2018/02/26 のログ
ご案内:「ロビー」にアリスさんが現れました。
■アリス >
年齢を偽ってバレンタインデー近くにチョコレート・ショップでするバイトは終わった。
アリス・アンダーソンは以前怪我した際の治療費を両親に渡すためにお金が要る。
今回のバイトは年齢を偽る必要はない。
求められるのは異能、それだけ。
今回のバイトは生活委員会への協力。
私の異能、『空論の獣(ジャバウォック)』は物質創造の能力。
これを生かして清掃に必要な道具を練成すればお金がもらえる、という話を持ちかけられた。
……大丈夫かなぁ。
ビニール袋を練成したとして、ビニール袋屋さんに恨まれないだろうか。
■アリス >
『それじゃ早速だけどゴミ袋を練成してみてくれる?』
生活委員会の女の人が私に仕事を求める。
よし、やってみよう。
「ジャバ………ウォック」
青、黒、透明のビニール袋を三種類練成して生活委員会の人に見せた。
彼女はそれらを慎重に検分する。
『薄いかな。あともうちょっと厚手にしたら使えるかも』
慌ててビニール袋を厚く作り直す。
『うん、良い感じ。これって何百枚とかまとめて作れそう?』
「えっ……疲労の関係とかあってちょっと厳しいかも…」
『そう? じゃあ消耗品じゃなくて道具を創ってもらったほうがいいかな』
今、何百枚って言った?
多分彼女の口振りだと恐らく1000や2000じゃ足りない数を求められたはず。
怖い。
次は生活委員会の道具作り。しかし、生活委員会は何を使うのだろう。
■アリス >
『あのね、草刈鎌を創って欲しいの』
『ヨシやススキを刈る時を考えて丈夫さと鋭さを両立させてほしいわ』
草刈鎌……?
なるほど、確かにたくさん必要になりそう。
研いでも研いでも、使い潰しても使い潰しても。
この島にはたくさんの自然がある。
それらを刈り取るために、鎌が必要なのかも。
「ジャバウォック!」
異能の名を小さく叫んで意識を集中、草刈鎌を創り出す。
そしてそれを生活委員会のお姉さんに渡すと、ドキドキしながら検分を見守る。
『これなら実用に耐えるわ』
「やった!」
バイト成立!!
あとは草刈鎌を
『これと同じものを50、60挺ほど創っておいてくれない?』
「へ?」
『じゃあ私報告書を書いてくるからこれで、また後で様子を見に来るから』
「あ、ちょっと待っ……!」
……創るんだよね、50本から60本。
考えただけで疲れる。
私は材料の砂を端に積まれ、一人ロビーに残された。
■アリス >
「ジャバウォック」
「ジャバウォック」
「………じゃばうぉっく…」
イチイチ異能の名を呟きながら草刈鎌を練成していたけれど。
これ終わるの?
終わらせられるの?
お金を稼ぐというのは、本当に楽じゃない。
一人ロビーに残された私は黙々と草刈鎌を創り続けた。
■アリス >
結局、日が暮れるまで草刈鎌を創り続けた。
バイト代は悪くなかったけど、なかなかに疲れる経験だった。
ご案内:「ロビー」からアリスさんが去りました。