2017/04/11 のログ
藤巳 陽菜 > 「ええ、おかげで壁伝いでないと進めないですし。
 早く慣れなきゃというか慣れる前に元の体に戻なきゃですけどね。」

外の移動はタクシーを呼んでいる。
この島にはそう言う種族でも容易に乗れるタクシーもあるのでとても助かる。

「ええ、そのお陰で本土の方と比べてもかなり生活しやすいですよ。
 部屋とかもそう言う種族の人に合わせたものを借りられましたし。
 まだ、向こうでと比べてそこまで珍しいものを見る目でも見られませんし。」

本土の方は何かと狭かった。風呂もトイレもベットも。
不便で仕方なかった。

「はい、今年から入学しました。藤巳陽菜です。 
 よろしくお願いしますね。ラフフェザー先輩。」

握手を交わす。
良い人だ。こんな人は女子にモテてモテて仕方ないだろう。
…案内してもらっててこの人を好きな子に刺されたりしないだろうか?

セシル > 「そうか…貴殿がこの学園に来たのは元の身体に戻る術を探すためか。
…早く、見つかると良いな」

そう、優しい声で感慨を漏らすセシルの視線は、やや愁いを帯びて落とされる。
口元には、笑みは刻んだままなのだけれど。

…そして、こちらの生活では不便がだいぶ改善されている旨を陽菜から聞けば、セシルはその愁いをさっぱりと消して、朗らかに笑ってみせた。

「…そうか、それなら良かった。
早く元に戻るにしても、それまでの不便は少ないに越したことはないからな。

………ヒナ、だな。こちらこそよろしく」

がっしりと、男性的な所作で握手を交わす。
その掌は剣の鍛錬ゆえか硬くなっており、指も節ばっているのだが…何故か、厚みや厳つさはそこまで感じさせない手だった。

藤巳 陽菜 > 「ええ、ありがとうございます。
 ラフフェザー先輩はその、留学か何かですか?」

外国でも常世島のような場所を作ろうとしているというのはニュースで見たことがある。
そんな事の為に勉強しに留学で来ている人とかだろうか?
…お忍びで来てる王子様とか?

「この島は色んな種族の受け入れっていうのが本当に進んでるんですよね。
 もし、戻らなかったとしてもこの島で暮らせばいいかな?」

冗談っぽくそんな事をいう。
…異能や魔術の研究の最先端を行くこの島だ直す方法は見つかるに決まっているだろうけど。

…思っていたよりも少し柔らかい。男子のてなんてそう握った事はないのだけれど。

「どこから案内してくれます?
 あっ職員室は行ったのでそれ以外でお願いしますね。」

その時丁度、エレベーターの扉が開く。
なんて、タイミングがいいのだろう。

セシル > 「留学………まあ、そう言えなくもないが………」

苦笑の後、セシルは

「私は、いわゆる「異邦人」…つまり、他の世界から来てしまった人間だよ。
特に、私は望まずに来てしまった種類の方でな…帰りたい希望はあるが、どうにもな」

と、こちらもまた境遇を明かした。
家族の話などに触れなければ、特に問題はないはずだ。この島ではありふれているし。

「ははは…事例が蓄積されれば、そのうち島の外でも暮らすことは出来ると思うがな」

陽菜の冗談には、こちらも笑って返した。境遇を明かしたときの苦みは、既に表情から消えている。

「どこから………そうだな、売店か、食堂でも見ておくか?
貴殿の身体で利用しやすそうな場所に見当をつけておけば、後々楽だろう。

…さて、大丈夫か?」

開いたエレベーターの扉を押さえて、陽菜が入りやすいようにしてやりながら、彼女をサポートするべく手を伸ばす。
正直なところ「誤解されていそうだな、解くタイミングが今のところないな」とか考えていないわけではないが、顔には出さない。誠意を持って対応する。

藤巳 陽菜 > 「えっ。ご、ごめんなさい。 
 異邦人の人たちってもう少し分かりやすい見た目をしてるものだと思ってました。
 …あの、変な事聞いてしまってごめんなさい。」

勝手な思い込みとイメージ。
異邦人と言えば今の陽菜のような姿の人だろうと思っていた。
普通に人間な異邦人もいるのだそんな事すらいままで考えても来なかったし知らなかった。

「それだと、私が元に戻るまでには島の外には帰れなさそうですね。」

目標としては今年中くらいには元にもどりたい。

「はい、ありがとうございます。確かに食堂とかは見ておきたいですね。」

エレベータの中に入って尻尾を丸める。邪魔にならないように扉に挟まれないように。

(それにしてもこの先輩は良い人だ。
 私みたいなのにも優しくしてくれるなんて、きっと凄まじくモテるんだろうな。
 …勘違いしないようにしないとな。)

きっと、誰にたいしてもこんな風に紳士的なのだ。

セシル > 「いや、気にしなくて良い。それだけこちらに溶け込めているのだと思えば努力の甲斐もあるわけだからな」

「一応、これがあるんだがなぁ」と、笑いながら腰の剣の柄に触れる。確かに、《大変容》前の地球の常識からすれば、随分アナクロではあった。

「…それは、無論「やる気十分」という意味でだろうな?」

軽く笑いながら、「元に戻るまでには帰れなさそう」の意味を確認する。
相手の語り口からすれば、思い詰めている感じではなさそうだが…。

「よし」

陽菜の尻尾が綺麗にエレベーターの中に収まったのを確認して、エレベーターの扉を押さえるのをやめて、いわゆるバリアフリーが一番充実している食堂のあるフロアの階を押す。

「まずは食堂からだ…ヒナの身体を考えると、通路などは広い方が良いだろうな」

そんな風に、朗らかに陽菜に笑いかける。
その朗らかさが示す気負いのなさは、陽菜の推測の裏付けになり得るだろう。

藤巳 陽菜 > 「確かに剣なんてもってるの変ですよね。」

この島に来てから色々な服装の人と出会っていたからマヒしていた。
そう、確かに剣はおかしい。
結構武器持ってる人いたけど確かにおかしい。

「ええ、流石に今日、明日中に整えられちゃったら無理そうですが。
 なるべく早く戻るつもりですから。」

流石に一年やそこらでは異邦人に配慮した街は出来ないだろう。
異邦人というか、異種族に配慮した街。

「ええ、他の人の邪魔になりますし…。」

その存在感から流石に踏みつけらることは無いと思うけど。

「本当にいい人ですね先輩。」

きっと、誰が相手でもこのように手を差し伸べられる人なんだろうこの人は。

セシル > 「変だし…実際、物騒には違いないからな。
私が風紀委員になったのは、「これ」を携帯しやすい身分を得たかったのも大きい」

「変」という陽菜の感想を肯定して、鷹揚に笑った。

「そうだな、それが良い。故郷に置いてきたものたちとの絆が、時間によって切れてしまうことがあったら悲しいからな」

「応援させてもらおう」と、早く帰るという陽菜の決意を穏やかに肯定する。
島の外のこの世界を見たことがないセシルには、陽菜のように「あたり」を付けることは出来なかった。
「いい人ですね」と褒められれば、朗らかに笑って。

「まあな、性分だ。
…友人には「だから誤解されるんだ」と言われるが、困っている婦人を蔑ろにするのはやはり気が引けてしまって」

などと言う。
そうしているうちに、エレベーターは該当の階に到着する。

「まあ、大柄なもの達もそれなりにいるから、皆慣れているよ。
…さあ、先に行くと良い」

エレベーターの「開」ボタンを押して、先に陽菜を行かせようとするセシル。

藤巳 陽菜 > この島の風紀委員は本土で言うところの警察のようなものであると聞いた。
…剣がいるなんて割と物騒なところなのだろうか?

「時間がたっても絆はそうそう途切れませんよ。
 多分…きっと。」

目の前のこの人は異世界からの異邦人だ。
陽菜は帰ろうと思えば物理的には帰れるがこの人は帰れない。
本当は途切れないと言い切ってしまいたかったが自信はなかった。

「本当、絶対誤解されるので控えめにした方が良いと思います。
 私も下手したら好きになっしてまってましたよ。」

この体になる前の陽菜なら間違えなく惚れていた。そして追っかけとかになってたに違いない。
きっと、そうやって何人もの女子生徒を泣かせてきたんだろう。
罪作りな人である。

「私も早くなれてぶつからないように動かせるようにしないと。
 あ、ありがとうございます。」

少しぐらつきながらも早めにでて邪魔にならないようにドアの脇で待つ。

セシル > 「………ああ…そうだと良いな」

陽菜の言葉に、少しおおげさに、ゆっくりと瞬きを1つする。
家族のこと。立場のこと。…母親のこと。
どれだけの感慨を、セシルは奥底に押し込めたのだろうか。

しかし、そんな愁いもわずかな間のこと。
「誤解されるから控えめにした方が良い」と真面目に諭されれば、場違いに笑って。

「…そうか?男でないと説明すれば、今のところは何とかなっているんだが」

とても朗らかに、カミングアウトがきました。

「いや、余裕のある方が気遣ってしかるべきだろう。気にするほどのことではないよ」

礼の言葉にはそう返して、陽菜がエレベーターから出たのを確認して、自分も出る。

「この階の食堂はこっちだ。
…それでは、行こうか」

やっぱり、陽菜の身体を支えるように、手を伸ばした。

藤巳 陽菜 > …家族はともかく友人との絆はもたないかもしれない。
そんな寂しいことを考える。

「はあ?えっ?男でないとは女子生徒ってことですか?
 ははは、またまたそんな…マジですか。」

確かに手が柔らかいなとかは思ったけど…。
そうか女の人だったのか。
そう言われてみれば確かに女の人に見えてきた。

「まあ、それでも邪魔には違いないですし。
 まあ、ささっと元に戻ってしまえばそんな心配も要らないんですけどね。」

自分でも邪魔に思うこの尻尾人から見たらどれだけ邪魔になるだろう。
凄く申し訳なく思ってしまう。

「…やっぱり、女の人だって最初に言うべきですよ。
 絶対そのうち説明しても聞いてくれない人とか出てきますから。」

そんな風に言いながら支えられる。
女の人だと分かった上でもドキドキしそうになる。
変な扉がひらきそうだった。

セシル > 家族の絆すら危ういのがセシルの特殊事情だが…当然、そんなことは表には出さなかった。

「「女」としての自覚がそこまであるわけではないが、男でないのは確かだ」

鷹揚に笑って、陽菜の驚きを肯定する。
一応仕事中ではないので、ずっと地声で話しているのだが…女性にしては低い部類に入る声なので、見た目の印象を覆せなかったのだろう。

「…地声で話した後でその念押しはどうも気が進まんが…まあ、仕事以外の場面では気をつけよう」

そんなわけで、「女の人だって最初に言うべき」という陽菜の主張に苦笑い。
一応汲みはするらしい。
陽菜の中で開きそうな「変な扉」は、存在自体は度々耳にするが実感がないのでよく分からないのだった。

「…生来大柄だったりする者もいるから、「邪魔」と切って捨てるのも…どうだろうな。

まあ、行くか。広いし色んな立場の者が利用しやすい設計になっているから、メニューも豊富なんだ」

よいしょ、と小さく声を出しながら、陽菜を支えるようにしつつ、進むペースを合わせながら、食堂の方に案内していく。

藤巳 陽菜 > 「うーん、つまり男性的な女性?
 女性でいいんですよね?」

ラミア的な人間みたいな。
いや、少しちがうかもしれない。

「やっぱり、見た目の印象は強いですね。
 イケメンだって思っちゃったら男の人にしか見えませんし。」

やはり、見た目の印象が大きいものだ。
男装の女子とか見た経験が少なければ尚更勘違いする。

「…そうですね。そう言うところはあまり見えて無かったです。」

自分ではこの体の不便さ、嫌な所ばかりが見えて早く戻りたいとばかり言っているが
元から今の自分似たような人に対しそれは酷く失礼な事のように思えた。

「あっホント見たことないようなメニューも多くありますね。」

そう言う風に案内を受けていれば時間は一瞬ですぎてしまっていて。

セシル > 「…まあ、絶対にどちらかに区分しろと言われれば、消去法で女性にせざるを得ないだろう程度にはな」

陽菜の念押しに、少しだけ困ったような顔で笑いつつも、やっぱり「男ではない」のは揺るぎないらしかった。

「こちらの…特に、ヒナのような容姿の人々だと、男性でもそこまでがっしりはしていなかったりするから、余計に紛らわしいのはあるかも知れんな。
…一応、こちらに来たばかりの頃よりは分かりやすいようにしているつもりなんだがな…地声で話したりとか」

そう言って苦笑い。
地声を聞けば、「声で分かる」という者はぐっと増える。…だが、全てではないのは事実だった。

「まあ、自分で自分をどう思うかは、私が口出し出来ることでもないが。
同じ感覚で周りを否定するのだけは、やめた方が良い。…自分のためにもな」

そう、優しい方理屈で諭す。

「そうなんだ…昼時真っ只中だと少々混み合うが、テーブルの数は決まっているから、通るくらいならば大丈夫だろう」

そんな風に、食堂や売店を軽い解説付きで案内してから。
セシルは、そのすらりとした佇まいに相応しい軽やかさで、委員会の方に向かうのだろう。

ご案内:「廊下」からセシルさんが去りました。
藤巳 陽菜 > 地声でもまだ女性的な男性って感じがする。
もしかしたら彼女がいた世界ではもう少し全体的にがっしりしてたのかもしれない。
剣を振るう必要がある世界だし。

「はい。分かりました。」

自虐というかこの下半身に対する。恨み言は尽きない。
それでもいう場所やいう相手は選んだほうがいいかもしれない。


こうして親切な先輩に案内を受けながらその一日は終わった。

ああ、明日からは歩くことを補助する道具なんかが必要かもしれない。

ご案内:「廊下」から藤巳 陽菜さんが去りました。