2015/12/23 のログ
■ステーシー > 「私だけの……理由………」
相手の言葉を反復すると、温もりは離れた。
けれど、寒くはなかった。
人形を持つ。人が好む、優しそうな老人の人形。
きっとこの人がサンタ…なのだろう。
「ありがとうございます、蓋盛先生」
手を振り返し、笑顔で彼女を見送った。
それからしばらくして、刀を拾うと携帯端末を取り出す。
怪異対策室一課の人間のアドレスを開いて、すう、と深呼吸。
意を決して人差し指をトン。
「はい、平素よりお世話になっております、怪異対策室三課のステーシー・バントラインです」
「本日は私事で恐縮ですが、休暇のお知らせでご連絡しました」
「誠に勝手ながら期間休暇を頂きます」
「わたくしの不在中、ご用向き・問合せ等ございましたら」
「怪異対策室三課までお問合せください」
「……休むってことです、では」
相手の言い分も聞かずに電話を切った。
元々、体のいい使い走りをさせられていただけ。
戦える人間はもっとたくさんいる。
それだけのこと。
晴れやかな表情で端末の電源を落とすと、人形を持ったまま筆記用具を仕舞った。
刀を帯びた迷い猫は、浮かれた雰囲気の浮かれた街に足を運んでいく。
ご案内:「教室」からステーシーさんが去りました。