2017/02/03 のログ
ご案内:「屋上」に比良坂 冥さんが現れました。
■比良坂 冥 > 「は、ぁふ───」
不意をついた生欠伸に目を細める
欠伸のせい、というよりは顔をあげたら夕焼けの日差しが目に飛び込んできたからだ
ベンチに腰掛ける女生徒は一人
他に人もおらず、屋上から覗けるグラウンドにも誰もいない
それもそのはず、今現在は講義時間の真っ最中なのだ
■比良坂 冥 >
一年の締め括りにかかるこの時期、学生の行動はわかりやすい
余裕を持って講義を積極的に受けていた生徒は、大体時間を余らせる
逆にさぼりがちだった生徒は、必死に出席を繰り返す
少女はと言えば───
「(……あ、この時間の講義、受けてたっけ……どうでもいいか…)」
後者、かつ自堕落であった
どうせ進級したところで将来のビジョンなどない
こっそり落第街あたりで違反部活にでも興じているほうが、いくらか退屈ではない気がする
ご案内:「屋上」に烏丸秀さんが現れました。
■烏丸秀 > ふらりと屋上へ。
彼も学生だが、テストとは無縁である。
どうせ卒業などする気もないし、飽きたらこの島を出る気でいるのだ。学生をやっているのは、その肩書きがこの島で必要だからに過ぎない。
「あ、冥」
見知った顔を見つけて、そちらへ近づく。
久々に構内の学食のプリンが食べたくなって買ってきたのだ。
昔ながらの地味な味がグッド。
「や、久しぶり」
■比良坂 冥 >
「……久しぶり」
ワンテンポ遅れて、挨拶を返す少女
その挨拶は抑揚もなく表情の変化にも乏しい
「……学校で会うのって、珍しいね」
小さく小首を傾げながら、そう言葉をかける
彼の着物は見慣れた格好だ
でもこの学舎の中で見ると少しだけ浮いて見えた
■烏丸秀 > 「そうだね。いやぁ、この学食のプリン、たまに食べたくなるんだよね」
にっこり笑って、軽く手に持った巾着を掲げて見せる。
そして、彼女の隣に腰掛けながら。
「ん、そういえば、怪我してたんだっけ? もう大丈夫?」
ちなみに彼も死ぬ寸前の怪我が、ようやく治った所である。
■比良坂 冥 >
「……そういうところ、子供っぽいよね……──?
どうして知ってるの…?言ったっけ……」
表情は変えないままに声色だけが不思議そうに、そう尋ねる
長い入院というわけでもなかったし、
自分に着いた風紀の監視員は一人を除いて──した。
もともとどこから情報を仕入れているのかわからないくらい、謎な人ではあったけれど
それとも単純に自分が忘れているだけか
■烏丸秀 > 「ん? 探したから」
しれっと言う。
何時も部屋に来ていたはずなのに、急に来なくなったのが少し気になったのだ。
まぁウリなどしているし、犯罪にでも巻き込まれてこちらに火の粉が飛んできたら大変だ。
で、調べると、案外簡単に分かった。
風紀委員の監視が入っているので、位置はちょっと親しい友人に聞けば分かる。公安だとこうはいかないのだが。
「ボクもちょっと入院しててさ。一人寝は寂しいからねぇ――ん」
プリンの蓋を開けて、スプーンを刺す。
カラメルを使った、昔ながらのプリン。たまに無性に食べたくなる。
■比良坂 冥 >
「……烏丸くんも?」
疑問に思い、そっと隣に座るその身体へと片手を触れる
それが意味するものは、異能の"回収"
少女との関係を許した人間に憑き纏う影が全てを視ている
しばらく眼を閉じて──小さく言葉を紡ぐ
「……ああ、あなたもあの生きたがりに巻き込まれたんだ…?」
そして、可笑しそうにクスクスと笑う
■烏丸秀 > 「んぁ?」
スプーンを咥えたまま、間抜けな声を出す。
男は異能・魔術に関してとことん才能が無い。
おかげで、異能を使われてもとんと実感がわかないのだ。
「あぁ、そういえば、そんな異能だっけ?
うんうん、ちょっとからかったら酷い目にあってねぇ……」
そういえば、冥もあいつに巻き込まれたんだっけか。
なにせ最近見ないし、落第街のあの騒ぎのせいですっかり忘れていた。
■比良坂 冥 >
そんな異能?という言葉には返答を返さない
そんなことも出来るだけ、だからだ
からかった、と聞けば愉しげに目を細めて笑う
「彼はいつになったら現実と向き合えるだろうね。
もう無理かな…壊れちゃったかな…?
男の子って、脆い子が多いんだよね……」
そこが、可愛らしいのだけれど
「あんな彼なら…友達になってあげてもよかったかな…?」
■烏丸秀 > 「んー、無理じゃない?」
再びしれっと言う。男に対してはどこまでも辛らつなのだ。
「彼は、まぁ全知全能みたいなもんだけどさ。
それを自分が主人公になる為に、相手を悪役にする為に使うなんてさぁ。
もう、取り返しつかないと思うけどね」
何口か食べたあと、冥に向けてプリンを乗っけたスプーンを差し出す。
食べる? とばかりに。
「うん、ボクとよく似てるよね、彼。
でも、自分が壊れてる事を認めなきゃ、その前に精神が壊れちゃうねぇ」
■比良坂 冥 >
「……箱庭の全知全能。虚しいね。
無意識下の自己愛、殺傷性…犠牲欲。
………可愛いよね~…どこまでも抉ってあげたくなっちゃう」
笑みを浮かべたまま、ぞくぞくとその肩を震わせて
「壊れる前に一度くらい遊んであげたいなぁ…。
でも今の彼には私でも干渉できないみたいでつまんない、──ぁむ」
差し出されたスプーンを躊躇などはせずに頬張る
ほどよい甘みと口溶けが広がった
「…無理、って言ってるけど、興味は捨ててない顔してるね?」
■烏丸秀 > 「もちろん。面白そうだし?」
くすくすと笑いながら、そのまま自分もプリンを食べる。
うん、甘い。懐かしいこの甘さ、変わらない味。
「ボクも、まぁ会えないだろうねぇ。
仕方がないね、どこかでまた会いたいけど……」
肩を寄せ、まるで恋人のようなひと時。
もっとも、剣呑さの方が勝る関係だけど。
「壊したら、ボクにも見せてね?」
■比良坂 冥 >
「入院するような怪我させられても、懲りないんだから重病だよね…。
変態って一生患わないといけないのかも、ご愁傷様……」
自分のことは棚にあげまくった言葉を呟きながら、夕焼けの空を見上げる
彼が完全に閉じこもってしまっているならば、
会える可能性は多分絶無に近いのだろう
綻びぐらいはある気がするけれど…彼には確かに無理かもしれない
「…壊れたら、あげるよ。
壊し方考えたり、壊れるまでを見るのが好きなだけだし……」
悪びれもしない笑顔のままで、黒い言葉を紡いでゆく
所詮この少女にとって自分以外の全ては自分が悦を得るための何かでしかない
■烏丸秀 > 「そうそう、死線をさまよったんだよこれでも?
おまけに入院中は暇だし、ご飯も美味しくないしさ~」
肩を竦めて文句を言う。
一週間は食事など取れる状況ではなかったのだが、ごらんの通りである。
確かに、一生治らないものだろう。
「でも、変態っていうなら冥もでしょ?
――あぁ、一回見れればいいから。あとは捨てちゃおうか」
男をコレクションしていく趣味は無い。
壊れたら壊れたで、あの異能は大変な事になりそうだが――
彼もまた、日々を愉しむ為だけに生きているようなものだ。
■比良坂 冥 >
「烏丸くんのことだから看護師さんに手を出してたんじゃないの?」
容易に想像ができるあたり、わかりやすい人物である
そう、お互い様に
「そうかな。好きなものをキズつけたい、って…誰でも思うことじゃない?
みんな倫理とか、常識とか、体裁とか、法律とか、良識みたいなくだらない玩具に縛られてるだけだよ、きっと…。
烏丸くんが変態なのは、好奇心の度合いじゃないかな。
何の利益にもならないのに手を出したりして痛い目みたり、してない…?」
■烏丸秀 > 「あ、看護師さんはダメ。あの人たち、物凄くガード固いし、自分の生死を握られてるから」
くわばらくわばらと呟く。
どうも何か嫌な思い出があるらしい。
「そうだねぇ、好きなものは傷つけたい、自分だけのモノにしたい。
そう思うのは自然だけど、皆倫理のもと、社会で生きているからねぇ――大変だね。ボクには出来そうもない」
プリンを食べ終わってしまった。
残念。
「あぁ、うん――数え切れないくらいある、かな?」
■比良坂 冥 >
「(……そっちの趣味は、生死のリスクに替えられないってことだもんね)」
やっぱり変態という他ない気がする
そもそも自分のような女に興味をもったりする時点でも大分危うい気がする
「…だって、好きなものを愛で続けたら同じ顔しか見れないもの。
自分の好きなモノの全部を見たい、知りたいなら…色んなコトを、しなきゃ。
それで最後には■しちゃわないと。人間は気まぐれ、自分以外の誰かのモノになったら、イヤだもんね」
ふふっ、と少女にしては可愛らしく笑った
先のセリフがなければ普通に可愛く見えたかもしれないが残念なものである
「……小腹も満たせたし、えっちでもする?」
じ、と仏頂面に戻って視線をぶつける
講義中といえど誰がいつ来るかわからない場所だが、まるで気にするような様子がない
■烏丸秀 > 「うん、そうそう。結局人間は、同じ物には飽きるからね。
だから、たくさん愛して、傷つけて、傷つけられて――そうこうしてるうちに、壊れちゃうんだよねぇ」
微妙に違ってはいるが。
やはりこの二人は、同じようなモノなのかもしれない。
「――そうだね、最近ご無沙汰だったし」
まぁ、こんな屋上にこの時間に来る物好きも多くないだろう。
来たら――
「(見せ付けてやればいいか)」
ここら辺、彼も決めたら戸惑いがない
■比良坂 冥 >
「誰か来ちゃっても別にいいよね───」
彼には見られて困る人がいるだろうか
自分には見られて困る人はいない
むしろ見せて、見せつけて
それで揺らぐのか揺らがないのか……そのカオを、見たい
そのアトは───
夕焼けの下、闇に沈んだ瞳を伏せて
ベンチの上で少女は男にしなだれかかるようにして、重なりあっていった───
ご案内:「屋上」から比良坂 冥さんが去りました。
ご案内:「屋上」から烏丸秀さんが去りました。