2018/06/04 のログ
ご案内:「ロビー」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 午後、陽の傾きが辛うじて感じられるくらいの時間帯。
すらりとした体躯の少女が、ロビーの机の上にテキストとノートを広げている。
(…確かにこれ、パパッと読める英文じゃないわね…)
彼女が開いているテキストは、難関大学の個別試験対策用の英語の問題集だ。
難関大学の問題だけあって文章が込み入っている上、それを理解しないと回答自体が書けないような作りになっている。
(とりあえずは、文法上の構造の把握から…)
問題文に下線を引いたり、メモを書き足したりし始める。
「………うーん」
少女の唇から、思案がちな呻き声が微かに漏れる。
■美澄 蘭 > この少女…美澄 蘭は、この年度に入ってから、よほどのことがない限りは私服で通学している。
本土の学校制度に倣っていたならもう高校を卒業していたはずだし…それならば、少しずつ「大人」になることを意識していくべきだと考えていたからだ。
まずは、自分の選ぶ服に自分で責任を持つこと。…ゆくゆくは、自分の在り方全体を、自分で引き受けられるようになること。
(…構造は何となく掴めてきたけど、分からない語句が結構あるわね…このくらい分からない状態で、問題ってどのくらい解けるものなのかしら)
少女は、英文本文から問題の方に目を向けて…
「う”、う〜ん…」
濁って詰まった声を零した後、自信なさげに自分なりの回答を作り始める。
■美澄 蘭 > そうして、しばし回答作りに静かに奮闘した後、模範解答を確認しにテキストのページをめくるが…
(ど、どう判断していいのか分からない…)
まさか、長文を記述する形式で、模範解答と一字一句違わぬ回答など作れるはずがない。
どういうポイントに注目して正否の程度を判断すればいいのか、この手の問題に取り掛かり始めたばかりの蘭ではとても見当がつかなかった。
■美澄 蘭 > (…一人で悩んでても埒が明かないわね)
少女は一つため息を吐くと、テキストとノートをまとめてブリーフケースに納める。
「…先生、まだ職員室にいるといいんだけど…」
こういう時、頼るべきは優れた先達である。
蘭は、職員室に向かうべく立ち上がり、気持ち早足でロビーを後にした。
ご案内:「ロビー」から美澄 蘭さんが去りました。