2018/02/06 のログ
ご案内:「教室」に海江田 良助さんが現れました。
■海江田 良助 >
四方を囲む、真っ白な壁。
丁度ぴったり10m先に設置されているマネキン状のターゲット群。
ガラス窓越しに幾つも設えられた計器の群れ。
大凡、常世島では珍しくもない能力訓練教室。
そこに、少年……海江田 良助はいた。
■海江田 良助 >
常世学園制服に身を包んだ学生の群れの中で、良助もまた、ターゲットに向かう。
定期的な能力訓練も授業の一環である。
良助からすれば、有難い事だ。
良助はこれを受けるためにこの島に渡ってきた。
どんな力であろうと、正しく制御し、正しく運用できなければタダの荷物でしかない。
少なくとも、良助はそう思っていた。
だからこそ、こういった異能制御授業に対しては積極的に参加している。
■海江田 良助 >
教官に促され、良助もまたターゲットに顔を向けて、眼鏡を外す。
良助の異能は裸眼でしか発動しない。
逆に言えば、裸眼でいるときは常に暴走の危険があるため、眼鏡は必需品である。
「海江田 良助。能力区分名『恣意的歪曲』、いきます」
規定通りの文言を教官に告げると、眉間に皺をよせ、ターゲットのマネキンを睨み付ける。
■海江田 良助 >
良助の眉間に球雫が浮かび、それが頬を伝った時。
マネキンの周囲の空間にノイズが走り、直後、ぐにゃりとマネキンが歪む。
歪んだマネキンはさらにねじ曲がり、最後にマネキンの首が落ちた所で。
「はぁっ! ……はぁ、はぁ……!」
教官から静止の合図が告げられ、良助が荒く息を吐く。
同時に、マネキンの形も元に戻る。
良助の能力は像を歪めるだけなので、実像に影響はない。
そのまま、教官の指示に従い、列から外れ、教室の隅に移動する。
■海江田 良助 >
眼鏡をまた掛け直して、溜息を吐く。
能力制御は以前より上手くいっている。
だが、良助の望むレベルには、まるで達していない。
それでは、意味がない。
この島にきた意味がない。
鎮痛の錠剤を飲みながら、眉間に手を当てる。
良助の異能は使用負荷として頭痛が発生する。
それも良助からすれば、煩わしい話だった。
頭痛そのものが、ではない。
この程度の使用時間で負荷が生まれるという事実が、苛立たしい。