2017/07/29 のログ
筑波 察 > 「そうだねぇ、ちょっと方向性が違うだけで、根本は似てるかもねぇ」

(口ぶりから察するにたぶん恥ずかしい思いでもしたのだろう。
ままそういう人間なら誰しも経験することだろうし、
この島には悩みから思案して周りに注意が向かない人もたくさんいる)

「勉強熱心じゃないか。
どんなに寿命があったって何かを極めるのに時間が充足することなんてないからね。

ありゃ、やっぱりわかるもんなんだねぇ?
話せば長いんだけど、まぁもともと目は悪くて、
この間完全に見えなくなったんだ。
でも見えるようになる方法がないわけじゃなくて、
うまく扱えないから一時的に見えないってわけ」

(それで、訓練兼リハビリ。
そう説明する。話せば本当に長い。聞く方も話す方も疲れる。
心配そうに声をかける相手とは裏腹に、
見えない本人はケロッとしたもので、むしろ希望に満ちていると言ってもいい>

和元月香 > 「ぜんっぜん手がかりはないんだけどね!
最近は半分ただの読書のために時間費やしてるよ」

うんざりしたように伸びをする。
本当に手詰まりもいいところだ。
月香はなんだかんだ凄く粘り強いが、
手がかりが皆無なら話は別、投げ出しはしないが愚直に変わらない事はない。
思わず初対面の人間に愚痴を漏らすぐらいには、手詰まりであった。
諦めたらいい話だが、そこは月香の食意地的なプライド的なものが許さない。

「...ただの失明じゃなさそうだな、おいよ...。
やっぱあれか?異能か?魔術か?二十文字以内で説明できない?」

無茶な事を言いやがる。
適当に当てずっぽうに言っているが、案外的は射ているかもしれない。
心配しているというより、単なる興味のある部分が大半を占めている表情を、月香は隠そうともしなかった。

筑波 察 > 「効率のいい情報収集は
関係なさそうに思える情報を関連付けられるかが命だ。
ただの読書もいつか意味を持つようになるさ。」

(どうやら彼女は欲しい情報が手に入らず二進も三進もいかない様子だ。
何をそんなに探しているかはわからないが、
きっと大切なことなんだろう。
初対面で愚痴られても別段気にしない性分なので、黙って話を聞く)

「異能で視力を失って、異能で視力を得ようとしてる。
ってとこかな。ざっくり言えば。」

(さすがに20字で説明しようとするのは無茶だが、嘘は言っていない。
異能の代償で視力を失い、
それによって拡張された異能で視力を得ようとしている。
これは異能を手にした当初から何も変わらないことだ>

和元月香 > 「...ほう...。勉強になりますなぁ。
てか君変わってんね、普通の子だと思ってたけど」

事情を何かしら抱えているにせよ、
常世島では平凡な方に見えていたのだが何だか微妙にズレている。
興味深げに話を聞いた後、ちょっとだけ意外そうに、目を丸くする。

「やっぱり異能かー。
でも正直よく分かんないね!?」

流石に二十文字やそこらの文字数では事情は読めなかった。
要求した側のくせして不思議そうに首を傾ける。

「聞いていい?どんな異能なの?かっこいいやつ?」

まるで小学生のように、きらきらと瞳を僅かに輝かせながら続いて問う。
純粋なる興味で聞いているのは弾んだ声色で恐らく分かるだろう。

筑波 察 > 「……?
最近いろんな人に変わってるって言われるけど、
ここまで言われるといろいろ不安になるねぇ?」

(ここ最近本当にいろいろな人に言われる。
今まで会った人たちもかなりの変わり者がそろっているあたり、
僕は鏡か?もしくは類は友を呼ぶ?と一人思案してみて)

「今の説明で理解してもらえたら、
君はきっと欲しい情報にあっという間にたどり着いているだろうねぇ?

かっこいいかは僕のセンスに依るけど、
まぁ簡単に言えば振動を操れるんだ。しかもかなり支配的に。」

(そういって目を閉じるとあっという間にロビーの気温が上がる。
空気運動、広義に言って振動を操作した結果だ。
そして次に口を開くと――)

『君の声で話すこともできる』

(発せられた声は目の前にいる少女の声。
これくらいなら朝飯前だ>

和元月香 > 「いや、悪くないと思うよ?
ゴーイングマイウェイって感じで私は好きだぜ」

ビシ、と親指を立てて下手くそなウィンクをする。
月香自体よく変わってると言われる身、変わってるのは寧ろいいことだの精神で生きている。

「振動を操る...?いや何それかっこい...、

...っん?なんかした?」

空気が変わるのを肌で感じて、虚空に視線をさ迷わせて月香は首を傾げた。
(気温が上がってる...ね...)

そして、少年の口から聞こえた声には。

「.....っっ!?え、わ、すごっっ!!なにそれすごっっ!!」

語彙力が非常に無い感想を叫びながら、思わず少年の眼前に詰め寄った。
最早ギラギラと言っていいほど輝く瞳は、
興奮と好奇心に彩られ、幼い子供のよう。

筑波 察 > 「むしろ僕は誰かのロードウェイに入っていく性分なんだけどね。」

(僕自身の中に頑なに固まった意思なんてものはほとんどない。
頑固だとは言われるが。
彼女が目の前でへたくそにウィンクしたとしても、
それを目に焼き付けておくことは今はできないのだ)

「気温をちょっと上げてみたり。
たぶん透明になったり電撃出したり電波を受信したりもできるんだろうけど、
それがうまくいかなくてねって、近くない?」

(気温を元に戻せば、うーんと悩んだようなしぐさをするが、
詰め寄られるとたとえ見えていなくても後ずさる。
相当な好奇心を寄せられていることは察したが、
これと言って必殺技のようなものは持ち合わせていないのだ>

和元月香 > 「プライベートにズケズケ入っていくタイプ?
それとも人の人生を滅茶苦茶にするタイプ?
もしくはちゃちゃ入れするだけのタイプ?

全部この島に何人かいるタイプだね!」

つまり好きにしたらいんじゃね、と言いたいわけであるのだが。
その性分の感じかゴーイングマイウェイっぽいのだが違うだろうか、などと考えながら何故か微笑ましそうに彼を見る。

「凄いね!万能やね!出来たら教えて!」

手伝うとは言わない。
しかしずんずんと迫ってきらきらと目を輝かせる月香はあくまでただの少女の口ぶりであった。

「やっぱり操作が難しいのかな、そーいうのって」

戦闘系というか、実用性異能については殆ど感覚が想像できない。
透明になるのも電波を受信するのも、やはり操作が大事なのだろうか。

筑波 察 > 「そのすべてが当てはまるかな。僕は誰かの特別になりたい。
特別になれるなら嫌われてもいいし、好かれてもいい。
だからプライベートにズケズケ入るのも、
人生を無茶苦茶にするのも、
ちゃちゃいれするのも、手段としてはあり得る。」

(その発言はある種犯罪臭をまとうものだが、
やはりこれとて嘘ではない。
異能を手に入れてからの活動理念はおおむねこの考えのもとに成り立っている)

「万能じゃないさ。
こないだそれに挑戦して一週間意識飛ばした上に目が見えなくなったんだ。」

(自分でも万能に思える。でもその万能さに見合った代償は伴う。
結局どのように、どの程度使うかは自分の裁量次第なのだ)

「もし念力みたいな、周囲に力を与えられる能力を持っているなら、
出来なくもないよ。使い方を工夫すれば銃なんかよりもずっと有用さ」

(使い方を考えるには、それなりの勉強は必要だけど>

和元月香 > 「へぇ、なるほどね。なかなか変人だね。
でも、どっかで聞いたような話だなぁ。
なんで誰かの特別でありたいの?」

あまり道徳的には言っていることは良くない。
しかしそれをいちいち指摘するつもりは無いし、
そもそも月香なんかにそんな資格は無い。

だからこそ、どストレートな質問をぶつけた。
なんでや、と。

「...あー、体にめっさ負担かかるタイプか。
それならちょっと控えた方がいいかもね、うん。

いつか死ぬんじゃない?」

眉間に思いっきり皺を寄せた月香は、少年の前で仁王立ちしてため息を吐き出した。
なんでこうも周りには死にそうなやつが多いのだ。
いやこの島自体に多いのか。
本人が望むにせよ、望まないにせよ。

「周囲に力を与える.........」

ふと浮かんだのは、自らが操る空間魔術。
ああれは空気というか、空間自体を操るのだが。
カウントされるのかな、と首を捻る。

筑波 察 > 「それを直接質問してきたのは君が初めてかもしれないねぇ?

なんてことはないさ。周りの人が気持ち悪いくらい平等に扱ってくれたから。
能力を持っているのに、普通の人と同じように接してくれたから。」

(息苦しかった、と。
平等に扱われて息苦しい思いをするのと、仲間外れにされて孤独になるのとは、
大した差なんて無いように感じた。なら僕は後者を選ぶ。
後者を選んで誰かの、正確にはみんなにとっての"特別"でありたい)

「そそ、僕の身体が首を刎ね飛ばしても回復して、
何か月も寝ないで思考力を保てるくらいに精神が強いなら、
また話は別なんだけどね。死ぬ前に意識が飛ぶから平気さ。」

(正確にはガスで眠らされたわけだが、追々対策すればいい)

「その感じだと身に覚えがあるのかな?念力的な力に。」>

和元月香 > 「.........?

それが苦痛なんだ。
ふうん...?」


月香は彼の話を聴きながら、思った。

(なんだかんだ、凄く人間らしいんだなぁ。
特別でありたい、なんて当たり前の欲求だしね。

まぁ、私には無いけど)

反省する。
彼がこうなったのはただ変人だからではない。
月香のように元々変人だったのではない。
いや、多少はそうかもしれないがちゃんと経緯があってこうなったのだ。

「.....なかなか大変だねぇ。

いや、無いことは無いけど...。
あれ、魔術だからありなんかな...?」

あっさりと自分が所有する魔術について明かす。
念力、的な力ではあるだろうが。

筑波 察 > 「って言っても、会った人すれ違った人全員が対象なわけじゃない。
興味のない人間はどうでもいい。
そして興味を持つかは僕にもわからない。」

(この発言で今まで何人を怒らせてきたか。
だからといって改めるつもりは一生涯ないが)

「少なくとも自制の手段は見つけるよ。

魔術だっていいさ。魔術が作用する対象はこの世界の物体。
この世界の物体はこの世界のルールに従う。
この世界のルールは物理や数学だ。
魔術が物体に作用した後は物理が支配する。」

(だから訳の分からない異能がこの世界でも使える。
原因と結果は常に一体だが、同一ではない。
原因は魔術によって、結果は数物によって左右される。
これが僕自身の持論であり、能力への理解だ>

和元月香 > 「あらまぁドライ。
でもさ、出会った人すれ違った人全員の特別になるのは
ちょっと無理があるよね!」

そんな言葉にも、月香は冗談交じりにそう返す。
相手が自分に興味を持とうが持たまいが相手の勝手。
そもそもなんで怒るのかすら、恐らく月香には理解できない。

「物理は数学はあんまり好きじゃないんだよねー、と」

ささ、と両手が印を結ぶ。
掌を包むような金色の光が現れて、鞄に纒わり付くと鞄は緩やかに空間に浮き上がった。
月香が軽く手を動かせば、光を纏った鞄はぐるりと一回転したり、素早く動き回ったりする。

金色の光は紛れもなく異世界の文字の集合体であった。

「...まー、こんなやつなんだけどー。
こんな感じのやつ?」

水滴を振り払うように手を降れば、光が霧散する。
魔術が解け、鞄はどさりと月香の傍の床に落下した。

筑波 察 > 「ドライじゃないよ、皆と同じさ。ちょっと度合いが極端なだけさ。
それに平等を嫌った人間が全員を同じように扱うのはバカな話だと思う。」

(無理か無理ではないか、という問題ではない。
というのがあくまでも主張らしい)

「数物は結局理屈だからね。
矛盾がなければそれで許される部分もあるから。

…?今は目が見えないから何かされても…」

(彼女が何かしようとすれば少し慌てて視界を得る準備をする。
あくまで今自分は目が見えないのだ。見る為には準備がいる)

「……きれいだ。」

(やっとの思いで光を感じるだけの準備を終えると、
言葉がもれる。細かな造形はわからない。何か光る存在を認識できるだけ。
それが何色なのかもわからない。
しかし、幼いころにアニメで見たような、自由に飛び回る存在は、
数物でしか物事をとらえられない人間には不思議に見えた。>

和元月香 > 「んー、確かにそうかも」

よく分かったらしい。
でもやっぱり、月香の判断基準は無理か無理じゃないかだ。
そこは価値観の違い、なのか。

「あ、そうだった。
...まぁ、見えなくても分かると思うよ?」

すっかり失念していたのか、軽く舌を出してから笑う。
この空間にあるにはあまりに 【異質】だ、多分感覚で誰しも分かるというものだ。

「...あれ?見えるの?
ちょっとは見えるのかな?」

魔術を解いた後、不思議そうに首を傾げ。
唐突に、少年の頬に両手を当てて瞳を覗きこんだ。

筑波 察 > 「まま、あまり真剣に考えたって特になるようなことじゃない。」

(僕自身、そういうふうにこじつけているだけかもしれない。
案外譲れないものなんかは適当な基準でしかないのかも)

「精度を求めなければ何かが光っている、くらいはわかる
――って、近くない?」

(本日二度目。一度目より近いかもしれない。
目を覗き込まれたって、僕の方から彼女を見ることはできないわけだが。
彼女には常に出血し、血液が混じった赤黒く変色した硝子体、
つまり瞳が見えるだけだろう>

和元月香 > 「...そんなもん?」

言うほど真剣には考えていないが。
幼子のように首を傾げつつも、月香はとりあえず考えることを辞めた。

「うーん...。じゃあどうやって見せよう...。

...あ、ごめん。ちょっと気になってん。
てかなかなかあれだね、よく見れば...」

赤黒い瞳をまじまじと見つめながら、月香は呟く。
それと同時に、むにむにと頬を柔く摘みながら露骨に顔を顰めるだろうか。

「目痛いとかないん、これ」

頬をむにむにしながらも、声は心配そうだ。

筑波 察 > 「じゃあ君はご飯を食べるたびに心の底から自分の罪を許すよう請い、
食べ物を恵んでくれた神に感謝するようなこと、するかい?」

(大抵の人は行為の意味は形骸化している。
僕だって特別に拘る行為が残っているだけかもしれない)

「そのうち僕が視界を手に入れたら見せておくれよ。

……ん?
いや、別に痛いとかはないけど。
理由はわからないけど常に目の中で出血はしてるけど、痛くはない。」

(頬をむにむにと弄ばれると、少しめんどくさそうな表情をする。
むしろ頬が痛いくらいだ。>

和元月香 > 「しないね...」

もう、理由なんて無いと言う事か。
でも何だか納得できた。
所詮は後付けなのかもしれない。
...自分が、あれを調べる理由も。

「...ん。はよ私のそこそこかわいい姿を見るがいい!

ならいいけど、なんかちょっと血が出てるのはあんまり良くないような...。
目は大切にしましょう!」

何故か威張るようにそう言った後、柔く抓った頬を掌で労うように撫で、医者のように締めくくる。

頬から手を離し、その手で鞄を取った。

「...よっし。私はそろそろ帰ろっかな。
いい加減お腹空いてきたや」

苦笑しながら、腹をさする。

筑波 察 > 「でしょう?
ある意味脅迫観念かもね?」

(それでもこだわることはやめないわけだが)

「じゃあ早く視界を確保しないといけないね。
期待しながらリハビリするよ。

血が流れてくれているおかげで異能が使える。
流血は異能の代償だと思ってるからね」

(それでも、目は大切にするよう言われると軽くうなずく。
頬から手が離れると、
あっという間に表面の温度は外気と平衡をとり、ぬくもりは消えた)

「僕もそろそろ帰るよ。明日もあるからね」

(リハビリに土日は関係ない。
そのまま立ち上がると、杖を伸ばし、歩き出す。
振り向いて、軽く手をふると
「あ、僕は筑波って言うんだ。よろしく」とかなり遅い自己紹介をする。
それから振り向くことはなかった>

ご案内:「ロビー」から筑波 察さんが去りました。
和元月香 > 「怖いねー」

いや、別に怖くないのだが。
そもそも月香に怖いなんて感情は無いのだが。

「そーやってハードル上げるやつ!
まぁわたしが言ったんだけど!

...そんな黒魔術的な...」

(こいつ、なんというか律儀すぎだろ...)

いや、クソ真面目と言うべきか。
真面目も多い、と疲れたようなため息が出た。
別に疲れてはいない。

「ん、じゃーね」

あっさりと離れていく背中を、これまたあっさりと見送る。
それから振り返った筑波には、「和元月香でーす」とだけ叫んでおく。

「さーて、わたしもかえろ。
スーパーのコロッケが安いんだよねー」

来た時のように間抜けな歌と、スキップで。
茶髪の少女は、廊下の奥へ消えていった。

ご案内:「ロビー」から和元月香さんが去りました。