2017/08/15 のログ
ご案内:「屋上」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 「うーん、随分と過ごしやすい夜が続いてきたな」
屋上への扉を後ろ手で閉めつつ、俺は大きく伸びをした。
夕方まで降っていた雨の影響か、空気は湿り気を帯び、心なしか髪がしんなりしている。
今日も今日とて保健室に引きこもり、時折図書室と往復してれば一日が終わり、すっかり夜空に星が瞬く時間だ。
こうしてどんどん時が過ぎて行くのかと思うと、何とも言えない気分になってくる。
そんな気分を紛らわすべく、屋上へとやって来たのだが。
「まあ、誰も居ないわな。」
道中で買った缶コーヒー片手に、俺は鼻歌混じりにフェンスへと歩み寄った。
ご案内:「屋上」に和元月香さんが現れました。
■和元月香 > 屋上では夜空が綺麗に見えるらしい。
クラスメイトからそんな話を聞いた月香は、暇つぶしに第1教室棟の屋上に登ってみる事にした。
「...ほほう...」
扉を開け、空を見上げる。
満天、とは言わないものの空には沢山の星が瞬いている。
そのまま屋上へ入り、周りに視線を巡らせる。
(...と、あれは...)
視界に入った後ろ姿。
一瞬誰だか分からなかったが、すぐピンときた。
「...セクハラ教師だ!」
心の中でぽんと手を打ったつもりが、思いっきり声に出てしまった。
■暁 名無 > 「おーう?」
夜の街並みを眺めながらぼんやりとしていたら、突然大声で名前を呼ばれた気がした。
いや、改めて思い出してみれば全く名前は呼ばれてねーけれども。
「おう、何だ和元じゃねえか。
こんな時間にこんなとこで何してんだ?幾ら夏休みでも、そろそろ校則に触れる時間だぞ。」
フェンスに背を預け、缶コーヒー片手に笑みを浮かべてみる。
まだ少し濡れていたのか背中がじんわり冷たいが、まあそのうち乾くだろ。
■和元月香 > 「あ、どーも!」
何と振り返った。
怒られるか、と思ったらどうやらよく聞こえなかったらしい。
一瞬考えてから名前を思い出すと、ひらひらと手を振りながら歩み寄る。
「えーと、暁先生。こんばんは。
んー、ちょっと星を眺めたいなーと思いまして。いつもこの時間まで残ってるんで大丈夫ですよー。
先生もこんなとこで何してるんですか?」
フェンスにまで近づくと、濡れたそれに腕を預けて空を仰ぐ。
そしてすぐ満足したように、相手の方を見て首を傾げた。
■暁 名無 > 「何時も残ってるから大丈夫、は通らねえぞ流石に。
ちゃんと申請はしとけよ、まあ今先生たちも帰省やら何やらで殆ど出払ってるけどな。」
一応言う事は言っとかないと自分の肩書を忘れてしまうので言っておく。
別段遅くまで学校にいる事を本気で咎めるつもりは無いし、咎めたところで得がある訳でもないし。
「俺?俺は気分転換と休憩だよ。
朝から仕事だか趣味だか分からんことに時間食わせてたら大分疲れたんでな。
いてて。」
小さく息を吐いてフェンスから離れると頭に小さな痛みが走った。
どうやら髪が数本、フェンスに咬まれたらしい。こういう時長髪は本当に厄介だ。
■和元月香 > 「...え、そんな制度あるんすか」
申請、という制度さえ知らなかった。
ギョッとした後、面倒くさそうに眉間に皺を寄せる。
...この島は平和とは言い切れないし、あると予想はできただろうに。
「?ふーん。そうなんですかー...」
納得しているように見えて、目はありありと『なにそれ』と語っている。
仕事だか趣味だか分からんものに時間を費やす、というキーワードがいまいちピンと来なかったらしい。
んー、と考えていると隣から小さな悲鳴。
「あ、大丈夫ですか...?」
フェンスに髪が絡まったらしい。
抜いてやるのを手伝おうと、自然に手を相手の髪へ向ける。
相手が髪を触ることを受け入れれば、当然のような表情で髪を丁寧にフェンスから抜いてやるだろう。
■暁 名無 > 「制度とかそんな堅苦しいもんじゃねーさ。
言い方が悪かったかね、遅くまで居るつもりなら予め先生に言っとけってことさ。
下手すると気付かれずに閉じ込められるかもしれねーぜ?」
「んまあ、半々ってとこだな……。
仕事の延長ではあるんだけど、給料が出る訳でもねえし、
絶対やらなきゃならない事でもない……そんなとこだ。
お、悪いな手伝ってくれんのか。
少しくらい乱暴にしても大丈夫だからな。」
別に手入れしてるわけでもないし。
その割には生徒から執拗にトリートメントの仕方とか訊かれた事があったな。
絹糸みたいだなんて、お世辞か何かだと思っていたんだが。
■和元月香 > 「...ふむ...。
一応ほぼ図書館の奥に籠ってるだけなんでそれなら心配ご無用。
司書の先生と仲良いんで!」
顔馴染みになってしまった、とも言う。
夏休み期間中も学校に来てはいるらしいし、大丈夫だろう。
...多分。
「給料も出ない、絶対にやらなきゃいけないわけじゃない事を時間かけてやるんですか...」
不審には思ったが、あながち他人の事は言えない。
そう思った月香は、これ以上の詮索は辞めた。
「いやいや、そんな手荒な真似はできませんって〜。
...サラサラですねぇ、女の子みたいっすねぇ」
その生徒の言うことは間違っていなかったようだ。
フェンスに引っかかった髪を軽く撫で、興味深そうに指を通す。
...なるほど、女の子が嫉妬はしそうな髪である。
「よ、いしょっと」
何とか綺麗にフェンスから抜くことに成功する。
しかし、目を少しきらきらさせながら手元の髪を触り始めた。
男なのに髪サラサラなやつってまじでいたんだ、という好奇心からだ。
■暁 名無 > 「なら問題ないか。
まあ、それはそれであんまり遅くまで残り過ぎて司書サンに迷惑かけんなよ?」
一応仕事で来てんだからな、と苦笑して釘をさす。
利用者が居るなら置いて帰る訳にもいかないだろうしな。
「ははっ、だからまあ、趣味みたいなもんだ。」
他に言い様がない。
とはいえ和元の中では詮索しない事にされたようなのでこの話はここまでだ。
「あー、よく言われんだよなあ。
煙草吸うし部屋はとっ散らかってるし、多少荒れても良さそうなもんなんだけどな。
昔っから髪だけは、なー。」
多分昔の異能の影響だろう。
和元に弄られるままにぼんやりとそんな事を考える。
彼女が飽きたら適当に縛り上げでもするか、とか。いや和元をじゃなくて髪を。
■和元月香 > 「はーい」
その通りなので、素直に頷く。
他の利用者も遅くまで残っているので、恐らく問題は無いと思うが。
「サラサラだけど、こう絡まるんじゃ困りますよねー。
ポニーテールにでもしたらどうですか?」
____それか私みたいにふたつぐくりとか。
からかうように自分の両耳の下に垂れた髪を揺らしてみせる。
大の大人がやったら正直気持ち悪いやつだ。
「先生って顔悪くないんだから髪型大体似合うと思うんですよ!
少なくともぶさいくでは無いって意味ですよ!」
よくわからないフォローをすると、快活ににっと笑う。
■暁 名無 > 「流石に二つはな……
ポニテは細かい作業する時とかよくやるんだけど。
……んまあ、結わっとくか。
和元、ちょっと髪離せ。」
結紐はどこにやったっけか。
どうも髪ゴムは使う気になれない。特に理由がある訳ではないけど。
髪を軽く引いて、和元の手からするりと抜けださせると、俺は慣れた手つきでポニーテールを結わってみる。
「別に顔の事気にしたことはねーよ。」
とはいうものの、無精髭を残してるのは童顔が気になるからだ。
■和元月香 > 「...はいはい。
おぉ、似合うじゃないっすかー」
少し名残惜しく髪を離すと、手馴れた仕草で髪を結わえた相手。
初めて見たその姿を、まじまじと眺めて拍手する。
「先生って大分若作りですよね」
からかうようにそう言った後、月香は相手から視線を外す。
再び空を見上げた月香は、ふわぁと小さく欠伸をした。
...やっぱり体が疲れているのか、急に体がずんと重くなってしまう。
■暁 名無 > 「うーん、たまには切らんとな……。
おう、さんきゅ。お世辞でも有り難く受け取っとくぞ。」
数度首を振ってしっかり結わえてるか確認した後、和元へと笑いかける。
この歳でポニテが似合うって言われても、と複雑なところだが褒められて悪い気はしないもんだ。
「いや、俺としてはせめて年相応に見られたいんだけどな?」
作ってない作ってない、と手を振って否定する。
むしろ作ってこの顔立ちなら、方法を本にまとめればかなり売れるんじゃねえか。
「欠伸なんてして。
そろそろ帰った方が良いんじゃねえか?
俺はもうしばらく残ってるけどな。」
今日も帰るのは日付が変わる頃だろか。
それとも保健室でそのまま寝落ちコースだろうか。