2016/06/13 のログ
ご案内:「教室」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > 「疲れた疲れた。まさか授業するのがこんなに疲れるなんてな」

生徒が全員出払った後の、がらんとした教室に一人黄昏る男が居る。
この初夏から常世学園の臨時教員となった暁 名無。長身痩躯の上に白衣を羽織った、何処にでも居る人の好さそうな男だった。

「こんなことならもっと違う仕事選べば良かった。」

暁 名無 > 「ま、愚痴っててもしゃーない。
 それより早いとこ生徒の顔と名前、憶えないとだ。」

質問の為に挙手した生徒に、わざわざ自分から名乗って貰うなんて手間を掛けさせるのは忍びない。
と、いうより何だか報道会見の場のようでこちらの胃が居た堪れない。
手元の資料の中から生徒の顔写真や簡素なプロフィールが掛かれた物をまとめたバインダーを取り出すと、
周囲に誰も居ない事を確認して近くの机に腰掛けた。

「えっと……月曜はー……。」

ぱら、ぱら、とページを繰りながら一人一人の顔と名前を憶え……

……られない。

「んだぁぁぁっ!!
 クソ、こんなに人の顔って覚え辛かったか!」

暁 名無 > 「あ、この子可愛い。」

不平不満をぐだぐだ零しながら、それでもページを捲る手は止めない。
そして時折手を止めてしょうもない感想を呟いたりしている。
ちなみに簡素なプロフィールには学園側に登録されてる異能と、他の授業の履修状況くらいしか記載されていない。

「彼氏彼女の有無とか最初の授業でアンケ取ってみるかなー
 俺もなー。これっくらいの頃はなー。彼女の一人や二人……」

暁 名無 > 「……俺の過去の恋愛遍歴はともかく。」

ごほん。
咳払いをして思い出にフタをして、同時にバインダーも閉じちゃって。
それを机の上に置いて軽く背筋を伸ばす様に両腕を天に向け伸ばした。

「こう、せっかく先生になったんだし、女子生徒にキャーキャー言われてみるのも悪くない気がするんだよな。」

そんなひとり言を堂々と言ってのける。
時折廊下や窓の外から聞こえる生徒たちのはしゃぐ声に耳を傾けては、穏やかに微笑んだり。

暁 名無 > 「ううん、やっぱり良いもんだな、学校ってのは。
 今くらいの時が一番楽しかった気がするしな。」

大きな欠伸をしながらそんな事を唐突に口にする。
こんな時はコーヒーの一杯でも飲みたいねえ、と年寄りめいた調子で呟いてから再びバインダーを手に取った。

「そういや、あいつは居るのかな……?」

暁 名無 > 「居ない……か。」

目当ての人物が見つけられなかったのか、少しだけ声のトーンが落ちる。
しかしすぐに頭を振ると、あどけなさの残る笑みを浮かべてバインダーを最初のページへと戻した。

「ま、流石に直接対面したら色々とマズいからな。
 遠巻きに様子見させて貰うとするか。」