2015/10/31 - 23:46~02:55 のログ
ご案内:「◇常世祭大展示場(美術系)」に美澄 蘭さんが現れました。<補足:オッドアイの華奢な少女。襟口広めのニットと紺のフレアスカート、ショートブーツ。>
美澄 蘭 > お昼前。
常世祭の大展示場は広く、内容も多岐に渡る。
蘭がもっぱら興味があるのは美術系の展示だったが、味わいながら鑑賞しようと思うと一日では大変で…蘭は、何度か展示に足を運んでいた。
蘭は、この日は異能による美術作品の展示のエリアを中心に見て回る事にしていた。
美澄 蘭 > 魔術による美術作品のエリアを見て回ったときにも蘭が感じた事だが、
異能を使った美術作品も、そういった超常の力なしに現実に具現化するのは困難なのではないか…と思われるものが多かった。
(あえて言うなら…魔術によるものより、感性で作ってそうなイメージの作品が多い、ように感じるかしら…?)
そんな事を思いながら、展示を見て回る。
美澄 蘭 > そんな、ある意味きらびやかな、ある意味非現実的な作品群を見て回っていて…そんな中で、逆に異様に映る作品があった。
対になった、鉄製のランプだ。
何故か区別のつかないものが2つ並べられており…キャプションが、「何故か」伏せられている。
「………何かしら、これ?」
首を傾げながら、伏せられたキャプションを返し、読もうとする。
美澄 蘭 > 作品のタイトルは「対比 No.5」。
見た目に区別のつかなかった2つのランプは…片方が鍛鉄製で、技術によって作られたものであり、もう一方が異能によるものだった。
「………ぜ、全然区別がつかない………」
キャプションを見た後、改めて両方をじろじろと見比べる。
やっぱり、蘭の目には区別がつかなかった。
ご案内:「◇常世祭大展示場(美術系)」に真乃 真さんが現れました。<補足:芸術品のフリ>
真乃 真 > 石膏でつくられたようにみえる像がある。
まるで人をそのまま像にしたような精密さだが他の展示と比べると目新しさに欠ける。
だが、この像をしばらく見ていれば一つのことに気が付く。
ときおりそのポーズを変えるのだ、何の前触れもなくいつの間にか。
それがこの石膏像を作ったものが持つ異能なのだろうか?
それは違う、そもそもこれは像ですらない。
異能の名前は『テクスチャ』材質の見た目、質感を貼り付ける異能。
これを人に貼り付けて像のように見せているのだ。
つまりポーズが変わるのは像の中の人の異能である。
「交代まだかな…。」
とても小さく呟かれた声は近くにいれば聞こえるかもしれない。
美澄 蘭 > (………どうしてわざわざ、普通の技術で出来るものを、区別のないように作ってみせたのかしら………?)
鉄製のランプをまじまじと見つめながら、その手前で考え込む蘭。
…と、後ろから別の観覧者が来たので、
「あっ、ごめんなさい」
と小声で言いながら脇に避ける。
(………確か…制作者は美術の先生だったわよね。学園祭が終わって落ち着いたら聞いてみようかしら?)
そんな事を考えながら、次の展示を見に行こうとすると…これまた、普通に作れそうな石膏の像…に見える展示品がある。
「…また、ある意味変わった展示ね…
これはどんな異能を使って作ったのかしら?」
キャプションを見る。『テクスチャ』という、材質の見た目や質感を「貼り付ける」異能。
芯の材料についての記述はない。
「………?」
不思議に思って、やっぱり首を傾げながらもう一回石膏像「に見えるもの」を見上げる。
(………ポーズが変わってる?)
気のせいかもしれないが、先ほど見かけたときとはだいぶポーズが違うので、違和感が凄まじい。
挙げ句の果てに…とても微かに聞こえる、「交代まだかな…。」という呟き。
「………!?!?!?」
目を白黒させて大きく後ずさる…と、他の観覧者にぶつかってしまった。
「あ…す、すみませんっ」
少し悲鳴混じりのような声をあげ、あたふたとぶつかってしまった相手に頭を下げる。
「………」
しばし、動悸を抑えるように胸元を抑えて何回か大きな呼吸をした後、周囲を見渡した。
やはり、観覧者と…観覧者に説明をしている人間しかいない。
真乃 真 > 不味い、目の前の女子に呟きが聞かれてしまったようだ。
さすがに2~3時間動かないで立ちっぱなしは辛かったとはいえうっかりした。
大丈夫、きっと勘違いだと思うだろう像のフリを貫こうと思った矢先に
目の前で女子が他の人とぶつかってしまった!
これは驚かせた自分のせいだ!!
そんな思いから少女とぶつかった観覧者が離れたスキに小声で声をかける。
「君、大丈夫かい?ごめん、驚かせただろ?」
どう見ても石膏の像なのにも関わらず声が聞こえるその光景は
普通の学校なら即七不思議に選ばれそうなくらいに不自然だった。
美澄 蘭 > 先ほどの呟きが周囲の人間によるものではなさそうだと確認出来たところで、再度青年らしい声が小さく話しかけてくる。
…発言の内容的にも、目の前の像「らしきもの」が発していると思うとしっくりくるものだ。
「………」
口元に手を当てつつ、おっかなびっくり、石膏像「らしきもの」の方に再び近づいていく。
真乃 真 > 「うん、見た感じ怪我とかしてないみたいだね。良かった。」
微動だにしない石像からまたも声が発せられる。
怪我してなくて良かったという安心感が声からは出ているが。
石像の顔は真顔である。
「…僕の一言のせいで本当にすまなかった。」
謝罪の言葉とともにパッとポーズが切り替わる。
ギリシャの彫刻に似せたポーズで特に謝罪のポーズではない。
美澄 蘭 > 「………???
…え、ええ…幸い、私も、ぶつかっちゃった人も転んだりとかはしてないから…」
口元は動いていないように見えるのに、聞こえてくる声に、戸惑いながらも、口をあまり大きく開けていないような声で返す。
声の響き、話の内容的に、悪い石像(?)ではなさそうだった。
そして、謝罪の言葉とともにパッと切り替わるポーズ。
どうやら、先ほどの違和感は気のせいではなかったらしい。
「………いえ、私はいいんだけど………
………もしかしなくても…その『テクスチャ』の中身って………ヒト?」
改めて、石膏像「のようなもの」の全身を、しげしげと見つめる。
真乃 真 > 「そうだよ。人だよ。なんかアクティブな異能を芸術として内包し
それをテクスチャの異能でコーティングしたクリエイティブな石膏像!らしいよ。」
そんな感じのことを製作者が言っていた。詳しくは聞いていないけれど。
これでこの展示場の話題は俺のものだ!!とか叫んでた。
「そこまでじっと見つめられると少し恥ずかしいな…。」
像上半身裸でズボンを履いたこの石膏像。
貼られた石膏の中では同じ恰好をしている。
美術品としてみられるのと人が入ってると思って見られるのでは何か違う。
恥ずかしい。
美澄 蘭 > 「………そう言われれば、理解出来なくもないけど…
………でも、中に入る人は大変よね」
美術作品の理解に「意図」を補助線として用いる事が多い蘭にとっては、製作者の意図は理解出来なくもないらしい。
完全に美術鑑賞モードでじっくりと見ていた蘭だったが、羞恥心を刺激されたらしい石膏像のナカノヒトの呟きに、
「あっ、ごめんなさい!」
と言って視線を離す。
(………あれ、今までの口ぶりとか、声からすると、中にいるのって、もしかしなくても………)
急に異性を意識したのか、少女の頬が見る見るうちに紅潮していく。
口元を掌で隠し、視線を逸らす。完全に、石像の顔が見られなくなっている。
真乃 真 > 「同じ場所にじっとしてるのって辛いからね…。」
普段はじっとしていられないタイプなので相当耐えている。
とても時給が良かったのだ今は反省している…。
パッとポーズを変える。自分はこの異能があるからいいけど他の人はもっと大変だな。
「さ、流石にそこまで全力で目を逸らさなくてもいいよ!?ほら石膏だし!像だし!」
またも、ポーズを変えて二の腕の筋肉をアピールしつつ声をかける。
自分のわがままで見てもらえないのは作者に申し訳ない…。
ちなみに蘭の赤くなっている表情には気が付いていない。
この男の視野は狭く(石膏のため)!そして鈍い!
美澄 蘭 > 「…え、ええ…そうでしょうね…」
全力で顔ごと視線を逸らしたまま、ぎこちなく返す。
何かしていて結果的に動かないでいるのと、動かない事自体を求められるのとでは雲泥の差である事を、蘭は実感として知っていた。
…それと、石膏像を正視出来ない事はまた別の話である。
…と、蘭が動揺で全力で視線をそらした事を「美術展示として」まずいと思ったのか、あわてた様子で声をかけてくる石膏像の中の青年の言葉に、恐る恐る視線を戻しつつ(ただし斜めである)、
「………その、ちょっと、中に男の人がいるって思っちゃったら、まっすぐ見れなくて………
………ところで、そこまで声を出しちゃって、大丈夫?」
顔が少し石膏像向きになったら、流石に石膏像の中にいても少女の赤面が分かるだろうか。
…そして、あわてて発してしまった真の声は、どこまで届いてしまっただろうか。
真乃 真 > よく見るとすごく顔が赤くなっている…。
これは申し訳ないことをした…。筋肉を強調なんてするんじゃなかった。
異性になれてない人なのか前に助けた人の中にもいた。
助けたあと一瞬、固まって悲鳴を上げて逃げていく感じの。
何故か男子の中にもいた…。
どうすればいいだろう?考えて…思いつく!
「なら、中に男の人がいないと考えればいいのよ。(裏声)中には女の子がいると思えばいけるはずよ!(裏声)」
石膏の像から女性の声というにはかなり無理がある声が響く。
精一杯の裏声と女性っぽい話し言葉。起死回生のスーパーアイデア!
「あっ!!しゃべっちゃダメだった!」
(ただでさえ声を出して視線を集めていたのにその大きな驚きの声でさらに館内の視線が集まった気がする。
やったよ製作者。この展示会の全注目を集めたよ…。)
美澄 蘭 > 「ふっ」
男性を模した石膏像(のように見えるもの)から、かなり頑張ったらしい裏声(それでもかなり無理があった)で、女言葉の声が聞こえてくる。
緊張と動揺で混乱した最中にそれは無理だった。頑張って声は殺したけど吹いた。
「………男性の石膏像とギャップがあり過ぎて…駄目だと思うけど………」
笑いをこらえる震え声。美術展でそれはないだろうという感じだったが…「しゃべっちゃダメだった!」の声よりは遥かに小さかったので、きっと問題はない。
ない、はずである。
真乃 真 > 「いいアイデアだと思ったのに…くっこれがせめて女性の石膏像なら…。」
すこし緊張はとけたようなので普通のしゃべり方に戻した。
気持ちいつもより声が高い気もする。
多分そこまで結果は変わってなかったと思う。
あるいはもっとひどくなっていたかもしれない。
「じ、時給が減らされる…どうしよう。」
それは、今までの努力を考えるとかなり痛い。
なんとか誤魔化せないだろうか?
この人数がいるのだから恐らく無理だけれども。
なにか…何か…。
「よし!諦めよう!」
さっぱりと言い切った。潔さがすごかった。
美澄 蘭 > 「…女性の像だと、基本姿勢とかが逆にもっと辛くなるような…」
少し俯きがちに口元を抑えているが、単に笑いをこらえているだけである。
実際、もう石膏像の方を向くことに抵抗感はなくなったようだった。
………もっとも、時給で芸術作品になる事を引き受けている青年にとって、それはそれでもっと深刻な問題を引き寄せてしまっているが。
「………とりあえず、ここから黙って芸術作品に徹すれば、傷は深くならずに済む…かも、しれないわね」
控えめな声でそう提案してみる。
青年に返事をさせてしまうと追撃になってしまいそうなので、控えめに、言い切り口調で。
真乃 真 > 確かにこれいじょうアクションを起こせば起こすほど泥沼に陥る気がする。
目の前の少女が言うことが最善、一番傷を抉らない方法かもしれない。
最も、もうその傷は心臓に届いているかもしれないが。
親指を立てて囁くような声で目の前の少女に感謝を伝える。
「ありがとう!」
今までのポーズの芸術作品のような品や完成度のようなものはなかったが。
今までの中で最も人間らしさを感じるポーズだった。
それ以降石像は黙ってたまにのポーズを変える展示品として働くだろう。
(ちなみに時給は100円下がった。)
ご案内:「◇常世祭大展示場(美術系)」から真乃 真さんが去りました。<補足:芸術品のフリ>
美澄 蘭 > 親指を立てるポーズをとる石膏像と、小さいなりに届いた感謝の声。
【どういたしまして】
口元を覆い隠していた手を外して「石膏像」の顔をまっすぐ見つめ、口の動きだけで答える。
その表情は、はにかみがちながらも今までとは違って柔らかかった。恐らく、これが彼女の普段の表情なのだろう。
そうして、『何もなかったかのように』少女は「石膏像」を後にし、「普段と変わらない様子で」他の展示作品を楽しんだのだった。
ご案内:「◇常世祭大展示場(美術系)」から美澄 蘭さんが去りました。<補足:オッドアイの華奢な少女。襟口広めのニットと紺のフレアスカート、ショートブーツ。>