2015/09/11 のログ
ご案内:「保健室」にサイエルさんが現れました。
サイエル > ほんの少し、時間がたった。
当たり前だが、外に出る手段は取り押さえられている。
そんなに、この島の警備は甘くない。
公安しかり、風紀しかりだ。

だから絶対的門番としてこの島にいるのだろうが――
しかし、その束縛すら凌駕する。
意識が飛んでいるものたちがあまりにも多すぎた。

秘密裏に、なかったこととなる場所ではなく。
どうにかうやむやとできる部分でもなく。
一つのククリ”異能者”が、無いものたちにとって
危険と認識されるほどに。

――脱線した意識を戻す

サイエル > 今日ここに来たのは――

懐旧をしに、だ。
音を消し、それなりの装備を持って。
夜、深夜の自分の城だった場所を開ける。

不法侵入、かも知れないが。指名手配犯である自分には
まぁ、関係ない話だろう。
なにせここには、”記念品”が山程ある。

いつものように扉を開けて
椅子に座る。そして”耳をすませる”

サイエル > 聞こえるのはニュースの声。
麻薬所持、殺人、おっと……サイバーテロとも来た。

着せる罪は山ほど溢れているといったところか。
その真実を知るものはただ一人。
そしてそいつは犯罪者。なるほど、仕立てるにしては
楽勝といったところか。さて、逃げ切ることはできるかと
聴かれれば、なかなかに難しいと答えよう。

では、何ができるか。そこに視点を移していきたいところだが……
さて――

サイエル > デスクを開ける。

そこにはサインを貰ったCDと。
かの少女からもらった”キャンディ”

随分と懐かしい。
CDを貰う前夜に出会った、少年は。
さて、元気にしているだろうか。
ぱったりと連絡が途絶えた少女は――今頃、何をしているやら。
噂によると、随分良い”特等席”に招かれているようだが。

ウタを失った偶像は、今頃別の。自分を手に入れた頃だろうか。
新しい道を見つけると、そういっていたが。あぁ、ナマの曲が聞けないのは寂しくなるな

サイエル > ことりと、酒瓶を一つ。
切子は――なんとなく三つ。

がしゃっと開けた、引き出しの奥からは
何日ぶりやらと思う、チョコレート。

サボると公言していた破壊神とやらにもそういえばあった。
かわいい名前をツケてから、そういえばろくに出会っていないが――さて可愛らしく今日もサボっているのだろうか。
それこそ、壁に穴を開けて、色んな物を壊して回っているのかもしれない。

神社で出会った少女は元気に帰れただろうか。
きっと帰れたに違いない、あんなに元気そうな大きな生活委員に
しっかりと引き継いだのだし、問題なかろう。

魔法使いの女教師は、いろいろと吹っ切ることができたろうか。
いやにしても、ユニークな先生が集まったとも思う。
おかげで仕事はやりやすかったが――大きなドラゴン、インディー・ジョーンズ、凄腕の養護教諭に――
あぁ、杯を合わせた、番犬もいた。

サイエル > ことことと、日本酒を注ぎながら――

その水面を眺めて。思い返す。
入院した女性を心配して声をかけてくれた少年も居た。
結局目当ての人には合うことができたろうか。
きっと、出来たとは思うが――さて。

くいっと、酒を喉に通し。潤す。
やけに塩っ辛い気がした。
いい酒のはずではあるが――

酒といえば、調達しにいった時に出会った少女は。
今頃、その目的を果たせたのだろうか。
何か悪いことを考えていて、それを吸血鬼――ではなかったか。
公安の美人に見初められて、ちょっとはなしした程度だが。

異能の持たないが、頭の良い御仁にも出会った。
彼女とのデートは有意義だったのを思い出す。
久々に男を出来た――ような気もする。
まぁ、結局は。ダメな男であったのは言わずもがなだが。
しかし、それでも女性として意識させられたなら。
華を華と、振る舞えさせることが出来たなら。
まだ捨てたもんじゃないだろう

サイエル >  
杯を受けることはないだろうが。
ねぎらいの一杯で、ほんの少し一緒に仕事をした彼女に
こうしておくくらいは良いだろう。
時間の兼ね合い。気性の似ているようで似ていない。
故に”あわなかった”彼女はこれからどうすごしていくのやら。
なかなか、難しい人であることは間違いない。

あぁ。難しい御仁といえば。ご老体と、察しのよい女教師も居たななんて思い出す。
ほんの些細な邂逅では遭ったが。あれはあれで。料理を振る舞ってくれた人も。片付けを手伝ってくれた人も居た――

サイエル >  
「その全てを、その様々を――異能者という、一括りにしなくちゃいけないなんてね」

だが、それが。現実だ。
この世界は、一人の者だけではない。
この島で、その力を持って。以って。自身と言うのであれば。
責任は、持たねばなるまい。

この結果は――必然だ。
良い所見るばかりが人ではない。
むしろ……
悪いところを見続けて、そこを指摘し続けて。
蹴落として、のし上がる。
そういったモノのほうが、遥かに多い。

「まぁ、しょうがないといえば。しょうがないよね」

サイエル >  
だから、仕方があるまい。

この、サイエル・ミラー。政府からの”不協和音”が入ってしまって
見届けた。事件の数々……

炎の巨人、ロストサインの活動、フェニーチェ、風紀委員襲撃……脱獄、公共機関への、テロ行為。

「危険だよね。どう考えても……穏健派でも、動いちゃうよね」

異能というものはプラスなのか。
そもそも、そんな”暴力”を一箇所におさめておいてよいのか。
いつ、その異分子が外で活動をと思ってしまうのか。
10年で築き上げてきた”檻”は、檻ではなく――

「思考するには十分だ」

酒を飲み干す。そう思ってほしくはない。
が――、そうも言ってられない。

サイエル >  
――長居、しすぎた。

昔を思うのは、もう終わりだ。
どうにかして生還しなくてはいけない。
音を届かせる。予備策は講じたが――
それも潰されていると考えていい。

「さぁ、帰ろうかね」

酒と、2つの切子はそのままに席を立つ。

「……さてあと何日……」

――”ここにいれるかな”?

顎を撫でながら、その場を後にした

ご案内:「保健室」からサイエルさんが去りました。
ご案内:「ロビー」にヨキさんが現れました。
ヨキ > (夜。非常灯と、最低限の照明だけが残されたロビー。自動販売機の隣のベンチに深く腰掛けて、缶コーヒーを飲む姿がある。
 残業と、夜間の見回りを終えて一息ついているところだった。左手の缶を口許に添えたまま、右手に持った紙に目を落としている)

(――『今回、調査により。保険医として潜入していたサイエル・ミラー 39歳 男性を反逆――内乱罪として指名手配するものとする。以上』)

(風紀委員会から発された、簡潔な布告だ。
 その顔に、眼差しに、然したる感情を浮かべるでもなく、たった一文を繰り返し見ている)

ヨキ > 「反逆ねえ」

(しんとしたロビーに、ぐび、と喉を鳴らしてコーヒーを飲み込む音がする。
 ここは日本で、常世島で、常世学園だ。そうしてお触れを出したのは、風紀委員)

「……いったい、何をしたことが。――誰に対しての?」

(限りなく低い声は、この広い廊下にあっても響くことはない。
 零れ落ちて、そのまま消える)

ヨキ > (紙がはためく小さな音を立てて、掴んだ右手をそのまま膝の上に下ろす)

(元はといえば――ヨキは、人を信じる、ということをしなかった。
 自分で見聞きしたことをあるがままに受け入れ、従い、倣っているに過ぎない。
 人から下される命に。人が見せる意志に。人が露にする欲望に。

 良心だとか、信頼などという礎のあやふやなものに、ヨキは従わない。
 だから期待することもなければ、裏切られることもない。
 ただ自分に、周囲の人間に、負担が増える。それだけが――少し疲れる)

「……また、蓋盛の仕事が。増えてしまうな……」

(目を伏せる。
 未だ晩夏の余韻を残して生温い夜気に、缶の表面がしっとりと濡れる。
 手にした布告の端を、事もなげに湿らせた)

ご案内:「ロビー」にライガさんが現れました。