2015/09/29 のログ
倉光はたた > 頭を上げる。

以前ヨキと会ったときのような、
はたたにあった幼さや頼りなさは比べると薄れていた。
いくぶんと、まともな人間に見える佇まい。

「はたた、にんげん、に、なれば――
 こまる、ない?」

平坦にそう言って首を傾げ――
生徒たちが消えていったほうを見やる。

それとも……

「はたた、ない、が、いい?」

自分を指差して、その指にもう片方の手を重ねて、押し隠すようなジェスチャー。

ご案内:「教室」にトトさんが現れました。
ヨキ > (一月も経たぬうち、赤子から物心ついたばかりの少女へと移り変わったかのような面差し。
 ゆえにヨキも、一対一のひとりとしてはたたの前に立ち、教師として口を開く)

「……残念だが」

(首を横に緩く振る)

「そのどちらかひとつ、ではないんだ。それほど簡単な話ではないのだよ」

(手にしていた荷物を、傍らの机に置く。
 椅子を引いて腰を下ろし、はたたと視線の高さを揃える。
 相手にも着席を言外に進めながら、はたたを見つめる)

「たとえ、君が人間になったとしてもだ。
 さっきの彼女らが待つ『はたた』が戻ってくる訳ではない。それに……
 『君』が居なくなったら、君の大事な『ユキヱ』はどうする?

 ……このヨキは、今はまだ『今のはたた』も『昔のはたた』も、どちらか一人には決められないんだ」

トト > 面白そうだ  それが一番の行動理由なのは、今も昔も変わらずである… いや、同率くらいのものがひとつ出来たが

ばたばたと女生徒が出てきた教室、その顔が、何処となく【何かあった】感を醸し出していれば、それだけで介入の理由には十分で
顔をのぞかせてみると、其処にいたのは知らない翼の子と、知らない… いや、知っている先生であって

「やぁ…  んんん… ヨキ先生? ヨキ先生だよね?久しぶりだね。」
手を振って教室に入る、何となく、ではあるが、雰囲気が明らかにあの人だと確信を持てたようで

「こんにちは♪  …? あれ、君は人間じゃないのかい?確かに翼はあるけれど、前にあった子は人だったようだし。」
はたたを見て、翼を見て、顔を見て、不思議そうに首をかしげながら、二人にゆらりゆらりと、近づいてくる

倉光はたた > 促されるままに、はたたはヨキと同様に椅子を引いて着席する。

「…………」
ヨキのその回答は、ある程度は予想出来てはいたらしく……
小さくかくりとうなずいて見せた。

『前』と『今』のはたた、それは同時には存在できない。
そして――『前のはたた』が戻ってくることは、おそらくはない。

「なら、どうすれば……」
二度三度、頭を振り子のようにこてこてと揺らして。
そう言いかけたところで、あらたな見知らぬ闖入者の姿を認めて、
背中の翼がふわと動く。

「こんにちは。
 はたたは……」

人間じゃないのか? その問いに、

「……わからない」

考えあぐねた様子でそう応えた。

ヨキ > 「困ったことに……どうすればよいか、ヨキにも判らないんだ。
 君のことは、皆がもっと理解せねばならんというのに。
 調べるための、手掛かりがないんだ」

(ヨキにしては珍しく、表情に困惑の色が交じる。
 けれどもその眼差しだけは、折れることのない意志が確かに残っている。

 そうして教室へやってきたトトの姿に、振り返って笑い掛ける)

「やあ……トト君か。その制服姿、見違えたぞ。
 ああ、確かにヨキだ。『この格好』で会うのは初めてだったな」

(『わからない』。はたたが答えたその一言が今はすべてだった)

トト > 「わからない?ふむ、自分の種族がわからないのか、じゃあ僕と同じだね。」
にこー、とはたたに笑いかけ

「僕の種族、ゴーレムだと思ってたんだけど、最近勉強したら、少なくともこの世界のゴーレムとは全然違うんだよね
っと… そうだそうだ、自己紹介しよう!僕はトトだよ、よろしくね?」
そのまま手を差し伸べてくる

「えへへ、そうかな、男子制服も結構かっこいいから迷ったんだけど、そういってもらえるなら嬉しいよ
ヨキ… 先生も、その格好も似合ってるね… ええっと、ワイルド系?」
ヨキにもそういって笑いかけながら、楽しげに

倉光はたた > ヨキの示した答えは――はたたと同じものだった。
そう、手がかりである。
はたたの正体がわかれば、あるいは打開策が見つかるかもしれない。
しかし――本人も見当のつかないそれを、どうして他人がわかるだろうか?

「……『しってる』にするの、けっこ、むずかしい」
意志の篭もるヨキの視線に、ただ、まっすぐに応える。
今のはたたにも、そうするしかできない。

「……トト。トトも、わからない?」
同じく正体不明を自称するトトと名乗る生徒の言葉に、目をぱちくり。
差し伸べられた手を握り、ぶんと上下に振る。
そういう作法だと学んでいた。

「はじめまして、くらみつ、はたた……です、おそらく」

ヨキ > 「そうだな。知ろうとすることはできるが……それが『知ってる』には、なかなかならない」

(だが、とトトを一瞥して、はたたを見る)

「『わからない』もの同士、一緒に楽しくやってゆくことはできる」

(握手を交わすトトとはたたの様子を眺める。
 朗らかに連なる言葉へ、はっきりとした発音の低い声が答える)

「制服は、きちんと着れば学生に似合うように作られているものだからな。
 男でも女でも、自分が好きだと思う方を着ればよい。

 ……ああ、この格好かね?学内では、いつも斯様な調子だ。
 ふふ、無理に『先生』を付けずとも構わん。呼びやすいように」

トト > 「よろしくー、はたた 、ん、まぁあれだよ、変化は存在にはつきものだからね、君が君、僕が僕である必然性は
思ったよりも大きくないのかもしれないよ?… そう有りたいと願うのは自由だけどね
だから、自分が何か分からなくても、あんまり気にしなくてもいいんじゃないかな、調べようとは僕も思ってるけど。」
ぶんぶーん、と此方も力強く手を上下にふりかえして、ご挨拶、楽しげに笑いながら、そう自分の意見を伝えてみて

「そっか、じゃあヨキ、似合ってるよ… それで、今は先生らしく、生徒を導いていた、って所かな?僕は知っているよ
教職員、先生は、生徒を教え導く立場だってこと。」
改めてヨキに言い返しながら、ヨキとはたたを交互に見て

倉光はたた > 「たのしく……」
ピンと来ない言葉だった。
たとえば、ユキヱと一緒にいる時のような、ふわふわした感じのことだろうか。
「……、たのしくします!」
真剣な様子でトトを見つめ、手を何度もブンブンと力強く振ってから離した。

「……でも、はたたのこと、わからない、と……
 こわい、になる、ひといる」

先ほどはたたを囲んでいた生徒たち。
あれは……なんというか……よくなかった。
よくないのは、よくない。
ふわふわ動いていた翼状突起が力なくしおれた。

ヨキ > (たのしくする、と理解を示したはたたの様子に、初対面のときと同じくゆったりと目を細める。
 次いで落胆が過ると、その微笑みのままに口を開く)

「そうか。先ほどは、怖い思いをしたのだな。
 だからこそ倉光君、楽しくても、判らないことを判らないままにしていては駄目だ。
 ヨキや『ユキヱ』や、君の周りのすごい人たちと一緒に……探そう」

(翼状突起の根元、小さな背を柔らかくぽんと叩く。
 トトの言葉には、うむ、と息を吐いて)

「倉光君については……今はまだ、ヨキが教え導けることは何もないんだ。
 彼女の周りの生徒らの方が、よほど倉光君を導いているらしくてな。
 こうして毒にならぬようにしているだけだ」

トト > 「そうなのかい?なら、確かにわかったほうがいいかもね、でも、折角探すなら、その理由は楽しい方がいいと思うよ
だって、自分が好きじゃない人のために努力するなんて、僕は嫌だもの… といっても、君はもうそこらへんは問題ないのかな?」
こてん、と首をかしげながら、じーっとはたたを見て…  さわぁ、と徐にその背中の翼を撫でようとする

「友達がいるんだね、それは良い事だ、うん、とても良い事だと思うよ、僕も友達は大事だと思うもの
なら、ヨキは見守る立場、ということだね?保護者という存在がそれを担うと、僕は知っているよ、それも先生と生徒の関係なのかな。」
ふむふむ、と頷きながらヨキの話を聞いている

倉光はたた > 二人の表情を見比べる。

「うん。
 はたたは、『しってる』をふやすために、
 ここにきた、から」

それこそが自分の使命であるとでも言うように、
はっきりとした口調で告げた。

背や、それに生えるいびつな翼を触れられれば、
心地よさそうに目を細めた。

「ううん。あのひとたちは……“はたた”、がすき。
 たのしい、ひと、多い、がいい」

ヨキ > (自分の手の感触にはたたが目を細める様子に、離しかけた大きな手のひらを再びはたたの背に宛がう。
 支えるように添えながら、)

「うん。……君は、それでいい。
 一人でも楽しい人が増えるように、『知ってる』をたくさん増やせ。

 ……そして、ヨキは君の先生であるのと同じで、
 さっきの『怖い人たち』にとっても先生なんだ。

 もしかすると、君の味方ばかりでは居られないやも知れん。
 だがそれでも、君はヨキに怖い顔をしないでいてくれるとうれしい」

(はたたの翼に触れるトトの手に、小さく笑う)

「それも、よほど信頼のおける相手らしい。知己に恵まれたことは、倉光君にとってよほど幸運だったろうよ。
 保護者――そうだな、そんなようなものか。そのうちの一人が、ヨキという訳だ。
 あくまで、彼女らと一緒に手探りで進もうとしている段階だ」

トト > 「ふむ…… ふむ… かちかちだね。」
結構かちかちだった、そのままさすさすしてみる、顔が緩む

「… うん、うん、好ましいな、君は、なんだかとても好ましいよ、ねぇ、僕と、友達になってくれるかな?」
その、強さをもった口調で告げるはたたに目を細めて、改めて手を差し出してみせる

「うん、見ていれば、僕も何となくわかるよ、でも、いいね、そういうの、なんだか、お腹がぽかぽかしてきそうだ
覚えることも、進むための試練も多いけど、やりがいもたくさん感じる事になりそうだね。」
ヨキにはそう言って微笑んで

倉光はたた > ヨキの穏やかな言葉に、どれほど理解できているのか、幾度も頷く。

「おとなってたいへん!」

フンスと鼻を鳴らしてそう言った。言ってやった、という顔。
大して気にもしていないようだった。

「はい、ともだち!
 トトも、ヨキも!」

もう一度、トトの手を両手で握った。ついでにヨキの手も取る。
そうこうしているうちに、チャイムが鳴り響く。
軽いステップを踏んで教室の出口へと。

「またね。たのしく!」
そうして去っていくだろう。
表情の変化に乏しい彼女だったが、少しは溌剌としているように見えた。

ご案内:「教室」から倉光はたたさんが去りました。
ヨキ > (『大人って大変』。その言葉に目を丸くして、すぐにふっと笑い出す)

「……く、はは!そんな言い回しを、どこで覚えてきたのやら。
 そうだぞ、君もきっとすぐにこんな大人になってしまうんだ。
 今のうちに、存分に『楽しく』過ごしておけよ」

(笑いながら、はたたと握手を交わす。
 チャイムと共に教室を後にするはたたへ、軽く手を振る。
 トトに視線を移しながら、机上の荷物を小脇に抱え直す)

「やり甲斐、か。そうだな。
 ヨキはずっと……こんな風に、生徒の話を聞き、見守り、時に嫌われて、一緒に立ってきたからな。
 だがそのいずれもの生徒が、みなヨキにとって大事であることには変わらん。
 さまざまな場面で得てきた『やり甲斐』が、今この瞬間に続いているのさ。幸せな仕事だよ」

(それではヨキも、と、椅子から立ち上がる。
 トトへ別れを告げ、悠然とした足取りで部屋を出てゆく)

ご案内:「教室」からヨキさんが去りました。
トト > 「あ、二人共もう帰るんだ?」
動き出したふたりを見て、じゃあ僕も僕も、と立ち上がり

「大人、大人かぁ…  それも一つの変化だよね、君はどんな大人になるんだろう…。」
はたたのそんな仕草を見て、くすり、と笑みを零して

「先生も中々楽しそうだね、僕にはできそうにないけれど… ヨキも、ファイトだよ、僕は応援してる。」
ぐぐっ、と拳を握ってヨキにそう伝えつつ、二人に続いて教室を去っていった

ご案内:「教室」からトトさんが去りました。