2015/09/06 のログ
■朝宮 小春 > 「女の子、ねぇ………じゃあ、せめて他の生徒の前では止めて頂戴ね?」
あのくらいの年齢だと、同い年だったり少し若い子の方がいいんじゃないのかしら、なんて思ってしまう。
相手のポリシーだと聞けば、それを押し曲げることはせずに折衷案を提案して微笑みかけ。
先生と呼ぶにはゆるい笑顔。
「ええ、ごめんなさいね。」
手帳をどうやら拾ってくれるらしい。
ウィンクに微笑みを返し、ありがたく好意を受け取っておきながら、眼鏡を改めてつけて、自らの服を見回す。
埃をぽんぽん、と払って見回せば、タイトスカートが破れているとか、そういうこともなくて。
「大丈夫、かしらね。……ああ、サンダルがちょっと壊れてしまったくらいかしら。」
髪の毛が少し乱れていることには気が付かぬまま、壊れたサンダルをひょい、と拾いあげて少し困った表情。
■設楽 透 > 「そこは安心してくれて良いよ。」
「何も朝宮ちゃんの威厳を落したい訳でもないからね。」
「死人に鞭打つような事はしないさ。」
【少しだけ遠くから】
【手帳を拾い上げつつ、そんな返答を】
【手帳片手に朝宮の傍まで戻ってくれば、】
【拾ってきたそれを差し出しつつ】
「とは言ったけれど。」
「ううん、僕が留意していたところで本人がこれじゃあねえ。」
【小さく肩を竦めると、】
【断わりも無く】
【乱れている髪を手櫛で直そうとする】
■朝宮 小春 > 「誰が死人よ。
威厳とかではなくて、規則・規範の話ね。」
人差し指をぴ、っと立てて生真面目な顔でそんなことを言う。
本音? そりゃあ威厳も大事です。
みんなにちゃんづけで呼ばれ始めたら収集がつかない上に、きっと上の偉い人に「もう少ししっかりして下さい」と叱責を受けること間違いなしだし。
「……?
あ、あら。………乱れてた?
自分ではなかなか気が付かないのよねえ………」
髪の毛に触れられ、髪型を整えられれば、少しだけ自分の言ったことが恥ずかしくなったのか、照れながら手帳で口元を隠してしまい、言い訳をぽつぽつ。
最終的には、
「……秘密ね?」
なんて、小さな声で呟いて、ぺろ、と舌を出して笑って。
■設楽 透 > 「あはは。」
「そうだねえ、規則規範は大事だね。」
【うんうん、と頷きながら】
【その点も心配いらないよ、と微笑む】
「真面目なのは大変結構だけど、」
「そんな調子じゃ僕も人前で朝宮ちゃんって呼んじゃうかもしれないぜ」
【可愛らしく笑う先生の姿に、】
【苦笑ともとれなくもない笑みを浮かべる】
【他にどこか見落としが無いか、と】
【ぐるっとその立ち姿を見回して】
「うん、もう大丈夫だね」
「学校じゃなかったらお茶に誘うくらいの可愛らしさだ。」
■朝宮 小春 > 「い、至らぬところがあるのは仕方ないでしょう。
それでも規則は規則なんだから。」
そんな調子、と言われてしまえばぐうの音も出ない。
だから、ちょっと強引だと思われるかもしれないけれど、それでも規則!という言い方で誤魔化そうとする。
そんな呼ばれ方をしたら、授業中にそうやって呼ぶ生徒が出てきて当惑するのが目に見えてしまう。
「……大丈夫でしょう?」
ぐるりと回りながら見つめられれば、ほら大丈夫、と言わんばかりに。
女性らしさをはっきりと見せる身体のラインをブラウスとタイトスカートに押し込めているのだけれど、本人は怪我がないから大丈夫、とばかりに微笑み。
「こーら。 そういうことを先生に言わないの。」
ダメでしょ、とまるで母親のように諭してくる。
■設楽 透 > 「まあ、そういうことにしておこうか。」
「それより朝宮ちゃん、足元がお留守になるほど何にうつつを抜かしていたんだい?」
「お仕事が終わったらデートの予定でも入っているのかな?」
【少しばかり冗談めかしてそんな事を訊ねる】
【予定が無いなら僕と如何だろう、なんてさらに冗談を重ねて】
【爽やかな笑みと共に言うのだから本気か冗談かわかり難いのも、】
【この設楽透という男の常なのだが】
「先生であろうと、生徒であろうと」
「素敵な女性には変わりないからねえ。」
「これもまた、僕のポリシー」
「謂わば、行動規範みたいなものさ。」
【ふふ、と先程朝宮がやったのを真似るように、】
【すらりと人差し指を立てて、片目を瞑る】
【ビスクドールの様な外見と相俟って、】
【それなりに様になっている】
■朝宮 小春 > ………生徒に出された質問が解けず、生徒が先に解いてしまった上で、それに若干凹んでいました。
言えるわけがない。言えるわけがない。大事なことだから二度記載しておく。
「……他の子から数学のパズルを質問されてね。それを考えていたのよ。
それに、お仕事が終わる頃には街の灯は落ちてしまっているでしょうね?
生物の補習なら考えてあげなくもないけれど……。
先生にそういうことを言っていると、いつか怒られてしまうわよ?」
人差し指をそっと立てて片目をつぶる彼に対して、少しばかりの苦笑をうかべて。
指を伸ばしてその鼻先をつん、と突いて、ダメよ、って笑いかけてあげよう。
「この学園にいる限りは、私は私である前に先生なんだから、ね。」
あくまでも先生と生徒の立場は崩さないままだけれど、相手のポリシーに怒ることはない。
むしろ、面白い子ね、とくすくすと笑うくらいで。
■設楽 透 > 「パズル。」
「なるほどねえ、パズルかあ。」
「僕はそういうの、あまり得意じゃないからねえ。」
【感心したように自分の顎に手を当て、】
【何度か小さく首を縦に振った】
【鼻先を突かれれば、少し驚いたように目を瞠り、】
【すぐに穏やかな微笑を浮かべる】
「なるほど、生徒で居る限り朝宮ちゃんにはパズルを出すくらいしかないらしい」
【抜けている様で中々しっかりしてるじゃないか】
【そう密かに評価し直すと軽く首を傾げる】
「それで、何処か行く途中だったんじゃないのかい?」
「また転ばれるのも心配だ、目的地まで同伴させて貰おうかな。」
「ちょうど、この後の授業も無いからね。」
【人の好さそうな笑みを浮かべたまま】
【それとなくエスコートを申し出る】
■朝宮 小春 > 「そういうことね。まあ、学校の外だったり、貴方が卒業をした後であったらまた別の話だけれどね。
それに、貴方であればそういう子は他にたくさんいるんじゃない?
……ああ、こういう話題を私から振ったら台無しね。」
肩を竦めて、ちょっとだけ笑って。
「……? ああ、職員室に戻ってから書類をまとめようと思っていただけよ。
同伴は恥ずかしいから、………途中までね?」
ついてくるな、と言うのも冷たい気もする。
だから、途中までね? ともう一度念押しをしつつ、それを受けて。
「……ただ、サンダルも壊れちゃったから、少し待ってね……。」
ごそごそと、ピンでサンダルの切れた部分を留める。
ひょこん、ひょこん、と、情けないステップで歩き始めながら、職員室へ向かいだして。
■設楽 透 > 「職員室だね、本当にお仕事ご苦労様。」
「まあ先生と生徒が談笑しながら歩いてるなんて、」
「そうそう恥ずかしい事でもないだろう?」
【何を恥ずかしがるんだか、とくすくす笑いながら】
【どうせなら荷物を持とうか、と申し出る】
「しかしまあ、」
「学校の外でとなると途端に競争率が上がりそうだねえ」
「それなりに声を掛けられたりするんだろう?」
【職員室へと向かう道すがら】
【ぎこちない歩き方の朝宮へと話を振ってみる】
【本人に自覚は無いだろうが、その身体つきは】
【良くも悪くも異性を呼びそうだな、と思いつつ】
■朝宮 小春 > 「まあ、それくらいなら普通かしら………。」
改めて言われると、恥ずかしがる方が変だったかしら、と首を傾げて。
言うがままに頷いて、職員室まで一緒することにする。
ちなみに荷物に関しては丁重にお断りすることにした。
教師の持つ書類には生徒の個人情報が入っていることもあるからね、変な疑いとかをかけられてしまうのも嫌でしょう? と、真面目に何故渡せないのか、まで説明をしながら、廊下をひょこん、ひょこんと。
「………………。 ああ、私が?
それが……あんまり出ないから。」
一瞬、何のことかわからずに首を傾げ………ようやく気がついて。
その上で、正直なところを言葉にしながら、無い無い、と手をひらひらと横に振って苦笑をする。
確かに、ブラウスやスカートをぴっちりと張り詰めさせている姿だけを見れば惹きつけるものはあるのだろうけれど、そういう意味で、彼女はいつも仕事ばかり一生懸命だ。
「本を読んでいたり、調べ物をしていることがどうしても多いのよね………
声をかけられるのは、図書館の掃除のおばさんくらいかしら?」
■設楽 透 > 「なるほど。」
「その大事な個人情報をさっき蹴躓いてばら撒いたって訳か。」
【真面目な様子で説明する顔と、】
【その歩き方があまりにも不釣り合いで、少しだけからかいたくなってしまった】
【蒸し返すのも意地が悪いかとも思わなかったわけでもないが】
「いわゆる仕事が恋人、って奴かな?」
「ふふ、勿体無いね。朝宮ちゃん可愛いのに。」
【道理で彼女の浮いた話は耳に入らないわけだ、と内心で納得する】
【しかしそれはそれで異性の目を気にしていないという事でもあるように思え、】
【思春期真っ盛りの学生を相手にするのにそれはあまりにも、と】
【決して少なくない、朝宮の受け持つ授業の生徒たちに同情してしまう設楽だった】
「まあ、お仕事もほどほどにね。」
「たまには外を歩いて見るのも新たな良い刺激になると思うよ。」
■朝宮 小春 > 「ぐぬっ………」
言い返せない。ひょこん、ひょこんと歩きながらしばらく考えて。考えて。
「……ごめんなさい。」
両手をぽん、と合わせて謝ることにした。
秘密にしといてね、と、片目だけを開いて相手を見て。
「恋人、ねぇ………仕事の合間に調べ物とかを多くするから、そのせいで忙しいのかもね。
それは趣味みたいなものなんだけれど。」
元々、志望は研究者。
先生をしながら、プライベートの時間にその真似事をすることが、主な原因なのだけれど。
「だーかーら、先生にそういうことを言わないの。」
一度聞き流してから、しっかりと注意をしてくる。
何度も言われると少しだけ照れるけれど、表情には出さずにダメよ? とまたやんわり注意をして。
誰の目線も何にも気にしてはいないけれども、そのせいか、露出の多い格好をしてくることも、まず間違いなく無い。
そういう目、で見られていることも分かっていまい。
「…そうねぇ、お医者様にも、運動をしないと肩こりが治らないと言われてるのよね………散歩の一つでもするべきなのかしら。」
ううん、と唸る。生徒の言葉ではあったが、その言葉そのものは至極真っ当。真剣に考えながら廊下を歩き。
■設楽 透 > 「ははっ」
「まあ、次からはちゃんと気を付けること。」
「ちゃんと秘密にしてあげるからさ。」
【変わらずにこやかな表情のままで】
【真面目だが、愛嬌もあるし、素直な朝宮には好感が持てる】
【きっと男女問わず人気なのだろう、と】
【授業の場を思い浮かべたりして、一つ、頷いた】
「ふぅん……」
「趣味で調べもの、か」
「そういう事なら、何か分からない事があれば声をかけてよ」
「なまじ、6年もこの学校に居るんだ。」
「多少知識だけなら自信があるからね」
【柔和に目を細めて】
【常世島の情報屋としての顔はあまり校内で大っぴらにはしていないが】
【彼女からの頼まれごとなら、そう言った面抜きで請け負うのも良いと思えた】
「先生を可愛いと言ってはいけない規則は無いだろう?」
「おこんちゃんなんかは、よく言われて喜んでるのを見かけるよ。」
【今度はするりと注意を躱す】
【評価を素直に伝えることは悪い事じゃない筈だ、と】
【露出の多い服装よりもフォーマルな服装の方が受けが良かったりすることもある事くらいは】
【気付いてほしいものだけどと、思ったり思わなかったり】
「肩こり、ねえ……。」
「……まあこれからの季節、運動するには丁度良いから。」
「散歩やランニングを始める分には丁度良いかも知れないよ。」
【その胸じゃさもありなん、と思わなかったわけでもないが】
【流石にそれをそのまま伝えるのは如何なものかと思い留まったようだ。】
■朝宮 小春 > 「……気をつけます。」
とほほ、と肩を落とす。どうにも仕事を抱え気味になる悪い癖。
人気……という意味ではそこまで悪いわけではないが、頼りがいとか、そういう方面で質問をされると生徒は皆さん顔を伏せるらしい。
何故だろう。わかってるけど。
「……あら、ありがとう?
ただ、すごい発見をしてやろうとか、そういうことじゃないから大丈夫。
でも、そうね………。本で分からない、この学校のことが気になったら聞くかもしれないわね。」
相手の申し出に少しだけ驚いて。
その上で、お礼と、どんな時にお願いをするのかを伝えておくことにする。
「………確かにそういう規則は無いわね。
そういうところで喜べる余裕が無いからダメなのかしら……」
ぐぬぬ、また言い負かされた。…まあ、褒められているのだからいいのかしら、なんて呟きながら、これまた言うがままに流されていく。
格好については、視線を全く意識していないのだから言うだけ無駄なのだった。
上から怒られない、一番無難な格好しかしないというだけの話。ダメな人だった。
「ええ、そうね。
ランニングは………その、昔転んで手首を折っ……
散歩から始めましょうか。ええ、買い物がてらね。」
肩こりの主要な原因には気がつかないままに恥ずかしい過去を喋りかけ、すんでのところで言葉を止める。
残念ながらものすごくアウトだったが、本人的にはセーフのつもりだ。
■設楽 透 > 「うん、よろしい。」
「しっかり頼みますよ、朝宮先生?」
【すっかり逆転した立場を面白おかしく楽しみながら】
【まあ今は不安が残るが彼女なら大丈夫だろう、と確信する】
【とはいえ、今は不安があるのでしばらくは陰ながら見守る方が良いか、とも】
「ああ、そうだね。」
「この学校の事なら、多分朝宮ちゃんよりも詳しいと思う。」
「だからまあ、任せて貰って良いよ。」
【微笑み浮かべたまま頷く】
【軽い調子とは裏腹に、その言葉は自信に満ちていた】
「まあ少しは肩の力を抜いてみるのもね。」
「抜き過ぎも良くないけど、力み過ぎも良くないさ。」
「まあ、どちらも無理のない範囲で上手い事やれたら、」
「教師としても一歩全身なんじゃないかな。」
【諭す様に話しながら、朝宮のペースに合わせて歩く】
【少し人間として未熟な面も窺えたが、】
【それはどちらかと言えば彼女の好ましい点でもあるから言及は避けた】
「……。」
「そうだね、散歩から……ああ、通勤中に少し歩くのも良いかも知れないね。」
【一駅分くらい、と指を立てる】
【そんな過去があったとは、とは小さく呟いて】
【もしかしたら考え事で足元がお留守になるのではなく、】
【単純に足元が見えてないのかも、とも考えてみたり。】
■朝宮 小春 > 「………先生、私だから。」
正気に戻った! 正気っていうより、改めて自分の立場を思い出しただけとも言う。自分の胸に手を当てて、じとぉ、っと相手を見てやる。
全くもう、とため息。口車に乗りやすいのか、乗せるのが上手いのか。
「そうね、私もまだまだわからないことだらけだし。
でも、とりあえずは大丈夫、かな?」
相手が長く在籍していることくらいは、何となく理解している。
それでも、それについては問わない。
相手の環境を知らぬままに踏み込むのは怖いのもあり。その時はお願いね、と穏やかに収めておく。
自信のありそうな表情を見るに、本当に詳しいのだろう。
探さなければいけない生徒、などがいたら聞くのも悪くないかもしれない。
「………生徒に教師としての在り方を言われてしまうと、立場が無いのよね。」
先ほどの件も、全部未熟な自分が原因であるのは事実なわけで。
それでも、ふう、っと吐息をついて落ち込む姿は見せずに。
「抜いてもできるようになるまでは努力してみるわね。
全力を知るから、抜くことも理解できる……って教えているんだから、自分がやらないとね。」
と、微笑んで片目を閉じてみせる。あくまでも前向きに。
「………自転車を使うのもいいかもしれないわね。」
一駅とか死んじゃう、と、ぽつりと呟いた。
見えていない+何かに集中するとそれに全力→よく転ぶという結論である。
何故足元が見えないか? ……それは分かっているだろうが、ひみつだ。
■設楽 透 > 「知ってるとも。」
【にっこり笑って肯く】
【からかいこそするものの、】
【朝宮教諭に対してはそれなりな敬意もある】
【何より異能を持たない身の上にも関わらず、この学校の教壇に立つという】
【その豪胆さには一目置いているくらいだ】
「可愛い先生の頼みならいくらでも協力するよ」
「だからあまり、一人で抱え込まないようにね」
【真面目な彼女の性格上、】
【どうしてもその事だけが懸念される】
【有事の折に、はたしてこの特殊な力を持たない教師はどこまでやれるのだろう】
「まあ、そこは。」
「きっと朝宮ちゃんが先生をやってる年数よりも、」
「僕が生徒をしてる年数の方が長いから。」
【食えない笑みを浮かべながらいけしゃあしゃあと】
【まだまだ青いと謂える教師たちの成長を眺めるのも、留年の楽しみの一つでもあるからして】
【また新たな楽しみを、設楽は見つけたともいえるのだろう】
「そうそう、その意気さ。」
「朝宮ちゃんのそういう前向きなところ、好きだよ。」
「……ああ、自転車も良いね。その場合、家からだけど」
【朝宮ちゃん、家は近いんだっけ】
【そんな事を自然に尋ねる所はやはり抜け目が無い】
■朝宮 小春 > 「………ならいいんだけどね。全く…
抱え込むも何も、先生なんだから生徒のことを抱え込むものです。」
怒っているようで、実際に怒気はほとんど感じられない。
ひょこん、ひょこんと頭が上下しながら、ぴしり、っと言い切る。
何かあれば、おそらく真っ先に致命的な状況に陥ることはよく分かっているけれど、その覚悟はとうの昔に終わっている。
「普通」が「普通」でない場所であることは分かってはいるが、彼女の目標はあくまでも、この学園以外の場所でも共存ができるような生徒の育成だ。
外の世界で一般的に使われる「普通」を伝えることができずして、そんな生徒をどう育成できよう。
軟弱でちっぽけな信念であれど、彼女もまた教師である。
隣でぷんすかしてるけど、教師である。
「………あんまりいないわよね、そんな生徒。
理由とかは………あるの?」
相手からその話題に触れてくるのだから、予想の範疇だろう。
そう予想して、あえて聞いてみることにする。
「嘘でも建前でも、前向きで無ければ、やってられないもの。」
と、少し悪戯っぽくくすくすと笑う。
相手の言葉に、少しだけ首を傾げて。
「ああ、職員寮だから歩いてすぐなのよ。自転車は商店街とかに行くことがあれば使おうかなって。」
自然に尋ねられたことに見事にひっかかる辺り、こちらは抜けてばかりだ。
■設楽 透 > 「その志はごもっともだけどね」
「生徒を大切に思う先生が居る様に、」
「先生を大切に思う生徒だって居るのさ。」
「特に、朝宮ちゃんみたいなタイプはね。」
【怒っているアピールも微笑ましく思いながら】
【当たり前の、】
【生徒・設楽透として至極当たり前の事を口にする】
【普通であろうとなかろうと、命は等しく平等だ】
【それはもちろん、生徒も教師も変わりない】
「留年する理由かい?」
「……ううん、どうやら僕は物の呑み込みが悪い方でね。」
「どうしても1年目のテストは赤点を取ってしまうんだよ」
【赤点で一年留年し、その次の年のテストは満点で進級する】
【それが設楽の学生生活だった】
【教師たちの間でも、度々話題に上がる事もあるかもしれない】
【曰く『彼は教える側をバカにしているのではないか』と】
【しかし、】
「──と言い触らしているんだけど。」
「実際のところ、好きなんだよね。」
「この学校も、先生も、生徒も」
「だから、たった4年ぽっちで出てくなんて勿体無いじゃない。」
【くすくすと、忍び笑いをしながら】
【珍しく本心を口にした】
【それからすっと人差し指を口の前に立てて、】
「これ、秘密ね。」
「……ああ、職員寮なんだ。近いねえ」
「だったら、うん……サイクリング、目的をもってするのが良いかもね。」
【学校から家までの距離が近いのでは、】
【なおさら出会いも少ないだろうに、と内心苦笑する】
■朝宮 小春 > 「それはもちろん。
お互いにそう思い合うなら、きっと理想的な学校になると思うのだけれどもね。
……私にかぎらず、大切に思ってあげなさいね?」
私がまるで頼りないみたいじゃないか、とは口にしない。
自覚済みである。えへん。
彼の言う言葉に命の危険が含まれているとは掴みきれていないらしい。
「………………」
目をぱちくり、として、しばらく言葉を失い。
……その上で、ふう、っと吐息を漏らして苦笑する。
「しようの無い子。」
そ、っと手を伸ばして、その髪をぽんぽん、と撫でてあげる。
「秘密にしておいてあげる。
でも、心配する先生もたくさんいるのだからね。」
同じように、己の人差し指を口元まで持っていって……
ぱち、と片目を閉じて笑っていた。
「………ええ、お買い物だけは自分で買いに出るようにするわ。
まあ、食品くらいなんだけど……」
学校←→寮←→スーパー
で全てが終わる生活だった。
■設楽 透 > 「そうだねえ」
「でも、そうはいかないのが集団ってものでね。」
「大丈夫大丈夫、みんな大事だよ。」
【実際頼りないのは自覚があるようなので言及しなかった】
【さて、この先生は今後どうなるのだろう】
【そんな事を考えながら】
「無理して撫でようとしなくても良いんだよ?」
「けどまあ、その言葉は肝に銘じておくよ。」
【自分の身長、180は決して低い方でないと知っている】
【その頭を少し頑張って撫でようとしてくれる貴女に合わせて身を屈める】
「お互いの秘密を共有するというのも中々良いものだね」
「まあ、それはそれとして。」
「……やっぱり少し朝宮ちゃんは外に出るべきだと思うんだけど。」
【どうやら最低限の行動範囲しか持たないと見当をつけて】
【しようのないのはどちらなんだか、と】
【苦笑交じりに肩を竦めた】
■朝宮 小春 > 「それならいいんだけれどね。
なかなか、そうもいかないのは事実だけれど。
綺麗事の一つも言えないと、ね。」
どうなるのだろう。
頼りがいのある先生に育つのだろうか。
育たないだろうか。今なら育つ方の倍率が高いよー。賭け頃だよー。
でも、頭を下げたその頭をぽん、ぽんと撫でて。
「いいのよ、貴方が少しでもこの言葉を覚えておいてくれれば、それでいいの。
お互いの秘密、ね………。 ちゃんと黙っておくわよ。」
……その上で、ううん、と小さく唸りながら。
実際にもう少し出歩くべきだろうか。
「今度の休みにでも、そうしてみるわ。商店街を歩くだけでも運動にはなると思うし。」
そうとだけ言葉を返して、少し困ったように微笑んでみせる。
なんだかんだで忙しい。休みの日は部屋でずっとへたばっていることも多いのだ。言わないけど。
「……あら、職員室。」
ひょこん、ひょこんと歩きながら、やっと職員室が見えてきた。
■設楽 透 > 「そうだねえ。」
「こんな場所だからこそ、」
「綺麗事を、それと解ってて言える人が居て欲しいね。」
【さてどちらに転ぶか】
【賭けてみるのも良いかも知れないが、】
【そうしたらきっと事ある毎に手が出てしまうかもしれない】
【そんな事を微笑の裏で考えている姿は、ほとんど保護者然としている】
「あはは。」
「ありがとう、小春ちゃん。」
【さらりと苗字から名前へとシフトした】
【あまりにも鮮やかに移行したので気付くか気付かないか】
「ああ、それなら。」
「何なら学園地区だけでも案内してあげようか。」
「せっかくこうして話したのだし、そのついでにさ。」
【公園やお洒落な喫茶店なら山の様に知っている】
【ナンパ師として生命線とも呼べる情報だからだ】
「だからまあ、根詰め過ぎないようにね。」
「休日は寝たきりなんて、若い身空でするもんじゃあないよ?」
「おっと、本当だ。じゃあ、僕はここまでかな。」
【職員室が目視出来れば、静かにその場で足を止める】
【元々『そういう約束』だったのだから当然、といった顔だった】
■朝宮 小春 > 「いろんなことができるようになって、多くのことを分かっている人ほど、言わなくなっていくのかもしれないわね。
まあ、………私は言ってしまうけどね。」
夢想家だと、理想主義だと年上にも年下にも言われて、時には馬鹿にされることもあるのだけれど。
それをそれとして受け止める気持ちはあるらしい。
小さく苦笑を漏らしながら、ゆるゆると歩く。
「学園地区くらいは分かるわよ。何度も歩いたわけでもないけど……
ほら、どこまでが安全でどこからが危険か、しっかり覚えておかないと危ないものね?」
名前呼びは気が付かなかった。そういう人である。
そして、案内という言葉でそういうものが頭に浮かばない辺りもまた、らしいといえばらしい。
彼女にとってすれば、この島で過ごすことそのものが、結構危険でもあるのだろう。
「………そんなことしているわけが無いじゃない。」
視線を逸らしたまま休日の過ごし方に関しては否定をした。
職員室が見える場所でひょこん、と足を止めて。
「それじゃ設楽くん、ついてきてくれてありがとうね。
私が言うのも何だけれど、気をつけて帰らないとダメよ?」
最後まで、きっちり先生。 微笑みながら掌を振って見せて。
■設楽 透 > 「そうかも、しれないねえ。」
「ふふ、それでも小春ちゃんは言うのか」
「だったら、僕はそれを支持しようじゃないか」
【きっと生徒にすらそれを一笑に付す者も居るだろう】
【であればこうして支持する者が居ても良いだろう】
【そう思いながら、理想を口にし続けるというこの教師を支持する】
【そう、設楽透は決意した】
「なるほどなるほど。」
「これは余計な心配だったかな」
「それじゃあ回りくどい言い方は止めにしよう。」
「また今度にでも、デートのお誘いをしますよ、小春先生。」
「──ちゃんと、学園の外で、ね。」
【くすくすと愉快そうに笑いながら】
【静かに一歩、後方へと下がった】
【そしてくるりと踵を返し、軽く手を振りながら朝宮の言葉を受け取る】
「はいはい、大丈夫だよ。」
「それより小春ちゃんも、職員室が近くっても油断しないようにね。」
【今度転べば廊下を転がるのはブラウスのボタンかもしれない】
【そんな事を密かに期待しつつ、】
【同時にもしそれが叶っても見られない事を残念に思いながら】
【──静かにその場を後にした】
「──それじゃあ、また。」
■朝宮 小春 > 「ふふ、ありがと。
だったら、それに追いつけるようにもっと頑張らないとね。」
口にした言葉に追いつけるように、と少し笑って。
さあ、書類を片付けますか、と歩きだし。
「………………規則には無いけど、あんまり先生をからかうのも、ダメよ?」
こら、と小さくゲンコツを作って、むーっと見つめる。
からかっていると受け取っているらしい。堅物で鈍いという二重の壁だった。
「流石に大丈夫よ、私のことを何だと……っと、っと、と………」
足がもつれて歌舞伎のようによ、っとっと、と片足でジャンプしてバランスを保って。
………
「流石に大丈夫よ、私のことを何だと思っているのよ。」
やり直した。完全にやり直した。 手を振って見送りつつ。
………………
「あれ、名前で呼ばれてなかった!?」
気がついたのは3分後だった。
ご案内:「廊下」から設楽 透さんが去りました。
ご案内:「廊下」から朝宮 小春さんが去りました。