2015/08/21 のログ
ヨキ > 「それなら、良かった」

(短く答えて、ゆったりと笑う)

「永く生きれば生きただけ、山師のように思われてしまう向きもあろう。
 聞く側の寿命が短ければ短いだけ、妖かしの生は手に余るであろうから。

 ……ヨキは信じるとも。
 たとえ真実だろうと、嘘だろうと、君がこのヨキに向けて語ってくれる、すべてのことを」

(衣服越しにぺたぺたとおこんの手が触れる。
 布地に覆い固められた傷口は、その形さえ察せられなかったが。
 痛がる素振りを見せるでもなく、じっとおこんの顔を見ている)

「痛みはしないさ。薬でべたべたに固めてあるから。
 ……ヨキの居た世界では、斧(よき)――鉄の刃はまさしくヒトの象徴だった。

 ヨキは人間であるつもりだが、人間にはなり切れんよ。
 それでいて人間を知りすぎた。もう獣に戻ることも出来ん」

(自分に身を預けるおこんごと、ごろりとベッドの上に転がる。
 おこんの身体をゆっくりと引き倒し、痩せながらに硬い胸の上へ抱き止める。
 さながら気を許した犬のように)

「君こそ、人と獣の間を行き来したくなることはないか。
 こうして相反するものたちのあわいに立っているのは、楽だ」

おこん > そうじゃな。人間からしてみれば、ワシらなんてそういうものかもしれん。
いずれにせよ、ワシらと人間は、たしかに外面こそ似ておるが、
存在としてはまるで違うものじゃからのう。 故に…触れ合いたくなるということよな。
んふふ…ワシは狐じゃぞ。 ウソをつくもつかぬも自由自在じゃ。
(ヨッキの身体をぺたぺた触理ながら小さく笑う。身体を預けるようにして、
 彼の言葉にぴくぴくと狐耳を動かした。)

ならば、そういう存在なのであろうよ。 人でも獣でもない…という言い方ではのうて、
新たななにかなのじゃ。 世界は人間のものでなくなった以上、
ワシらのようなものはいくらでも生まれるであろう。 亜神、獣人、その他諸々…
(ごろーんと二人で横になるけれど、まるで親子のようだ。
 大人しく抱きとめられたまま、ゆっくりとした調子でしゃべり続ける。)

ワシは”化け狐”じゃからのう。 ただの狐が成ったのではない…
もとから化け狐なのじゃ。 もちろん、人と獣の間にあると言われればそうじゃが…
それ以上に、妖怪であるということじゃのう。 しかしなんだか難しい話じゃ。
ヨッキ、なんか気が軽くなるような事を話してくれぬか。
(もぞもぞと体勢を変えて、相手と向き合う形で抱きつく。
 相手を見ながら、尻尾で軽く相手の身体を叩いて。)

ヨキ > 「妖かしを知り、人間をも知った君こそが、きっと教職には相応しい。
 ……ヨキは『とっても素直な』犬であるから、ころりと騙されてしまうよ。
 君はそうして笑っているといい。この駄犬がまた欺かれていると……気楽にな」

(抱いたおこんの腹を、尻尾を、背中を、ぽんぽんと柔く叩いて撫でる)

「妖怪、ね。
 ……かつてヨキの元に在った女たちが、そういった妖かしたちの話をよく語ってくれた。
 ヨキにとっては、ついぞ遠い遠い存在だとばかり思っていたが……

 この日の本は、よほど妖怪と親しいらしいな。
 こんな風に間近で触れ合えるとは、思っていなかった」

(うねる黒髪を枕元へ波紋のように広げた寝姿で、心地良さそうにおこんを見上げる。
 吐息を零して軽く笑う)

「気が軽くなるような話?……あはッ。
 それなら、次にこの保健室に入ってきた人をどう驚かすか、なんて悪巧みなどしてみるか」

おこん > そう言われるとうれしいのう。 全く、ヨッキは変なやつじゃな。
お主のようなやつはな、騙しても楽しくないのじゃ。 
騙された!と思ってくれんヤツを騙しても、肩透かしを食らうだけでのう。
それに、こうして優しくしてくれる相手をどうして騙せると思う?
(お腹やら背中やらを優しく叩いてもらうのが心地よい。目を細めながら、
 相手の言葉に小さな笑い声を上げて。)

この国は八百万も神がおると言われておるでのう。そんだけ神がおるなら、
神もどきや妖怪ももっとおるであろうということじゃな。
なるほどなるほど、次に入ってきたやつをどう驚かせるか、か…
それはよい考えじゃな。 ふーむ、それなら…そうじゃな。
まずヨッキがそうやって寝ておるじゃろ。ワシはベッドの下に隠れる。
そしてかーてんを使って、お主の姿を隠しておく。
誰かが入ってきたら、ワシがその人に助けを呼ぶのじゃ。
そしたら、なにかと思ってその人はかーてんをめくるじゃろう。
そしたらおっきなヨッキがおるわけじゃ。 これは中々面白いのではないか?
(どうかのう、と尋ねながら、相手の身体にぐりぐりと鼻先を押し付けてじゃれつく。)

ヨキ > 「ヨキが変に見えるか?ふふ。それはきっと、君が優しい狐に心変わりしたからだ。
 それでも構わずヨキを騙し、利用して、思うさま悪事に利用するような――

 ……君がそういう悪党じゃあなくて、良かった」

(安心したように笑い返す。
 おこんの『悪巧み』に、悪戯めかした幼い友人のように肩を揺らして)

「ははは。カーテンを開けたらヨキが居て……さあ、どうしてやろうかな。
 頭からがぶりと行ってやろうか。

 だが君は、みんなのアイドルのようなものだから。
 カーテンを開けた人が君でなくヨキを見たら、びっくりどころかガッカリしてしまうかも。
 ……ほら、蓋盛とか」

(天井を見遣って、蓋盛と鉢合わせた場面を想像する。
 眉を下げて笑いながら、四本指の足でベルト付きのサンダルを器用に脱ぐ。

 おこんを抱いたままベッドの上でごろりと寝返りを打ち、枕元に二人して並ぶ。
 横向きの姿勢で、隣同士顔を並べた視界は、直立とも抱っこともまた異なる)

「やはりこの背丈の差なら、逆になった方がいっそ驚くやも知れんなあ」

おこん > ばかめ、ワシはもう悪い悪党ではないぞ。 例え昔の力が今戻ってきたとしても…
周りの人間を楽しくすることに使うであろうな。 まあ肉欲とかかもしれんが…
(んふん、と小さく笑いながら、ヨッキと一緒にころころと笑って。)

なに、ワシがあいどるのようなものか。舞台で踊っても歌ってもおらぬぞ。
がっかりはするまい、きっとよく驚く! しづきなんて、きっと唖然とするかもしれぬ。
なにせワシの声が聞こえたと思ったら、ヨッキが寝ておるんじゃぞ。
まず身長差にびっくりであろう。
(二人で枕元に横になりながら、イタズラの算段をするのは楽しい。
 相手の言葉にうんうん、と頷いて。)

ふーむ、逆というとどんな感じかのー。
ヨッキが隠れてて、ワシがベッドに寝ておるほうか。
(それもありじゃな、と楽しげに笑って。)

ヨキ > 「にくよく」

(おこんの言葉を反芻する)

「……ああ、いや。失敬。
 君から肉欲という言葉が出てくるとは思わなくて。
 君とて見た目どおりの子どもではないのだものな。

 もしや、力が戻れば色っぽい女性に変じたりするかね?
 大きな身体の君は、さぞや美人だろう」

(抱き枕のようにおこんへ身を寄せて、その髪の、肌の匂いを嗅ぐ。
 生やした耳や尻尾の毛皮の、獣の匂いを探すように。
 それでいて、語る口調のゆっくりとした穏やかさは変わらない)

「……君のことが大好きな、蓋盛のことであるからな。
 あの冷たい目で、おこん先生じゃなかったんですかァ、なんて言われてみろ。

 …………。君独りが笑えるやつになりそうだな……」

(想像して、苦笑い)

「逆というのは……ほれ。さっき君が言っていた。
 大きいおこんと、小さいヨキの出迎えるやつさ。
 蓋盛と遊んだときにも、余所へ見せては居なかったのだろ。
 それこそみんな、きっとたまげる」

おこん > にくよく。 そりゃーワシとて、しづきと交尾したり、生徒と交尾したりしとるでのー。
戻れば、じゃがな…秘密じゃぞ。 これ、あまり匂いをかぐでない。恥ずかしいではないか。
(優しくヨッキに抱きつきながら抗議。耳やら尻尾やらに、
 相手の鼻先が微かに振れるのがわかる。
 恥ずかしいからだめー、ってヨッキにお願いして。)

ふーむ、しづきならそうなるやもしれんのう…
やはりそれじゃな、それにしよう。 次はそれじゃ。
おっきいワシと小さいヨッキじゃぞ。うむ、これはよい。
(提案に何度も頷いた。 時繰りの車輪はまだ使える。
 イタズラにはぴったりだ。 そんなことを考えながら、
 ぎゅっとヨッキに抱きついた。)

さて、話し疲れてワシは少し眠くなってきてしもうた。
このまま眠っても良いかのう…お礼はまた今度、ということでな。
(自分のいうことを聞いてくれたお礼に何をしようか。
 たとえばえっちしたり、いっぱいご奉仕したりできるはず。
 そんなことを考えながら、うつらうつらし始める。)

ヨキ > 「…………君もか」

(変な匂いを嗅がされた犬のような顔。すぐに気を取り直して、)

「まあ、よい。君といい、蓋盛といい。
 校内の風紀を乱さん程度にしておけよ……。

 ……何。恥ずかしい?匂いを嗅がれるのが?はは。
 何だ、まだヨキとは『何も』していないからか。
 それとも匂いを嗅がれる程度のささやかな方が、むしろ恥ずかしいものなのか」

(相手の髪に鼻先を埋めたまま、理解の至らない顔でぼそぼそと呟く。
 望まない『待て』をさせられたように、残念がって顔を離す。
 それでもまだ、十分には近い位置)

「ふふ。『変わった視線で物を見るのも一興』、なのだろ。
 気に入ったからな。この頭でっかちなヨキに教えてくれたまえよ、君の持つ自由さを。

 ……眠ってゆくがいいさ、スッキリするまで。
 お礼などもう、こうして傍に居てくれるだけで十分だ。……」

(心地良さそうなおこんの顔につられて、自分の眼差しもまたとろりとし始める。
 犬のような息遣いで、欠伸をひとつ)

「……これこそ、戻ってきた蓋盛は驚くやも知れんなあ」

(裸足が衣擦れの音を立て、おこんに身を寄せる。
 長い腕でその小さな身体を包み込み、目を閉じる。

 普段から規則正しい息遣いが、やがて深みを増して――寝息に変わる)

ご案内:「保健室」からヨキさんが去りました。
おこん > んふふ…まあよいではないか。ワシはそうしないとダメなんじゃ。
精をすするのが生業でのう。 …ヨッキ、いじわるじゃな。
まあよい。そのうちおぬしもワシの毒牙にかけてやるでのう。
(相手の言葉にごにょごにょ反論。 だけれど、眠気のほうが
 じわじわとつよくなってくる。 ヨッキの言葉にこくんと頷いて、
 そのまま眠りの沼へと沈んでいった。)

ご案内:「保健室」からおこんさんが去りました。