2016/07/21 のログ
ご案内:「廊下」に美澄 蘭さんが現れました。
ご案内:「廊下」に白泉椿丸さんが現れました。
白泉椿丸 > 「いやァ~ん、アタシったら忘れ物ォ~~~!!」

この男……じゃなかった、女性、いや、オカマは競歩をしていた。
腰から脚までをぐりんぐりんと動かし、その鍛え上げられた丸い尻をぷりぷりさせている。
両手で大事そうに抱えているのは、ガムテープで軽い封をされた箱だ。

「生徒たちを待たせるなんて、んもッ!アタシったら罪な乙女……」

ご案内:「廊下」から白泉椿丸さんが去りました。
美澄 蘭 > 試験も一段落し、夏休み前で緊張感のゆるんだ教室棟を、マイペースに歩く蘭。
夏休みの課題に阿鼻叫喚となるクラスがなくもないだろうが、蘭の場合、履修している科目の担当からして、既に課題は織り込み済みのものが多い。
なので、特に平静を崩すこともなく廊下を歩いていたのだが。
とある掲示スペースの、ある掲示を見て立ち止まる。
掲示スペースの方に軽い足取りで近づいて、改めてよく見ると。

「………個展?」

そう、去年の常世祭で興味を持った、ある美術教師の個展のお知らせが張られていたのだった。
最初に目を引いたのは、鉄で出来た細身の花器だったのだ。

美澄 蘭 > 「………?」

なんか、ものすごいガタイの、濃密な気配の人がオネエ口調で通り過ぎていったような気がする。
その気配の名残に釣られて、ついそちらに視線を向けるが…そこには既に人の姿はないのだった。

「………?」

めいっぱい不思議そうに首をひねってから、再び個展のお知らせに視線を戻す。

美澄 蘭 > そして、改めて要項を確認する。

会場は、国立常世新美術館の一室。
会期は、8月まる一ヶ月間。
展示は、立体作品が約30と、ドローイングが約15。

(………「視差」ってどんな意味だったっけ)

個展のタイトルの意味が気になって、何となく端末を操作して調べてみることにする。

美澄 蘭 > 端末で検索をかけて辿り着いた国語辞典いわく。

二つの違った場所から同一物を見たときの網膜像や視方向の違い。
または、天体の一点を二カ所から眺め比べたときの方向の差。
あるいは、カメラのファインダーの視野と実際に投影される画面との差。

(…うーん、なんか分かりそうだけどピタッとはこないなぁ…
多分、ヨキ先生が「対比」っていう作品をいくつも作ってるのと関係あるんだと思うんだけど…)

うーん、と考え込むように口元に指を当てながら首を傾げる。

美澄 蘭 > (色々聞いてみたいことはあるけど…
私美術の講義とってないから、わざわざ行くのも気が引けちゃうのよね…)

むぅ、と悩ましげに眉を寄せる蘭。
芸術科目は音楽で履修することにして、美術の実技は見事にぶん投げてしまっているのだ。
見るのは好きだが、作ったりするのはそこまで得意ではないのである。
よって、度々作品を鑑賞して興味を持っている教師ではあるが、直接声をかけたことはないのだった。

美澄 蘭 > (…個展に行ったら、話しかけてみようかな。
夏休み中ずっと救護所詰めするつもりはないし、一回くらいは行けるでしょ)

そんなことを考えながら、ピアノの練習のために音楽実習棟へ向かう蘭。

彼女は知らない。
その教師が満たされぬ飢えに苛まれていることを。
…その美術教師と、自分の魔術学習に興味深い示唆を与えてくれている魔術教師が、一触即発の状態にあることを。

ご案内:「廊下」から美澄 蘭さんが去りました。