2016/06/28 のログ
ご案内:「ロビー」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 午後。外から帰ってきたヨキが、広いロビーの一角に置かれたテーブルへ真っ直ぐに足を向ける。
職員室の予定表には「朝~外出」と書き残してあり、たった今帰ってきたところだ。
これから残りの事務作業に戻るというところで、少しばかり休憩してゆくつもりだった。

手には小さなコンビニの袋。
氷菓が入っているらしく、ビニルの表面に薄らと汗を掻いている。
四人掛けのテーブルに独りで腰掛けて、ペットボトルの茶を飲む。
シャンパンゴールドのスマートフォンを取り出して、徐にぽちぽちと弄り出す。

ヨキ > 袋から取り出したのは、ラムネ味の安いアイスキャンディーだった。
パッケージを剥くと大きな手でバーを抓み、しゃくりと頬張る。

西日の強まる時間帯、ロビーを通る人影は少ない。
空調と屋外のの掛け声がいくらか響いてくる以外は、
重たいヨキの僅かな身じろぎで、椅子が小さく軋む音を立てるばかりだ。

ご案内:「ロビー」に蘆 迅鯨さんが現れました。
蘆 迅鯨 > 「ふ~んふふ~んふふふんふふ~んっと」

両手を頭の後ろで組みながら、上手いとはいえない鼻歌と共にロビーを歩くのは、
黒フードの少女――蘆迅鯨である。そしてふと見知った姿を目にすれば、
片脚が棒状義足のためにスキップをしながらとまではいかないものの、
喜びを体現するようなどこか軽い足取りで駆け寄る。

「いよっ、せんせ」

声をかければ、どこか嬉しそうな笑顔を見せた。

ヨキ > 「んむ」

通り掛かる迅鯨の姿に、咥えたアイスを齧って砕く。
軽やかな挨拶に、咀嚼した一口を呑み込んでから応える。

「やあ、蘆君。
 これはまた、随分と機嫌がよさそうだな」

半分ほど残ったアイスを手皿で支えながら、にやりと笑った。

「“仲直り”が上手くいったか?」

迅鯨と、彼女の友人の剣埼麻耶と。
異能の発現以来、距離を置いていた二人の関係について、
ヨキは先日迅鯨から相談を受けていたのだ。

蘆 迅鯨 > 「(…………さっすが)」

迅鯨は迷っていた自分の背中を押してくれたヨキに、
できるなら真っ先に伝えたかったことを、どうやら話す前から見抜かれていたようで。
若干驚きもしつつ、後ろで組んでいた手を今度は胸の前で組み直し。

「へへ、そういうワケ。コレもせんせのおかげだぜ」

などと言いつつ、にか、と笑ってみせる。

「麻耶はさ。俺に……前みたいに、ずっと元気でいてほしいって言ってた。それに……もっと一緒にいてほしいって。だから俺は……少しずつでも、あいつのダチに相応しいやつになれたらな……って」

"仲直り"の時、剣埼麻耶が迅鯨に伝えたこと。
それをヨキにも告げると、今度は照れくさそうに頬を赤らめ、
右手で後頭部を掻くような仕草を見せる。

ヨキ > 「やけに顔が晴れやかだったからな。
 女性の心境の変化には、敏感で居なくては」

ふふん、とこれ見よがしに自慢げな顔を作ってみせる。
が、それはすぐに心からの喜色に埋もれてしまう。
自分の悩みが解決したような顔で、隣の椅子を迅鯨へ勧める。

「安心したよ。もしかすると君が恨み言を言われたり、
 何か仕返しでもされたら……と、少し心配していたんだ。
 その顔からして、取り越し苦労だったらしいな」

はにかむ迅鯨へ、明るい調子で身を乗り出す。

「少しは気持ちが前向きになったか?
 人間というのは思わぬところで残酷だが、思っているほど無情ではないぞ」