2015/11/12 のログ
ヨキ > (畸形の獣が少しずつその顔を現す。
 眼差しに鋭さを湛え、質量を増し、限られた時間の中で描き上げられたディテールが精細さを高めてゆく。
 ただ芸術によってのみ生きることを決めた半人半獣の、迷いなく画面を打ち据える描線。
 塗り重ねられて盛り上がった絵具のマチエールは、ヨキの持つ衝動そのものの表れでもあった。
 既に発表を終えて、残すとも棄てられるとも知れない作品に、黙々と向かう。
 そうすることが、たったひとつヨキに与えられた呼吸の方法であるかのように)

ヨキ > (時間が過ぎるのも忘れて没頭し、自分が設定していたスマートフォンのアラームで我に返った。
 夢から醒めたような顔をして、息を吐く。そっと筆を置いて、すっかり温くなったペットボトルの茶を飲む。
 ぶつかり合う色彩が、不可思議な均衡を産み出す画面。
 身体の内側でどろりと粘つくような熱が、宿ったきり冷めることを知らない。

 このままいつまでも、腕が擦り切れて落ちるまで描いていたかった。
 だが自分は、『真っ当な人間』であるからして――

 次の授業の準備へ移るのだ。
 誰に捧げるでもなく塗り重ねられた絵のパネルが、しんとした無人の教室に佇んだきり残される)

ご案内:「教室」からヨキさんが去りました。