2015/10/04 のログ
ご案内:「屋上」に朝宮 小春さんが現れました。
朝宮 小春 > (屋上のベンチに座ってお昼ご飯を食べる大人が一人。
 別に一人でいたいわけではなく、学食の大混雑を見て諦めただけなのだけれども。
 生物教師、朝宮小春。
 シニヨンで纏めた茶色の髪に眼鏡をかけ、いかにもな優しげな風貌をした女性。
 ブラウスとタイトスカートは生地こそ少し厚手の物に変わったものの、真面目そうな服装に変化は無い。)

……あんなにこんでいると、食べ終わるまでに昼休み終わってしまうわね。

(思い出しながら、あんパンを袋から取り出す。)

朝宮 小春 > (今日はあんパンとパック牛乳。
 張り込み中の刑事みたいな食事になってしまったけれど、仕方あるまい。
 少し行儀は悪いけれど、右手と左手をそれで埋めて、席を立ってフェンス際に寄ってみる。)

………お昼休みも元気ねぇ……。

(見下ろせば、もう食べ終わったのだろう。
 僅かな休み時間にも関わらず、グラウンドでボールを蹴って遊ぶ姿が目に入る。)

朝宮 小春 > (とりあえず、以前無理にグラウンドに引っ張りだされた時は足を痛めた。
 嫌な記憶が蘇って、首を横に振る。)

………まあ、確かに運動はほとんどしていないから、運動はしなきゃいけないんだけれど。

(あんパンをはむ、と口に入れながら思考はふわふわ空の彼方。
 お仕事に関しても、特に今は問題が無い。

 以前言われた、担任を持てばいいんじゃないですか、という言葉を思い出す。
 担任かあ、私に持てるのかしらん。)

ご案内:「屋上」に蓋盛 椎月さんが現れました。
蓋盛 椎月 > 購買で購入した鮭弁等を手に、大人がもうひとり屋上へと現れる。
保健室で仕事しながら食べることもあるが、
ずっとあの部屋に押し込められていると気が狂いそうになるので
こうやって外に食べる場所を探すこともある。

(おや……)

おそらくは話したことのある教師の背を見つける。
悪戯心を起こしたか、フェンスの側でグラウンドを見下ろす
彼女の背にススス……と忍び寄る。
別に気配を消したりはしていないので、普通に気づかれる可能性は結構ある。

朝宮 小春 > 思う。 自分に務まるのだろうか。
指導やメンタルケアはまだしも、一番自分に取って弱い部分である、進路指導ができるだろうか。 コネもツテもなんにもない自分。

「んふぁ……。」

欠伸が少し出て、あんパンの一欠片をぱくりと口にもう一度。

背に忍び寄られていることにもし気がつけるのであれば、ええ。
そんな鋭い感覚があれば、彼女の人生もまた変わっていたかもしれない。

まあつまるところ、真後ろにたっても気が付かないのであった。

蓋盛 椎月 > どうもこの朝宮という教員はスキが多いような気がする。
別にカンが鈍いとかそれだけの話ではなくて、
全体的になんか付け入られそうな、そういう雰囲気が。
などということを、蓋盛が考えていたかどうかはともかくとして。

「わっ!」

叫ぶと同時に両肩を掴んで揺らした。

完全にやっていることが小学生なのだが、
そういうことを恥じるような蓋盛の性格ではなかった。

朝宮 小春 > ああ、よかった。

え、何が良かったかって?
そりゃあ、今牛乳を丁度飲んでいる時じゃなくてよかったという意味である。
フェンスの外に牛乳を吹くとか、もう何だかわけがわからない。
きっとそうなったらこのフェンスの真下に、教務主任的な誰かが通るんです、絶対そうなんです。

「わひゃぁあっ!?」

肩を掴んで揺らされ、更に大きな声をかけられて。
びっくん、っと身体が跳ねて、変な声が響き渡る。

「……ぇ、え、え、あの、あのっ!?
 ……………先生…?」

目を白黒させて振り向き………、ちょっとだけじと目になって、じぃ、っと見やる。

蓋盛 椎月 > 「ごきげんよう、朝宮先生」
朝宮先生の反応に満足して、にっこりと笑う。
養護教諭ルックの蓋盛がそこに立っていた。

「昼ごはんを食べに来たんですけど
 朝宮先生があまりにも無防備な背中を晒していたもので、つい。
 いやー、イイ声でしたね。録音しておけばよかったなぁ」
ジト目で睨まれても大して悪びれる様子はなかった。

朝宮 小春 > 「………後ちょっとで、いろいろ口から出るとこでしたよ……」
もう……、っと少し頬を膨らませて、白衣を着た相手を見つめることにする。
昼ご飯を食べに来た、という彼女の言葉に少しだけ頷いて。

「やめてくださいー。
 いや、私じゃなくてもあんな風に驚かされたら変な声出ます!
 い、いつか驚かせ返しますからね。」
少しだけ膨れたままだけれど、相手が持っているのがお弁当だと見れば、ベンチに視線を送って座ります? と促してみる。

蓋盛 椎月 > 「あっはは、すみません。
 驚かされちゃうかー、恐ろしいなぁー」

このような無礼者ですが、よろしければご一緒させていただきましょう、
と促されるままベンチに座り、弁当のプラスチックのフタを開く。
白米、梅干し、鮭、漬物、きんぴらといった王道構成。

「それご昼食ですか?
 購買戦争に負けました? それともダイエット的な?」
朝宮の手にしていたあんぱんと牛乳を見ての台詞。
蓋盛の目にはやや寂しく映ったのだろう。

朝宮 小春 > 「全然恐ろしそうじゃないです……。
 それこそハロウィンとかもあるんですから、背後に注意して下さいよー?」

小さくくすくすと笑いながらも、脅かすぞー、っと張り切った様子。
驚かすのがどう考えても下手な彼女は、ベンチによいしょ、と一緒になって腰掛けて。

「あー………はい。
 購買に行ったは行ったんですけど、学食がどうしても混雑してて諦めた後だったもので……
 いや、食べる時はもっと食べるんですけどね?
 後はちょっとしたデザートがあるくらいです。」

苦笑を少しだけ浮かべる。
購買に向かうにしても、ダッシュで突っ込んでくる学生諸君にこの教師が敵うはずもない。

蓋盛 椎月 > 割り箸をパチリと割って、先にきんぴらと漬物を
全部平らげる無法の食べ方を披露。
そんな風にして食事を始めた。

「あー。
 出遅れると厳しいですよねえ、仕方ないんですけど」

あの購買の瞬間的な人口密度はかんべんして欲しいな、と合わせるように苦笑。
ふいに、思いついたようにご飯と鮭を割り箸で切り分ける。

「よかったら少し食べます?
 あんぱんじゃ午後の授業持たないんじゃないですか」

余計な心配ですかね、と小首をかしげて。

朝宮 小春 > 食事の順番にやかましい……訳もない。
お弁当を食べるのをマジマジと見るのも、と少しだけ視線を逸らして、牛乳のストローを咥えて。

「そうなんですよね………。
 昼前の講義が無い時だけ、こっそり先に買えるのは楽しいですけどね。」

自分の学生時代を思い出しても、全く勝負にならなかったことを思い出しながら。
誰もいない購買で好きに購入できるのは、多少の優越感。


「……いいんです? そりゃあ、………持たないだろうなぁ、なんて思ってはいましたけど。
 頂けるなら、少し?
 ………こ、今度のお昼か夕食、お誘いします!」

ふわ、っとお願いをしてしまいつつ、………それだけでは厚かましいかな、と相手に更に言葉を付け加えてみる。
実際、このままだと最後の講義はどこか物憂げに窓の外を見て、夕食に思いを馳せることになってしまいそうだった。

蓋盛 椎月 > 「あるあるー、教員ならではの自由ー、特権ー」
特権と言うにはいまいち大したことない気もするが。

「まんいち教壇で倒れてあたしの仕事が増える、なんてのは御免ですしね。
 教員の健康管理も養護教諭のつとめですから。どうぞどうぞー」
と、割り箸と弁当を差し出して。

「あっ、それってデートってやつですよね!
 やったー、デート大好きー!」
ことさら明るい声。空いた手を、乙女っぽく胸の前で合わせ
目を輝かせてはしゃいだ。

朝宮 小春 > 「と思ったら、サボってる生徒が買いに来てたりしてるんですよね。
 この前お説教してたら昼休みになってしまって………」
遠い目になる教師。迫り来る人の波。高まる鼓動。スリルと興奮のバイオレンス・アクションの超傑作。
買わずに逃亡した。

「流石にそこまで、ではないですけど………
 講義中というか、問題をやらせている最中にお腹が鳴ったら致命傷なんで……」
とほほ、と肩を落として………。
そんなことになったら、教室中に忍び笑いが響き渡り、全身が真っ赤になってしまうのが手に取るようにわかる。
想像するだけでちょっと赤くなってしまった。
それでは、と割り箸を受け取って、白いご飯をちょっと頂いてしまう。


「……で、でーと……。
 え、ええと、私が誘うデートは、きっと素敵では無い、です、よ……?」
目を輝かせてはしゃぐ姿に、思わず少し狼狽して、よく分からない言葉を口にする。
ツッコミも下手だった。

悪戯をしたり、目を輝かせてみたり。
飄々としている先生だと思っていたのだけれど、存外に子供っぽいんだな、なんて感想が青空の下でふわふわと浮かんでどこぞへと流れていく。

蓋盛 椎月 > 「そりゃ大変でしたね。というか、仕事熱心でいらっしゃる……
 あたしだったらフツーに一緒にお買い物しちゃうところですね」
蓋盛は学生時代も教員時代もサボりの常習犯であった。

「たしかにそんなことになったら教師としての沽券に関わりますねえ……
 ある種の好感度は上がりそうではありますけど」
その様子を想像したのか、ニヤと笑いを深める。
実際そういうことになっても、生徒からの扱いはそう変化はなさそうにも思えた。
が、それを本人の前で言うことはしなかった。

「あたしだってデェトの腕前に関しては門前の小僧ってとこですしー。
 それに、『好きな人と一緒ならどこでだって楽しい』――そうですよ!」
楽しげにそう言って、ウィンクをひとつ。

朝宮 小春 > 「まあ、一緒に買えばよかったんですけど………。
 私がこういうところ言わないと、本当に友達感覚のみになってしまうんですよ。」
とほほ、と少しだけ肩を落としてため息一つ。
特別な異能もなければ、生徒を圧倒する物はそれこそある程度の知識のみなのだから、自分で線を曖昧にすると、ちょっと怖い。

「………もうその手のはいーんですー。
 授業前に「お腹空いてない?」とかそういう笑いはいらないんですー。
 ……ゼロとは言いませんけどー。」
にやりと笑われるその笑顔の前で、不満げに唇をとがらせる。
いらないとは言わないけれど、それを上手くかわし、切り返し、場を盛り上げるほどの技量は今の彼女には無かった。

「本当です……?
 あと、ええと、改めてちゃんと聞かないと。
 好きな人と、……です?」
先生、門前の小僧が二言目にデートって単語出てこないと思います。
ウィンクに少し赤くなりながら、……それでも一応、ついでに確認を取っておく。
ぼやかして誤魔化すとか、どうにも苦手である。

蓋盛 椎月 > 「そーですね、立場ハッキリさせるのは大事ですねー。
 緩くしていいところはユルユルでも、締めるべきところではキュッ! とね。
 どんな個性のある連中だろうが、彼らは生徒で、あたしたちは教師なわけですから」
なぜか鶏の首を締めるような手つき。

「ん? そう、好きな人と。
 あたし、朝宮先生のこと好きですから」
人懐こい少女の笑顔で、屈託なくそう答える。どうとでも解釈できる台詞ではある。
蓋盛が、面と向かって好きと表現した人物は、教員も生徒もそれなりの数が存在した。
その事実は――知っている者は知っているし、知らない者は知らない。

朝宮 小春 > 「ええ、私は大きな声を出してびしっと叱るのも難しいので……
 細かいところをちゃんと先生として見てるよ、って伝えておかないと。
 ……ええ、こう、きゅっと。」
両の手でぎゅっと締めつつ。……あれ? といった顔で自分の手の動きを見る。
やってから気がつくタイプ。

知ってはいる。そりゃあ、鈍ちんで若干ぽんこつなところはあれど、頭が悪いわけではない。
噂を聞いて、それをちゃんと整理して、仮説を立てることくらいはできる。

ただ、性別にも、それどころか性愛にも奔放な知り合いはいたわけで。
その噂一つでどうこう思うほどヤワではなかった。

それに、今の笑顔と好きという言葉に、悪いものは感じられない。
軽い意味であっても重い意味であっても、大切なのは本当か嘘か、だと思う。

「…ふふ。
 いいですけど、学校から外に出たら、後輩ではなくて年上ですからね?
 それなりに………敬って貰わないと。」

えっへん、と胸を張って威張る仕草の後に、子供のような笑顔の相手の頭にぽん、っと触れようと。
私も好きですよー、なんて、こちらは程よくライトに微笑みかけるわけで。

蓋盛 椎月 > 頭をぽんと振れられて、心地よさそうに、嬉しそうに目を細めて身を震わせる。
どことなく、仔猫を思わせる身振り。
そう表現するには不埒にすぎる噂が立っているのだけれども。

「えへへ……
 これでも、一応敬っているつもりなんですけどね。
 礼を知らない若者で申し訳ないです」

微笑み返されて、ほんの少しだけ、蓋盛は目の前の相手への評価を改めた。

割り箸を取り、鮭弁の残りを片付けて、立ち上がる。

「ごちそうさま、っと……
 それでは、お先においとまします。
 お付き合いありがとうございました、朝宮先生」

小さく頭を下げて、屋上を後にしていった。

ご案内:「屋上」から蓋盛 椎月さんが去りました。
朝宮 小春 > 可愛らしいな、と思う。
目を細める仕草を見守るような心境になってしまって、ぽん、ぽんと二度撫でた。

不埒という意味なら、噂こそ立っていないものの、本当の犯罪者の身内である自分の方が真っ黒である。
それに、やっぱり喜ぶ姿に嘘は無いように感じられる。

「敬ってる相手を背後から脅かしますー?
 私は忘れませんからねー。」

ぴ、と指を立ててそんなことを言う。
忘れないけど、きっと次も同じように驚かされるのだろう。

「…ん、こちらこそありがとうございました。
 じゃ、また後日に?」

なんて、手を振って見送ることにしよう。

ご案内:「屋上」から朝宮 小春さんが去りました。