2018/01/28 のログ
■アリス >
「…緊張したら、どんな拳銃ができるかわからないし」
「でも、追影さんが言うなら試してみる」
苦笑いを浮かべて言った。
試してみる。それは人に銃を向けることになるのだけれど。
「ええ。異能を制御できるようになりたいの。でも、追放されたというのは言い過ぎたわね」
「この島にも人の営みがある。決して流刑地じゃないもの」
大好きなパパとママ。その顔を思い浮かべれば、頑張れる。
「空気の刃を手刀から出せるんだもの、カタナを持てば強いのでしょう?」
「斬り合いに自信があるのね。現代のサムライというものかしら」
さっき見せた技を勝手に空気の刃を飛ばすものだと思っている。
喋りながら手すりに手をかけた。
指が痛くなるほど冷たくて、拒まれたように手を離したけれど。
でも、そこから見える景色は、悪くなかった。
■追影切人 > 「ま、最悪何かあったら俺に言え。ちょっとお灸を据えてやるからよ」
もっとも、少年の場合はお灸を据える=斬る事に直結する訳だが。
少女が拳銃を突き付ける図も物騒だが、少年の場合はそれを更に上を行く事になりかねなかった。
「別に、まぁ外の人間からすればそういう考えもあっても不思議とは思わねーしなぁ。
つか、俺は大して気にしねーが、聞き咎めるのも居るだろうから気を付けた方がいいかもな」
流刑地…あながち間違いでもないかもしれないが、そこを口にする野暮はしない。
その程度の空気は読める少年だ。実際、落第街やスラムという掃き溜め、肥溜めがこの島にはあるのだから。
「まぁ、斬ろうと思えば魔術やら異能も多分斬れるだろうがよ。…侍?俺はただの辻斬り…通り魔みてーなもんだ」
侍などという単語は己には縁が遠すぎる。彼女の言葉につい苦笑を浮かべてしまい。
あと、魔術や異能は過去に実際斬った事は何度もあるがそこも流石に黙っておいた。
景色を眺めるアリスに、何となく少年もそちらへと隻眼を向ける。特に少年は感慨も何も無いが。
「…で、どうよ?この島や学園は。少しはやっていけそうか?」
■アリス >
「……優しいのね、追影さん」
屈託なく笑って。
本当に困ったら、頼っていいのかも知れない。
「ええ、気をつけるわ。外から来たけれど、私もこれからはここの住人なのだから」
吹き付ける冷たい風に靡く髪を悴む指で撫でた。
「魔術や異能を斬る? 不思議なことを言うのね」
「辻斬りに通り魔。怖い人に助けられてしまったかしら」
完全に冗談として受け止めながら、街を見下ろす。
「……わからない。ここに友達はいないし、っていうか元からいないけど…」
「来て数週間で不良に絡まれるし、助けてくれた人は辻斬りだし?」
「でも……やっていくわ」
追影切人に向き合って。
「ここで生きてみる」
生きるというのは、重い言葉。
でもあえて使った。不安もあるけれど、それも自分の一部なのだから。
ご案内:「屋上」に追影切人さんが現れました。
■追影切人 > 「……優しいかぁ?俺はただ自分の思ったままの事をしてるだけだぜ?」
それに、最初彼女が苛められている場面に遭遇した時は本当に助ける気も何も無かった。
結果的に、女子二人が気に食わなかったので、手助けして場を収めた形にはなったが。
「ああ、むしろ第二の故郷と思って身を埋める覚悟くらいはしとけ。
少なくとも、異能が制御できて外に出ても安心と判断されるまではな」
まだ入学前の少女に、結構厳しい覚悟を問うようだが、そのくらいのガッツが無ければこの先は厳しいだろう。
「…さあな?結果的に助かったから良いとしとけよ。相手が俺だったのは…ま、自分の不運に文句言っておけ」
実際、魔術や異能を平然と斬れるトンデモ辻斬り装置な少年だがそこは主張しない。
アリスの様子から冗談だと思っているようだし、この場は調子を合わせておく。
「……へぇ。いい覚悟だ。中々に骨のある女じゃねぇかアリス・アンダーソン」
気に入った、とばかりにニヤリと笑う。これで斬り合いが出来たら言う事は無いのだが。
それはそれとして、彼女の言葉にフと気紛れに思い立ちこう口にする。
「ま、生きるならダチの一人くらい持っても問題ねーだろ。つぅ訳で辻斬り馬鹿で良ければ第一号になるぜ?」
ご案内:「屋上」に追影切人さんが現れました。
■アリス >
「結果として私を助けてくれたし、結果としてこうして話してくれているもの」
思えば、ここの学生とちゃんと話したことがあんまりない。
周りは年上ばかりだし、ひょっとしたら日本語が話せないと思われているかも。
「厳しいわ、この街をそんなに好きになれるかしら?」
「でも……それくらいの気持ちで自分の異能と向き合わなきゃいけないのよね」
くすり、と笑って追影の話を聞いていたけれど。
友達の話になると真っ赤になって。
「え……トモダチになってくれるの…?」
慌てて手の中に空気を変換して手もみカイロを作った。
「あつっ!」
慌てて作ったので熱い。
けど、冷たい手の女だと思われないように入念に手を温めた。
その上で。
「お……お願いします!」
手を差し出し、握手を求めた。
■追影切人 > 「…まぁ、結果だけ見ればそうなのかもしれねーがよ……まぁいいか」
基本ダウナー馬鹿だし、あれこれ考えるのは苦手だ。彼女が納得してるならそれでいい。
「好きになれるかどうかは保証はしねぇ。そこはアリス、オマエが自分の目で確かめな。
異能と向き合う覚悟があるなら、そのくらいは当然出来るだろ?」
挑発的な言葉になってしまったが、一応少年なりの激励みたいなものだ。
これでも、以前と比べたら他者への思い遣りを少しは学べているのだ。
しかし、友達程度で顔を真っ赤にする程だろうか?と、アリスの様子に少年は首を傾げる。
まぁ、唐突に言い出した自分も自分だが。何故かホッカイロを作り出してるのはつい笑ってしまったが。
「くくっ…!あいよ、まぁ適度によろしくな。アリス」
そう言って、笑みを噛み殺しながらこちらも右手を差し出して握手しておこうか。
■アリス >
「うん……自分の目で見たものを信じる」
「異能者の街で、自分の足で立ってからね?」
少年の手を握って上下に揺らした。
「ええ、適度によろしくね、追影さん」
「だ、だってしょうがないじゃない。イギリスでも本土でも友達なんていなかったのだから」
本土にいた頃は友達どころかいじめられていた。
だから、友達になろうと言って友達になってくれる人が、嬉しかった。
熱すぎる手もみカイロをポケットに突っ込んで、手を離した。
そして、嬉しそうに笑った。
ご案内:「屋上」に追影切人さんが現れました。
■追影切人 > 「そうしとけ。結局、人の意見は参考にはなるが最終的にどう決めるかは自分自身だからな」
とはいえ、まずは彼女が正式に入学して名実共にこの島の住人、学園の生徒となってからが本番といったところだろうが。
手を軽く上下にブンブン揺らされる握手を交わしつつも、どうやら少女は結構ぼっちだったらしい。
「…アリス、オマエ異能は兎も角、それ以外はまともそうなのにダチが居なかったのか」
何とも言えない顔になるが、この少年も敵対したり険悪な仲の者は多いが友好関係は殆ど壊滅的だ。
ある意味、少年のほうも真っ当な友人というのはアリスが初になるのかもしれない。
まぁ、友人になった以上はお節介になり過ぎない程度にアリスのフォローくらいはしてやろうと思う。
勿論、あくまでアリス自身が色々と頑張る事なので積極的にあれこれはしないが。
友人とはいえ、何でもかんでも手助けは彼女の為にもならないのだと少年は思っている。
「…さて、俺はそろそろ引き上げるかね。…ああ、そうだアリス。オマエ、携帯持ってるか?」
と、唐突にそう尋ねる。何故かと言えば、少年もゴソゴソと携帯を取り出して。
「アレだ、アドレス交換ってやつ?連絡先一応知ってるほうがいいだろ」
ご案内:「屋上」に追影切人さんが現れました。
■アリス >
「仕方ないじゃない、なんか同級生に嫌われるんだもの…」
「体育の時には先生と組んでたし、ジュニアスクールの時のお泊り会ではずっと寝たふりしてたし…」
泣きそうな顔になる。
思い出しただけで心の一部が重みを持つ。
追影から携帯の話を切り出されると、ポケットから携帯デバイスを取り出して。
「も、持っているわ。パパとママしか連絡先がないけれど」
「携帯番号は×××-○○○○の……」
「あ、メール! メールはWonderland-……」
本当は携帯デバイスを振るだけでアドレスが交換できるとか知らなかった。
だってぼっちだもの。
■追影切人 > 「……あーー分かった。それ以上は言わなくていい。何か聞いてるだけの俺も何故か悲しくなってきたぞ」
彼女の泣きそうな顔と、何かぼっち全開な内容に余計にダウナーな表情になりつつストップを掛ける。
ともあれ、携帯を取り出せばこちらも番号やメルアドを教えてお互い登録しておこう。
ちなみに、少年も携帯を持ったのはつい最近なので振るだけでアドレス交換とか勿論知らなかった。
ともあれ、交換が無事終われば空メールを一度送ったりして確認しておく。
「…ん、こんなもんか。さて、それじゃ今度こそ俺は引き上げるがアリス、オマエはどうするよ?」
■アリス >
「ん……えへへ、友達だー」
にっこり笑って上機嫌に、携帯デバイスを大事そうにポケットに入れた。
「私も教室に戻るわ、また面倒なのに絡まれたくないもの」
「屋上は好きだけど、人気がないのは問題ね」
そう言って戻りながら。
「またね、追影さん!」
と言って小走りに階段を降りていった。
ご案内:「屋上」に追影切人さんが現れました。
■追影切人 > (何か、我ながら変な成り行きでダチが出来たが…ま、悪くはねぇか)
そんな事を思いつつ、こちらも携帯を懐へと仕舞い込む。教室に戻るらしい彼女に軽く手を上げて。
「あいよ、またなアリス」
小走りに一足先に戻っていく少女を見送り。少年も戻ろうとして一度何となく屋上からの光景に目を細める。
「…成長してるのか、平和ボケしてるのか…昔より甘ちゃんになったのは確かかねぇ」
何処か苦笑気味にそう呟けば、今度こそ少年も屋上を後にするだろう。
ご案内:「屋上」からアリスさんが去りました。
ご案内:「屋上」から追影切人さんが去りました。