2015/08/16 のログ
ご案内:「廊下」に三枝あかりさんが現れました。
三枝あかり > 鞄を片手に廊下を歩く。
夕方、人通りもそれほどない。
夕陽に照らされながら、ぼんやり帰路についていた。

夏季休講の間も続いていた生活委員会の仕事。
また苛烈になるのは目に見えている。でも、今日くらいはのんびり。

三枝あかり > その時、校庭から金属音が響く。
わぁ、という変な声も。

その時、私は見たんだ。

窓ガラス越しに私に向けて飛んでくる、野球のボールを。

三枝あかり > その時、不思議なことが起こった。
体が動かない。
いや、それどころか……窓ガラスの向こうにボールが静止して見えた。

今にも野球のボールが窓ガラスを突き破って私に向けて飛んできそうなのに。
その様子が静止している。
時間が止まっている。
まるで魔法がかかったみたいに、何もかも動きを止めて。

三枝あかり > 体が動かないし、声も上げられないからどうしようもないけれど。
とにかく次の行動は決まった。
体感的に、もうすぐこの静止した時間が終わると自分でわかった。

横っ飛びに回避。
動き出したら、それしかない。

1、2の……3!

動き出す時間にタイミングを合わせて、横に跳んだ。
窓ガラスを突き破って私がいた場所に突っ込んでくる白球。

無音の世界から突然、ガラスが破砕される音が響いて心臓が破裂しそうなほどに鼓動を早めた。
結果として私は無事。
ふと、別の窓ガラスを見ると私の瞳の色がエメラルドグリーンになっているのが半透明に映った。

一体、何が起きたのだろう。

三枝あかり > 考えられることは、それは自分の異能が変化――――あるいは進化したということ。
自分の瞳の色の変化はすぐに収まる。
普段通りの、茶色の瞳。

すぐに生徒や職員が駆けつけてくる。
野球部のボールが突っ込んできただけ。
怪我人もいない、ただの事故。

周りに心配されながら、怪我はないからと立ち上がる。
生活委員会らしく、ここは掃除しておかないと。
そう思いながら立ち上がろうとして、立ちくらみに膝をつく。

新たな異能は、体力を消耗するらしい。

三枝あかり > 何故、異能が変化したのだろう。
といっても自分に変わったことといえば、心境の変化以外何もない。
自分と向き合ったから、異能が変わった?

『えとねー。細かく見る事がどれ位出来るか、試したー?』

―――――アリスの言葉を思い出す。
細かく見る。ただそれだけの異能が増えた。
観察できるだけの異能。
私はこの異能に名前をつけようと思った。

星屑の幻灯(ザ・ライト・オブ・スターダスト)。
一時の幻に踊らされるだけの異能。
それが私の異能のセカンドステージ。

三枝あかり > それから生活委員会の先輩が片付けに来たり。
野球部の人にこっちが恐縮するくらい謝られたり。
色々あったけれど、今日は話すのは止めにしておく。

私の異能、星空の観測者(スターゲイザー)。
それと、星屑の幻灯(ザ・ライト・オブ・スターダスト)。
これらが私をどこに導くのだろう?

ただ星は夕闇の中で瞬くばかり。

ご案内:「廊下」から三枝あかりさんが去りました。