2017/04/10 のログ
ご案内:「廊下」に藤巳 陽菜さんが現れました。
■藤巳 陽菜 > 真新しい制服。本当は4月から行くはずだった高校の制服姿。
未だに上手く動かすことの出来ない蛇の体を壁にもたれかかるようにしながら引きずって初めて来た校舎を行く。
すれ違う人のうち陽菜と同じように真新しい制服を来た生徒たちは物珍し気な視線を向けてくる。
暫くは慣れそうにないその視線を躱すように俯いて廊下を進む。
「…私これからどうなるんだろう。」
何度呟いたか分からない言葉を呟き窓に映った自分の姿を見る。
少しやつれた顔、寝れなくて隈の出来た眼。
先月までと殆んど変わらない上半身の姿と少し映り込んだ自分の尻尾の先端。
溜息を一つ吐いてまた、廊下を進む。
■藤巳 陽菜 > ようやく見えたエレベーターに乗るために壁から離れる。
…階段はまだ上手く使える自信がない。
これくらいの短い距離なら支えるものが無くても進める。
今までとバランスのとり方がすっかり変わってしまって少しの距離を行くのも安定しない。
グラグラとふらふらと身体のどこの筋肉を使えば上半身が支えられるのかが分からない。
「っ!!」
また、転んでしまった。いや、転んだというよりも目のめりに倒れたという方が正しいかもしれない。
この姿になってから何度倒れたのだろう?もう、一生分倒れてしまった気がする。
体を起こす為近くの壁に這って近づこうとする。
廊下を這うこの姿は人の眼から見れば酷く惨めな格好として映るに違いない。
■藤巳 陽菜 > 蛇の下半身は未だに動く動かせず前に進むのも難しい。
それでも、何とか這って壁伝いに起き上がる。
何でこんな事になったんだろう。
頭の中でそればっかりが繰り返される。
はやくこの場から離れてしまいたい。
でも、エレベータのボタンを何度押しても扉が開く時間は変わらない。
ご案内:「廊下」にセシルさんが現れました。
■セシル > 学園の授業が始まる。
異邦人たるセシルはこの世界への適応に向けて学ぶべきことが多いため、まだまだ座学も多い。
そんなわけで、授業のガイダンスを終えて廊下を歩いているところだったが…
「!」
目の前で、下半身蛇の女子生徒…種族的には、ラミアとかナーガというのだったか…が、ド派手に倒れる場面を目撃する。
彼女は、何とか壁伝いに起き上がるとエレベーターに辿り着いて、ボタンを押したが…
(…身体に力が入っていないようだな…調子が悪いのか?)
彼女の様子を見てそんなことを考えたセシルは、彼女の傍につかつかと歩み寄って…
「大丈夫か?」
そう、穏やかなアルトで尋ねた。
中性的で、彫りの深い顔立ちの中にある二つの青い瞳が、女子生徒の顔を覗き込む。
■藤巳 陽菜 > 声をかけられて振り向けばそこにいたのは少女漫画の中から飛び出して来たのかと思うような男子生徒。
中性的な美男子。ありふれた言葉で言えば王子様のような人だった。
「えっ!ああ!はい、大丈夫です!」
モデルか何かをしてる人だろうか?今までテレビでしか見たことないようなレベルのイケメンだ。
しどろもどろになりながら無意識に自分の髪を整える。
「もう、最近は転ぶのにも慣れちゃって上手くに転べるようになってきたんですよ。
この体は怪我しにくいですし。だから、大丈夫です。」
自嘲気味にそんな風にいいながら怪我がないことを伝える。
それにこの体になってから殆んど怪我をしていないしあまり痛くない。
ただ、情けないだけだ。
■セシル > 女子生徒のしどろもどろっぷりに、ちょっとのけぞるセシル。
一応地声で声をかけたつもりだが…多分コレ、「いつものパターン」に入ったヤツだ。
そう考えるに至っても、セシルは相手を気遣う姿勢は崩さなかった。
「…あ、ああ…そうなら良いんだが…
あまり身体に力が入っていないようだから、どこか具合でも悪いのかと思ってな。
………「この体」?」
女子生徒の回答に、少しだけ眉を寄せて、軽く首をひねるが…余計な言葉を口にした、と思ったらしい。慌てた様子で、軽く頭を下げて…
「…ああ、余計な詮索はするものではないな。すまない。
しかし、転ぶのに慣れてしまうほどでは、移動も大変だろう。目的地の方向まで、付き合える範囲で付き添おうか?」
頭を上げるとともに、彼女の介助を申し出る。
その表情からは、好奇の色は伺えない。心配そうな、青い瞳が女子生徒を見つめている。
■藤巳 陽菜 > 「あまり、歩きなれてないのでどうバランスを取ったらいいのか分からないんですよ。
いや、歩くというか這いまわってるという方が正しいのかな?
ああ、こんな私もつい先週までは普通の女の子でしたからね。」
前の普通の人の体と比べると慣れてない分、不便で仕方ない。
「ええ、最近こんな風な足?というか下半身になっちゃったんですよ。
もとは普通に二本足で歩いてたんですよ。今はこんなでけど。」
誰かに話したくてしかたなかったのだろう。
そんな風に話す。
「いいえ、別に隠してる訳じゃないですし。
知ってくれてたほうが接しやすいでしょうし丁度いいですよ。」
そんな、頭を下げられるような事ではない。
自分が逆の立場だとしても聞くだろう。いや、そもそも関わらないかもしれない。
「良いんですか?でも、ただ見て回っていただけなので目的地とかはないんですよ。
…そうだ、なら迷惑ついでに案内なんかしてもらえませんか?」
一人で行くより案内してもらった方が分かりやすい。
■セシル > 「………普通の………?………ああ、そういうことか。
体の動かし方がどうも不自然だと思ったのはそういうことだったんだな」
女子生徒の事情を聞けば、納得したようにふむふむと頷いて。
「そうだな…この学園ならば元々貴殿のような身体をした者もいるが、そうした者と貴殿では必要な支援も異なるか。
だが、そう言ってもらえると有難いよ。余計な詮索で気を悪くさせてしまったら申し訳ないからな」
そう言って、口元に少しだけ笑みを浮かべた。どちらかといえば、口の端を横に引く印象の強い笑み。
そして、女子生徒の事情を聞けば、ふむと頷いて…人の良さそうな笑顔を顔全体に広げた。
「そうか…ということは貴殿は新入生なのだな。
委員会の職務もあるが、まあ、30分か少しくらいならば問題は無いよ。
…と、念のため名乗っておくか。セシル・ラフフェザー。風紀委員会に所属する2年生だ」
「よろしく」と、握手のための手を女子生徒に向けて差し出した。