2015/11/04 のログ
ご案内:「教室」にヨキさんが現れました。
ヨキ > (常世祭期間中の特別講義。
 普段より広い教室を借りて、学外からの聴講も受け入れた形式だ。
 主に正規の履修生は前方の机に、聴講生は後方に。
 午前中に行ったのは、国立常世新美術館の学芸員を招いての『異能芸術論』だった。

 授業を終えて一息吐き、時刻は正午。
 受講者は既に退室を済ませ、教室にはヨキひとり。
 普段世話になっている教室よりも大きな黒板の板書を消してゆく)

「さて……、どれほどの心に響いてくれたやら」

ヨキ > (新美術館の講義でも世話になっている学芸員の話によれば、
 世界の変容が顕在化する以前から『異能を用いた芸術』の存在は認められていたという。
 異常に卓越した技術、時代の在りようからあまりに逸脱した技法。
 異能という力の存在を自覚していたにせよ、あるいはそうでないにせよ。
 力は既に使われていた。

 そうした芸術家たちはある時には激賞され、またある時には異端とされた。
 死するまで埋もれたきり、世に出ることのなかった者も少なくない)

「…………、ヨキは恵まれていることだなあ」

(当世にあっては、異邦人と異能者の存在とが広く認知されている。
 世間にはどのように受け止められているとしても、少なくとも『居ることにはなっている』のだ。

 先生、と声がして、使いを頼んでいた生徒が入ってくる。
 学生街の屋台で売られていたお好み焼き。
 おお、ありがとう、と礼を告げて受け取り、さっそく昼食の時間)

ヨキ > (お好み焼きを頬張って、自然と目尻が下がる。
 廊下の外に行き交う人びとを見ながら、時どき目が合った生徒や教師と挨拶を交わす。

 左手で箸を動かしながら、右手は午後からの講義のために準備していたレジュメを繰る。
 ヨキが得意とするところの金属工芸を中心とした、日本の工芸に関する話だ。
 パソコンで印字された文章に、手書きのさまざまな端書きが添えられている)

「……楽しくできるぞ、これは」

(ひとりにんまりとして、手早く昼食を済ませる。
 窓を開けて換気を済ませ、次なる講義に備えなければならない。
 今週末まで続く学園祭の日々は、まだまだ忙しい)

ご案内:「教室」からヨキさんが去りました。