2017/08/16 のログ
■和元月香 > 「お世辞じゃないですー」
不貞腐れたように舌を出す。
かっこいいとかそんなんじゃなくて普通に似合うと思った。
なんというか、雰囲気に余裕が出来た。
「えー。そうなんすかー?」
悪戯に疑いの目を向けて。
しかしすぐ「そんな、作ってるなんて思ってませんよう」と棒読みで笑い飛ばす。
こっちも童顔であるし、気持ちは分かるのだ。
「...すんません。なんか体が重いんで帰りますー。
じゃ、さようなら」
疲れたとは言わない。
体が重いだけだ。
妙に頼りなくよたよたと背中を向けた月香だったが、
また再び振り返って、ふと思いついたように空を見上げる。
「...どんな時代も星は綺麗ですね、先生!」
にっ、と満面の笑顔だけを浮かべて。
再び前を向いて、月香は調子の外れた鼻歌を歌いながら扉を閉めた。
ご案内:「屋上」から和元月香さんが去りました。
■暁 名無 > 「はいはい、ありがとさん。」
褒めても何も出やしないぞ。
肩竦めてから、疑いの眼差しを此方へと向ける和元を見る。
そもそも若作りって言ったのはお前だお前。まったく。
「そうだよ、アラサーだしアラサーに見られたいんだよ。」
昔っから年相応に見られた事は少なかったしな。
「おう、気を付けてな。
帰り道で倒れたりすんなよ。学校の外じゃ、流石に把握しきれねえ。」
ふらふらと去ろうとしていた和元が、突然振り返った。
何事か、と思わず身構える俺を他所に、
「……ああ、そうだな。」
どんな時代も、か。
俺が居た時代はどうだったか。ここに来る前はあまり星空を見上げた覚えがない。
もしかしたら、忘れてるだけなのかもしれないが……それは無い、と思いたい。
■暁 名無 > 「さて、と。」
和元が居たのだから、他の生徒も校内に居るかもしれない。
まあ居なかったところでどうせ最後に戸締りするのは自分の仕事だ。
「……もう少しぼーっとしてくか。」
保健室に戻れば、また文献とにらめっこだ。
今の内にだらだらしておきたい。向こうでだらだらしたらそのまま寝落ちしそうな気がする。
俺は今度は挟んでしまわないよう、結わった髪の先を肩に掛ける様に前に流してから再びフェンスに寄り掛かった。
■暁 名無 > 「……んー、あれがこう繋がって、そっからこう流れるから……。
ありゃ。……いかんなー、油断してるとすぐ考えちまうな。」
気が付けば夜空を眺めつつ考え事に耽っていた。
気分転換に来たはずが、場所を替えただけで結局頭脳労働してしまっている。
……いかんいかん。コーヒー飲んで少し追い出そう。
「にしても、花火大会は今年はいつ頃だっけか。
そろそろだよなー、確か。今年は何処で見るか……」
多分、学校でだ。それも一人で。
まあ家で見るよりはだいぶ誰かと遭遇する可能性は高いけれど。それでもお一人様の呪いは強い。
前に垂らした髪の毛先を指先でくるくる弄びながらぼんやりと夏休み期間後半戦の事を考える。
どうせ此処で考えるなら、他愛無い予定なんかを考えた方が良いだろう。
■暁 名無 > 「……静かだ。」
昼の蝉の声がすっかり聞こえなくなった。
こないだまで夜でもお構いなしにわんわん聞こえてたのに。
こうして知らず知らずのうちに季節は変わって、年が明けて、歳をとって……
………よし考えるの止めよう!
「そもそも俺の年齢だってかなりいい加減だしな。
半分自己申告みたいなもんだから……ま、無理もねえけど。」
誰にともなく呟く。
まあ、こんなつぶやきはフェンスを抜けて下に落ちるか、雲の合間に見える星空に消えてしまえ。
■暁 名無 > 「さて、そろそろ戻るか。」
コーヒーも無くなった。星も雲に隠れた。
気分転換も十分に果たせた。言う事なしって奴だ。
「あ、ついでに図書室行って……流石にもう施錠されたか。」
職員室で鍵取って来るのも面倒だな、明日にしよう。
ポニーテールは……折角結わったし、このままでいいか。
さて休憩が終わればすぐさま頭を切り替える。
「……部分変身。
全身より圧倒的に複雑だな……。」
後で一度試すべきか。
そう思いながら、俺は屋上を後にしたのだった。
ご案内:「屋上」から暁 名無さんが去りました。