2015/08/06 のログ
ご案内:「保健室」に美東暦さんが現れました。
美東暦 > ベッドで眼を覚ました。

「あ~~~~~~~~~…」
うなる。
うだる。
燃えるようになった夕陽の光をカーテンが遮っている。
黒いタンクトップがゆっくり上下。
汗ばんだ首筋を手が拭う。

「ん~~~~~~~~?」
仰向けのままもぞもぞと体を動かす。
思い出そうとする。

美東暦 > 窓側に背をそむけるように寝返り。
ぼとりとぬるい水だけになった氷嚢が落ちた。
暑い。

「んん~~~~~~~… ん~~~~~~~…」
手を伸ばして枕元、更に上のあたりを叩く。
そのうち手に何かあたった。

指にひっかけたコップがぐらり傾いて、水が落ちる。
「うぁっ… うえー… あ~~…」
びちゃびちゃとコップの水をこぼしながら手にとって引き寄せる。
わずかに体を起こして、引き寄せたそれに口をつけた。

美東暦 > 喉を鳴らして、それでようやく唸るのをやめた。
髪の毛を濡らしたまま大きく息を吐く。
「っていうか…冷房とか、つけてくれるもんじゃねーのか…」

のろのろと起き上がる。
ぼたぼた落ちる水が胸元に流れていき、気になるのかタンクトップの襟元を人差し指でひっかけ何度も伸ばしては離す。

まだぼうっとしていると感じる。
視線の先には【熱中症に気をつけましょう!】と大きく書かれた紙が壁に貼ってあった。
「はぁ~~~~~~~…い」
今更遅い返事。

美東暦 > 「っかさー… 寝てる間もやばいとかってまとめサイトにのってたじゃんなー」
ぼやきながら枕元へ体をよじる。
コップを掴んだ横にはちゃんと水差しが置いてあった。
手にとって二杯目。
そして三杯目。


「ぷはー…っ は あー… ひぃー…」
意味を成さない音を吐き出して息をついた。
段々と思い出せる。
デッサン講座があると聞いて、部活にも顔を出すかとやってきたことを。
そして光と熱に対してあまりに無防備でありすぎたことを。

「ぶーぶー」
水差しとコップを枕元に戻し、再び寝転がった。

美東暦 > 「ふっ… ふふ……っ はは…
太陽にやられるって、ひっどいザマじゃねー?」
軽いものとはいえ、暑さで倒れるのは初めてだった。
笑いながら目を閉じると砂漠が広る。
もうこの島で暮らしている年月の方が長い。すっかりここの生活に慣れた。
そういうことだ。

「あづ~~~~~~~~い~~~~~~~~~~」
もう頭痛や目眩はすっかり消えている。
じたばたとベッドを左右に転がってもこれ以上楽になりようもない。

美東暦 > もう故郷のことは薄れていて、何もかも照らし尽くす光ぐらいしか覚えていない。
それでも毎年ここの夏ってのは慣れないと思っている自分がいる。
砂漠の日差しは、確かにそれだけで人に生死をつきつける神のようだった。
だからカラカラに乾いた中を布にくるまって歩いたような気がする。

今は話が違う。
あまりの不快感にもぞもぞと体と手をよじり、タンクトップを脱ぎ捨てた。
上はゼブラの下着だけ。
それでもあまりかわりはしない。

美東暦 > 薄く眼を開いて窓を見れば、まだ真っ赤に燃えている。
帰るのは後にしよう。
日が完全に落ちて、暗くなってから帰ろう。

というかいっそもう夜中まで動きたくない。
人も熱も絶える時間まで。
といってこの島が完全に寝静まる事などないのだろうけれども。
「あーもうマジ今日一日無駄にしたな~~~~~…」

美東暦 > しばらくすると愚痴るのにも飽きたのか、ごろごろと寝返りをうちながら歌を口ずさみ始めた。

そのうちにまどろみに落ち、二度目の寝起きには夜になっているだろう。
不夜の島なら、そういうこともある。

ご案内:「保健室」から美東暦さんが去りました。