験をしますよ、と示した図だ)

「ううむ……図は合っているんだがなあ。やはり適正の問題か」

(ヨキの肩から背中から腕から腹に、わさわさと子どもが群がる)

観堂 貴緒 > 公園内でばちん!という破裂音が聞こえた……。
一応、一応いって見るか。低年齢のガキ共がやんちゃしているだけだろう。

「あー……風紀委員だ。そこのアンタ誰だ、何をしているんだ?。」

缶ビールを片手に子供達に離れてろとシッシと手で払う。
とぼとぼ歩きながら獣人系の男に訪ねる。

ヨキ > (指をぱちんと弾く。枝がぬるりと溶けて、手のひらの中へ滴のように吸い込まれてゆく。
 子どもの頭をわしわしと撫でながら立ち上がり、魔法陣を見下ろして考え込む)

「………………、」

(そこで聞こえた声に、振り返る。
 自分が声を掛けられたと気付くのに、少し間が空いた)

「おや、君は……」

(観堂が追い払わんとする様子に、むしろ子どもたちはますますヨキへひっついてゆく。
 大樹の陰から覗き込むように、恐る恐るの面持ちで観堂を見上げている)

「ヨキだ、学園で美術を教えている。
 この子らは学生街の孤児院に住んでいる者たちで……ヨキがたまに面倒を見ている」

(観堂を見下ろす格好で、にこりと笑い掛ける)

「君は……風紀の。たしか名を、観堂と言ったか。
 紛らわしくて済まなかったな、今日は実験の授業をしておったのだ」

観堂 貴緒 > 溶ける杖に警戒しつつ
男に微笑まれてもうれしかねーよと思い、顔をしかめる。

「ああ、いや。まー危ないことしてないなら良いんだよ…です。
ヨキ……ふむ、確か非常勤の方で良かったか?。」

生徒であった時期が長かったせいか口調が荒い。
子供達の様子が気に入らないのか、しゃがんで子供達にクワっと顔を破瓜させる。
足元の砂に気づく

「んん?。おいそれは魔方陣か?。
実験っていったよな、そーゆうのって実験室とかでやらないの…です?」

魔方陣を見る目は険しい。

ヨキ > 「そうだな、非常勤で余所に顔を出していることもあるが……
 工芸では(指折り数え)、十年と少し……くらいか?
 むやみに在職が長いだけさ。無理して敬語を使わずともよい」

(ぎこちない敬語に笑いながら、ぴらぴらと四本指の手を振る。観堂が顔を顰めた理由には思い至らないらしかった。
 子どもたちは観堂の表情を『変顔』と見なしたらしく、キャアと喜ぶ者あれば、ヨキの後ろに照れて隠れる者もいた。

 魔法陣に対する観堂の指摘に、足元を一瞥する。
 およそ一メートル半四方はある範囲に、丸四角三角に不可思議な文字がみっちりと描き込まれている。
 子どもが踏んづけてしまった小さなスニーカーの足跡が、円の輪郭をくっきりと崩していた)

「ああ、君でも魔法陣と判ってくれるか!正確さだけは申し分ないようだな。
 うむ……少しばかり、魔術の勉強をしていた。実験室は……ほれ、居心地が窮屈でな。
 斯様に晴れているならば、風の子らを連れて外で遊ぶがよろしいと思ったのだ。
 小さな花火を放つつもりが、うっかりヨキばかりが感電してしまったが」

(何でもないことだとばかり、いやあ、と頭を掻いて笑う。
 観堂の手元の缶ビールを見下ろして、)

「君は風紀の見回りの途中かね?
 空き缶拾いまでして回るとは、感心なことだ」

観堂 貴緒 > 「十年って長いじゃん、ベテランじゃん。オレはピカピカの新米だぜ?」

柄じゃないと言いつつ魔法陣をチェックしている。敬語はあきらめた様。
子供達に「ほら、あっちでちょっと待ってろ」と言って追い払おうとする。
乱れた魔法陣を整えたい様だ。

「おっといけねぇ……観堂貴緒だ。
一学年向けに……脳波系催眠術を教えている。まっ異能ってやつだな。
風紀委員柄、どうも魔法陣が気になってな。
見回り?、あーそう、そう見回り……休憩中だ。」

ポリポリ頭をかく。
ぐいっとビールを飲み干すとペキャっと潰してポッケに入れる。
公園のゴミ捨て場の数が減って悲しいと呟く。

「……少し?。ヨキ先生の魔術は見事だと思うぞ。
材質はわからんが金属を操作してたろ。」

いまさら別の魔術を覚えてどうするんだと問いかけるように言う。

ヨキ > 「よく言われる。だが芸術も、人を教えるにも、いつまでも新しい手法が出てくるからな。
 そのたび新米の気分に立ち戻る。
 ……おお、ほれ。お主ら、『ホンモノの』魔法使い先生であるぞ。下がっておれ」

(観堂に近づこうとする子どもたちを制して、みなで一歩下がる。
 図形には子どもの足跡こそひとつぽつりと付いているものの、魔法陣自体はひどく神経質なほどに緻密だった。
 見る者が見れば、魔術要素の増幅から発現まで、一貫した理屈からなる仕組みであることが見て取れる。
 ヨキが『小さな花火』と称したように――小規模な狼煙に使えるほどの、火球を発する魔法だ)

「そうそう、催眠術。
 おもしろい授業を教えるものだと思って、それで君のことが印象に残っておったのだ」

(相手からの問いには、ああ、と頷いて)

「金属のあれは、魔術ではなくヨキの異能だ。
 肌に触れた金属と同じものを、いくらでも生やせる」

(真鍮のバングルを嵌めた手首を見せてから、指先をくるりと捻る。
 観堂が持っていたのと同じ形状の、真鍮で出来た飲料缶が現れる)

「金属ばかりは、詠唱も魔力もなくても操作出来るのだがな。
 魔術というのは、なかなか物にならん。どうにもちぐはぐな効果ばかり出てしまって」

観堂 貴緒 > 「いや、まってくれ。オレハ異能者デスヨー、やだなー。
……ちょっとだけ魔術に詳しいだけだからな。」

わははっと笑って誤魔化す。
魔法陣を俯瞰して眺めると、フムとかホウとか言って唸る。
がしがしと頭をかくと

「おもしろくねえさ。人気ないしね。
脳科学と臨床心理の科学の結晶だから小難しいし、怪しいもんよ。」

だいたい教えてるオレも1割り程度しか知らんと思い、笑う。
そういえば教書は3ページで諦めた。

「――wavespell」

ボソっと小声で詠唱すると目玉がギョロギョロと不規則に動く。
魔術で脳を特に強化して魔法陣を解析する。
指でさっさと整えて、かなり弄る。
お子様でも覚えることができそうな単純な円だ。

「子供連れで魔術行使は感心しないな。しかもこの魔術は攻撃系じゃねーか。
じゃあ、その異能でこの魔法陣の形を覚えてその金属で発動してみろ。
身に馴染んだ方が制御も容易いだろう。」

魔法陣は地面に描くだけじゃない。
尚、見た目、ただの円に見えるも、液体金属を流して固めれば
細かくヨキが描いたような文字が刻まれてできた円なのがわかるだろう。

ヨキ > 「はは。それこそヨキなど門外漢だ。
 詳しい者は、このヨキにとっては誰しも魔法使いよ」

(子どもを肩車した格好で、笑いながら話を続ける。
 話の合間にも、子どもの小さな手が伸びてヨキの頬を揉みくちゃにした)

「ヨキの授業……金工も、毎年少人数ではあるがね。
 誰あろうヨキ自身がもっとも楽しんでいるようなものだ。
 ……君もその異能が芽生えて、教師になったという訳だな。
 君は自分の異能が嫌いか?」

(軽い調子で唱える。
 観堂が魔法陣を弄る様子には、ほう、と感嘆の息をついた。
 子どもを肩から降ろして、うむ、と魔法陣を見下ろして片頬で笑う)

「攻撃系というのは、使い手次第だろう?
 この陣は、祭礼のために使われていたものでな。
 “聖なる火”は、ヨキをよほど拒むらしいのだ」

(右手で首輪に触れ、左手で陣に触れる。
 鈍く光る鋼が音もなく魔法陣をなぞり――

 円が結ばれた瞬間、

 ばちん!

 青白い紫電が爆ぜる。まるで魔法の発動を、それこそ『拒む』かのように)

「あ痛ッ……た!」

(感電そのもののリアクションで、ぺらぺらと左手を振った)

観堂 貴緒 > 「本を覚えるのは得意なんだが、それを教書にしたり教えるのは別でね。
魔…異能であれ何であれ、身に刻んだ力が嫌いなヤツなんているのか?。
子供ならいいが、それは責任の放棄じゃないか?」

聖なる火の陣を見つめ、魔術が失敗したのを見ると地面に這い蹲り
がりがりと書き加える。属性を負荷逆にしたようだ。
発動すれば「おぞましい炎」がでるだろう。
もう一度、金属を流して魔力を通してみろと指示する。

「まー……相性もあるからなぁ。ヨキ先生がコレに呪われてるとかないよな。
あとは……異世界の文字でもいいが、そうだな……。
発動する側がこっちの世界だし、こっちの古い文字で描くと安定するんじゃないか。
間違ってもガキ共に使わせるなよ、使わせるなら自分で刻ませろ。」

魔術がきちんと発動したのを見ればウンウンと肯き踵を返すだろう。
失敗すれば溜め息をつき、「悪い、時間だ」と踵を返す。
公園の入り口付近に風紀委員の生徒らが集まっている様なのを魔術で知覚してしまった。
耳を傾け、会話を拾えば2級生徒の強姦被害者のケアらしい。
……逃げ出すわけにもいかなくなったと首を振り、入り口へ去っていく。

ヨキ > 「まったく、教師というのは難しくも遣り甲斐がある仕事というものだろう?
 ……ふふ、少なからずいるさ、この常世島には。自分の異能や魔力を疎む生徒は、いくらでも。
 君も、そういう生徒らを掬い取れる教師になってやってほしいところだ」

(観堂がさらに修整を書き加える様子を見ながらに、ほお、とかへえ、とか呟きながら、手元のメモに書き付けてゆく。
 促されるとおり、魔法陣の傍へ歩み寄る。子どもらを一瞥して、待っておれ、と制した)

「さあ……、ヨキは何ともヨコシマであるからな。
 この十年と少し、『この魔法ばかり』をさまざまに試してきたが、一度も成功しなかった」

(目を伏せて、格好ばかりは一端の魔法使いのように。くるりと指先を返す――)

(紫電。)

(これ以上はヨキの手が持たん、と、笑って降参する。
 踵を返す観堂に向けて、おお、と手を合わせる)

「ありがとう、観堂。随分と参考になった。
 今度は君の異能についても、話を聞かせてくれ」

(ではな、と火傷したような手を振って見送る。
 せんせー大丈夫?と歩み寄ってくる子どもらを、その長い腕の中に囲う。
 はたと気付き、『魔法に詳しい者』が弄った魔法陣を爪先で乱して掻き消した。
 誤って発動さえしないほどに砂を平らにして――『実験』の時間は終わり)

ご案内:「常世公園」からヨキさんが去りました。<補足:人型。黒髪金目、スクエアフレームの黒縁眼鏡。197cm。鋼の首輪、拘束衣めいた白ローブ、ベルト付の白ロンググローブ、白ストッキング、黒ハイヒールブーツ>
ご案内:「常世公園」から観堂 貴緒さんが去りました。<補足:赤いジャージ。赤い下駄。赤淵メガネ。さぼり教師>