2017/12/20 のログ
ご案内:「食堂」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
■鈴ヶ森 綾 > 昼、多くの生徒で賑わう食堂は、平時のそれを遥かに上回る浮ついた雰囲気で満たされている。
殆どの生徒は今日までで全ての期末試験が終了し、ほぼ冬休みに突入したと言ってよい状態だった。
クリスマス、帰省、正月。期間こそ夏と比べて短いが、その分密度の濃い休暇に皆浮かれていた。
「……。」
その喧騒渦巻く食堂の隅で、浮かぬ顔した髪の長い少女が同席する者もなく一人で食事をとっている。
その表情は今にも舌打ちの一つでも聞こえてきそうな様相で。
目の前に置かれた料理にもまったく手がつけられていないようで、丼の中で蕎麦が汁を吸ってのびきっていた。
■鈴ヶ森 綾 > 無論、周囲の彼らの事を羨ましがったり疎ましく思ってこんな顔をしているわけではない。
その原因は心身を苛む倦怠感にある。
冬場、心身に変調を来すのは今までに幾度となく経験してきた。
特に精神面への影響は強く、集中力の欠如、故のない苛立ちや不安感、そういったものにしばしば襲われる。
それが今は一際強く顕れているのは負傷のせいか、この島の空気が肌に合わないのか、あるいはもっと別の…。
頭のなかにぼんやりと靄がかかったような状態では自己分析も捗らず、それが苛立ちを一層強くする。
そうして時を過ごしながら、たまに思い出したように箸を手にする。
しかしそれを丼の中に突っ込んでも中身を弄くる以上の事はしようとせず、
結局箸先を濡らしただけでトレーの上に箸を戻すという行動を繰り返す。
■鈴ヶ森 綾 > 気がつけば席についてから30分程の時間が経過していた。
賑わっていた食堂もピークを過ぎたようで、徐々に人の波が引き始めたようだ。
その頃になってようやくまともに蕎麦に手を付け始めたが…。
「……まずいわね。」
一口啜ってぽつりと呟く。
それだけの時間放置されていればさもありなん、
受け取った直後は湯気が立ち上っていた汁はすっかり冷めきり、蕎麦もこれ以上無いほどにのびてしまった。
「まぁ食べられない事は…。」
相も変わらず不満顔を浮かべつつ、それでも律儀に蕎麦を平らげ、食堂を後にするのだった。
ご案内:「食堂」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。