2015/12/24 のログ
蓋盛 椎月 > 怡与の質問に棚から名簿と思しきものを取り出す。

「訓練する先生、いるにはいるけど……
 んー、あの人は……この間懲戒処分食らってたし、
 あの人は、生徒の命を軽視しすぎてるフシがあるし、
 あの人は、魔術専門だったし、あの人は最近消息不明で……」

……頭をぽりぽりと掻いて名簿を戻してしまった。
紹介できそうな人材がパッと出てこなかったらしい。

「……そう? ありがとう、蔵田さん。
 難しいよね、なんだってそう……」

小さな溜息とともにそんなどこか含みのある言葉を落とす。
空になっていた自分の湯のみにおかわりの茶を注ぎ、
怡与のものにも継ぎ足そうとする。

気が向かないなら、答えなくても全然構わないけど、と前置きし。

「……蔵田さんはどうして戦闘訓練にそんなに前向きなの?
 年頃の女の子にしては、珍しい性向だよね」

と、怡与にまっすぐ向き直って尋ねた。

蔵田 怡与 > (名簿を見ながらの先生の呟きに、徐々に眉をしかめ)

「…ええと…
 すごい先生が、多いんですね。
 なんというか、先生らしくないというか…この学園らしいというか…」
(先ほどとは真逆の言葉を返す)

(継ぎ足してもらったお茶にありがたく口をつけ)

「…珍しい、かどうかは、自分ではよくわかりませんが…
 わたしの異能は、とても弱いです。自分でも、弱点をたくさん挙げられます。
 でも…磨けばきっと光る、と、言ってくれた人がいました。
 わたしは、まだ自分の能力のこと、全部は知らないと思うんです。
 それは、座学で気づくことかもしれないし、自分自身を賭けたやり取りの中で初めてわかることかもしれない…
 わたしには、経験がきっと足りない…と、思います。
 だから…… 戦闘訓練も、できることなら、やっていきたい。です。経験を、積むために」

(まっすぐ向き直る先生を、こちらもまっすぐ見つめて、答えた)

蓋盛 椎月 > 「あんまり大きな声じゃ言えないけど、この学園採用基準がザルなところあるから……
 まあ、師を見つけるのも、学びのうちだと思って、……ははは」

どこか誤魔化すようにそう言う。
湯のみに口をつけながら、静かに怡与の言葉に耳を傾ける。

「知るために鍛える、か。
 ……戦いに向いた異能なら、確かにそうすることでしか得られないものもあるだろうな」

小さく頷く。どこか眩しい物を見るような眼差しが向けられた。

「昔を思い出すよ。
 あたしもかつては、この異能で何ができるのか、って一生懸命考えたもんだ。
 ……あたしに似ているってことは、つまりきみは向学心に溢れた
 すばらしい意識の学生だってことだ。誇るがいい」

どこか冗談めいた口調でそう言って、親指を立ててみせた。
歯を剥いてにやりと笑う。

蔵田 怡与 > (ははは、とこちらも無表情のまま乾いた笑い声を上げ)

「…わかりました。それも学びのうち、ですね。
 ありがとうございます。怪我したら…ここに来ます」

(ヤバい人に会ったら逃げよう、と思いながらも神妙に頷く)

「実は…ずっと、悩んでいました。
 …この学園の人は、全員が異能のエキスパートで、自分なんかはあっという間に放り出されるんじゃないか…と。
 でも、そうじゃない、んですね。
 先生も、悩んで、考えて、見つけて…そうしてきた…んですね。
 簡単な道なんて、きっと、ないんですね」
(噛み締めるようにそう言い)

「……光栄です。とても。ありがとうございます」
(冗談めいた言葉と笑みに、真面目に頷き、微笑み返した)

蓋盛 椎月 > 「ここは学び舎だ。
 異能について、魔術について、世界について、自分について――
 学ぼうとする意欲のあるものなら、誰だって歓迎さ。
 
 ……もちろんそれは時として厳しく、辛いものにはなるかもしれないが。
 辛くなったらここで一休みしていけばいい。
 保健室というのはそのためにある場所なんだ」

ひとつひとつ丁寧に紡がれる言葉。
相好を崩し、湯のみを置き、立ち上がる。
窓の傍に立ち、結露を指でなぞった。

「――なんてね。
 別にあたしと駄弁りたい、ぐらいの気軽さでもいいぜ。
 お茶とか、お菓子とかもあるし……
 あっ、授業とか大丈夫?」

蔵田 怡与 > 「…はい。
 今日は、ありがとうございました。
 とても、勉強になりました」

(湯のみを空にして立ち上がると、頭を下げた)

「先生と話せて、よかったです。
 また……話しに来ます」

(どこか力の抜けた風に微笑むと、鞄を肩にかける)

「長々とありがとうございました。
 …では。失礼しました」

(そう言い、再度深く頭を下げると、保健室を出て行った…)

ご案内:「保健室」から蔵田 怡与さんが去りました。
ご案内:「保健室」から蓋盛 椎月さんが去りました。