2016/12/18 のログ
ご案内:「保健室」にクロノさんが現れました。
クロノ > (冬も日増しに本格的になって、お祭りムードが終わったかと思えばもうクリスマスは目前。お祭り飾りからクリスマス風の飾り付けに模様替えした保健室は、部屋の片隅にちょこんとクリスマスツリーが佇んでいたりして、相変わらずほのぼのした雰囲気。)

…あっという間だぁ。

(電飾や綿、星やトナカイ、サンタなんかの賑やかな小物で装飾されたツリーは、小学生くらいの丈の小さめサイズ。窓際に並べたLEDキャンドルの揺らぐ明かりと、デスクやベッドサイドにちょこんと並ぶいくつかのサンタとトナカイの人形、そして靴下や星なんかの小物。机の脇の小さなスピーカーには携帯音楽プレーヤーが繋がれ、ごく小さな音量でオルゴールの音楽が鳴らしてある。)

クロノ > (保健室の片隅、養護教諭卓の近くにある冷蔵庫やコーヒーメーカー、電子レンジなんかの白物家電と一緒に、緑色の少年の形をした養護教諭もコンセントからの有線電源で使用中。自分がここに来てからもう半年、それ以前の養護教諭たちが書き綴った日誌をのんびり読みながら、かつてこの空間にどんな人が来て、どんな事をしたのか記録された文字列に視線を走らせる。)

……ん。ぉいし。

(見た目は16歳の男の子である緑色のロボットは、金属のその手にコーヒーの入ったマグカップ片手に時折、既にちょっとぬるくなり始めた黒い液体をちびちびと味わいつつ。)

クロノ > (緑色の男の子は、生まれた時から今まで、ずっと16歳。定期的に部品類は交換し電脳も更新しているけど、外見上の変化はほとんどない。…そして。)

…ふふふ。楽しそ。

(製造から120年を経てもなお、AIの疑似人格はずっと16歳の少年のまま。いろんな主人の下でいろんな仕事をして、いろんな人たちと関わってきた。いろんなものを見て聞いて触れて、さまざまな体験を、経験をしてきたけど。四肢や胴体、それに表情や言語など、挙動や思考のパターンは、今も昔も変わらず少年のまま。)

クロノ > (このロボットは、少年を模した機体に少年を模したAIを載せ、人間の少年そっくりの思考と挙動をする機械…それ以上でも、それ以下でもなく。故に、どれだけ長い年月を経ても人格の年齢が上がることもないし、人間になりたいとか、そういう感情を抱くこともない。)

…ここのクリスマスって、どんな感じなのかな~。

(お祭りも結構長期間だったし大規模だったし、行事ごとは色々あるみたいだけどいずれも賑やかで、これから訪れるいくつもの催しの、過去の記録を読みながら…冷蔵庫から取り出したプリンを一口、ぱくり。コーヒーとプリン。その甘くてほろ苦い絶妙なバランスと、コーヒーの香りと併せてプリンの濃厚なたまご感、その味覚に男の子の頬は自然と緩む。)

クロノ > (のんびりとした平和な日々、そのなかで仕事の合間にこうしてちょっぴりだけ幸せタイムを挟むのが、男の子ロボのささやかな楽しみでもあって。)

……。

(時折窓を鳴らす木枯らしの北風は、きっと鋼鉄の身体からはあっという間に熱を奪ってしまいそうだけど。厚さほんの数ミリのガラスを隔てた室内は気温も湿度も適切に管理されていて、いつでも快適。そして年中、この養護教諭の趣味もあってか、至るところにかわいいマスコットの人形やちょっとした飾り付けが施されている。重厚で強靭そうな見た目とは裏腹、前職が救急医療と小児科医であったことも影響しているのだろう、緑色の養護教諭ロボットは意外にもかわいいものが大好きらしい。)

クロノ > (過去の日誌を数冊読み終えて、それら手書きのノートを本棚に戻す男の子。替わりに本棚から取り出したのはこれまた数冊の、クリスマスの絵本。寒い雪国の町並みと、温かそうな色使いで家族やサンタなんかが描かれている。昔懐かしい雰囲気も感じさせる、往年の名作童話。)

……っふふふ、あぁ、こういうのもあるんだ。懐かしいなぁ。

(えーっと、どれどれ?…なんて。机の後ろの本棚から取り出したそれらを机上に積んで、そのうちの一冊をそっと開いて読み始める。)

クロノ > (おでこのインジケータランプを忙しく点滅させつつ、ガラスの眼差しで視認して読み進めるのはバーコードでも数字の羅列でもなく、色鮮やかに描かれた聖夜の物語。クリスマスツリーとお揃いの緑色の男の子ロボは、これもまた不釣り合いにこうして紙製の書物を手にとって読んだり、電脳からプリンターに出力して印刷…ではなく、あえて機械の手で鉛筆を持って、文字を書き綴るのが好きらしい。そういう点では効率云々よりも、やはり「人間らしい挙動をする」ことに重点をおいたAIであることが見てとれる。)
クロノ > (絵本を読みながら、コーヒーときどきプリン。寒い冬の世界に、心温まる物語。一部の国・地域ではクリスマス=恋人記念日、と化しているところもあるみたいだけど、絵本の中のクリスマスはそのいずれも、本来の厳かな雰囲気を持ちつつ、ほのぼのした内容に書き上げられている。)

……。

(両親とか兄弟とか、家族と言う概念の存在しない、工場製品であり大量生産品の男の子は、時折こうして家族愛の描かれた作品を読んで、しばし物思いに耽る。)

ご案内:「保健室」からクロノさんが去りました。