2015/10/14 のログ
ご案内:「保健室」に蓋盛 椎月さんが現れました。
蓋盛 椎月 > 「…………うぇ――っくし!」

ガタガタゴットーン。
デスクチェアに座った体勢で激しいくしゃみをする養護教諭。
その拍子にチェアが大きく動きまわって棚にぶつかり、
棚の上のティッシュ箱が落ちて蓋盛の頭にぶつかった。

「……さては誰か美しすぎるあたしの噂をしているな?
 罪な女って罪だなあ」

おそらく秋の花粉症であろう。

蓋盛 椎月 > 落ちたティッシュ箱のティッシュで鼻を噛んで、箱を元の位置に戻す。
アルミ製の掲示板には花粉症注意喚起を促すポスターがある。
(知り合いの美術部員に描かせた無駄にアーティスティックなデザイン)
別に熱はない。
事務作業に戻る前に、棚から花粉症用マスクを取り出して装着する。

「……やれやれ、こんな無様なものをつけたくないんだが」

ふと思いついたように保健室の壁際に体重計と隣り合って並んでいる
姿見の前に立つ。
そして、ニ……と表情を笑いの形に歪める。

「あたし……キレイ?」

一世紀ぐらい前に流行った都市伝説ごっこであった。

ご案内:「保健室」にヨキさんが現れました。
ヨキ > (書類の束や工具箱を携えて、廊下を歩いてくる。
 たまたま通り掛かった保健室の中に養護教諭の姿を見つけて――

 その『都市伝説ごっこ』を目の当たりにした。
 愕然として顎をばっくりと落とし、その場に足を止め、室内の蓋盛を見ている。
 すわ遂に気でも狂ったかと言わんばかりの顔。

 何しろヨキは、その都市伝説を知らなかった)

「な……何をしとるんだ、君は……」

蓋盛 椎月 > 「あ、どうもこんにちはヨキ先生」
片手を上げていつもどおりの様子で挨拶。
信じられないものを見たと言った表情のヨキに首を傾げる。

「ああ……これは口裂け女という都市伝説のものまねですよ。
 ご存知でない? ほら、ポマード、ポマードって投げてくる妖怪で……」

微妙に間違った知識を得意げな顔で語る。
手が何やら奇妙な動きを見せているがポマードを投げるジェスチャーだろうか?

ヨキ > 「こ……こんにちは。風邪か?」

(蓋盛のあっさりとした様子につられて挨拶する。
 立ち竦むあまり取り落としかけた書類を抱え直す)

「ほう……口裂け女。いや、それは知らなんだ。
 ……ポマードを投げてくるのか?ベタベタになってしまうではないか。
 『これでも付けて、綺麗なあたしに相応しい男になれ』ということか?随分と高飛車な……」

(傲慢男が高飛車女に苦い顔をした)

「でも笑っている君は綺麗だったぞ。麦茶をくれ」

(褒めるんだかたかるんだかよく判らない調子であっさりと口にして、保健室に足を踏み入れる)

蓋盛 椎月 > 「いや……多分ちがいますね。まあ大したことはないです」
手でマスクを整えて、
もう片方の手で掲示板の花粉症のポスターを指差した。

「いやあ不条理な存在ですよね……
 まあ都市伝説なんてそんなものかもしれませんね。
 ……ひょっとしたら種族:口裂け女もこの学園にはいるかもしれないな。
 いいかげんなことを言ってしまったかもしれない……」

そんなものいない、と言い切れないのが多様にすぎるこの学園だ。
思わずきょろきょろと周囲に視線をくれた。

「あんまりそういう言葉を濫用していると、価値がすり減りますよ」
大して感銘を受けた様子もなくそう返し、
なれた様子でポットと急須で緑茶を淹れて出した。

ヨキ > 「ふうん……花粉症か。……花粉症か?そのポスター。
 えらく力が入っているな。美術部員か」

(床の上に工具箱をごとりと置く。作業道具の汚れを憚ってのことらしい。
 ポスターをまじまじ眺めて署名でもないかと探しながら、蓋盛へ横目を向ける)

「ヨキはなるべくのことならば女性とは仲良くなりたいクチだが、ポマードを勧められるのはちょっとな……
 あまり適当なことを言っておると、君の口も裂かれてしまうやも知れん」

(注がれた茶を礼と共に受け取って、冷ましながら啜る。
 ぷはあ、と一息)

「濫用?ヨキは本当のことしか言わんよ。秘するのは好かん。
 かく言う君は、とっておきの場面を選んでいるとでも?」

蓋盛 椎月 > 隅に小さく『B.H』とイニシャルが記されている。
眺めていると花粉症のもどかしい苦しみやいらだちが伝染するようなポスターだった。

「口裂け女、というのはですね。
 あたしキレイ? と通りすがりに聞いてくる、マスクをした女性です。
 きれいじゃない、と答えるとポマードをぶつけられるんですが、
 逆に、きれい、と答えると……」

マスクを顎の下にずらす。
にたぁ、という意地悪そうな笑みがのぞく。裂けてはいない。

「口が耳まで裂けた笑顔を見せるそうです。
 ……意地悪で不条理ですよね、まったく」

自らは事務椅子に座って茶をすする。マスクは顎の下に。

「本当か嘘か……それを決めるのは受け取る側ですよ。
 なんて、あたしも機会を選べているわけじゃあありませんけどね。
 ……っくし」

肩を揺らして小さくくしゃみ。